騎士となった私は数々の武勇をあげた。ときには自らの正体を隠し、ときには名誉を貶めることになろうとも、私は騎士として正しい道を歩み続けた。
しかし、その行動はすべてある女性に向いていたのだろう。
赦されざる過ちであると頭では理解していても、心は彼女を求めていた。
我が王よ、貴方はこの罪を赦さないだろうか。罰を与えるだろうか。
それとも―――
「ランスロット、わしはマイルームで休むことにする」
「大丈夫ですか? どこか体の具合でも悪いのですか?」
「いや、働き詰めというのも戦いに影響が出るだろうからな。君も今日は自由にするといい」
「はぁ……」
「学内を歩いてはどうだ。昨日みたいにかつての仲間や大切な人に会えるかもしれん」
「!! ご厚意、ありがたく受けます」
ランスロットはマイルームを後にする。
かつて取り零した大切なものを追い求めて。
「む? あやつは」
白野とネロが校内を歩いていると、人の往来が多い踊り場でダンのサーヴァントを見かける。
「おや?」
むこうも白野たちに気付いたようで、こちらに近づく。
「今日はあの老兵はおらんのか?」
「ええ、ダンはマイルームで休息をとっています」
「そうか。で、そなたはこんなところで何をしておるのだ?」
「人探しを……運が良ければ生前の知り合いがいるかもしれませんので」
「ほぅ……」
ネロがサーヴァントの顔をじっと見つめる。
「どうかしましたか。そのような熱い視線で見つめて」
「なに、その男前の面を少しでも覚えられるようにとな」
「美しいレディにそのようなことを言われるのは男として嬉しいですね。貴女が敵でなければそれにお応えしたでしょうが……」
「そなたの宝具故……か」
「ええ、私は他者のために己の正体を隠して武勇を立てました。その時の名残が宝具となったみたいです」
「そうか。だが、些か口が軽すぎるのではないか? そういう情報は隠しておくことだろうに」
「構いません。この宝具は決戦まで顔を隠しておくもの。私が本気で勝負に挑むときには無用のものですから」
騎士は辺りを見渡し、人通りが少なくなったのを確認する。
「それでは、私はこの辺で失礼します」
そう言って、騎士は図書室へ移動する。
「他人に成りすまして武勇を立てる……か。
余には真似できんことだが、たいした行動だな」
「俺もそんな風になれるかな?」
「その必要はない。そなたはそなたのままで成したいことを成せばいい」
「成したいことか……まだよく分からないから、セイバーに相応しい自分になってみるよ」
「なッ!? あ、当たり前だ。そなたは余の奏者なのだからな!」
ネロは顔を真っ赤にして顔を背ける。
「話はこの辺にして、早くアリーナに行くぞ!」
ネロは白野を置いて、先に行く。
「待ってよ」
白野はそれを追いかける。
今はまだ遠くても、いつか並び立てるように
つづく