new record   作:朱月望

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決戦まであと―――3日

「これはどういうことかな」

 私とギネヴィアとの不貞の現場をアグラヴェインとその騎士たちに取り押さえられた。

 遂にこの瞬間(とき)が来た。私の胸中は焦燥はなく、寧ろ安堵していた。こそこそと隠れて王を裏切り、この罪悪感に悩まされる日々は終わるのだと。

「―――所詮は貴女も欲を貪る、(けだもの)、王には相応しくない―――」

 私に対する暴言は赦そう。どんな罰でも受け入れる。――だが、愛する女(ギネヴィア)を侮辱する発言だけは赦せなかった。

 気が付くと私はアグラヴェインとその騎士たちを鏖殺し、キャメロットを離れた。

 

 

 

 二つ目の暗号鍵生成を知らせる電子音がマイルームに鳴り響く。

「それでは向かうとしよう」

「彼らに遭遇した時は」

「正面から迎え撃つ。戦い方は君に任せる」

「了解」

 騎士たちは2つ目の戦場(アリーナ)で少年たちを待つ。

 

「奏者よ、あれを見よ」

 視線の先にはダンとそのサーヴァントが待ち受けていた。

「戦いの準備は大丈夫か?」

「ああ、行こう」

 探索用から戦闘用の礼装に切り替えて答える。

「お待ちしておりました」

 紫紺の騎士が話しかける。

「ふん。今日はこそこそ隠れんのか」

 ネロは不機嫌そうに応える。

「まだ根に持っているのですか」

 騎士は苦笑する。

「当たり前だ! 余のマスターを狙ったのだからな」

「ふ、セイバーからの報告通り、活発なお嬢さんのようですね」

 ダンが笑みをこぼす。

「そなたにも文句がある。顔も合わせず、狙い撃つとは見損なったぞ!」

「すまない。わしの知る戦場はそういうところでしてな。だが、もう致しませんよ」

「ほう。なぜだ」

「正攻法の方が勝率は高いと思いましたので」

「それで、余たちを待っておったという訳か」

「ええ、それでは始めましょうか。死闘を」

 ダンのセイバーが剣を構え前に出る。

「よかろう。余と奏者の実力、思い知らせてやる!」

 二人のセイバーがぶつかり合う。

 

 戦いは一方的だった。

「その程度ですか」

「くぅ!」

 セイバーの剣技は卓越しており、ネロはそれを防ぐことしかできない状態だった。

「(隙ができればッ!)」

 ネロは歯噛みする。

「セイバー! 『shock』!」

 かつて慎二が使っていたコードキャストを用いる。

 その効果は相手サーヴァントにスタンの状態異常を付加するもの。

「よくやった、奏者よ」

 白野が作った絶好の機会を逃さぬよう、ネロは全力で剣を振るう。

 その攻撃は敵のセイバーに大打撃を与える――はずだった。

「残念ですが、私にスタン(そのようなもの)は効きません」

 大振りとなり、がら空きとなったネロの胴を漆黒の剣が貫く。

「な、にぃ……」

 ネロは突然のことに目を見開く。視界は地面を映し、自身が倒れていることを理解する。

 腹部から焼け付く熱さを感じ、遅まきで鈍い痛みが押し寄せる。

「セイバー!」

 白野も何かしようと思うのだが、体が思うように動かない。

「これで終わりです」

「セイバあぁぁぁー!!」

 倒れたネロの首筋に漆黒の剣が振り下ろされる。

「終わりましたね」

 紫紺の騎士が剣を持ち上げる。

 だが、ネロの首は繋がったままだ。

 剣が振るわれる直前、SE.RA.PHによる戦闘の中断が行われたためだ。

「セイバー、無事か!?」

 白野はネロに駆け寄る。

「馬鹿もん! 無事な訳、あるか! はよ治療せんか!」

「ご、ごめん」

 白野はコードキャスト『heal』をかけネロの傷を塞ぐ。

「貴様、なぜスタンが効かん?」

 ネロは先程の疑問を口にする。

「我が『無窮の武練』の前にはスタンに限らず如何なる困難も意味をなさない」

 ランスロットはネロ達に背を向ける。

「故に貴方たちは小細工を労せず、正面から戦うしかないでしょう」

 問題ないでしょう? 貴女は卑怯なことが嫌いなのですから――と言い残し騎士とダンは立ち去る。

 あとに残されたのは言い訳のしようがない敗者の姿だけだった。

 

 つづく

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