「あーはっはっは! 三度目となると驚きを通り越して笑えてくるわ!」
門司は再三、荒野の世界に訪れる。
「どうして、また
いつもの影が目の前に現れる。
「殺されに来たのか?」
影は剣を取り出す。その瞬間、殺意や敵意とは異なる、冷たい圧力が門司の身体に突き刺さる。
「いやいやいや、待たれよ! 今回は貴様と話がしたいのだ!」
正直痛いのはもうこりごり、と門司は言う。
「話すことなど、何も……」
「では、まず聞きたいのだが、ここはどこなのだ?」
影の事情などお構いなしに門司は話しかける。
「ここは、私の中だ」
「むう?」
「物理的でなく、精神的な私の記憶からなる世界……」
「ずっと小生の夢かと思っておったが、なるほどなー」
門司は辺りを見回す。
「だが、腑に落ちん。記憶の世界だというなら、なぜ何も無いのだ?」
「私は機械だ……人のように考え、感じることはなかった。
この場所はそんな私の空っぽの心そのものだ」
影は平坦な声で言っていたが、どこか憂いを感じた。
「それはいかんな、いかんぞ!
この世の中にはすんばらしい教えがあるのだ! 我が神とか我が神とか!
ちと待たれよ、いま聖典を……」
門司が自分の荷物を漁る。
「それはなんだ?」
影は荷物の中にあった包みに興味を示す。
「む? これは団子だ。聖杯戦争の舞台は月だと聞いて用意したものよ!
他にもススキや萩、月見バーガーも用意したのだが、はてどこにいったか?」
影は門司の話もそこそこにじぃっと団子を眺める。
「食うか? 老舗の名店、竹取堂の月見団子。味は保証するぞ」
言うが早いか、影はモグモグと団子を咀嚼する。
「おいしい……」
食べ終わると、影は感動したように呟く。
「月見というのは気に入らないが……」
影は門司の方を見る。
「団子はいい文明だな」
相変わらず顔はよく見えなかったが、門司の目には笑っているように見えた。
「そうであろう!」
その笑顔を見て、門司は満足し破顔する。
「……おお! 今日は痛くない! グッド、モーニン! ハレルーヤッ!!」
大声を上げながら、門司は目覚める。
「?」
門司は違和感に首を傾げる。
アルテラは既に起床しているにも関わらず、門司の大声に文句を言ってこないのだ。
「あれ? 神よ、ほっぺに何か……あいたぁ!?」
アルテラは身近にあった物を軍神の剣に変えて、門司に投げつける。
「なんでも、ない」
アルテラは頬についていた黒いモノを拭って言う。
その顔は赤くなっていたのだが、門司は気を失いそれに気が付くことはなかった。
つづく