new record   作:朱月望

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決戦まであと―――3日

「こ、れ、は……」

 何も無かった荒野に変化が生じていた。

「どこからどう見ても団子!」

 超巨大な団子のモニュメントのようなものが鎮座していた。

「気が付いたら、ここにあった……」

 影自身も驚いたようで、見入ったままだ。

「は、はーっはっはっは!」

 門司は高らかに笑う。

「な、なんだ?」

 影は門司の奇行に戸惑う。

「おぬしは以前、何も考えず、何も感じない、自身の心は空だと言ったな……

 だが、それは否である! 

 おぬしは機械などではない。好きなものを好きだと思える人間よ。これがいい証拠」

 門司は団子のモニュメントを指しながら言う。

「だが、私は今まで……」

「それは運が……いや、間が悪かったのだろう」

 門司の口調は優しいものへと変わる。

「家族が、隣人が、環境が、時代が、おまえ自身が、何が悪かったわけでもない

 ……ただ、間が悪かった。

 本来感じるはずの感性が、その時たまたまかみ合わなかっただけなのだ」

「間が、悪かった……?」

「だから、そう悲観することもない! 以前に出来なかったのなら、今やればいい!

 美味しいものを食べ、美しいものを見て、心地の良い音楽に耳を傾け、力尽きるまで身体を動かす!

 そしてぐっすりと眠り、いい夢を見ろ!」

 さすれば、と門司は続ける。

「心など簡単に埋まる。何も考えず、何も感じないなどと思っていても、満ち足りた人生になるのだ」

 門司はニカッと笑う。

「ならば教えてくれ……私の心を満たす、そんなモノを――

 私が触れても壊れぬ思い出を」

 

 

 

狩猟数勝負(ハンティング)ぅ?」

 門司とアルテラが二つ目のアリーナに向かう途中、言峰に出会う。

「ああ、残り2日間、君と対戦相手には、防衛プログラム(エネミー)を倒した数を競ってもらうという趣旨だ。

 6日目、その勝者には対戦相手の戦闘データを一つ、開示しようと思う」

「よかろう! 我が神が負けるはずがないからな!」

「よろしい。では、アリーナに向かいたまえ」

 

「ほう。あの小僧たちは先に来ていたか」

 少し先に来ていた白野とネロがうまく連携しながら、エネミーを狩っていく。

「負けてはいられぬ!

 神よ! いざ参りましょう!」

「ああ」

 二人は踏み出す―――別々の道へ

「む?」

「?」

 門司は前の道を、アルテラは左の道を、分かれ道で異なる道を選んでいた。

 

 結果から言うと、この一日は白野陣営の圧勝で終えた。

 言葉を交わすことなく、互いの考えを読み取るチームワーク。日頃の鍛練と絆によるものが今回の勝利につながった。

 対して、門司たちは進行方向から戦闘の指示まで、きちんとした意思疎通が出来なかった。これがバーサーカーであったのなら、サーヴァントが勝手に先行し、門司はひたすら従う、という信頼はなくとも最速で動けただろう。

 こうして、この日は門司とアルテラは初めて敗北した。

 

 

 

 つづく

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