「こ、れ、は……」
何も無かった荒野に変化が生じていた。
「どこからどう見ても団子!」
超巨大な団子のモニュメントのようなものが鎮座していた。
「気が付いたら、ここにあった……」
影自身も驚いたようで、見入ったままだ。
「は、はーっはっはっは!」
門司は高らかに笑う。
「な、なんだ?」
影は門司の奇行に戸惑う。
「おぬしは以前、何も考えず、何も感じない、自身の心は空だと言ったな……
だが、それは否である!
おぬしは機械などではない。好きなものを好きだと思える人間よ。これがいい証拠」
門司は団子のモニュメントを指しながら言う。
「だが、私は今まで……」
「それは運が……いや、間が悪かったのだろう」
門司の口調は優しいものへと変わる。
「家族が、隣人が、環境が、時代が、おまえ自身が、何が悪かったわけでもない
……ただ、間が悪かった。
本来感じるはずの感性が、その時たまたまかみ合わなかっただけなのだ」
「間が、悪かった……?」
「だから、そう悲観することもない! 以前に出来なかったのなら、今やればいい!
美味しいものを食べ、美しいものを見て、心地の良い音楽に耳を傾け、力尽きるまで身体を動かす!
そしてぐっすりと眠り、いい夢を見ろ!」
さすれば、と門司は続ける。
「心など簡単に埋まる。何も考えず、何も感じないなどと思っていても、満ち足りた人生になるのだ」
門司はニカッと笑う。
「ならば教えてくれ……私の心を満たす、そんなモノを――
私が触れても壊れぬ思い出を」
「
門司とアルテラが二つ目のアリーナに向かう途中、言峰に出会う。
「ああ、残り2日間、君と対戦相手には、
6日目、その勝者には対戦相手の戦闘データを一つ、開示しようと思う」
「よかろう! 我が神が負けるはずがないからな!」
「よろしい。では、アリーナに向かいたまえ」
「ほう。あの小僧たちは先に来ていたか」
少し先に来ていた白野とネロがうまく連携しながら、エネミーを狩っていく。
「負けてはいられぬ!
神よ! いざ参りましょう!」
「ああ」
二人は踏み出す―――別々の道へ
「む?」
「?」
門司は前の道を、アルテラは左の道を、分かれ道で異なる道を選んでいた。
結果から言うと、この一日は白野陣営の圧勝で終えた。
言葉を交わすことなく、互いの考えを読み取るチームワーク。日頃の鍛練と絆によるものが今回の勝利につながった。
対して、門司たちは進行方向から戦闘の指示まで、きちんとした意思疎通が出来なかった。これがバーサーカーであったのなら、サーヴァントが勝手に先行し、門司はひたすら従う、という信頼はなくとも最速で動けただろう。
こうして、この日は門司とアルテラは初めて敗北した。
つづく