あれから何度も人間たちと対話をしようと試みた。
しかし、妖怪を退治する目的でやってきた兵達は耳を傾けなかった。
終いには傷ついた私を気遣った使い魔たちが兵をことごとく
そして、さらに私とあの人の溝は深まった。
私はそれでも諦めず声をかけ続けた。
しかし、三日三晩降り注ぐ矢の雨にはどんな叫び声も、誰の心に届くことはなかった。
「おや、兄さん。お久しぶりです」
「……ああ」
廊下でユリウスとレオが出会う。
「兄さんの相手は岸波さんと聞きました。
岸波さんに勝てそうですか?」
「……問題ない」
「ですが、まだ脱落していないところを見ると、岸波さんも力をつけているようですね」
レオは薄く笑う。
「……嬉しそうだな」
「はい。彼の実力はどの
ですが、マトウシンジやダン=ブラックモアなどの名だたる
「……あいつと戦いたいと思っているのか?」
「えっ、そう、なのかもしれませんね。僕は彼と戦うことを期待している。
不思議ですね。実力はトオサカリンやラニ=Ⅷの方が上だというのに」
レオは真剣に思案しているようだ。
「ところで、兄さん。どうして
「……お前の護衛のためだ」
「ですが聖杯戦争に参加する以上、参加者同士で直接的な支援は出来ませんよ。兄さんがやっていた闇討ちも、日に日に脱落者が増えるトーナメントでは効果が薄いですしね。
本来、兄さんは聖杯戦争に参加せず、外部からのハッキングで支援した方が効率的だと思いますが」
「(今回、オレは対戦相手以外の闇討ちはしていないのだが……)」
元々、レオへの支援を考え、陰で他のマスターを始末する予定であったが、サーヴァントが気紛れなキャットということもあり、それは断念している。
「(まあ、いい……)」
自分以外のマスターが潰し合うなら文句はない。レオが負けるとも思えないからな、とユリウスは考えるのを止める。
「……何が起きるか分からない以上、使い捨ての弾除けも必要だと思っただけだ」
ユリウスは話に戻る。
「そうですか」
自分から話題を振っておいたにも関わらず、レオはさして興味もないように答える。
「では兄さん、そろそろ失礼します」
レオはそのまま立ち去ろうとする。
「……レオ」
普段は自分から話しかけないユリウスがレオを呼び止める。
「何ですか、兄さん?」
「……お前は、亡くなった奥様のことをどう想っている?」
何故、このような質問をしたか、ユリウス自身にも分からない。
だが、聞かずにはいられなかった。
「特になにも」
しかし、自分の母親のことにも関わらずレオは素っ気なく答える。
恐らく、死の理由も誰が殺したのかも知っていての発言だろう。
「……そうか」
ユリウスはいつもと変わらぬ表情で答える。
「こちらからも、いいですか?」
「……ああ」
「兄さんのサーヴァント、まだ聞いてませんでしたね。
いったい何を召喚したのですか?」
「…………」
ユリウスは自分のサーヴァントを思い浮かべ――
「なん、だろうな」
なんとも言えない顔で苦笑した。
つづく