new record   作:朱月望

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ある日の休日 その3

「ローマ!! 遂に完成した、我が牧場が!」

 ロムルスは運動場(グラウンド)を(何故か)牧場へ開拓した。

 そこには、(何処から連れてきたのか)牛、豚、鶏、羊と多彩な動物が放牧されている。

「これでグラウンド(ここ)もローマとなった!!」

 昨日まではただの運動場(グラウンド)であったはずなのだが、如何なる手段を用いたのか、ロムルスは誰が見ても立派な牧場に仕立て上げていた。

「私(ローマ)は羊を飼っていたが、牛も、豚も、鶏もみな美しい!」

 慎二に黙って、このような真似をしたのも、ロムルスの数少ない癒しを求めた結果。

 誰にも邪魔されず、自分のやりたいことをしたかったのだ。

 何故、牧場なのか?

 いくら神祖と云えど、英雄となる前――羊飼い(にんげん)であった頃の体験は忘れられない。

 純朴な瞳でこちらを見上げる羊たちの愛らしさ、牧羊犬を使い羊たちを追い立てる達成感、黄金色の羊毛を刈る楽しさ、出産に立ち会う感動――

 その記憶は英霊となった今でも大切なものだ。

 きっと、弟のロムスと一緒に駈けた時間であるのも理由だろう。

「これも新たなるローマの輝き! この一時は誰にも邪魔はさせん!」

 新たな家畜たちを交え、ロムルスは休日を過ごそうとすると――

「では、その脂(あぶら)ののったA5ランクの牛を頂こう」

 背後からそれを邪魔する影が――

「む、貴様は……私(ローマ)の牧場を荒らしまわる夜盗か!」

 怪盗宣言し、現れたのはキャットだった。

「私(ローマ)の目の前で簒奪するとはいい度胸だ。貴様もローマにしてくれる!」

「よろしい、ならば戦争(キャットファイト)だ! ローマとは一度決着をつけねばと思っていたのだ! 正確にはオリジナルと赤いのがなのだが……」

 ロムルスは樹槍を取り出し、キャットは拳を構える。

「ローマ!!」

「Good(キャッツ)!!」

 そして二人はぶつかり合う――お互い、戦う理由は忘れたままで

 

 

 

「こ、これは我が神の起こした奇跡か!?」

 運動場が一夜で牧場になっている光景を目の当たりにして、門司は叫ぶ。

「ハレルーヤ! まさに天変地異、やはり神のやることはパないな!」

 どこかずれた感想を言いながら、感動を身体で表現する。

 恐らく、ロムルスの偉業を自身が崇める神の起こした奇跡だと勘違いしているのだろう。

「む? あれは?」

 門司が目を凝らしてみると、異変に気付く。

 褐色の大男と猫耳メイドという異色の二人が戦っていたのだ。

「この、不信心者! 神の庭を荒らすとは、何事か!」

 門司は説教すべく、二人の争いに加わる。

 そして、ローマ、キャット、暑苦しい男による、三者三様の主張による諍(いさか)いは更なる混沌に包まれた。

 

 

 つづく

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