それではスタートします!
ガンッ
「っ、って~」
少年は突然の痛みに頭を抱える。
どうやらうたた寝をしていたようだ。
目を開けると目の前にガラスがある。
突然の痛みの原因はこのガラスのようで、うたた寝をしていた少年は電車の揺れで頭を窓ガラスに打ち付けたらしい。
電車…。
そう電車だ…。
エレベーターに乗っていた気がするし、リムジンに乗っていた気がする。
監獄にもいた。………気がする。
………?夢…なのだろうか…?
どうもハッキリとしない。
誰かと何かを話していたような気がするのだが…。
まぁ夢なんて曖昧なものだし気にすることもないだろう。
電車の到着駅表示を見ると降りる駅より二駅ほど先の名前を出していた。
やべぇ…。
完全に通り過ぎていた。
とりあえず降りるか…。
目的地の駅から二つ目の駅へと降りた少年は逆方向のホームへと足を向けようとしたところでふと駅の外が気になった。
「二駅だしな。歩いて向かうか…。」
ホームへ向かおうとした足を改札へと向ける。
線路に沿って歩けば迷うことはないだろう。
少年が『月野光商店街前』という駅から出ると目の前はバスロータリーがあった。
その先には駅名にもなっている商店街の入り口があり、主婦…だと思うが大勢買い物に来ている。
田舎っぽいのに賑やかだな…
少年はその様子を見ながら電車で来た道を戻っていく。
ある程度歩くと近くに神社が見えてきた。
隣に駅もある。
一つ目の駅に着いたらしい。
早いな、まだ10分も歩いてないぞ…。
次の駅にはもっと掛かるだろうと歩きながら思っていた少年は拍子抜けといった感じである。
この調子なら思ってたより早く着けそうだな…。
駅名を確認すると『稲八神社』とあった。
いなや?いなはち?……あぁ『いなや』か上に書いてあるな…。
所々田んぼがあったから豊作の神でも祀ってるのか…。
少年はそんなことを思いながら神社の前を通ろうとする。
「そこの御方」
!??
いつからあったのだろう?
いつの間にか鳥居の横に占いの机があった。
明らかに怪しいと言えるほどの老婆と共に…
「貴方は面白い運命のもとに生きている…。そんな気がします。その運命、私に占わせてもらえませぬか?何…此方が好きでやること故、お代は頂きません。」
少年は少し考え込むと
「無料というなら占い、お願いしますよ」
「これは珍しい。大概の人は婆ぁの世迷い言と気味悪がって逃げて行くのですがのぉ…。本当に面白い御方ですの。」
「気紛れ…。といったところでしょうかね。」
(さっきの夢、ほとんど忘れてるけどなんとなくこの占い師からも似たような…。)
「ならばこちらに貴方の名前を書いてくだされ。」
占い師は深い群青色をした本を取りだし、表紙をめくると最初の空白を指す。
机の上にいつの間にか置いてあったペンを手に取ると少年は最初のページに自分の名を書いた。
《竜美 銀次》と…