さて、今回のメカ生体は。
クラス代表決定戦の後からご覧いただこう。
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クラス代表決定戦のあと、多少の怪我を負った刃は保健室で療養していた。
保健室といっても、この学園のものの設備は一般校のソレではなくもはや規模からして大学病院クラスだった。
そんな多分世界一豪勢な保健室で疲れを癒していると、一足早く回復した一夏とことの一部始終を陰ながら見守っていた箒が見舞いにやって来た。
「元気そうだな、刃。」
「お陰様でな。」
「身体の方は?」
「ああ。大分回復した。多分、明日からの生活にも支障はない。」
男二人の会話に箒が割り込んでくる。
「それにしても・・・」
「「ん?どうした?」
「いや、あの後一夏から聞いたのだが・・・・お前の機体が外部の何者かにハッキングされていたと聞いてな。」
「ああ、あれか・・・」
「どうした?なにか心当たりでもあるのか?」
「ああ。大方、またお前の馬鹿姉が余計な事でもしたんだろうな。」
「やっぱりか・・・」
若干ため息交じりに言った箒の目からは光彩が消えていた。
「ん?どうした?そんな黒い顔して。」
「いや・・・私の大事な幼馴染二人の一騎討ちに手を出したのだ。今度本気で離縁状を叩きつけてやろうかどうか考えていたのだ。」
少々穏やかではないことを聞いた二人は苦笑する。
その後凱龍輝の修理はどうだとか白式の欠点はなんやらと3人の会話に華が咲いてきた頃、保健室のドアがスライドする。
入ってきたのはなんとも意外な人物だった。
「失礼しますわ。」
「ん?ああなんだ、オルコットか。どうした?」
「ちょっとお話がありまして。お時間頂けますか?」
「ふっ。無様な姿を晒した俺をいびりに来たのか?」
「そういうことではありませんわ。織斑さん、篠ノ之さん、すいませんが席を外してもらえませんか?」
そういうセシリアの目は以前のような自意識過剰で傲慢一筋のものではなく、なにか申し訳なさそうな目だった。
「一夏、箒、悪いが、彼女の言うとおり席をはずしてくれないか。」
そう刃が言うと一夏と箒は「じゃあ続きは、また明日な。」と言って出て行った。
なにやら重苦しい空気を最初に破ったのは刃だった。
「で、ここに来た本題は?まさかマジで俺をいびりに来たんじゃねえだろうな。」
「ですからそういうことではありません。」
「じゃあなんだ?」
そう聞くとセシリアは自分がここへ来るまでの普通の人間では経験しえない壮絶な道のりを語った。
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セシリアの実家{オルコット家}はイギリスでも名の通った名家でそこに生まれたセシリアは本当の意味でお嬢様という事になる。
そんなセシリアの家族は、自分と母と父の三人だった。そう”三人だった”のだ。
セシリアの母はオルコット家の当主としても、資産家としても絶大な支持を持っていた。
母は女だからという概念に囚われず、オルコット家が大成を極めたのも実質的に母の代だ。
セシリアはそんな強い母が好きだった。将来自分も母のような強い女に、強い人間になろうと思った。セシリアは母に憧れとも言える感情を抱いていた。
だが同時に、セシリアは父が徐々に嫌いになっていた。
いや、その存在自体が鬱陶しかったと言ってもいいかもしれない。
なぜなら強い母に対して父は弱かった。
彼女の父はオルコット家の婿養子だったらしく、家でも立場が弱かった。
父はいつも母の機嫌を伺っていたようだったからだ。
それなにもISが登場したあとに限ったことではなく、元々気の弱い父は母の強さに圧倒されていた。
セシリアはそんな父親を見ている内に「自分は母のように強くなる。自分はあんなヘコヘコとした男とは結婚しない。」と思うようになっていた。
だが、自分の目標としている母も、ある意味反面教師だった父も、突如として自分の前から居なくなった。
切欠は父と母が旅行に出かけていったことだった。
なぜアレほど嫌っていた父が母と旅行に行ったかは分からない。
だが悲劇は起きた。
両親が乗っていた列車が事故にあったのだ。
列車の脱線による横転事故。多くの犠牲が出た。
その中には、セシリアの両親もいた。
そこからだった。セシリアの戦いが始まったのは。
両親の死と同時に、彼女に金の亡者達が群がってきた。
なかには彼女を誘拐・折檻し「自分をオルコット家の当主にしろ。」だの「オルコット家の資産を全て渡せ。」と言う輩まで出てきた。
セシリアはほんの一時だが父だけでなく母も嫌いになった。
なぜ、自分をひとり残して逝ってしまったのか。なぜ、死してなお自分を苦しめるのか。
だが、そんな逆恨みに等しい感情を直ぐに無くなった。
なにがなんでも自分は、母の遺したモノを守らなければならない。
そんな使命感が今度はセシリアの中に沸々と湧き上がってきた。
自分はオルコット家の次期当主だ。金目当てのロクデナシどもに遺産を渡してなるものか・母の守ろうとしたものを壊してなるものか。
セシリアは硬く決意した。
ソレからのセシリアは、勉強して勉強して、とにかく自分が母のような強い人間になるためのものを片っ端から手にしていった。
そしてISの適正試験に合格し、血を吐くような努力の末代表候補生になった。
だがこのままでは終われない。ISやゾイドなるものを生み出した国{日本}で名を上げる。その為にセシリアはゾイド・IS学園に来たのだった。
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「・・・ですが。ここに来るまでの間で私は代表候補生という立場に甘え強さとはなんなのかを履き違え、あまつさえあなたたちを侮蔑した。このままでは私は私の嫌っていたロクデナシと同じではないか。そう、思ったのですわ。」
「・・・んで?それだけか?」
「へ?」
「俺に同情でもして欲しかったか?」
「い、いえそういうわけでは・・・」
「・・・あのなあオルコット。俺にはお前がどうして候補生になったかなんてどうでもいいことなんだよ。」
「・・・」
セシリアはまさかこんな冷徹に返されるとは思ってなかったのか気が沈む。
「だがよ・・・」
「え?」
「人間、誰でも輝かしいもの取っちまうとそこに甘えちまう。問題はその甘えからどう抜け出すかだ。」
「どう、抜け出すか・・・」
「それによ・・・」
「なんですの?」
「俺もかつてはこの間までのお前と同じロクデナシで自意識過剰なクズだった。」
「え?」
「俺はよオルコット。こう見えて勉強とか運動とか出来るし成績もよかった。」
「・・・」
「だが、今となっちゃそれが良くなかったかもしれない。周囲からやれ神童だの天才だのってもてはやされ、俺はそれに甘えるだけのクズだった。」
「・・・」
「だがよ、そんなときだった。・・・一夏との出会いは。」
「そうなんですか?」
「ああ。俺が箒のこと馬鹿にしたとき一夏が「お前だって勉強しか出来ないくせに威張ってんじゃねえ!」って怒鳴りつけられてさ。それでお互い取っ組み合いになってな。で、2時間ぐらい殴り合ってもうなんで喧嘩してるのか分からなくなってそれで一夏が「なあ烏間、次に立っていた方が正しいってことにしないか?」って言われて、俺が倒されて終わったんだ。」
「なんか以外ですわね。」
「人間関係なんてそんなもんだぞ。で、俺が言いたいのは{人間、何処かで躓いとかないと後で絶対苦労するぞ}ってことだ。」
「・・・」
「だからよオルコット。」
「なんですか?」
「一夏と俺がダチになれたように、俺とお前だって仲直りしてダチになれるってことだ。」
「・・・・ふふっ。そうですわね。」
「じゃあそういうことで、この間のことは今後いがみ合いはなし!」
「ええ。」
「そんじゃ、話も済んだことだしお前もそろそろ寮に戻れ。門限迫ってるぞ、オルコット。」
「セシリア。」
「ん?」
「わ、私のことは今後セシリアとお呼びになってください///」
「・・・分かった。また明日な、セシリア。」
「ええ、また明日。」
そう言ってセシリアは保健室を出て行った。
(///なんですの?身体が、熱い。この感情は・・・?///」
その気持ちに彼女が気付くのは、果たして何時になるのだろうか・・・
セシリアの回想だけでここまで長くなるとは・・・