さて、今回のメカ生体は。
気になる転校生、ザイリン・ザルツの初日についてご覧いただこう。
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前回と前々回から遡ること数時間前。
アメリカからの留学生ザイリン・ザルツは内心驚いていた。自分がイメージしていたものとは懸け離れたこの光景に。
(う~む…士官学校と聞いていたが…これでは事前に興味本位で調べた日本の一般校となんら変わらんな。生徒一人一人が国外の女尊男卑など知ったことかと言わんばかりに交流している。日本人であろうがなかろうが彼らには関係ないのだろうか…それに…)
ザイリンは、さっきから自分の制服の袖をしきりに引っ張る垂れ目の少女に目を向ける。
「…一ついいか?」
「な~に~…?」
緊張もくそもない間延びした声で少女が返事をする。
「さっきから気になっているのだが…何故私の制服を引っ張る?」
「え~……お誘い?」
「は?」
「だってザリザリの目がさ~…ん~…なんていうのかな~…混ざりたそうにしてたから~…」
「そんな目をしていたか?あとその呼び方は止めろ。」
「え~…じゃあザルザルの方が良かった~…?」
「それも止めろ。」
「じゃあザリザリで~決定~…」
「はぁ…もういい…いくら言っても無駄そうだからな。」
「じゃあさザリザリ~、親交を兼ねて今日一緒にご飯食べよ~?」
「む?まあ、かまわんが…それより、君の名前は?君が知ってて私が知らないというのもな。」
「私の名前は{布仏 本音}だよ~。よろしくね~ザリザリ~…」
「そうだな、よろしく頼む。」
そんなこんなで最初に出来た学友が布仏 本音だったのだが…
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場所は移り此処は食堂、ザイリンは現在悪戦苦闘していた。
(ぐっ…なんだこの道具と料理は。上手く口に運べないどころか、その道具すら上手く使いこなせないっ!どうすれば…どうすればこの強敵に打ち勝つことが出来るのだ!?)
その苦戦している相手とは…おでんと箸である。
当たり前だがザイリンはテキサス生まれ・ニューヨーク育ちの生粋のアメリカ人である。
親戚や近所に日本人やそれと親しい者も居ないため、日本の食の基本である箸など扱ったことも見たこともないのである。
ちくわを掴んだと思ったら手元が狂って皿に落とし、卵を掴んだと思ったらそれが自分の顔を直撃したりと散々であった。
では何故そんな使い方も知らない料理を選んだかといえば、彼は結構な親日家であり以前から日本には一度行ってみたいと思っていたのだが、彼の少年時代は第二次太平洋戦争が原因で日米間の関係が冷えており、とてもそんなこと言っていられる状況じゃなかったのだ。
で、現在ザイリンは軍の命令としてだが日本に来ており内心かなり興奮していたのだ。日本に行ったら一度でいいから日本食を堪能したい。そう思ってこのような無謀な行為に踏み切ったのである。
だが、結果はご覧の通り。食べるどころかまともに箸を使えない始末。だがそんな彼に救いの手(悪魔の魔の手?)が差し向けられる。
「ザリザリ~?無理しなくても私が食べさせてあげるよ~…?」
「む?本音か。いや、しかし…」
「む~…そうやって痩せ我慢するもの良くないよ~。はい、あ~ん。」
「オイ待て!こら!アッー!…」
半ば無理矢理口に押し込まれたザイリン。だが、その身体は震えていた。
歓喜に。
「ふふふ…ふははは…はっははは!そうか…これが日本の食。食べることすらも修行の一環としたのか…面白い…面白いぞ…ならば俄然制する気が起きると言うもの!今日中にでも私はこの強敵たちを攻略し日本制覇の足がかりにしてやる!」
ザイリン・ザルツ。
彼が日本を制覇するのは、果たしていつになるのやら………(飯的な意味で)
おおザイリンよ。アホの子になってしまうとは情けない。(確信犯)