そこは冬木の街さら外れた倉庫街、その場に居合わせたのはこの世ならざる死者達セイバー・ランサー・ライダー・アーチャーそれとアサシン。
セイバーとランサーが戦いそこにライダーが横槍を入れると大声で名乗りを上げライダーに呼ばれたアーチャーがひょっこり顔を出しそんなコントな風景をアサシンが一人寂しく覗いていた。
睨み合いが続くそんな中で唐突に終わりを迎える睨み合う彼等の目の前に覗きをしていたアサシンの首が落ちてきたからだ。
「アイリ下がってください」
「これはアサシンか一体何処から」
「お、おいライダー如何なってんだよ!」
流石は英雄騒ぐ事なく咄嗟の判断でそれぞれが反応するセイバーはマスターを背後に置き守り、ランサーは二つの槍を構えコンテナ上のマスターを気にかけながらいつでも駆けつけられる距離を保つ。
ライダーは慌てふためくマスターを面白そうに見ながら周囲に油断なく気を張り巡らせた。そんな中で先程まで皆を見下して高い所に登って降りられなくなっていたアーチャーが静かなことに気が付きそちらを見てみればアーチャーの胸から一振りの刀が突き出していた。
「霊格を斬ったつもりでしたが外しましたかいけませんね予想より弱体化が大きいのかもしれません」
アーチャーの背後、何もない空間に立つのは何処にでも居そうな冴えないおっさんバーコードハゲのヨレヨレのスーツで気弱そうな柔和な笑顔でアーチャーを貫いている。
「オノレ雑種がぁ‼︎」
アーチャーの周囲に無数の黄金の波紋が広がるも、宝具が打ち出される一瞬の隙に首を落とされ光となって消えていった。
「全く困った子達ですね、死は全てに平等生きとし生けるものはいずれ死ぬのですその理りに逆らい行き続けようなんてアラヤやガイアが許してもこの世界…そうですねガイアやアラヤみたいにかっこよくコスモスの守護者が許しませんよとでも言いましょうか」
まるで世間話でもするようにコスモスの守護者、すなわち宇宙の守護者などと大仰にのたまう男の姿に誰も動くことが出来なかった。
「お主…我が軍門に降らんか」
一人だけ他とは違う死人がいた。
「何いってんだよライダーこんな状況で誘うなんてどうかしてるぞ!」
☆
いやはや驚きました死人に軍門に降れなんて言われるとは思ってもいませんでしたので咄嗟に声を出せませんでしたが相手も返事を待っていますしきちんとお断りしないといけませんね。
お断りしましたらそれほど残念そうではありませんでした、如何やら断られる前提で誘ってくださったみたいですね。
しかし困りました、ここ最近隠れ鬼の得意な黒装束さんを成仏させ続けて来ました所他の皆さんが一同に会しましたのでここは一気に仕事を終えるチャンスだと思いかけて来たのですがまさか対応に困る魂が有るとは思いませんでした。
まず困るのはセイバーさんですね彼女死人じゃないんです、私達死神は魂のバランサー死人以外は殺す事は基本禁じられているのです。
それからその後ろの女性は御人形さんですね、ただ何らかの事情でガイアも世界も彼女を人形では無く命と自然の摂理から一つの魂と認識しているようで。人形に付いた魂は御祓して成仏させる所なのですが彼女の魂の元になった魂魄が既に輪廻を擬似的に迎えていますね。これは困りました。
もし、そこのご婦人よろしいでしょうかああそんなに睨まないでくださいなセイバーさん少しお話をしたいのですが貴方にはお子さんがいらっしゃいますか?
「何故そんな事を聞くのかしら」
警戒させてしまったなら申し訳ありません、私こう見えて死神なんてものをさせていただいています本来人形に宿った魂は成仏対象なんですね、そう考えるとご婦人は成仏させなければならないのですがただお子さんをお産みになられたのならば貴方は一つの生きている魂として認識しても良いと思いましたものでして。
ああ成る程娘さんがいらっしゃるのですね、ですがそうなるとその身体では何かと不便なのでは?もし宜しければきちんとしたお体を用意いたしますよ。
何故?ですか、私達死神は全ての生きとし生けるもの達を祝福致します当然命の連綿とした繋がりを維持した貴方も生者と認識いたしましたのでもし宜しければ考えておいてください。
それとセイバーさん貴方死んでいませんね?いえいえ面識はありませんが死人か生者かの違いくらいはきちんと理解できますよ、万が一生者を殺すなんて事は出来ませんからね。
お二人の魂とこれからの人生を祝福いたしましょう、その時が来るまで頑張って生きてくださいね。
さて残ったのはランサーさんとライダーさんですね、困るんですよ死人が現世に干渉するなんて「座」でノンビリお茶でもしながら信仰を集めてれば良かったんです、ですが現世に来てしまった以上貴方達は成仏して頂きます、これは決定事項ですので。