Fate/EXTRA 虚ろなる少年少女   作:裸エプロン閣下

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一日ずつじっくりやっていくと今回みたいなイベントのない時間が出ますね。こういう時はスキップしたり他のイベントと混ぜたほうがいいかもしれませんね。
今回は俺アストルフォを進めて居たため遅れましたが、今度からなるべく早い更新を心掛けたいです。まあ、三週連続土曜授業なんてものじゃなければ、の話ですが。
あと、今回は短いので、CCCのネタ予告を後半に。
べ、別に文字数稼ぎじゃないんだからね!


調査活動+嘘予告CCC

 ――私は祭壇へ向かって形だけの祈りを捧げる。

 

 正直、私は神なんて興味ない。シスターからは『様になっている』と褒められるが、ただ言われたとおりのことを、シスターがやっていることを真似ているだけだ。言ってしまえば、てきとうと言ってもいい。

 

 本質を理解できていないにも関わらず、勝手に周りの者に見習えなどいって注目を集めさせるシスターに、それに釣られる他の人たち。退屈な時間を過ごしながら、私は早く終われと思いながら誠意の欠片もない礼拝を続ける。

 

 

 

 夕日が射す廊下を歩いていると、必ず好意の視線を向けられ何かを囁かれる。

 何を囁いているかは分からないし、どうでもいいが、毎度の如くされると鬱陶しくてたまらない。早足で廊下を歩き、すぐさま自分の部屋へ戻る。

 

 

 

 しかし部屋に戻っても、私に安息は無い。礼園は基本的に二人で一部屋を使うため、必ず一人ルームメイトが付くのだ。幸いルームメイトは、これまでのことで私に話しかけても無駄だと理解したのか、積極的にこちらに関わろうとしてこない。なので私たちは互いに不干渉を貫き、無視し合っている。

 

 下のベッドに寝転がるルームメイトに挨拶もせず上の段に上がり、寝転がる。

 同じ空間に他人がいるため、なかなか寝付けないが、そこはさすがに我慢する。これ以上はさすがに高望みだろうし、我慢するしかない。

 

 

 

 本当に、くだらない。ここに入ってからは、夜に外の街を歩くことも碌にできない。今まで強いられてきた鍛錬もできず、どこにいても他人がいるので酷く窮屈だ。唯一の救いは織がでようとしない点だろう。

 

 

 私の安穏は、寝てるときにしか訪れない。

 

 

 ※※※

 

 

 不快感に気付き目を覚ますと、眩しい日差しがこちらを向いていた。今度は朝日が照らない場所に位置取ったのだが、昼も過ぎ、日が傾いたためやや赤みを帯びた眩しい日差しはこちらに向いていた。

 

 煩わしげに起き上がり、申し訳程度に被っていた毛布をどける。そのまま備え付けの時計を見ると……四時だった。当然、午前ではなく、午後の四時だ。昨夜アリーナから帰ってきたのが十時だったので十八時間も寝ていたことになる。元々休みは一日中寝てたほどだし、別段驚くことではない。

 

 本当ならこのまま二度寝したいところではあるが、今からさらに寝てしまうと日を跨いでしまう可能性が高い。アリーナは一日に一度しか行けないので、最低でもそこで鍛錬だけはしておきたい。

 

 ……のだが、肝心の彼は私が昨日渡した毛布――暑さや寒さに強い私は敷布団と毛布一枚だけあればよかった――に包まって未だに寝ていた。私と彼はある程度なら離れていても問題はないが、アリーナと校舎では空間が違うため、パスも切断される可能性もあり一人で行くのはさすがに気が退ける。

 

 しかし、昨日は随分と早起きだったが、今日は日差しの所為ということもあるが、私より遅いとはどういうことだろうか……。今も泥のように眠っている姿から、よほど疲れが溜まっていて、そしてまだ起きそうにない事が窺える。

 

 もしや昨日の戦闘による魔力消費だろうか。他のサーヴァントがどうなのかは知らないが、少なくとも私にとって彼から供給される魔力は、あの神父に賛同するのは癪だが、酸素といっていい。そして日常行動ならともかく、戦闘となると多くの酸素を消費する。従って、彼も私と同等の疲労を――いや、私はエーテルで回復させられたのだから、彼だけが疲労を重ねている。

 

 別に忘れていたわけでは無いが、私と彼が共同体であることを改めて理解する。私の傷はそのまま彼の負担に。彼の負担は私の不調に繋がる。そして当然ながら、私が殺されれば彼もまた同時に死ぬ。逆もまた然り。

 

 勝ち負け以前に、戦うだけでも彼には負担をかけているという事実が、私の双肩に重く圧し掛かってくる。そしてそれを意識すると、先の敗戦を思い出す。あの一方的ともいえる戦いを。

 

 先の戦闘で、私が劣っていたのは経験や年季の違いなど、様々ではあるがやはり決定的な理由は身体能力だ。技量に関しては、父から無駄に熱心に教えてもらっただけあって、過去の英雄たちと顕色ないどころかかなり上位に位置していると見た。同じ程度の能力なら負けることはない。

 

 ならまずは、一番大きな穴を埋めるのが先決だろう。

 幸いあの橙子といういけ好かない人が明日にでもどうにかしてくれるのだし、私はひたすら鍛錬に勤しむだけだ。

 

 しかしそれまで退屈だ。折角だし、意趣返しに彼の顔を見ていよう。どうせやることも無いのだし、時間を潰しても問題ない。

 

 

 ※※※

 

 

 ……目が覚めると、式が適当な机に座りながら、こちらを猫のような笑みを浮かべて見ていた。昨日の意趣返しだろうか。なるほど、これは確かには恥ずかしい。

 

 というか、既に日が傾いて、茜色がかかっている件。昨日はやけに疲れていたし、毛布が手に入ったからグッスリしすぎたのだろうか。とりあえず、おはようと言っておく。

 

「おはよう。もう夕方だけどね」

 

 お寝坊さん、と言われている気がして羞恥で顔を歪める。そんな自分を見て勝ち誇ったような顔をした式が机からゆっくりと降りるのを見て、自分も布団をどけて背伸びする。

 

 そのまま立ち上がり、毛布を綺麗に畳んで物置代わりの机の上に置く。本当なら干しておきたいが、今からやってもほとんど意味はないだろう。

 

 ……襖が欲しい、などと考えながら装いを整える。そして衣服から僅かに漂う昨日のアユの匂いを嗅いでふと思ったが、式は今日食事をとったのだろうか。

 

「とってないわ。でも気にしなくてもいいわ」

 そういうわけにもいかない。自分も何も食べてないし、あとで軽く何か食べるとしよう。

 

 

 ※※※

 

 

 廊下に出ると、図書室の方で早速慎二と凛の姿が目に映った。何やらもめてそうな雰囲気だが、おそらく慎二の方から噛み付いたのだろう。以前から慎二は凛を気にしていたから、間違いはあるまい。

 

 というか、凛の方から慎二に絡んでいるという発想自体、浮かばない。

 

「そうね。で、どうするの? 盗み聞きでもしてみる?」

 

 それもいいだろう。あの様子ならきっといくつか情報を零してくれる。それに、今日は図書室で慎二のサーヴァントの情報を集めるつもりだからちょうどよかった。判断材料が増えるのは、素直に嬉しい。

 

 幸い慎二はこちらに背を向けているし、ばれる心配はないだろう。

 

「君はもう、アリーナには入ったのかい? なかなか面白いとこだったよ? ファンタジックなものかと思ってたけど、わりとプリミティブなアプローチだったね。神話再現的な静かな海ってところかな」

 

 元々自己顕示欲が強かった慎二だが、今回は無理にカッコいい言葉や難しい単語を使おうとしているように思える。そのため、内容がいまいち分かり辛い。こう言ってはあれだが、小さな子供が関心を引こうと必死になっているようにも思えた。

 

「いや、シャレてるよ。海ってのはホントいいテーマだ。このゲーム、結構よく出来てるじゃないか」

 

 ……予想はしていたが、本当にゲームと思っているらしい。その様子にはさすがに呆れてつい嘆息しそうになるが、式に小突かれて寸前で止めることができた。

 

「あら、その分じゃよほどいいサーヴァント引いたみたいね。アジア圏有数のクラッカー、間桐慎二君」

 

 そして今まで黙っていた凛がようやく口を開く。

 

 ゲームだと思い込んでいることから、簡単に情報を割ると見たのだろう。凛は自分とは正反対の、獲物を見つけた女豹のような微笑を浮かべていた。きっとこの会話で容赦なく情報をむしり取っていくのだろう。

 

「ああ。君は何度か煮え湯を飲まされたけど、今回は僕の勝ちだぜ? 何しろ僕と彼女の艦隊は無敵だからね。いくら君が逆立ちしても、今回ばかりは手も足もでないさ!」

 

 それに気づかず慎二はようやく会話が成立したからか、やや上機嫌になり、迂闊にも艦隊という情報を漏らす。

 

 本当、なんてチョロ――軽率なんだろう。聞き耳を立てて一分と経っていないのに、早速情報を得ることができた。これがビギナーズラックという奴か。

 

「へぇ、サーヴァントの情報を敵に喋っちゃうなんて、間桐君ったら随分と余裕なんだ」

 

 凛も同じ感想を想ったのか、声を弾ませてそう返す。

 

 さすがの慎二も、自分の失態に気付いたらしい。きっと今頃顔を赤くしているだろう。

 

「う……そ、そうさ! あんまり一方的だとつまらないから、ハンデってヤツさ! で、でも大したハンデじゃないか、な? ほら、僕のブラフかもしれないし、参考にする価値は無いかもだよ……?」

 

 (ども)ってばかりで、呂律が拙いし、疑問形だし、ブラフなら自分からそんなこと言わないよ、と教えてあげたくなった。気分はまるで授業参観で子供が当てられた母親。老婆心ながら心配してしまう。

 

「そうね。さっきの迂闊な発言からじゃ、真名は想像の域を出ない。ま、それでも艦隊を操るクラスなら、候補は絞られているようなものだし、どうせ攻撃も艦なんでしょ? 艦砲射撃だとか、或いは突撃でもしてくるのかしらね。どのみち、物理攻撃な気がするけど」

「う……」

 

 慎二の背中が小さく見える。まるで叱られているようにも見えて、思わず応援しそうになる。

 

 しかし艦隊か……。となるとどこかの提督かな? 十五世紀なんて大航海時代だし、ヨーロッパ圏なら数多く存在する。判断材料としては弱いな……。

 

「ま、今の私にできるのは、物理障壁を大量に用意しておくぐらいかしら」

 

 なるほど、情報を知っていればこういった対策を立てることもできる訳か。個々の力が強力である以上、一方だけが対策を立ててしまえば、戦いの趨勢は明らかだろう。

 

 こちらを見つけ、上機嫌な笑みを浮かべる凛に感謝しながらそのことを心に刻む。同じように返すと顔を赤くして顔を逸らしてしまう。

 

 きっと『べ、別にあなたのためじゃないんだから、感謝される謂れはないわ! 勘違いしないでよね! ただあなたに少しでも慎二を消耗させてほしいだけよ!』とでも言いたいのだろう。

 

 その様に思わず破顔しそうになるが、ギリギリ抑える。多分してたらその時点で凛は想像通りのセリフを口走っていただろう。

 

「あ、一つ忠告しておくけど。私の分析(アナライズ)が正しいなら、『無敵艦隊』はどうなのかしらね。それはむしろ彼女の敵側のあだ名だし? せっかくのサーヴァントも、気を悪くしちゃうわよ」

 

 どうやら凛は真名まで看破したようで、したり顔でそう告げた。慎二はもはや顔どころが、全身真っ青だった。そろそろ可哀相に思えてきたが、自業自得なので仕方ないだろう。しかし、本当に容赦ないな凛……。

 

「ふ、ふん……まあいいさ。知識だけあっても、実践できなきゃ意味ないし。君が僕と必ず戦うとも限らないしね」

 

 屈辱で全身を震わせながらも、精一杯の虚勢を張って慎二が立ち去ろうとこちらを向く。情報は手に入ったので、隠れる必要ももはやない。

 

「お、お前……ッ! まさか、そこでずっと見てたわけ!?」

 

 こちらの姿を確認すると、慎二は大仰な動作で身を引いて見せた。しかし直ぐに体勢を立て直し、いつもの様子に戻る。やはり舐められているのだろう。昨日の戦闘結果を考えれば仕方ないといえば仕方ないが、あまりいい気はしない。しかしそこに付け入れる隙があるのだから、その点だけは感謝だ。

 

「ふ、ふん……。まあお前たちならどうせ、僕の無敵艦……いや、サーヴァントは止められないさ。精々必死になって情報を集めるんだな!」

 

 そう言い残して、逃げるように走り去っていった。

 ……正直、その姿は情けなかった。

 

「……やれやれ、緊張感に欠けるマスターが多いわね」

 

 嘆息しながらそう洩らすのは凛。確かに、自分の命綱ともいえる情報をああも簡単に零すようなマスターが相手では、嬉しいが張り合いというものが無い。

 

 ――しかし凛はすごいね。まさかたったあれだけの情報で、真名にたどり着くなんて。

「ええ。あなた、ただの痴女じゃなかったんですね」

「あれは慎二が迂闊すぎるだけよ。あと、あんたは人を痴女呼ばわりするな!」

 

 ……まあ、人が人を判断する上で、第一印象というのは大きいから、式が凛をそう思ってしまうのも仕方がないのだろう。

 

「はぁ……それであなたたちは図書室で情報集め?」

 

 そのつもりだ。新しい情報も入ったし、かなり範囲は搾れるだろう。

 

「そ、慎二はポロポロ情報零してくれるから、簡単に真名までたどり着けるわ。頑張ってね」

 

 こちらに背を向けて立ち去ろうとする凛。

 そんな彼女を、自分は図書室の扉に手をかけながら呼び止める。

 

 なによ、と疑問符を頭に浮かべる凛へ向かって、ありがとう、と告げる。凛があくまで慎二を苦しめるためだけだったとはいえ、慎二が勝手に漏らしただけとはいえ、彼女が自分に情報をくれたのは間違いないのだから、感謝の言葉を彼女に贈る。

 

 返事は聞かずに扉を開けて図書室へ入る。

 

『べ、別にあなたのためじゃないんだから、感謝される謂れはないわ! 勘違いしないでよね! ただあなたに少しでも慎二を消耗させてほしいだけよ! そうすればあいつが勝ち抜いてきても簡単に倒せるし、万が一、あなたたちが勝ちあがってきても苦労しないし! ド素人なんだからちょっと塩送ってやるかとか、全然、これっぽっちも考えてないんだから! 初めて同年代の話し相手が出来たのにすぐに消えるなんて、とも思ってないんだからね! ただ私は……そう! あなたたちに情報の大切さを教えようとしただけ! 聖杯戦争では情報がすべてを左右すると言ってもいいから分かりやすく見せてみただけなんだから! さっきの慎二を見ればいかに情報が戦況に影響を与えるか、さすがにあなたでも理解できるでしょ! だから別に私はあなたたちの心配なんてまったくしてないんだから――――!』

 

 扉を閉めると凛の叫びも途切れる。図書室の防音設備スゲー。

 

 

 ※※※

 

 

『大航海時代におけるスペイン海軍の異名。千トン級以上の大型艦100隻以上を主軸とし、合計6万5千人からなる英国征服艦隊。スペインを「太陽の沈まぬ王国」と謳わしめた、無敵の艦隊である』

 

 以上が無敵艦隊の情報である。そして凛がこれを敵方のあだ名と言った。つまりあのサーヴァントはスペインと敵対した者のことだ。

 

 そしてその無敵艦隊が敗れたのはアルマダの海戦。主な主要人物は、総司令官チャールズ・ハワードに副指令フランシス・ドレイク、他にはマーティン・フロビッシャー、ユスティヌス・ファン・ナッサ、ジョン・ホーキンスの計5名。

 

 だがこの中には女性は一人もいない。おそらくこの中に女性だった人物がいる。故に式に女性と思える人を探らせてはいるが……。

 

「……やっぱり、こんなものじゃわからないわ」

 

 やはり芳しくない様子だ。本をパタンと閉じて、式がため息を吐く。どれだけ史書を読み解こうと、その人となりまでは知れないか。しかしここまでくれば、あとは地道に進んでいくだけだ。

 

「そうね。5人にまで絞ったのだから、あとは船の名前でも知れれば簡単よ。明日あの……橙子とかいう女に改竄してもらって、もう一度戦うとしましょう」

 

 ……確かに、逃げているよりは情報を集めて差を縮める方がいい。しかし、式は大丈夫なのか。

 前回の戦闘で式は碌なダメージを与えられず、ほぼ一方的と言っていい結果となった。多少情報が手に入り有利になったとはいえ、もうしばらく様子見をしたほうが……。

 

「問題ないわ。確かに前回は負けたけど、技量はこちらの方が上。前回の敗因はただ基本性能の差だけよ」

 

 そう告げると式は睨むような鋭い視線をこちらへと向けてくる。どうやら式はあの敗戦を気にしているらしく、自分でも何が悪かったかはわかっているらしい。そして今の言葉が嘘というわけでは無いと、瞳に宿る熱が如実に告げている。

 

「だから、次に会う時はこっちが決めてやるわ」

 

 凛とした物言いで、堂々と言ってのける式。それに自分は素直に誇らしいと思った。

 

 期待してるよ、と告げると、

「ええ、期待していて」

 

 と好戦的な笑みを浮かべて見せてくれた。自分は一層笑みを深くし、式を連れて今日はもう実入りが無いだろうと思われる図書室を後にし、アリーナへ向かう。

 途中、軽食にトマトサンドとミネラルウォーターを買うことを忘れない。

 

 

 

 ……それはそうと、初日の収入は見つけたアイテムボックスからの収入込だったので、アリーナのエネミーを掃討しても収入は674PPTしかない。そしてこれを自分たちの食費に充てると、一食に使えるお金はたったの112PPTしかない。これではサンドイッチすら買えず、麦ごはんとおかず一品しか買えないのだ。

 

 この由々しき事態解決のために、何か手を打つ必要があると考えている。

 例えばそう、バイトとか……。

 

「言っとくけど、手伝わないから」

 ひどい。式も他人事じゃないんだぞ。

 

 

 ※※※

 

 

 マトリクスレベル:2

 現資金:1306PPT

 

 

 ※※※ ここから嘘予告

 

 

 月の裏側に囚われた岸波白野。そして流れる日々、

 

「奏者よ。あーんだ!」

「はいご主人様。海老の天ぷらですよ」

「セ~ンパイっ、お口開けてください。はい、あーん」

「あわてん坊なんだから。ほら」

「む……こちらもどうぞ」

「わあ、お兄ちゃんに褒められたわ、あたし(アリス)

「ええ、褒められたわね。嬉しいねあたし(ありす)

「ふふ……足を舐めてるみたい……。堪らないわ」

「私、もっと頑張ってきます!」

「ホラ、子ブタ。私の手料理も食べてよ」

 

 ――酒池肉林。

 

 

 ※※※

 

 

「先輩の蘇生、成功しました! バイタルの安定に移ります!」

「よし! さすが兄さんのカレー! もう一流の兵器ですね!」

「俺のカレーは絶品だからな!」

 

 ――そして物体xによる目覚め。

 

 

 ※※※

 

 

「レディ両儀なら、用具室に引きこもっていますよ」

「お前が夢の中であの女たちと姦しいことをしているのを見て怒ってな……」

薄い本(ソリッドブック)みたいな展開も一度や二度じゃありませんでしたからね!」

「小生としては眼福であった!」

「愉☆悦!」

 

 ――式の引きこもりによる生徒会の圧倒的男女比。

 

 

 ※※※

 

 

「本当に酷いものですよ。慎二が作った一流の防壁を、アサシンの勁とランサーのルーンと紅茶さんのアイアスに英雄王の財で強化して、至る所に緑茶さんのトラップを仕掛け、アンデルセンの搦め手を使い、さらにカルナさんのブラフマーストラを張り巡らし、各所にソードキャメロットの小型を分散させることでようやくこの生徒会室を保っているんですから、女性陣の攻め方本当に半端じゃありませんよ。用具室へ行くには最低でもあちらの人員を二、三人削らなければなりません」

 

 ――圧倒的な戦力差。

 

 

 ※※※

 

 

 ――そして岸波は両儀の元へと行くために、サクラ迷宮へ潜る。

 

 ……入り口って……コレ?

「はい。申し訳ありませんが、桜の木まで道を確保できないので――ゴミ箱から行ってください」

 

 

 ※※※

 

 

 ――未知行く先々のトラップ。アリーナの攻略は至難を極めた。しかし白野は決してあきらめない。様々な男サーヴァントを率い、迷宮を次々攻略していく。

 

 

 ※※※

 

 

「こちらは六手全てをガラティーンで埋める用意はできています! この迷宮のように焦土となる覚悟があるならばいつでも来るがいい!」

「く……やっぱりこの有り様はあんたの仕業だったのね!」

「ぐぬぬ……悔しいですがここは退くしかないかと。こちらの一夫多妻去勢拳よりあちらの方が早く入ります」

 

 

 ※※※

 

 

(神様……)

(女神……)

(結婚してぇ……)

 

 アーチャー、緑茶の始末任せた。桜は自分の後輩だと一万年と二千年前から決まってるんだ。

 

 

 ※※※

 

 

 ――ランサーが(男として)死んだ!

「「「「「「「「「「「「「「この人でなしーっ!!」」」」」」」」」」」」」」

 

 特に理由のない遠坂パワーイズマネーシステムと一夫多妻去勢拳がランサーを襲う!

 

 

 ※※※

 

 

「安心しろ、俺で主人公力が1000という時点でこれは壊れていると見ていい。だから5でも気にするな。それに龍玉という漫画では1000など雑魚で5などゴミだ。大した違いなどない」

 

 カルナの優しさが心に痛い。

 

 

 ※※※

 

 

「何を恥じる雑種。装いなど葉っぱ一枚あればいい」

 

 ――いやだ……。いやだ……、自分は、いや、俺は――脱ぎたくないィィィィイ!!

 

「ぬ、どうした雑種!?」

 

 懐にある手首で、令呪を発動する!

 

『あれは兄さんの!?』

『マスターたちからとった令呪! いつの間に!?』

 

 これが(社会的に)生き残るための、俺のあがきだァ!

 

「まさか力技で来るとは……。しかしこの脱衣式全自動オープンロックも宝具の一種! そう簡単に破壊はできません!」

 

 言っただろう、俺はこのターンで決着をつけると!(注:言ってません)

 令呪は一つではなく、五つある! 

 

「なんですって!?」『なにぃ!?』『兄さん、ちょっと取られ過ぎです!』

 

 岸波白野を舐めるな、破壊(バトル)だァ!

 ギルガメッシュで攻撃ィ! ゲートオブバビロン! グォレンダァ!

 

 ユリウスの懐にある令呪を奪ってでも、俺は勝ァァァツ!

 

 

 ※※※

 

 

「花びらの枚数には注意してください。全部散ったら死んでしまうので」

「それと、イ○とメ○リーに会ったら保護しておいてください。後々の面倒は私が見ますのでご安心を」

「お前たち……、ここはゲ○テナ展ではないのだぞ……。それと○ャリーも助けてやれ」

 

 

 ※※※

 

 

「あ、兄さんコーヒーをお願いします。ブラックで。砂糖とかミルクとか、一切の甘さを抜いて苦みだけを抽出したような感じので」

「ユリウス、私もお願いします。ランスロットの汚い心胆並みに黒いのを一杯」

「わしも頼む。コーヒーは飲んだことがないがな」

「俺もだ。こんな甘ったるい少年少女の恋物語など、俺にとってはボツリヌス菌みたいなものだ」

「俺も一杯くれ。こんなイチャイチャ見てたら糖分過多で糖尿病になっちまう。あ、緑茶じゃなくてコーヒーをだぞ」

「私も一杯頼む。言っておくが、紅茶ではなくコーヒーをな」

「我も頂こう。下手なものを出すな、と言いたいが今回ばかりは気にせぬからさっさと用意しろ」

「小生もいただこう! 猫舌ゆえ、温めを所望する!」

「僕も頂く……。岸波爆ぜろよ(ボソッ」

「私も頂くとしよう。一点の曇りもない、この世全ての悪のような黒を」

「ブラックはあまり好きではないのだけどね。今回は飲まずにいられないな」

 

「やれやれ……。まあ俺も飲みたくなってきたところだったしな。桜、ダン卿、手伝ってもらえるか? カルナ、火を頼む」

「はい、お任せください」

「構わぬ、手伝おう」

「命とあらば仕方ない」

 

 何故全員ブラックコーヒーを頼む。あと火付け役でいいのか施しの英霊よ。そして見回りはどうした、言峰と二度目の欠片男。

 

「トワイスだ」

 

 

 ※※※

 

 

「いつ僕がハーウェイトイチシステムの時間がこの世界だと言いましたか? ――ハーウェイトイチシステムは現実時間に準拠します」

 

 それは作者の遅筆が原因だろー!?

 

 忘れたころに襲い掛かってくる、恐怖のハーウェイトイチシステム。

 

 

 ※※※

 

 

「――BBさん、メルトさんの所為で浮いた空気をどうにかしてください。上に立つ者として責任を負うべきです」

『……悔しいですが、反論の余地はありませんね』

「全くだよ。監督不届きにもほどがあるぜBBさんよぉ。だからいつまでたっても後輩属性なんだよ」

『メルト、あなたがやったことは無粋な真似でしかありません』

「つまらんアドリブで舞台を台無しにするとは、まさしく大根役者だな! 馬鹿め!」

『余の晴れ舞台を壊すつもりかメルト! これで評価がガタ落ちしたらどうするつもりだ馬鹿者!』

「平時でも戦時でも、空気が読めないのは軍人として致命的であるぞ」

『ほーんと、メルトさんって空気読めませんね。所詮吸収しか脳のない蚊みたいな存在ですから、まあしょうがないかもしれませんですけど』

「ギャグでのみ構成されたこの空間において、お前の行為は物語そのものを破たんさせかねない行為だ。己が分を弁えるのだな、メルトリリス」

『『メルトってダメな子ね、ありす/アリス』』

「一人で突っ込んできて敵味方の両方に嘲笑される様……愉☆悦!」

『空気が読めないのが許されるのは小学生までよね』

「正直胸が欠片もないメルトは小生ノーサンキューである……」

『メルト……責任とって、自害してください……』

 

「……………………な、なによ……私が悪いの……?」

 

 空気が読めないメルトへの、敵味方からの容赦ない罵倒。

 

 

 ※※※

 

 

 ――Fate/EXTRA CCC IRREGULAR

 ――きっと、誰かがやってくれると信じて……。

 

 

 




てなわけで、無理やり感たっぷりの嘘予告でした。

感想・評価プリーズです。この頃一件しか来てなくてちょっと寂しいです。ていうかちょっと泣きそうです。

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