゚*。:゚ .゚*。:゚ 姫ノ語 .゚*。:゚ .゚*。:゚ 作:ロベオン
久しぶりの投稿です
あてんしょん
全然と同じくです
余白多い
桜舞の過去
灰色の部屋
少女は目を覚ます。何も言わず、ただ横たわっていた体を起こす。
ボロボロのデジタル時計はぴったり16:00を示している。穴あきだらけの布団。薄暗い灰色の部屋。
(4時…。)
ガンガンッ!
重い扉が開く。
「…いるか?…」
「…はい。います…。」
「そうか。行くぞ。」
「…。」
少女はある男性について行く。10歳位だろう。背は普通。体型は痩せ型。茶色い髪をしていてフワフワ波打っていた。黒いズボンと白いTシャツという質素な格好をしていた。しかし顔立ちははっきりしていて、髪質も綺麗なため、きちんとした格好をすれば相当な美人になりそうだ。
「おい。今日はここだ。」
「…はい。」
「瑠衣と呼ばれたら一つ、佳菜と呼ばれたら二つ、智夏と呼ばれたら三つ渡せ。全部無くなったらしゃがめ。」
細い路地裏で男性は大量の封筒が入ったバックを渡していった。
〜少女待機中〜
10分後
「いたいた。佳菜ちゃーん。」
「…。」
「ありがと。なー、ちょっと位喋ってよ〜。美人なんだから勿体無いぞー。」
「…。」
〖お買い上げありがとうございます。速やかにお帰りください。 〗
暗い青い目で男を見上げ、メモを手渡した。
「はいよ。全く、今度はもうちょっと愛想よくしろよ。」
「…。」
同じような事が繰り返され、3時間程が過ぎた。少女に貰いに来る人間は様々だった。女性もいたし、男性もいた。しかし、全員が揃って同じことを言った。
「美人」
皆揃って少女の美貌を褒めた。そしてうっとりと青い瞳を見つめるのだった。
そして全ての封筒が無くなった。その場でしゃがむとここに連れてきた男性が現れた。
「…帰るぞ。今日は終わりだ。」
「…はい。」
そして暗い部屋に戻る。どうやら少女の親はいないようだ。それどころか学校にも通っておらず、毎日このような生活を繰り返しているようだ。
しかし、ある日変わった。いつも通り16:00を示したデジタル時計を見つめていた。しかし、17:00になっても男性は来なかった。
「…。」
しかし少女は動揺しなかった。何故かというと、何度も同じ事があったからだ。その度に迎えに来る人間が変わった。
(仕方ない。起きよう。)
?
ある事に気がついた。
(鎖…邪魔…。)
少女の足には鎖が繋がれている。
(3番目の人かな…。)
チラリと腕を見る。まばらに蛇が巻きついたような螺旋状のアザがついている。しかし、青くなっているのではなく、アザはピンク色になっている。
少女を連れて行っていた人間は今までで5人いる。全員急に来なくなり、新しい人間が現れた。
ガチャッ
重い扉が簡単に開けられた。
「…。」
(あぁ。振り向きたくない。次はどんな人なんだろう。3番目みたいな人は絶対嫌だ。)
3番目の人間は女性で、いわゆるサドといったところだ。常に少女を鎖で縛り付けていた。暴力も加えられた。3年位前の事だが、今でも体に無数のアザが残っている。
▷▷
ドスッ
「…ゲホッ…」
7歳位の少女が殴られている。口元には血が滲んでいる。
「…あぁ。なんて綺麗な目…。」
今まで殴っていた女性は急に少女の顔を持って頭を撫でる。うっとりと少女の青い瞳を見つめている。
しかし、段々と女性の目の色が怒りの色に染まっていく。
ドスッ!
「…グッ…。」
「なんでっ、あんたみたいなガキなのっ!」
急にかんしゃくを起こし、少女を殴り女性は部屋を出て行った。
「……ゲホッ…ゲホゲホッ!」
少女は激しく咳き込んでいる。
(…私…どんな顔してるんだろう…。見た事ない。)
▷▷
振り向いた。
「おい、ついてこい。」
知らない男性がやって来た。
「…。」
「…自分で外せ。」
鍵を投げてきた。
自分で鎖を外して歩いて行く。今まで見たことも無いような立派な館についた。今でもはっきり覚えている。地下室に連れてこられた。隣には男の子がいた。オレンジみたいな色の髪の毛。今にも泣き出しそうな顔をしている。
「…姉ちゃん。」
!?
消え入りそうな声で姉ちゃんといった。きっと他人の空似だろう。
「…。」
「今からお前達に有る質問をしよう。上手く行けば出してやる。」
気づくと1人一つずつ檻に入っていた。皆7歳から10歳位。
(あぁ。そっか。次はこの人か。次こそ死ねるかな。)
「…。」
泣いてる。凄く綺麗な服着てる。ママ、パパって言ってる。
(何言ってんの。こんな状況なんだから殺されるに決まってる。)
「…。」
「お前達、失って良いという者はあるか?」
「はい。」
(私は迷わない。やれと言われた事をするだけ。死ねと言われたら死ぬ。)
!
「…何言ってんだよテメェ!?失っていいものなんてあるわけねえだろ!」
後ろから声がした。同い年位の金髪の男の子。
「よせっ!?」
隣にも男の子がいる。必死に止めてる。
「私…死に…た…い。」
うまく声が出ない。今までほとんど喋らなかったからだろうか。
「姉ちゃ…。」
!
「こい。」
檻から出された。気づくと隣と後ろの2人、斜め前の人以外は死んでた。床が血の海だった。
(やけに静かだなと思ったら…。)
(絶望的な顔してる。今まで苦しんだことも無いような顔してた。幸せだな。苦しまないで死ねたんだ。いいな。)
「し…死んでる…。」
「おいっ!てめぇ何平気な顔してんだよっ。」
異常な光景に後ろの2人、隣の男の子は動揺している。
汗が止まらない様だし、目に涙を浮かべている。
「人が死んでんだぞっ!?」
「…。」
その時少女は不思議な気持ちになった。今まではどうでもよかった事がとても残念に感じる。
「この気持ち…なんで…」
「あ?」
「…。」
その時ふと恐ろしくなった。昨日まで客に渡していたあの封筒には何が入っている?あの男性はどうなった?今までどうでもよかった事が今思えばとても不気味だ。
震えが止まらない。
そう。今までの私は何も感じていなかった。殴られても痛くなんか無かった。
そして、何も考えて無かった。いや、考えることをやめていた。
「なんで…。」
自分が怖い。今までの私は人が死んでも何とも思わなかった。しかし今は
「か…わ…いそ…う…」
とても残念に思う。普通の気持ち。この気持ちを思い出させてくれたのはー…
「…桜舞。」
!
「レ…オ…君?」
「やっと思い出したか…。」
「な…んで…死んだんじゃ…。」
「俺はあんな薬で死なねぇ。」
「……そっか。」
「死人をみて何も思わねぇてめぇは桜舞じゃねえ。」
「うん。」
でもね、今だから言える。自分の為じゃない。他の誰でも無い、あなたのためにー…
「私…死にたい。」
そして、レオ君を助けたい。弟のカリナも。
今まで黙っていた男性は口を開いた。
「そうか。」
「桜舞っ!?」
「姉ちゃんっ!?」
もう一度、レオ君とカリナの顔を見る。
あぁ。なんでもっと早く気づかなかったんだろ。もうちょっと耳をすませば…聞こえた筈なのに。同じ叫び声が。
「さて。見せてもらおう。消え去った成れの果てに見えるモノをー…」
「ねぇ…ちゃん…」
゚・*:.。.*.:*・゚.:*・゚*
それからは一瞬だった。でも、私は今生きてる。なんでって?
あの男は失敗したのよ。私に気づけなかった。ただそれだけ。
廊下には無機質な靴とコンクリートのぶつかり合いの音が響いている。今は逃げなきゃ。そして、叶うならー…
「レオ君と…生きたい。」
前回に桜舞を語れず大変申し訳ありませんでした。
相変わらず抜け抜けの小説を読んでくださりありがとうございます!今回初めて登場人物の過去を語らせて頂きました。色々と足りない所があったと思いますが、12章もよろしくお願いします。