赤蜥蜴と黒髪姫   作:夏期の種

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斜め上の理由でご立腹のコカビエル登場は次回に持ち越しです。
そしてアニメにより、アザゼル先生も最初から街に滞在していることが判明。
知ってて放置したと言う結論に達したので、その辺は採用する事となりました。


第16話「騎士の心得」

「おやおやおやおや、こーれは久しぶりだねイッセー君! 再会ついでに殺してもいい? 答えは聞いてないけどね!」

「イッセー君はやらせない!」

 

 爰乃の元へ急ぐ俺達は、厄介な奴と遭遇していた。

 いきなり襲い掛かってきたのは因縁深いフリード。

 前にアーシアを助ける際に宣言された通り、マジで命を取りに来やがったよ。

 しかし危なかった。木場が反応してくれなけりゃ、やばかったかもしれん。

 って、その独特の気配……エクスカリバーか!

 

「狙ってたエクスカリバーをあんな所に持っていかれてちょー困っていたら、ストレス発散に付き合ってくれそうな悪魔さんたちが居るじゃないですか。とりあえず、メインディッシュは取っておいて、前菜から食い散らかす俺っちです。死ぬぜー、超死ぬぜー」

「君の相手は僕だ。イッセー君と小猫ちゃんは、手を出さないでくれ!」

「いいですよー、僕ちんのちゃんばらに付き合ってあげますよー。よかったでちゅねー」

「……その余裕が何処まで続くか見物だよ」

 

 さすが俺のライバル。二本の魔剣で攻め立てる姿は鬼気迫るものがある。

 イリナ戦と違ってクレバーだし、これならいけるか?

 

「複数の魔剣所持……わーお、もしかして魔剣創造? レア神器持ちとは中々罪なお方ですこと。だけども、そんななまくらで俺様のエクスカリバーちゃんに敵うと思われたら心外ですぜ」

 

 破砕音を立てて砕ける木場の刃。慌てず新たな魔剣を作り出して対応するが、聖剣には一枚及ばない。

 わざわざ構え直すまで待ったフリードの一振りは、またも同じ結果に辿り着く。

 くそ、これが相性問題ってやつか? これじゃあ手も足も出ないと同じじゃないか!

 

「ははは、怖い顔しても無駄無駄。こいつで切られた悪魔は消滅街道まっしぐら。どんな恨みがあるか知らんけど、死ね、さっくり死ねよぉ!」

「……認めたくは無いが、僕の魔剣は聖剣に及ばないようだ。でも、これならどうだい?」

「あん?」

 

 うお、瞬きの間に木場の姿が消えた。

 確かに合宿で開眼した神速なら何とかなる……のか?

 

「おーう、すげーすげー。すばしっこさが売りと知って俺様びっくり。だから―――」

 

 っ、ヤバイ! 俺には音しか聞えないのに奴には見えてる!?

 風を切って幾本も投じられた魔剣を、一本一本丁寧に打ち落とす余裕まであんのかよ!

 

「か弱い人間の俺様は奇跡の力に頼っちゃうぜ。”天閃の聖剣”力を貸してちょ」

 

 フリードが聖剣をさすると、聖剣がブレだし高周波を放ち出した。

 そしてそれを機に、攻守が入れ替わる。

 幸いというべきか”天閃の聖剣”とやらはゼノヴィアの聖剣のように波動が出るわけでも、イリナのみたいに射程が延びたり縮んだりするわけでもないらしい。

 おそらく効果は単純なスピード増幅。何せ全力の騎士に追い縋る速度を突然出し始めたんだ。これが聖剣の加護じゃないなら、奴は人間を辞めている。

 そして唯一勝ってた超速の世界に踏み込まれた木場は、逃げ回るのがやっと。

 近づけば防御不能の刃に晒され、離れて魔剣を飛ばしても簡単に撃墜されてしまう。

 これじゃどうやっても勝てねぇ……

 手を貸そうにも、邪魔をするなといわんばかりに睨まれるしなぁ。

 

「クライアントをあんまし待たせると怒られっちまうんよ。終わらせちゃおうぜセニョリータ!」

 

 それは素人目でも分かる回避不能の剣閃。

 ほんの一瞬だけ足を止めた木場に凶刃が迫り―――

 

 

 

 

 

 第十六話「騎士の心得」

 

 

 

 

 

「姫様の命を果たしに来てみれば、この時代にセメントな立会いとは実に珍しい」

 

 鋼の打ち合う音が響き、誰一人として感知させずに人影が現れる。

 桜色の和服に赤い袴。纏める帯は紫。

 抜刀姿勢で艶やかな黒髪の尻尾を揺らすのは、俺の知らない少女だった。

 合法ロリの小猫ちゃんと言う実例があるので確証はないが、多分俺より年下だと思う。

 なんつーか避暑地のお嬢様的な儚さで強そうに見えねぇんだけど、聖剣を用いた全力斬撃を止めたからには只者じゃない。

 武器は見た感じ何処にでもありそうな刀なのに、木場の魔剣より強度が高いってすげぇ。

 エクスカリバーの一撃に耐えられるからには、さぞ名のある名刀なんだろう。

 あ、爰乃とはベクトルが違うけど、和風美少女で割と好みです。

 

「……イッセー先輩、この女性は危険です」

「え、助けてくれたじゃないか」

「……自画自賛になりますが、仙術の応用で気配の察知には自信があります。それこそ香千屋先輩が全力で気配を隠しても見つけられるのに、この人は目の前に居ても未だ目視でしか感知できていないんです。存在感が希薄を通り越して皆無。意図的に己を消しているとすれば、相当な使い手と判断します」

「言われて見れば確かに」

 

 すると、俺と小猫ちゃんの視線に気付いた助け舟は苦笑。

 刀を鞘に納めて木場とフリードの間に立ち、こんなことを言い出した。

 

「兵藤一誠殿と、その御仲間ですね?」

「そ、そうですけど」

「それはよかった。無関係の悪魔なら幕末宜しく斬り捨て御免なので」

「さらっと怖いことを!?」

「何のことやら」

 

 み、味方なんですよね?

 

「おいおいおいおい、俺ちゃんのエクスタシータイムを邪魔しちゃってくれて何様なの? 馬鹿なの? 死ぬの?」

「……弱いと言う事は幸せですね」

「あん?」

「一つ手品を披露致しましょう。兵藤殿、指を鳴らして貰えますか?」

「こ、こう?」

 

 俺が人差し指と親指を弾いて音を出すと、いきなりフリードの肩から腰にかけて一本の線が浮かび上がる。これが手品? 地味だな、とか思っているとあいつが苦しみだした。

 

「糞女っ! じくじく痛いんですけど、俺様の至高のボディに何をしやがりましたか!?」

「まだ分からないとは滑稽。ほら、動くと落ち―――」

「あああもう、死ねよ! 殺してや……どうして俺様の足が見えるん? おっかしぃぞ? WHY?」

「……僕が君を倒せるチャンスはもう無いから塩を送ろう。君の体は居合いで袈裟懸けに両断された。あまりに剣が早くて痛みを感じる間もなかったんだ。そろそろ感覚が戻るんじゃないかな」

「そんな馬鹿な話があrわk」

 

 死んだーっ!? と、俺は言葉を失っていた。

 雪崩のようにずるりと滑った上半身が落ちても、斬られた本人は気付けないその技。

 早さも技術も、俺が最強の騎士だと思っていた木場の遥か高み。

 遅いかも知れんけど、やっと小猫ちゃんが言いたかったことを理解した。

 この女は出会っちゃいけない死神だ。

 今の俺達じゃ瞬殺されるのが落ち―――ってこの言葉さっき聞いたぞ?

 

「自己紹介が遅れ申したが、私はアドラメレク眷属が騎士の弦。少しばかり身内がハッスルして見境が付いていませんので、皆様をお迎えに参上した次第」

 

 セーフ、味方だった!

 爰乃の言ってた剣術小町って絶対にこの人だ。

 そりゃ警告もするわ。敵意を向けてたら即座に首が落ちてたんじゃね?

 

「……行きましょう先輩方。香千屋の関係者に常識を求めても無駄です。そういうものだと認識して、諦めることが肝要と私は悟りました」

「……だね。悔しい事に僕じゃ勝てなかったと思う。昔の仲間と今の仲間を天秤にかけられないけど、優先すべきは今ここにいる君達だ。イッセー君と子猫ちゃんが無事ならそれでいいよ。それにまだチャンスはある。背後に控えた黒幕を倒すことで僕の復讐は遂げられるからね」

「そうだな。コカビエルにパルパーだかも残ってるんだ。まだまだやる事は一杯だぜ!」

「話が纏まったなら、私の後に付いて来て頂けますか?」

 

 絶命した少年神父から奪ったエクスカリバーを袖に仕舞い込んだ弦さんは、まるで引率の様な気軽さで俺達を導いていく。

 どう見ても収納できないんだが、悪魔的力の一環なのだろうか?

 

「ちなみに、戦車はアレです」

 

 弦さんが指差した先、山から生えるようにして伸びた龍の頭が幾本も暴れ回っていた。

 たまにビームっぽいブレスを吐いて、近代兵器を撃墜してるのは目の錯覚だよな?

 後、天使らしき影がもぐもぐされてるのも、気のせいだと言って欲しいです。

 

「ド、ドラゴン?」

「分類的にはその係累かと。日本でブイブイ言わせてた強力な龍ですが、地域密着型で世界的にはドマイナー。本人もドライグ殿やアルビオン殿の様に覇を目指す性格では無く温厚な神霊なのですけど、少しばかり問題が……」

「俺の相棒と違ってすげぇ良い奴ですね! 何かまずい事あるんですか?」

「まぁ、そのうち分かります」

 

 微妙な顔の弦さんに、俺達は何とも言えない表情を浮かべる。

 どっかの空気を読まないバカ二匹みたいに色んな勢力に喧嘩売ってボコられた訳でもなく、地元で頑張ってたドラゴンなんだろ? 何が問題なんだ?

 

『いやその、確かにその通りなんだが釈然としないぞ相棒。俺達だって若い頃の過ちというか何と言うか、やんちゃしてた時期があってもおかしくないだろ!?』

 

 何やらドライグが文句を言っているが、言い訳がましいので相手にしない。

 普通に歩いているようで、異様に速い弦さんに付いてくので忙しいんだよ。

 そして香千屋神社のある山の麓に到着。

 俺達は理解した。

 叫び声だと思っていた音は龍の声だったのだ、と。

 

「ヒャッハー! 鶏肉美味! 生飽きた、ウエルダン!」

 

 温厚な龍が何で片言の日本語且つ、世紀末なモヒカン風味なんですか?

 意訳すると火炎放射器で汚物は消毒だーって事ですよね?

 真っ黒な鱗に真紅の瞳と合せて超怖いです。

 

「弦さん?」

「この通り鬼灯の奴は、スイッチが入るとこの調子。ああなってしまえば満足するか、敵が全滅するまでハイテンションでして。とりあえずは理性を保っており、味方をどうこうしないのが救いですね」

「そ、そうですか。これが爰乃の言ってた大食漢の鬼灯さんと……」

「私から離れると安全を保障出来ません。距離を置かないよう気をつけて下さい。騎士様も警戒するなとは言いませんけど、半端な敵意は身を滅ぼしますよ? 奴の鱗は私でも手を焼く厄介さ。ヒュドラ真っ青の再生能力も備えていますし、先ほどの魔剣が全力なら相手にもされません」

「これは手厳しい。でも、僕はリアス・グレモリー様の騎士。仲間を守る役目を放棄出来ません。窮地を救って貰って言えた義理ではありませんが、まだ全面的に貴方を味方と判断するには材料が足りていない事もご理解頂けますか?」

 

 木場、お前の高潔さだけは真似出来ねぇよ。

 俺が前にしか進めない愚直なポーンな様に、ナイトは全方向に飛んで敵を滅ぼすのが仕事。

 正直、さらっと零した今の仲間も大事って聞いた時は胸に来た。

 俺に出来ないことはお前が。お前に出来ないことを俺がやる。

 チームとして完成を目指そ……お、なんか来た!

 

「悪魔、発見。弦、殺す? 我、口休め?」

 

 見下ろしてきた鬼灯さん? が俺を見下ろし、虚ろな目を向けてくる。

 あれですね、天使は飽きたからデザートに悪魔も食べたいと。

 

「通達のあった姫様の客人です。手出しは無用」

「我、了解。固体識別完了。善処する」

「私が出ている間に、どれだけ抜けました?」

「ヘリ4、飛行機3、人0、天使0」

「機械は美味しくないからと、サボるんじゃありません。アレイ殿に教わった火炎の制御で、ヘリも戦闘機も一撃ですよね? 手抜きは許しませんよ」

「我、めどい。鉄屑、アレイ落す。我、なまもの専属」

「そのアレイ殿の姿が見えませんが?」

「アレイ、お屋形さま呼び出し。一時撤退」

「大方、威力過多の兵装を運用したのでしょう。お屋形さまが止めるのも当然です」

「電磁投射砲、ヘリ貫通。粒子砲、飛行機爆散。必殺技、結界微破壊。怒られた」

 

 え、何言ってんの?

 

「……まさか禁断のアレは使ってませんよね?」

「我、存ぜず。破壊規模、小さい。我、フルバースト巻き添った。痛い」

「ご愁傷様。まぁ、本人に尋ねます。して、姫様は?」

「最初、我の頭の上居た。アレイ一緒下がった、部屋居る」

「了解です。ぼちぼち打ち止めっぽくはありますが、私が戻るまで真面目に働くように」

「了承」

 

 露骨に聞えちゃいけない単語が乱舞したのは、果たして気のせいだろうか。

 

「それでは気を取り直し、社へ向かいましょう」

「すみません、一つ質問が」

「はい、そこ」

「まさかアドラメレク様は三竦みを解消して、戦争を再開させるつもりですか?」

 

 ナイスな質問じゃないか木場。お前が言わなかったら俺が聞いていた。

 今の兵器っぽいネーミングなんすか? とセットで。

 謎発言を信じれば、どう考えても存在しちゃいけない名称だよな……

 

「その質問には、お答え出来ません」

「平和がそんなにお嫌いですか?」

「そう深読みしなくても結構。私は考える頭を持たぬ一振りの剣。主が定めた獲物を切り裂くだけの道具に、諸事情の考慮は必要ありません。ですので、このような回答にならざるを得ないのです」

「……これは失礼を。僕も同じ立場なら迂闊なことは言えませんでした」

「そもそも戦争を始めたいのであればこんな面倒な真似をせず、眷族総揃って”渦の団”を各所に手引きしつつ、天界と冥界の上層部の暗殺を狙っています」

「そ、そうですか。良く分かりませんが、良く分かりました」

 

 初めて聞く単語だが”渦の団”ってのは、傭兵団とかそれに順ずる物なんだろうなぁ。

 態度から木場も知らんようだし、いずれ部長にでも聞いてみよう。

 

「ここだけの話、ウチの僧侶は広域破壊だけならお屋形さまより強力。都市の一つや二つを簡単に焦土と化すソレが、攻めてきた国家への報復を自粛したと言えば信憑性も上がるのではないかと」

「僧侶の方は……元はどこかの神話体系に属する神様ですか?」

「いえ、ちょっと類を見ないくらい時間を経ただけの付喪神です。アレの言い分ではオンリーワンの実験機故、何処にでも居るとは言えませんが」

「転生悪魔なんですよね?」

「ですよ?」

「……もういいです」

「他に質問は御座いますか?」

 

 先生っぽく問われても、逆に何を訪ねればいいのか分かりません。

 見てよ、小猫ちゃんも困ってるじゃないか。

 

「……では、今にも大きいのを放ちそうなアレはなんですか?」

「へ?」

 

 小猫ちゃんが指差したのは遥か上空、太陽を遮る鳥の形をした影の周りに幾つも生み出された魔法陣だった。

 

「アレはアホ鳥がちまちま狙うのが面倒になった時に多用する、広域殲滅魔法の兆候ですね。私だけなら対象外なので問題ないでしょうけど、皆様方はロックオンされる予感。死にたくなければ、屋敷の敷地に入れるまでダッシュ! 頭が足りなかろうと、鳥の二つ名は”大気の支配者”。伊達や酔狂で付けられた称号ではありません!」

「まじですか!?」

「超マジです。逆を言えば、アレが成立すれば残敵ゼロ確定。皆様の身の安全は保障されたと太鼓判を押しましょう」

「その前にあなた方に殺されるんじゃ、意味がありませんよね!?」

「本気で時間が無いので議論は後に。経験上、発動まで残り一分弱!」

「木場、俺達抱えて行けるか!?」

「無理でも行くしかないよね! 二人とも僕にしっかりしがみついて、 行くよ!」

 

 ここに来て、まさかのフレンドリーファイアとか勘弁してください。

 しっかし、さすが俺達の騎士は凄い。二人も抱えながら早いのなんの。

 景色がすっ飛んでいき、ついにゴールの鳥居が見えるとカウントは残り僅か。

 普段、俺がチャリで登って結構掛かる道を一分かよ。

 本当に頼りになる仲間だぜ。

 

「……間に…合った…かな」

「ギリギリセーフ。ほら、始まりました」

 

 上空から女の子の声で”いっくよー”と能天気な声が響き渡ると、山全体に豪雨の様な雷撃が降り注ぎ始める。しかもこれ、一発一発がライザーの女王を潰した朱乃さん最強技に匹敵するんじゃね!?

 眩しさに目を背けた隙に終わった光の乱舞の結末を確かめようと瞼を開けば、良い意味で予想を裏切る光景が広がっている。

 

「……どうして森は無傷なんでしょうね」

「……僕が知りたいよ」

「魔法なんだし、深く考えたら負けなんじゃないか?」

「たまにイッセー君は真理を言い当てるから侮れない。そうか、魔法だった。それじゃあ納得するしかない」

「……常識を求める愚かさを先ほど語ったばかりでした。すみません」

「褒めてるんだよな?」

 

 こいつらの中で、俺がどういうポジションなのか知りたい今日この頃。

 

「じゃれあうのも結構ですが、姫様を待たせてはなりません。聞けば兵藤殿は姫様と懇意とか。奥の社と言えば、以後の案内不要と思って宜しいでしょうか?」

「ええ、俺を筆頭に全員割と来てるんで大丈夫です」

「ならば私は、領土の最終安全確認に向かいます。九分九厘考えられない事ではありますが、万が一の時は頼みましたよ? 姫様の御手を煩わせた時点で切腹ですからね?」

「命に代えても」

「その言葉、信じましょう。では失礼」

 

 そう言い残すと、霞のように消える弦さん。

 今回も小猫ちゃんは足取りを追えないようで、耳がピコピコと全力サーチ中だ。

 不機嫌そうに尻尾がパタパタ揺れるのも、可愛らしくて素晴らしい。

 巨乳派の俺ですが、愛でるだけなら小さい子もありだね!

 

「……天使や教会系の力はもう残っていません。でも、先輩から不穏な気配を察知。後でシメるので覚悟してください」

「小猫ちゃんが爰乃に似てきた!?」

「……香千屋先輩は、私の恩師ですが何か」

 

 まぁ、かく言う俺も大概に香千屋派閥。

 仲間が増えて嬉しい……のか?

 この際、染まっていない木場も引き込むかね。

 

「なぁ、木場。爰乃も勧誘してたけど、ガチで入門しね?」

「僕にも世話になった師匠が居るんだよ。その人の流派を使う訳じゃないけど、やはり根幹に流れるものは壬生狼の教え。確かに今はアドラメレク様に師事してるよ? でも、教わるのは気概とか心構えだけで十分。ここにはトレーニングの一環で来るのが僕の最善さ」

「そりゃ悪いことを言った」

「気にしなくていいよ。それより、香千屋さん―――姫様がお待ちだ。謁見して剣を賜ろう」

「そうだな、目的はあくまでもエクスカリバー。余所見をしてる場合じゃなかった」

「……気付くのが遅いです」

 

 俺達が深まった友情を拳をぶつけ合うことで表現していたら、あっさり小猫ちゃんに置いて行かれたよ。薄情なんだか、情が深いのか良く分からん娘だぜ。

 勝手知ったる他人の敷地を進む俺は、姫様とか呼ばせている爰乃をどうからかってやろうかとほくそ笑みながら小猫ちゃんに追いすがるのだった。

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