せめて、せめて一勝を   作:冬月 道斗

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薄い話が続く……、もう少し! もう少しだから!

と言うわけで温かく見守ってください。


第十話 有限地獄連続組手 三日目~奉仕物語編~

 おはようございます、体が痛くて泣きそうです。

 やはり化け物と三戦もすれば体はガタガタになってしまうようだ。

 動ける限りは頑張るしかないんだけどね。

 本日向かうは七浜公園、ジャーキーのお姉さんことナトセさんのところだ。

 休日はそこにいる場合が多いので多分会えるだろう。

 

 

  ◆◇◆◇

 

 

 「あ、トラ君! おはよう!」

 

 

 「こんにちわ、ナトセさん」

 

 ああ、この目はあれだ、餌をねだる犬の目だ。

 毎回ジャーキーあげてるせいか味を占めてやがる!!

 まあ、今回も用意しているんだけどね。

 

 「ありがとー! 今日も組手?」

 

 「はい、けど今日はできれば本気でやりあってほしいので場所を変えてもらっていいですか?」

 

 「え? ちょっと待ってね。夢ー……」

 

 おおう、なんか遠くに走り去ってしまった。

 

 「お待たせ! 森羅様がそういうことなら屋敷の庭を使っていいって!」

 

 うん、何かの許可を取っていたようだが場所まで用意してくれるとはな。

 てか、どこまで行ってたのだろう?

 なんにせよ戻ってくる速度がぱねぇなおい。

 

 「そうですか。では、案内お願いしますね」

 

 ――――

 

 

 そうして着いていくと、そこは豪邸でした。

 

 「私はここで働いているんだ!」

 

 素敵な笑顔で言われたが、まあ、この強さならこんなところで働いていてもおかしくはないよね。

 下手したら数部隊の軍程度なら相手どれる屋敷と言うのは深く考えないようにしておこう。

 

 「ふむ、お前がナトセに挑むという男か」

 

 おやまあこれは美人。

 屋敷の主人らしき女性がこちらに声をかけてきた。

 

 「あ、トラ君、こちらの方がこの屋敷の主人の森羅様だよ」

 

 「どうも、ご許可と場所の提供ありがとうございます」 

 

 お礼言っとかないとな、あいさつは大事だよね。

 

 「ああ、で、大佐はどう見る?」

 

 「ウム、見たところ錬の小僧より少しばかり上と言ったところでしょうかな、まあ、腕試しとしてはよい経験になるでしょう」

 

 「そうか、それじゃあナトセとやった後にうちの執事とも一本やっていってくれ。それが条件だ」

 

 とのことらしいが、まあ構わない。

 それよりも、

 

 「はい、そのくらいであれば。よろしければそちらの方とも一手お願いできますか?」

 

 そういって森羅さんのそばに控える二人の男――そのうち若い方は話に出た錬さんだろう――の壮年の方の方に言う。

 

 「ハッハッハ! 小僧、元気があってよいぞ! よかろう。二戦終わった後に相手をしてやろう!」

 

 「だ、そうだよかったな少年」

 

 多分この人が前にナトセさんが言っていた上司だな、確かに強い。

 しかもこれ、ポテンシャル以外にも相当鍛えてる。

 

 「それではさっそくはじめようか。審判はワシがやってやろう。」

 

 よしそれじゃあ、今日もやっていきましょうか!!

 

  「よろしくお願いします」

 

  「うん、よろしくね!」

 

 

 

  ◆◇◆◇

 

 

   第七戦 ナトセ戦 白星

 

 

 いやいや、昨日までの相手と比べたらまだ常識的だった。

 ムエタイ主体の打撃型ファイター美味しかったです。

 と、比較的余裕を持って勝てた僕を見て一同は驚いていた。

 

 「大佐、錬程度ではなかったのか?」

 

 「いや……、申し訳ありません、見誤っておりました」

 

 「錬、アレとやるか?」

 

 「いや! 勝てっこないですよ!」

 

 うん、相当意外だったようだ。

 しょうがないよね、技量と経験以外は確かに錬さんとどっこいみたいだし。

 

 「それでは、次は錬さんですよね? よろしくお願いします」

 

 「え? ちょっと待ってくれないか?」

 

 うん、すごい冷や汗だ。

 この分じゃナトセさんの強さよくわかってるんだろうな。

 ……入れなおしてあげたとはいえ半ばぐにゃぐにゃになっていたのを見たせいもあるんだろうけど。

 

 「大丈夫ですよ。流石に誰彼かまわずああするわけじゃありませんから。てか、本来僕の流派は護身術なんであんなことはめったにしませんよ。ナトセさんくらいになるとああしないと勝てないだけで」

 

 「そ、そうか。じゃあ勉強させてもらうよ!」

 

 「まぁ、それでは、始め!」

 

 

 

 

     番外編 上杉 錬 白星 

 

 

 「いやー、すげーな! 全然手応えないし、こっちも全然痛くないのに何にもできなくされちまった」

 

 「何か感じ取ってもらえたのならうれしいですよ。それで、大佐?さん、お願いできますか?」

 

 「うむ、悪いが予想以上にエレガントだったからな、手加減はできんぞ!!」

 

 「そうでなくては!!」

 

 「では、田尻 耕行くぞ!!」

 

 そうして余裕を持った状態での二戦目を始める。

 てか、本名普通なんだな大佐さん。

 

 

    ◆◇◆◇

 

 

   第八戦 田尻 耕戦 白星

 

 

 「フム、やるではないか! 小僧!」

 

 「ハハ……、ナトセさんも田尻さんも骨さえ入れれば元通りってのは恐ろしいですね……」

 

 これが化け物の化け物たる所以だと思う。

 

 「すごいな少年、まさか家の二枚看板を一人で倒すとは思ってもみなかったぞ」

 

 「ありがとうございます。見てのとおりボロボロではありますが」

 

 戦いの後の様子を見ればどちらが勝者かわかったものじゃない。

 

 「ああ、それでもだ。そうだな、いい時間だし、食事でもしていくといい。いいものを見せてもらった礼だ」

 

 「ありがとうございます」

 

 確かにいい時間だしお言葉に甘えよう。

 

 

 

    ◆◇◆◇

 

 

 うん、あそこの料理すごく上手いな。

 しかもあの森羅さん有名な指揮者らしく、演奏の招待券までもらっちゃったよ。

 田尻さんもまたいつでも相手になるって言ってくれたし、あそこいいとこだ。

 さてそんなこんなで、三日目も戦い納めだ。

 残りの時間で何をするかと言うと、

 

 『新潟線ご乗車のお客様は~~~』

 

 うん、移動時間に使う。

 ホテルとったり準備してたらさすがに今日はもう戦えないさ。

 

 明日も一戦位しかできなさそうではあるが、

       

          いざ北陸、剣聖黛 大成!




これでまじ恋外の人たちはおしまい。
休日最終日が終われば日常に戻ります。

と言うわけで、また次回お会いいたしましょう。

この作品は一人称の練習も兼ねているのでよろしければ批評をお願いします。

三人称での練習としてなろうで「妖怪って厨二病の華だと思うんだ。」という作品も連載しているのでよろしければそちらの批評もよろしくお願いします。

ご意見ご感想お待ちしております。

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