せめて、せめて一勝を   作:冬月 道斗

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ども、ちょいと敵味方いじっております覇王の乱です。



第四十二話 宣戦布告

 いやー、すごいこと考える人もいるんですねー。

 マープルさんの言うことには、この国腐ってるから昔の英雄に何とかしてもらわね?

 らしい。

 いやはや九鬼にいるとスケールがデカくなるらしい。

 いま、葉桜先輩が素手で廃工場を解体している。

 周りの多くは戦慄してるけど僕の知り合いあのくらい軽くやる奴ら多いんだよねー。

 そして、

 

 『出でよ、我が居城! その威を民に見せるのだ!』

 

 うおおおおおおおおお!!!

 かっけえええええええええ!!!

 

 「「「うっひょーーーーーー! かっけえええええ!!」」」

 

 風間と石田とハモった。

 …………ガシッ!

 そして三人でしっかりと握手をした。

 てかいたんだ石田……。

 まあ、天神館の館長いるし居てもおかしくないか。

 因みにあとから島に聞いた話だと石田は僕と実況で盛り上がったのが思った以上に楽しかったらしく、僕が武神倒したと聞いて館長さんに着いて来てくれたらしい。

 

 『川神市の連中に……若者たちに勧告する!!』

 

 三人で友情を深めているといつの間にか向こうの山場が来ていたようだ。

 そうして言った。

 雇ってくれると!!

 

 「ヒュームさん真剣?」

 

 「……何に反応したかはよくわからんが。言っていることに嘘はない」

 

 真剣か……、真剣か!!

 いや、でもこれどうなんだ?

 この波に乗るべきか? 

 ック!!

 いや、月曜まで時間が与えられている。

 すぐに決める必要はない。

 よし、落ち着こう。

 

 『更に付け加えるなら、頼みの綱の川神院はもう機能しないよ。アンタら若者を守る存在はもういないのさ』

 

 ん?

 ちょい引っかかるなー。

 なんかもやもやしているとヒュームさんが回線をつないだ。

 

 「答えは否! 我らはお前に協力せぬわ、たわけー!!」

 

 そうしたら紋ちゃんがかっこよく啖呵を切っていた。

 おおう、そうなの?

 あっち行っちゃダメなの?

 まあ、ちょい確認したいこともあるし良いかなー。

 ここにいるほとんどは完全に敵対するつもりのようだし。

 そして葉桜先輩、義経達、梁山泊の三人と操られたルー先生、西方十勇士の宇喜多とヌルヌル、と『力』に訴えてくる連中が紹介される。

 

 『ややこしい天下取りよりも皆で殴りあって最後に立っていた奴が覇者! 分かりやすい!』

 

 ああ、なるほど。

 そう言うつもりなんだねー。

 それじゃあ、終わる前に

 

 「一つ聞きたいんですけど、ここに武神がいるんだけどそれについてはどう思ってるの?」

 

 『ふん、先ほども言ったであろう。誰でも来い! 叩き潰してやる!!』

 

 それを最後に回線は切られた。

 ……ああ、なるほど。

 

 「「……ほう」」

 

 僕と武神の声が重なる。

 ああ、あれだけ聞ければ僕がどうするかは決まったよ。

 

 「……お前たちが抵抗してきたことで計画はパターンCに変更された」

 

 今の向こうの計画について説明しているがそんなのはどうでもいい。

 さて、この怪我でどうやって対面するか……。

 周りそっちのけで考えていると、ヒュームさんが少しだけやる気になる。

 

 「戦闘開始と言うことだな。赤子共」

 

 皆がヒュームさんから距離を取る。

 そんな中、相対するのは武神、松永先輩、鉄心さん、鍋島館長、そして僕。

 さっきまでなら僕も距離とっていたが今はスイッチが入ってしまっている。

 

 「クク、まあ焦るな。今回の俺の相手はお前だ。なあ、川神百代」

 

 「へえ? それは挑戦ですか? 先ほど清楚ちゃんからも似たような誘い受けた気がしますが……」

 

 「ほう? 受けないというのか? それならば仕方がない、俺も狩に参加するだけだ」

 

 その一言に場が緊張感に包まれる。

 

 「ハハハ! いや、私は武神として挑戦は受けるさ。何、貴方を倒してすぐに清楚ちゃんと戦いに行けばいいだけだ!」

 

 覇気に満ち溢れた表情でそう宣言する武神。

 ああ……、そうだよ。

 それでこそ『武神』だ!

 

 「ククク……、ハハハハハハ!! よく言ったもんだなぁ、百代よ!! それならばさっそく行こうか。気兼ねなく暴れられる場所までドライブと行こうではないか」

 

 「皆、行ってくる」

 

 そう短く残してこの場をヒュームさんと共に移動する武神。

 ああ、大丈夫だ。

 あれなら、あの武神ならきっと誰にも負けはしないだろう。

 

 

 ――――

 

 

 とりあえず一度解散して、後で川神学園に若者グループは集まるらしい。

 それじゃあ、僕も準備しましょうかねぇ。

 暫らく帰っていなかった家に帰ろうとすると石田とそのお付のような島と大村がこっちに来た。

 

 「ふむ、久しぶりだな。高坂よ」

 

 いや、さっきはしゃいだけどね。

 

 「うん、どうしたの? 結構な距離あるからさっきびっくりしたんだけど」

 

 「うむ、武神を打倒するという事を……友が成し遂げたのだ。出世街道とは少し外れても流石に動くというものだ」

 

 あら、友っていうところ少し照れてるヨ。

 後ろで二人が微笑ましく見ているし。

 

 「おお! ありがとう。まあ、でも大変な時に来たね。これからどうするの?」

 

 そう言えばこいつらの出方しらねーや。

 

 「う、うむ。出世街道を往く俺としてはだ。向こう側につくのが一番だ。……なのだがな? うん、まあ、あれだ、っと、友……、いや、俺の部下ともいえる十勇士の幾人かは梁山泊にやられてしまったしな。うん、いや……、だからと言うわけではないが……」

 

 すげぇ目線を泳がせながら言ってます。

 後ろで島は僕に両手を合わせて頭下げてるし、大村は石田に頑張れとジェスチャーしているし。

 なんだろう、和む。

 てか、男の子のロマンって偉大だな。

 そんなに楽しかったか。

 うん、楽しかったな。

 

 「あー、うん、ねえ石田。ちょっとばかし厄介なの相手にしないといけなくなったんだけど、ほら? こんな様なんだ。僕に力貸してくれないかな?」

 

 まだボロボロな体を強調してそう言うと

 

 「む、うむ。仕方がない。いいだろう。そう請われてしまっては人の上に立つべき俺としては答えざるを得ん。この石田三郎が力を貸してやろう。幸運な奴だ」

 

 うん、後ろの二人はガッツポーズ。

 上から目線だけどいいやつや。

 

 「それじゃあ、よろしく。また変身前に落とされるとかは勘弁してくれよ?」

 

 そう言って怪我のせいであんまり上がってないが拳を持ち上げる。

 

 「ふん、いつまでも学ばん凡愚とは違う。大船に乗った気でいろ」

 

 そう言って拳をぶつけてくる。

 とりあえず協力者ゲット。

 なんだかんだ化け物級二人と結構強い島、うん、幸先良いね。

 

 

 

 そして、四人でとりあえず僕の家に向かう。

 さーて、あと助っ人の宛、しかも無関係じゃなさそうな奴と言えばっと

 

 「んー、あいつの連絡先貰ったはいいけど捨ててないよな?」

 

 三人には取りあえず居間でくつろいでもらっている。

 てか、さっきの放送では移ってなかったけどいないってことは家の親も攫われているようだ。

 うん、まあ普通の一般人だからなー。

 危害加えられることはないだろう。

 一応それくらいは無効を信頼している。

 裏切られたらまあ、残っている皆と修羅となって報復だな。

 

 「っと、あった。いやー、自分を狙うガチホモに連絡をすることになるとは思わなかった……」

 

 この前無理やり渡された竜兵の連絡先だ。

 そんなに前のことじゃないからつながればいいが……。

 

 『誰だ?』

 

 うわ、これかなり機嫌悪い。

 なんかあったかな?

 

 「あー、高坂だけど竜兵だよね?」

 

 『っち、なんだお前か……、わりぃな今亜巳姉と天の奴がやられて気が立ってるんだ。相手してやる余裕はねえよ』

 

 へえ、アイツがクソキモい誘いかけてこないってことは結構切羽詰まってるな。

 

 「誰にやられたかは分かってるの?」

 

 『あ? ああ、一応聞いておくか……。女の三人組だ、亜巳姉と天をやるような奴らに心当たりはあるか?』

 

 へぇ、向こうさん見境ないねー。

 獣に傷つけやがったよ。

 

 「ああ、僕の要件もそれなんだよねー。最近怪我しちゃってさ、ちょっと会わないといけないやついるんだけど困ってて、一緒に暴れないかと思ってたんだけど、多分そいつらだよ」

 

 『……何時だ?』

 

 「明日、詳しくはこれから決めるから後で連絡する」

 

 『分かった。辰姉にも言っておく』

 

 ふう、さて、これだけいれば今の僕でも対面することくらいはできるだろう。

 別に無理して戦う必要もないしね。

 

 そう満足していると今度は僕に電話がかかってきた。

 

 「はい?」

 

 『オイ! あとで集まるって言っただろう! 怪我人だから迎えに行ったらいないってどういうことだよ!!』

 

 直江からだった。

 うん、怪我人だからハブられると思って下準備してたのに、一応勘定に入れられていたらしい。

 いや、人使い荒くないか?

 

 結局また四人で川神学園まで移動をすることになった。




以上でした。

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