命の危険がない平和を求める!   作:逃走経路

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第弐話

「ん〜」

「やっぱり信じられませんかね?」

 

こっちの経緯というより世界を話したもの信じてくれるかどうかは別だよね。俺だったら多分頭の痛い子か、嘘を言ってる子の2通りを考えるからなぁ。信じるってならないよね。

 

「まあ、そんなこともあると思うよ」

「…………信じてくれるんですか?」

「君の話が本当の場合、そんな反応になるのもわかるしね」

 

とっても頭の柔らかい人だ。否定をせずに肯定から入る人ってだいぶ優しい性格してそう。それで俺は助かったしこの話も否定しないで、あるかもしれないと肯定してくれた。俺、この人には頭上がらないかもしれん。

 

「君がここの住人じゃないのなら一から説明していこうか。とても細かく説明するコースとざっくりとしたコース。どっちがいい?」

「ざっくりでお願いします」

「わかった」

 

細かく理解する必要はあるのかもしれないが、今いきなり細かく説明するコースを選んだら頭がパンク確定。ある程度を教えてもらってから自分で情報を集める方がいい。ここの最低限の常識があればとりあえず困ることはなく、何か知らなかったとしても物知りではないだけになるはず。

 

「まず、ここの都市には神が普通に暮らしている。私たち人間と神。その中でトップに立つのがツクヨミ様、アマテラス様、スサノオ様だね。正式にはツクヨミ様の方が偉いけど微々たる差だね」

 

その3柱知ってるぅ。どうもこうもしなくても日本史で屈指の知名度を誇る神様の名前じゃん。しっかりと3兄弟揃ってるしね。その親がイザナミ、イザナギだったけ。まさか同じで世界なのかもしれんな。てかしれっと神が普通に過ごしてるでびっくり。

 

「もし世界が同じで宮薙くんが未来か過去から来たなら、知ってると思うけど?」

「知ってますね。おそらく同じの可能性が高いですね、良かったぁ」

「異世界じゃないのは良いのかもしれないけど、まあ、これは後で話すか」

 

一体なんなのだろう、異世界じゃないのなら喜ばしいことで帰る方法を探さずに済むというものだと思ったんだけどな。何か良くない点でもあったのかな。まあ、後で話してくれるんだし一度置いておこう。

 

「まだ宮薙くんはここの都市を見てないからよくわからないかもだけど、ここにはとんでもない物や建物もあるんだ。具体的な例はその横にある機械を持ってみて」

「これですか?」

「そうだよ」

 

これは俺が目を覚ました時に、凄そうな機器と推測していた奴じゃないか。俺の最初の期待ととんでもない物の一例として出されてる分、ハードルがかなり高くなってるような気がする。この俺が目ん玉を飛び出すほどびっくりしてしまうのかもしれん。逆にあらこんなもんか、となってしまうかもしれんが見た目からしてそれはなさそう。

 

「それでそのスイッチを押してごらん?」

「ポチッとな」

 

機械から光が始めたんだが、何が起こるというんだ。あ、静まった。筒のような物がのようなものが出て来てそこから光が俺に。待って眩しい、ガチで眩しいから待って、お願いします。やめろぉ、目がぁぁぁあ、するぞ。あ、収まった。え、これで終わりなのか。

 

「その隣をスイッチを押してごらん」

「ポチッとな」

 

2つのボタンで本当の機能を見せるらしい。では見せてもらうおうか。神がトップに君臨するこの都市の技術とやらを。

 

何もないところに光を飛ばしてこの機械は何をやってるんだ。オラオラ、おみゃあはこのワイを照らしただけで何もしてないじゃないか。

 

「あれ? 気づいてない? 前見て」

「ん? …………え、嘘。ホログラムってやつ?」

「正解」

 

すみません、俺を照らしたのはただ照らしたんじゃなくて俺の身体の形や着てる服を撮影して記録し、ホログラムで映し出すためだったのか。ホログラムは元の時代でも見たことあるけど、ここまで正確にできるのか。それもこんな程度の、手のひらサイズの機械で俺のそっくり等身大を作り出した。

どこかに繋いでるわけでもない、プログラミングをしないで。科学にそこまで詳しいわけじゃないからもしかしたら、現代でもできるかもしれない。でも、凄いな。あ、ホログラムの俺、歩き出した。

 

「あまり驚かなかったね。今度はもっと凄いの持ってくるよ」

「これより凄いのがあるんですか」

「まあ、オモチャみたいなものだからね」

「これが、オモチャ?」

 

今の言葉だけでこの都市がどんだけおかしいのかよぉ〜くわかった。下手したらこの都市にレールガンやらガ○ダムやらがあるかもしれん。もしそうだとしたらVRの技術も相当凄いのではないだろうか。この世界来たら殆どの人が廃人になりそうだ。

いや、もういるだろうな。最近の若者の人間離れは急行してますね。

 

「身体を動かす元気があるなら外に出てみるかい?」

「あ、お願いします」

 

さてさて、神がトップにいるということは神の叡智をも使った科学の結晶が生まれているはず。だが、単純に科学の力だけではなく魔法みたいな力も合わせて、もっと凄いの物も使っているかもしれん。オラ、ワクワクして来たぞ。

 

「なら行こうか、ついでに他のことも詳しく話してあげるよ。神のトップについては話したけど人間のお偉いさんについては話してなかったからね」

「神がいるこの街で人間も上に立つことができるんですね」

「まあ、訳ありだけどね」

 

そりゃあこの街でただの人が簡単に偉くなれるはずがないか。稀代の天才とか、この街を救った英雄とか、神との繋がりがあるのかじゃなければ無理か。

 

「まず偉い人はと聞かれると真っ先に浮かぶのが綿月家になるね、次に浮かぶのが蓬莱山家。他にも色々いるんだけどこの2つが頭1つ抜けて偉いかな。ツクヨミ様直属の部下でもあるし」

「うわぁ、凄いんですね。人では綿月家と蓬莱山家の2つ以上偉い人なんて存在しなさそうなぐらいじゃないですか」

「うーん、そうでもないんだ。実は言うとさっきの2つほど偉くはないのにツクヨミ様がとても頼りにして、仲も良くて、話すと楽しい上に綿月家の姉妹、蓬莱山家の娘たちの師匠で家庭教師なんだ」

「とてつもなく凄いと言うことがわかりました」

「でしょ? その彼女は八意××って言うんだ」

 

今とんでもない喋り方しなかったか。一体どうやって発音するんだこれ。やはり普通の人間では上の世界はやっていけないと言うのか。くっ、未来か過去から来たかはわからんが、主人公みたいに目立つことはないかもしれん。

 

「八意……さん……やっぱり発音が出来ない。どうやって発音するんです?」

 

八意以降の名前を発音しようとすると空気しか出てこない。本当に発音できんのかこれ。

 

「口を開いて」

「あー……」

「そんな感じそんな感じ」

「…………ぐごっ!?」

 

嘘だろ、手を突っ込まれてアゴがとてつもなく痛い。指先で舌をなんかいじられてるし、待って、待って、アゴが、アゴがアゴがはずれるから。あ、ダメだ、はずれるわ。一時だけだ、俺たち頭とアゴはまた会える、忘れないで俺たちの記憶を、そしてその会える、あっ手を抜いてくれたか。

 

「はいおしまい。言ってみて、八意××」

「んごっ! あー、あー。八意××さん………………言えたし!?」

「私にかかれば簡単さ。そろそろ出れるよ」

「凄い大きな建物でしたね」

 

ありのままに今起こったことを話すぜ、長い通路を歩いて口に手を突っ込まれて前を見たら何時の間にか扉の前にいた。何を言ってるか以下略っと。けど本当に何時の間にこの扉の前に居たんだろう。わからんが、なんか凄い機械の恩恵かもしれない。

 

「さあ、ご覧あれ! ツクヨミ都を!」

 

扉が開く。俺の視界はそのツクヨミ都と言われる都市を写す。最初に出た感想は感嘆の声ではなく、驚きの声だった。それは都市を見て驚いたのではない。

 

「高っ!」

「あっ、やっぱりそっちの感想がくるよね」

 

予想してたんかい。にしてもここ高すぎませんかね。周りを見てみるとトップを争う高さだし。高いところ嫌いじゃないけど高すぎて怖いです。でも下にある建物とか、車っぽいものとか、見ると変わらないようでいて俺のいた世界とは全然違う。なんかハイテク感がすごい。

 

「改めて見てここの技術はどう思う?」

「正直、言葉に表せないほどの技術が使われてると思います。こっちの世界では自分の世界より何段も進歩してます」

「それは嬉しいね。この都市を褒めてもらえるなんて。でもね、これだけ進歩してもまだ作れてないものもあるんだ。……タイムマシンとかね」

 

………………なるほど後で話すって言った意味がわかった。こういう風にここの街を見せてもらうことで技術の大体のことがわかる。そしてタイムマシンがない、と言うことは俺は元の時代に帰れないと言うことか。

 

「その顔、理解したみたいだね」

「ええ、でもどうしようもないです」

「そうだね」

 

詰んだな、帰れないとなる以上ここで生きていくことになる。だが学歴どころかここでは俺の存在を証明するものがない。働ける場所がない、住める場所は頼み込んでここに住めればいいが。

 

「それでこれは宮薙くん次第なんだけど働ける場所があるんだよね。住み込みで」

「教えてくださいお願いします!」

「うわぁお、凄い食いつき。宮薙くんは掃除や料理などの家事スキルはあるかい?」

「そこそこある方だとは自負してます」

「なら大丈夫そうだね。わからない機器があったら聞けばいいし……。それで今すぐ働く気はあるかい?」

「はい!」

 

このチャンス、逃してなるものか。我が人生の全てがかかっていると言っても過言ではない。家事は親からキチンと教えられたからな。

ただ、女性物の下着について教えられたのは意味はあったのだろうか。ただ恥ずかしかっただけなんだが。

 

「言質はとった、もう後戻りはできないよ。それじゃ君の職場に行くとしよう!」

「え? どうやって?」

「ほら手を掴んで。飛ぶから」

「手を掴んで飛ぶんですか? 空飛ぶ体験はこんなことでしたくなはぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 

俺は後悔することとなる。ただ働ける場所があるからすぐはたらくとなってはいけないのだと。その職場の周りの人についても聞くべきだったと。

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