命の危険がない平和を求める!   作:逃走経路

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第肆話

酒、それはとても恐ろしい飲み物で飲んでも呑まれるなという言葉もあるほどに恐ろしい。だが、呑まれるようなことがなければ中々に楽しいものであることがわかった。

 

「酒飲んでるとこのフワフワ感がいいんだよね」

「酒は適量を飲めば薬ほどとはいけないけど良いものよ」

「初めて酒というものを飲むけど楽しいな。飲み過ぎには注意しなければいけないが」

 

20歳を超えてないのになぜ飲んでるかと言われたら言い訳をさせてほしい。俺だって最初は飲む気は無かったんだ。酒を飲もうと神様が言った時に俺は水でいいと答えたんだが、水に見せかけた酒を飲ませて来たんだ。

日本では犯罪だ、ここでは合法だ。というか神様に「私の酒が飲めないかい」というかほぼ脅しに近い感じで言われりゃどうしようもないよね。だから俺は剛に入っては郷に従えという言葉を免罪符にして逃げます。

 

「ぷはぁ! 酒を飲み続けるのもいいけど、ちょっと物足りないよね。肴的な何かが。チラッ」

「素直に言えばいいと思う、つまみを作ってって」

「じゃあ、お願いね」

「本当に小間使いなのね」

「男だけどねっと」

 

さてさて、肴を作るように言われたのはいいけどいいのあるかな。ええっと台所はこっちだったよな。どれどれ、何があるかなぁ、何があるかなぁ。おっ、鶏の皮あるじゃん。ならこれでいいね。

 

「フライパンも見つけた。使い方は覚えてる。調味料も見つけた。換気扇もつけた。問題ないかな」

 

さて、まずはフライパンを温めるところからだ。フライパンを温めてからやらないと、食材がくっ付いてしまうからしっかりと温めおかなくちゃいけない。えっ、嘘と思う方は大して温めず油をひき、スクランブルエッグを作ってみればわかる。俺はそれで泣く羽目になった。

ある程度温めてからは油を入れる。そうしておくことでフライパンに食材を入れた時に冷めることはなく、食材の旨味と香りを封じ込めれる。

だいぶ温まったら鶏皮を入れる。この時の火の大きさは中火が丁度いい。片面が焼き色がつくまで炒めてから裏返し、また炒める。出来上がる前に塩、胡椒をかける。

後はキッチンペーパーの上で油を切って皿に盛り付ける。これで完成。

 

「早く持っていかないとなんか言われそうだからダラダラはしてられない」

 

ああ、酒の匂いがまた心を踊らせる。足の動く速度が思わず早くなってしまう。どうしようもない、最初はあんなに酒を飲むのを嫌がっていたにもかかわらず、今では早く飲みたいと思うなんて。即堕ち2コマかもしれん。

 

「出来たぞぉ、鶏皮を使ったけど問題なかったよな」

「うん、大丈夫だから早く早く!」

「わかったから、そんな急かさなくても」

「そんなに急がせたって肴は逃げないわよ」

 

俺と永琳さんに言われたからか少ししょぼくれたけど、皿置いた瞬間食べ始めるとは。一体どれだけ酒と一緒に飲みたかったのか。さて、私もお酒を飲むのを再開させて頂きましょうかね。

 

「ああ、宮薙くんを小間使いにしてよかった」

「男なのに小間使いということに今更疑問を……」

「いいじゃん、細かいこと気にしてたら禿げるよ」

「ハゲてたまるか!」

「大丈夫よ、禿げても私がなんとかしてあげるわ」

「そもそもハゲたくない!」

「禿げる理由としては5a還元酵素って言う物質が男性ホルモン、テストステロンを強力な悪玉ホルモン、ジヒロテストステロンに変換させるんだ」

「ハゲる理由聞いてないから!」

「そしてこの、ジヒロテストステロンの濃度が濃いと、毛根を入れている袋状の組織の毛嚢が衰えて髪が抜けるのよ」

「永琳さんも! 何を言ってるんですか! ハゲの話はもう終わり、ハイ終わり!」

 

これ以上聞いてしまうと本当に禿げになったことを考えてしまう。そろそろ禿げたくないっての。あれ、なんでこんな話をすることになったんだっけ。えっと、うーんと……忘れたからいいか。ハゲのインパクトが強くすぎた。

 

「ハゲハゲ弄ってたけど普通に髪の毛フサフサだし、顔も美形だよね」

「ああ、このパーフェクト? フェイスが数多の女性をメロメロに……出来たらよかったんだけどね」

「それでもいい顔してるから恋人の1人は2人ぐらい出来るんじゃない?」

「大丈夫、そう言った女性たちにすぐ、その自分の恋人が俺だったらと聞いてみたら気まずそうに顔と視線を逸らされたよ」

「悲しいね。もしも恋人が出来るようなことがあれば祝ってあげてもいいね」

「え、まじで」

「出来たらだけどね」

「う、うわぁぁぁぁ!!!」

「あげて下げる、なかなか酷いことするのね」

 

冗談だとしても心にくるものはあるのだ。それをよく覚えていてほしい。学校でも顔はいいのになぜかモテないグランプリ2位という勲章持ちだからな。1位は性格が変態的意味で残念なやつだった。

死を覚悟で周りの女子に俺の評価を聞いてみたんだが、どうやら異性としてみるよりなぜか、ただの友人としてみられることが多いことがわかった。付き合いの長い女子からは気を使う必要のない親友と言われた。嬉しいんだがなんか少し悲しかったな。

 

「でも俺にそういうけど神様と永琳さんはどうなんです? そこのところ」

「私は神だし、こんな姿だからそういう趣味の人や神からはそういう目で見られてるよ」

「私もそれなりには見られてるとは思うわよ。告白されたこともあるし、断ったけど」

「なん……だと……」

「反撃に転換しようとしたら追撃を食らっていた人がいた」

「可哀想に」

「寿命イコール彼女いない歴は俺の背負いしたら業になるのか。でも冷静に考えれば神様と永琳さんは女性としての魅力があるから、仕返しはやる前から負けだったか! ってさりげなく神様を女性扱いしてますけど大丈夫?」

 

幼いとはいえ顔立ちは女性っぽいから無意識的に女性扱いしてたけど、これ間違ったら相当酷いことをしていたことになる。一度男を女性扱いしたことがあってその本人は笑って許してくれたが、もしそれが地雷だったら俺はそのときどうなっていたか。

 

「ふふ、知りたい?」

「ん? 何かあるの?」

「実は言うと私にはきちんとした性別がないんだ。顔立ちが女性よりだからほぼ女性としての扱われてるけど、私としてはどっちでもいいんだよね。男にもなれるし女にもなれるし」

「うわ、神様すごい」

「もっと褒めたまえ。ふふふ!」

「うおおお、神様サイコー、ヒィィィハァァァアア!」

 

そういう目で見られるのってやっぱりそういう人や神たちが特殊なお趣味を持っているからだよな。そう考えるとこの時代がいつかわからんが、俺の時代もこの時代も、そういう趣味を持った奴らは絶対いるってことか。かくいう俺もその領域に足を突っ込んだことあるし。

 

「そういえば宮薙くんには能力があってね、拾った理由も能力が原因だったりするんだ」

「朗報、この世界では空を飛べるだけではなく能力も使える」

「へぇ、能力があったのね」

「その能力は地味そうに見えて、実はとんでもなく強い能力。命の危機を予知することが出来る能力なんだ」

「命の危機を予知する……」

 

確かに一見そこまで強そうな雰囲気は纏ってないな。けど神様と永琳さんはこの能力の強さをわかってるのかそこはかとなく真剣な顔だ。

これは少し俺も真面目になった方がいいな。

 

「この能力、命の危機を予知する力は訓練を重ねれば未来予知に相応しい力を得られるかもしれないんだ。更に生き残る可能性がゼロといっても相応しい状態に置かれても、この能力を頼れば簡単に生き残れる」

「……。つ、つまり、どんな状況下に置かれようとも、能力を使って進むべき道を間違えなければ生きていけることが出来る」

「それだけならいいわ。問題はその能力はどこまで関与してしまうのかということよ」

「どこまでって?」

「ただ単なるその場での命の危機に反応するだけか、暫く後に対する命の危機も含まれるのか、それとも寿命的な命の危機にも反応するのか」

「あっ!」

 

そりゃあ神様も目をつけるわけだ。この能力は下手したら未来永劫、俺が死ぬことなく生き続けていくかもしれず、そのまま放置してるわけには行かない。それを知るのは俺的には恐ろしさも混ざるが、神様も、永琳さんも興味が湧くものだろう。

これがもしその場や、ちょっとした未来の命の危機だけだったらその程度かで終わるかもしれない。でも詳しいことがわからない今は、神様と永琳さんが思い至ったほどの力があるかもしれない、もしかしたら想像を絶するほどにもっと凄い能力かもしれない。だから気になるのだろう。その能力を持ってる自分自身も。

 

「時々無意識下でも発動してるみたいだから、制御は効かないかもしれないね。何もわからない分、それを解明していくのが面白いんだけどね。抑えれないよ、この気持ちは」

「もしも神や人が1という無知から始まってたとしたら、他のことを知りたいという好奇心が、要求が2,3,4って進ませてきた。それに逆らおうなんて無理さ」

「わからないことが出来なかったことが、分かったら、出来たら、それはもう身体も心も喜ぶのよ。それが分かってて抑えれたら文明も感情もここまで人も神も豊かになってないわ」

 

多分ここにいる俺も神様も永琳さんも考えてることは1つ。俺の能力を極限まで解明し尽くすこと。知的要求はきっとどこまでいって治らない。それはきっと進んでいく上で、豊かになっていく上で、絶対に必要になるから。

 

「そうだね、さすが永琳! 私の好き相談相手! 話すと楽しいし唯一無二の親友だよ!」

「それだけ頼りにされて、そう言われると私も嬉しいわ」

「仲が良いの良いことですのぉ」

 

神様は凄い永琳さんを頼りにして、仲も良くて、話すのも楽しそうだ。……うん、何か引っかかるな。何かとんでもない事が書かれているような気がするんだが。

 

「あ、その顔そろそろ気が付き始めたかな。実は言うと」

 

ああ、なんかとてつもなく嫌な予感がするぞ。それも俺の今後に余裕で関わってきそうなランクで。覚悟を決めよう、わざわざ待ってくれてるみたいだし。

……よし、絶対に驚かん。どんな事があっても。神様が実は邪神でしたランクでも驚かん。

 

「そう、実は言うとツクヨミなんだっ」

 

 

 

 

 

 

そうかそうか、ツクヨミかぁ。永琳さんがとても俺を可哀想な目で見てるよ。はっはっは。

 

 

 

 

「…………イイイイィィィィィィイイイヤッッッッフウウゥゥゥゥゥウ!!!!!!!」

 

こんなもの驚くなと言う方が無理だ。

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