魔球闘士イナズ☆マギカ~魔法少女と革命(カゼ)の少年達~ 作:サニーブライト
「どうしてまたこんなに遅れたの?」
さやか
「どーせ去年みたいに狩りに出てたんでしょ?」
それもあるけど、ちょっと深刻な問題が……
杏子
「なんだ?」
使ってるマイパソコンの一部がおかしくなった……
葵
「えーっ!?大丈夫なんですか!?」
まあ、気になるとこが多いけど投稿できないということはない。今回は家に元からあったパソコンで投稿してるんだ……。でも、みんなで使ってるパソコンだから使う時間が限られてるんだよね。自分のパソコンのことで相談できるところが見つかったから時間ができたら持って行くよ。
ほむら
「ただでさえ投稿遅いのにさらに読者を心配させるとは愚かね」
ぐはっ…
というわけで自分のマイパソが少しおかしくなったので投稿がさらに遅くなると思います。でも、投稿を楽しみにしているみなさんの為に何とかしたいと思います。
御心配をおかけしてすみません。今回はできてあった部分をキリのいいところまでお送りします。ではどうぞ。
「ほむらさんの、過去…」
これまで天馬達と共闘することはあれど、友好的な関係を築こうとせず、その本心を決して明かそうとしなかった暁美ほむら。その彼女がついに自分の事を語ると聞き、天馬達は彼女の事を知りたいという関心と彼女と和解したいという衝動に駆られ、耳を傾けていた。
「まず……私はこの時間軸で生きてきた人間じゃない。元々は別の時間軸を生きていたの」
「どういうことですか?」
「私は魔法少女になってから、同じ一ヶ月を何度も繰り返しているの。私が見滝原中学に転入する前日から、ワルプルギスと戦うまで」
「同じ一ヶ月を繰り返している…?それはもしや、君の時間を止める能力と何か関係が…?」
神童がほむらの能力を思い出して問い直す。
「ええ。時間を止め、決められた時間に遡ることが出来る能力。それこそが……まどかの運命を変えるために、私が得た能力(ちから)……」
「まどかさんの運命を変える?」
「そう…私が魔法少女になったのも、私が同じ一か月を繰り返したのも…すべてはまどかの為だった…」
~~回想~~
―――私は生まれつき心臓の血管が細く、急激な運動をしたり、緊張したりすると胸がどうしようもなく苦しくなってしまい、治療の為にあちこちの病院と学校を転々としていた。そのせいで極度の人見知りになり、友達すらできなかった。
『ねえ、あの子、全然勉強できないし、体育も準備運動だけで貧血ってやばくない?』
『でも、入院生活だったんだから仕方ないんじゃないの?』
―――私の周りの人達が当たり前に出来る事を、私だけが出来なくて取り残されてしまったような感覚に陥っていた。そんな私に手を差し伸べてくれたのは……、
『わたし、鹿目まどか。まどかって呼んで』
クラスの保健係をしていたまどかだった。彼女は転校してきたばかりで質問攻めにあって困っていた私を助けてくれた。
『だから、わたしもほむらちゃんって呼んでもいいかな?』
彼女は何のためらうことなく私を名前で呼んでくれた。それだけでなく、彼女は私にとってコンプレックスになっていたその“ほむら”という変わった名前を褒めてくれた。
『わたしは素敵だと思うな。だって、なんか燃え上がれ~って感じでカッコいいんだもん!』
『………名前負け、してます…』
『そんなの勿体ないよ。せっかく素敵な名前なんだから、ほむらちゃんもカッコよくなっちゃえばいいんだよ』
―――だけど、人間そう簡単に変わることは出来ない。何にも出来なくて、人に迷惑ばかりかけている私がカッコよくなれるわけが無いと涙を流した。
『だったらいっそ死んじゃったほうがいいよね』
そんな私は魔女の絶好な獲物だった。魔女の口づけを喰らった私は結界に引きずり込まれ、魔女に食われそうになった。
『い、いやあぁぁ!』
バシュンッ!
『!?』
『もう大丈夫だよ、ほむらちゃん』
そこに現れたのが巴マミと、ピンク色の服を着た魔法少女のまどかだった。
『か、鹿目さん…?』
『彼女達は魔法少女』
そこに、あの白い生物が現れた。
『魔女を狩る者たちさ』
それから二人は、魔女に向けて光の弾丸と矢を撃ち続け、魔女を倒した。
『いきなり、秘密がばれちゃったね。クラスのみんなには内緒だよ?』
その時から私は魔法少女の事に関わるようになった。
『鹿目さん、魔女は心の弱い人を狙うんでしょう?だったら、私なんか…』
『大丈夫だよ、ほむらちゃん。マミさんがいるし、わたしもいる。心だって少しずつ強くなっていくよ』
『でも、あなたは平気なんですか?怖くないんですか?』
『……なんてえらそうな事言ってるけど、わたしも怖がりだったんだよ。人よりずっと弱虫だったんだと思う。けれど今は魔女をやっつければそれだけ大勢の人を助けることが出来て……それが、怖さより嬉しいの。わたしなんかが人の役に立てていることが嬉しいんだ』
そんな彼女が…弱虫だった私には眩しすぎて………そんな彼女に憧れている自分がいた。
―――そして、見滝原の街をワルプルギスが襲った…。巴マミは戦いの中で死んでしまい、戦えるのはまどかだけになってしまった。
『……じゃあ、行ってくるね』
『そんな、巴さん、死んじゃったのに…』
『だからだよ。もうワルプルギスの夜を止められるのは、わたししかいないんだから』
『無理よ!一人だけであんなのに勝てっこない!鹿目さんまで死んじゃうよ!』
『それでも、わたしは魔法少女だから。みんなのこと守らなきゃいけないから』
『でも…!』
『ほむらちゃん、今しか言えないから……言っておくね』
『…?』
『わたし、あなたと友達になれて嬉しかった』
『!』
『あなたが魔女に襲われた時、間に合って……今でもそれが自慢なの。だから魔法少女になって本当に良かったって、そう思うんだ』
『鹿目さん…!』
『さよなら、ほむらちゃん。元気でね』
そう言ってまどかはソウルジェムを輝かせ、ワルプルギスに向けて飛び立っていった。
『……いや……嫌ぁ!行かないで!鹿目さぁん!!』
私は自らの命を犠牲にするまどかに向けて、ただ泣き叫ぶことしか出来なかった…。
『ひっく……ううっ…』
―――その後ワルプルギスが去り、雨が降る中で私は眠るように目を閉じているまどかの亡骸を前に再び泣き叫んでいた。
「鹿目さん…!どうして……死んじゃうってわかってたのに……私なんかを助けるよりも……あなたに生きててほしかったのに……」
私を救ってくれたまどかがどうして死ななければならないのか、彼女を犠牲にしてまで生き残った自分に価値があるのか、私にはわからなかった。私は自分を責めた。こんな弱虫で無力な自分が生き残っても意味なんて無い。こんな自分よりまどかが生きててくれた方が良かった。まどかを助けられない今の自分なんていらないと思えるぐらい、私は自分を責め続けた。
『その言葉は本当かい?』
そんな私に、あの白い生物が狙いをつけた。
『暁美ほむら。君は、その祈りの為に、魂を賭けられるかい?戦いのさだめを受け入れてまで叶えたい願いがあるなら、僕が力になってあげられるよ』
今となってはそれは悪魔との契約だったけど、その時の私は悪魔に頼ってでもまどかを助けたかった。自分を変えたかった。
『あなたと契約すれば、どんな願いも叶えられるの?』
『もちろんさ、どうやら君にはその資格がありそうだしね。教えてごらん。君はどんな祈りでソウルジェムを輝かせるんだい?』
私は涙を拭って迷うことなく願いを告げた。
『鹿目さんとの出会いをやり直したい。彼女に守られる私ではなく、彼女を守れる私になりたい』
~~~~~~
「これが…私の魔法少女としての始まりよ」
「じゃあ、あなたはまどかさんの為に……」
「そう、まどかは私にとってかけがえのない存在だった。そして魔法少女になった私はすぐさま時間遡行を行い、巴マミの指導を受けながら自分の戦い方を身に着けていった」
ほむらは当時の事を思い出すように目を閉じた。
「あの頃は本当に楽しかった……時間停止を利用した戦い方を習得するには苦労したけど、まどかと一緒に魔法少女として頑張っていた時が楽しくて仕方なかった。この力があればまどかや巴マミを救えると……自分が人の役に立てる存在になれると思えたわ。前の時間軸のまどかの気持ちがわかった気がした」
―――『やったね、ほむらちゃん!』
魔法少女のまどかの笑顔がほむらの瞼の裏に甦っていた。まどかの笑顔はほむらにとって時に癒され、時にくじけそうな時の励みになっていたのだった。
「ほむらさん…」
「その後三人がかりで見滝原に襲来したワルプルギスと戦い、残念ながら巴マミはまたも戦死してしまったけど、まどかだけはなんとか守る事が出来た」
「あ…結局マミさんだけは死んじゃったんだ…」
「さやかさん、シッ!」
「あ…」
「………(ズ~ン)」
失言したさやかに向けて仁美が人差し指を立てる一方でマミが沈んでいた。
「ところがその直後、まどかは突然苦しみだし魔女になってしまった…」
「「「ッ!」」」
~~~~~~
『すごく、疲れたね…』
『………』
『………鹿目さん?』
『ううぅ……あぐうぅぅぅ!』
―――まどかは突如苦しそうに胸を押さえてのたうちまわっていた。
『鹿目さん!?どうし……!?ソ、ソウルジェムが真っ黒に…な、なんで…!?』
『あ……ああああぁぁぁぁッ………』
その直後、まどかのソウルジェムはひび割れ、中からワルプルギスを凌駕するほどの禍々しさと力を持った魔女が誕生し、まどかは息絶えた。私は何かを間違えたと思い、夢中で時間遡行を行った。その時、あの白い生物の赤い目が禍々しく輝いていたのを見た。
『………みんな、騙されてる……伝えなきゃ……伝えなきゃ!』
~~~~~~
「その時初めて、魔法少女が魔女になるって知ったんだな…」
杏子が低い声でほむらに訊く。
「ええ…私たち魔法少女は皆キュゥべえに騙されているとようやく気が付き、皆を助けるために再び時を遡ったわ。それが私の長い旅と言う名の地獄とも知らずに…」
「でも、再び時間を戻したあなたはまどかさん達に伝えたんですよね?」
今度は葵がほむらの話にわずかでも救いがあると信じて尋ねた。
「ええ、でも誰も信じてくれなかった……当然よ。私にとって馴染みのある人たちでも、その時間軸の彼女たちにとって私は突然現れたただの転校生でしかない。その時は私自身も、まだ魔法少女のシステムの全てを理解してなかったのだからうまく説明できるはずが無かった……いきなりキュゥべえに騙されていると言っても信じてくれるはずが無かった…」
「ほむらちゃん、かわいそう…」
茜が悲しげな顔でほむらに同情する。
「暁美さん……なんだかごめんなさい…あなたの話を私が信じなかったばかりに…」
話を聞いて罪悪感を感じたマミが申し訳なさそうに謝罪する。
「いいえ。それは今のあなたには関係ない。謝る必要なんてないわ」
「ありがとう……そう言ってくれると気持ちが楽になれるわ……それで、その後は…?」
「その後、何故かその時間軸では既に魔法少女になってた美樹さやかと隣町からやってきていた佐倉杏子とも共闘する事になり、剣や槍を使った近接攻撃を得意としていた彼女達とも連携を取れるようにするためにに新たな戦い方を模索した。でもそれを習得出来たのは美樹さやかが魔女になる前日だった」
~~~~~~
『……さ、さやかちゃん!しっかりして!』
『テメェ一体何なんだ!?さやかに何をしやがったッ!?』
『グオオオォォォッ』
―――どんなにまどか達が叫んでも、彼女が答えることは無かった。
『………ごめん、美樹さん…』
元に戻す方法も無かったために私は彼女を倒すしかなかった…。
~~~~~~~
「そして巴マミが、魔法少女の真実を美樹さやかの魔女化という最悪の形で知った為に、昨日のように心中を図って私を拘束し、佐倉杏子のソウルジェムを打ち砕いたわ」
『―――みんな死ぬしかないじゃない!!』
「あたし達……ほむらが体験した出来事を繰り返すところだったんですね…」
「ええ…」
さやかとマミは改めて自分達の行いと心の弱さを恥じていた。昨日の自分達のもう一つの結末とも言えるほむらの体験を繰り返すことなど今の彼女達にとっても御免こうむるのであった。
「そして私を拘束した巴マミを、彼女のソウルジェムをまどかが打ち砕くことで止めたわ」
「鹿目さんが…!?」
「ええ。その時はまどかも泣き崩れたわ。私を助ける為だったとはいえ、結果的に自分も同士討ちをすることになってしまったのだから。その後、私はまどかを支えつつ二人でワルプルギスと戦った。なんとか撃退出来たけど、私もまどかもソウルジェムが限界だった…」
~~~~~~
『わたしたちも………もう、おしまいだね……』
『鹿目さん……グリーフシードは…?』
―――私の質問にまどかは静かに首を横に振った。
『そっか…』
『ねえ、鹿目さん……このまま二人で怪物になって、こんな世界、何もかもめちゃくちゃにしちゃおうか……』
私はあまりにも辛すぎる事の多かった人生と世界に絶望し、まどかと共に魔女になろうと思った。冷たすぎる世界の中で唯一の陽だまりだったまどかと共に死ねるなら本望だった。
『嫌なことも、悲しい事も、全部無かった事にしちゃえるぐらい、壊して、壊して、壊しまくってさ……それはそれでいいと思わない?』
全てを投げ出して、まどかと共に魔女になれるなら、私はためらうことは無かった。あなたと一緒なら、たとえ魔女でも……。
―――こつん。
『え?』
気が付くと、まどかがあの春色の微笑みを浮かべながら私の手のひらのソウルジェムにグリーフシードを重ね、その穢れを浄化していた。
『さっきのは嘘。一個だけ取っておいたんだ』
『そんな……なんで、私に…』
『わたしにはできなくて、ほむらちゃんにできること、お願いしたいから……』
『お、お願い…?』
『ほむらちゃん、過去に戻れるんだよね?こんな終わり方にならないように、歴史を変えられるって、言ったよね……』
『う、うん……』
『だとしたら、お願いがあるの……』
まどかは自らのソウルジェムから黒い瘴気と共にその瞳から涙を溢れ出させながら言った。
『キュゥべえに騙される前、バカなわたしを……助けてあげて……くれないかな…?』
『!』
その言葉は私の心に深く突き刺さり、涙があふれた。私は声にならない声で承諾し、まどかの手を握りしめた。
『……約束するわ!絶対にあなたを救ってみせる!何度繰り返すことになっても、必ずあなたを守ってみせる!』
『……良かった』
まどかが微笑んだ直後、苦悶の表情を浮かべた。彼女のソウルジェムもいよいよ限界が近かった。
『……もう一つ、頼んでいい?』
『……うん』
私はその時のまどかが何を頼むのか、既に悟っていた。
『わたし、魔女にはなりたくない……』
そう言ってまどかは震える声で黒ずんでひび割れているソウルジェムを差し出した。
『嫌なことも、悲しい事もあったけど、守りたいものだってたくさん、この世界にはあったから……』
『まど、か……』
『えへへ……ほむらちゃん、やっとわたしを名前で呼んでくれたね……嬉しい、な……』
そのまどかの最期の微笑みも、もう涙で目が霞んで見えなくなっていたけど、彼女のその想いに答えるために私は立ち上がり、魔法少女に変身した。
『うう…!うああぁぁぁッ……!』
そしてまどかのソウルジェムに拳銃を向け、引き金を引いた。
誰も……未来を信じない……誰も、未来を受け止められない……だったら、私は
―――もう誰にも頼らない。
~~~~~~
「それからはまどかだけを救うためだけに動いていた。キュゥべえがまどかを魔法少女にしようとする時は必ず阻止し、彼女が契約する要因を全て潰していった。まどかを救うためなら誰にも理解されなくとも、他の誰を犠牲にしようとも構わなかった。でも…何度繰り返してもワルプルギスを倒せず、その度にまどかは魔法少女になり、多大なる魔力を制御しきれず魔女になってしまった……ワルプルギスをはるかに凌駕するほどの魔女に」
「「「………」」」
話しを聞き終えた天馬たちは重苦しい表情を浮かべていた。彼女の戦いはあまりにも壮絶すぎており、全く救いのない話を聞かされて平静でいられるほど彼らも出来た人間では無かった。
「ほむらさん……あなたはずっと一人でそんなことを……」
天馬は思った。大切な誰かを救えなかった絶望を何度も味わい、それでもたった一人で戦い続けることなど自分には出来るだろうか。否、これまでどんな絶望が押し寄せようとも乗り越えて戦い続けることが出来たのは皆が、仲間たちがいたからだった。しかし、ほむらは同じ絶望を何度も味わいながらもたった一人で戦い続けてきた。まどかを救うために想像を絶する絶望に耐え続けてきたほむらは心から凄いと天馬は思った。
「ほむらさん。君が何故魔法少女の真実やさやかさんの魔女の事を知っていたかはわかった。だが、君とまどかさんの二人でワルプルギスに敵わなかったのなら、マミさん達と改めて共闘しようとは思わなかったのか?」
神童がほむらの話で心が重くなりながらも尋ねた。
「もちろん、まどかを助けると約束した後も巴マミ達を戦力として共闘させようとしたわ。でも、それはあまり頼りに出来なかった。何故なら、彼女達はほとんどの時間軸でワルプルギスと戦う前に死んでしまったのだから」
「「「なっ!?」」」
ほむらのマミ達の死亡宣言に全員が驚愕した。
「そのほとんどの理由が魔女に殺されたり、美樹さやかが魔女になった事を切っ掛けに巴マミが心中を図った事だったわ」
「ちょ、ちょっと、何そのあたしのせいで皆死んじゃったみたいな言い方!ちょっと傷つくんだけど!」
「実際あなたが魔法少女になった場合、ほとんどの確率で魔女になってたわ。主に上条恭介の事で」
グサッ!
ほむらの言葉の槍がさやかの心を貫いた。自分の精神の脆弱さをもろに突かれた瞬間だった。
「うう…」
「さ、さやか…今は違うじゃないか。こうして僕は君のそばにいるんだし…」
「そ、そうですわ、さやかさん!今こうして上条君と結ばれているのですから…」
どんよりと気落ちするさやかを恭介と仁美があわてふためきながら必死に慰めていた。
「お前ら……どんだけメンタル弱いんだよ…」
「さ、佐倉さん…」
杏子が呆れ顔でさやかとマミを睨む。実際に同じことを繰り返そうとしてしまっただけにマミも反論できなかった。
「巴マミが既に死亡して美樹さやかが魔女になった場合、大抵の時間軸で佐倉杏子が昨日のようなセリフを吐いて心中したわ」
「ブッ!///」
杏子は赤面しながら吹きだした。昨日の戦いで自分がやった事は実は過去の時間軸で何度もやった事であり、その回数と恥ずかしさは既に蒸し返すというレベルを超えていたのだった。
「アンタだって結構バカな事をやってんじゃないww」
「うるせえ!そもそもそりゃお前のせいだろが!///」
にやけるさやかに杏子はトマトのように顔を真っ赤にして怒鳴る。
「話を戻すけど、そんな風にあなたたち三人の内誰かが死亡することがほとんどで全員と共闘できるなんてごく稀だった……戦力不足の時はもちろん、四人で挑んでも結局ワルプルギスは倒せず、その度にまどかは魔法少女に……魔女になってしまった…」
「ほむらさん……」
「その度に私は時間遡行を行い、同じ時間を繰り返した……でも結局まどかどころか戦力の為の魔法少女達も死なせてばかりだった…」
ほむらは目を閉じ、これまでの時間軸で起きた出来事を思い出しては憂い募らせる。そんな彼女の姿に場の空気が一気に暗くなり、天馬達も表情を曇らせていた。
「そんな中、この時間軸で―――」
ほむらはゆっくりと目を開け、一度まばたきをしながら右を見る。さやか、マミ、杏子、恭介、仁美の5人はその視線を追うように左を見る。
「あなた達が、現れた」
「……俺達が?」
彼女達の視線は異世界からの訪問者である天馬達に向けられていた。
「これまでの時間遡行の中であなた達は一度たりとも現れなかった。でも私はあなた達のようなイレギュラーな存在を信用していなかった。何故なら、まどかが別のイレギュラーに殺された時間軸があったから」
「なっ…!?」
「まどかさんが!?」
「私は最初、あなた達の事をただのサッカープレイヤーとしか認識していなかった。でもあなた達は不思議なボールと指輪、そして何より化身という力を使って魔女と互角以上の戦いを見せた。ワルプルギスと戦うための戦力にしようとまで考えるほどに」
「「「!」」」
「アンタ、天馬達まで利用しようと……」
ほむらの考えにさやかが憤慨する。
「でもあなた達は私の手には余るほど大きすぎて、眩しすぎた……何故ならあなた達は、私が失ったものを持っていたから…」
「失ったもの?」
「それは―――『諦めない心』よ」
「「「!!!」」」
ほむらの言葉に全員が反応した。
「私はこれまで、まどかが魔法少女にならずに生き延びればいいと思い、他の魔法少女の事をただの戦力としか考えず、死んでしまおうと魔女になろうと対して気に留めようとしなかった。でも、あなた達はどんなピンチになろうとも、どんな絶望が襲いかかろうとも決して諦めず……また、誰一人見捨てようとせず希望を掴みとり、魔法少女達の運命を変えていった……松風天馬、あなたを中心に」
そう言うとほむらは体を天馬の方に向ける。
「あなたは以前私にこう言ったわね……私が自分に嘘をついていると、諦めたくないのに諦めていると」
「は、はい…」
「全てあなたの言うとおりだったわ……」
「え?」
「私はこれまでまどかだけを救おうと思っていたけど、本心ではきっと他の魔法少女達も救いたかった……でも、誰も魔法少女の真実を受け止められない事から彼女達を諦め、救おうとする気持ちを心の奥に閉じ込めていた……まどかは、自分一人だけが助かっても喜ぶはずが無いのに……今にして思えば、まどかが私に頼んだことも、きっとそういう意味だったのよね…」
(―――仲間を守れない様じゃ何も守れない!)
天馬がお菓子の魔女戦の時に言っていた言葉を思い出し、その意味を理解しては自己嫌悪して暗い顔をするほむら。
「そしてあなた達はこれまで私が出来なかった事を次々と成し遂げてしまった。巴マミの心と命を救い、魔女化した美樹さやかを元に戻し、それによる佐倉杏子の心中も阻止した……その結果、三人の魔法少女達が現時点においても全員生存しており、事情を知った上条恭介と志筑仁美も協力してくれている。今までの時間軸でここまでの布陣になったことは一度も無かった……」
ほむらが語る自分達の現状はマミたちもその身に染みていた。彼女達はただ命を救われただけでなくそれぞれ大切なことを学んだ。マミは自分自身の本当のあり方を、さやかは意地を張らずに誰かに助けを求める素直さを、杏子は信念の再起を、恭介は自分を支えてくれる存在の大切さを、仁美は本当の友情のあり方を学び、魔法少女の残酷な真実も乗り越えることも出来た。そんな五人の心を成長をさせたのは間違いなくチーム雷門であり、彼女達もその事に心から感謝していたのであった。
「私は、あなた達に謝らなければならないわ」
「「「え?」」」
ほむらのいきなりの謝罪宣言に全員が首を傾げる。
「魔法少女達はもちろん、全く無関係のあなた達を魔女と戦える力が有ると言う理由だけでワルプルギスと戦う戦力にしようと利用することまで考えていた。でもようやくわかった……いえ、思い出したと言うべきでしょうね……どんな理由があろうと、他の人たちのことを蔑ろにしてはいけない。誰かを利用し、自分だけ満足すればいいなんて考えで運命に勝てるわけが無かった……」
そしてほむらは体の向きを正して全員と向き合うと、
「皆……本当に、ごめんなさい……」
「「「……!」」」
心から詫びるように深々と頭を下げたのだった。これまでとは別人と思えるほど弱々しいほむらの姿に一同は困惑し、言葉が詰まってしまう。
「………」
そんな中で天馬がスッと立ち上がった。
「……辛かった、ですよね…」
「!」
予想外の言葉にほむらは思わず顔を上げる。
「何度も大切な人を失って……その辛さを誰にも理解されなくても、たった一人で戦い続けるしかなかったんですから……俺だったらきっと、耐え切れなくてどうかしちゃいますよ。でも、やり方はどうあれ、大切な友達の為にそこまで戦い続けるなんて、ほむらさんは凄いですよ」
「………」
優しげに慰めるような天馬の一つ一つの言葉がほむらの心に染みわたる。
「それに、そんなほむらさんが俺達の諦めない心をわかってくれて……俺は嬉しいですよ!」
「……!」
ほむらは天馬の予想外の言葉に唖然とし、その心はまるで羽が生えたように軽くなった。自分達を利用しようとしていたというのに、怒るどころか自分の気持ちを理解し、凄いと言ってくれた。ここまで優しく強い心を持った人間と出会ったことが無かったほむらは逆に凄いと驚いていた。
「松風天馬……」
「―――こんな所で作戦会議かい?」
「!?」
その時、ほむらから見て正面、天馬達から背後からあの無機質な声が響いた。
「キュゥべえ!?」
「お邪魔させてもらうよ」
天馬が振り向くと、招かれざる客がこちらに向かって可愛らしく歩み寄っていた。
というわけでBパートでした。
ホントはBパートで終わらすつもりでしたがパソコンの事と文章が長すぎてまたしてもCパートまで描くことになりました。
正直、これまでマイパソがおかしくなったことは無かった故に結構焦ってます。
でも続きを待ってくださる皆様の為に何とかしようと思っています。自分もこの小説書くの好きなんで。
もし完全復活したら一気に話を進めたいと思います。更新を気長にお待ちしてくださるとありがたいです。
ご感想お待ちしております。