魔球闘士イナズ☆マギカ~魔法少女と革命(カゼ)の少年達~   作:サニーブライト

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狩屋
「ようやく投稿か~これまた長かったね」


「始めと終わりは考えてたけど、その間の話で相当悩んでいたみたいだよ」

狩屋
「あとマギレコだろ。色んなイベントやってる間に織莉子さんまでドッペル出せるようになっちゃったよ。でも織莉子さん達、未だに自分達の魔法少女ストーリーしか出番が無いんだよね~」


「か、狩屋君!後ろ!」

狩屋
「後ろ?あれ、織莉子さん何でドッペル出して…」


ーーードゴォォォォォン





ふう。今回は狩屋にやられ役を任せてよかった。


というわけで皆さん、これまたお久しぶりです!
今回も待たせてしまってすみません。

では早々に本編に……



「ちょっと待った!」


ム!その声は明日人!一緒にいるのはいろはか!


明日人
「作者さん!その前に作者さんにも、やらかしてしまったことに関してお仕置きを受けてもらいますよ!」

いろは
「明日人君、どういうこと?作者さんが最新話を投稿するって聞いた途端ここまでわたしを連れてきて……それにやらかしたって?」

明日人
「それは前回の投稿にあります。その時マギレコでは何がありました?」

いろは
「え?あったことっていえば、今、復刻しているわたしたちのサマーイベント?」

明日人
「はい。奇しくも、そのイベントが復刻しているときに話すことになりましたが、作者さんはあることを見逃していました」

いろは
「もしかしてわたしの誕生日?でも、作者さんはちゃんと祝って……」

明日人
「そのことについて問題ありません。作者さんはもうわかってるんじゃないですか?」

な、なんのことだろうか?

明日人
「とぼけてもムダです!いろはさんの誕生日を俺を通じて祝った時、あなたはまだ知らなかったでしょう………




『イナズマイレブン』の名主人公、円堂守さんの誕生日もいろはさんと同じ、8月22日だったことを!」




いろは
「えええええぇぇぇぇっ!?そうだったの!?」

明日人
「はい。というのも実は初代『イナズマイレブン』の発売日とマギレコのリリース日が同じ8月22日なんです」

いろは
「そうなの!?」

明日人
「そして去年1月に行われた『イナズマイレブン大復活祭』で配布されたライセンスカードで円堂さん、そして今復刻中の、去年の夏に行われたマギレコのサマーバケーションでいろはさんの誕生日がそれぞれの記念日に決まったんです。作者さんは大復活祭に行けなかったから知らなかったんですよね」

いろは
「同じ年にわたしたちの誕生日が決まったってこと!?イナイレは11年前に始まって、マギレコだって2年前に何度もリリースを延期して日にちが決まったんだよ!?」

明日人
「そう、この小説にとってはまさに奇跡としか言いようがありません。なのに作者さんは円堂さんを祝えませんでした。なのでいろはさん!」

いろは
「うん!わたしも作者さんにお仕置きです!」


くっ!だが自分にも責任はある!甘んじて受けよう!ジャイアントいろはか?暗黒いろはか?

いろは
「ストラーダ・フトゥーロ!」


ただのマギアか!それならば耐え抜いてみせ……。


明日人
「はあああああぁぁ!」


アレ?なんで明日人が『シャイニングバード』の体勢に?しかもオーバーヘッドした明日人のボールにストラーダ・フトゥーロの光が集まって!?


明日人・いろは
「『グローリア・バード』!!!」


オーバーライドォォォォォォォ!!!






安名メル
「ちなみに8月22日生まれの人は『誰も思いつかないような豊かな発想力とパワフルな実行力を持っている人』、
『真面目で爽やかな印象を与える一方で普段の様子からは想像もできないような情熱を秘めている』カリスマタイプだそうです!前半は円堂さん、後半はいろはさんにぴったりですね!」



はい、前座はここまで。

投稿がまたも遅れただけでなく、前回、イナイレとまどマギのクロスオーバーを書いてる者として失態をさらし、申し訳ございませんでした。今年こそ二人共祝ってあげたいと思います。


こんなんでも読み続けてもらえると本当にありがたいです。

それではどうぞ。











第18話『漆黒の愛』 Bパート

~~街中~~

 

 

 

「ごめんなさいね信助君。買い物に付き合わせちゃって」

 

「いいえ。いつもお世話になってますから、これくらいお安い御用ですよ」

 

買い物袋を頭の上に乗せ、落ちないように両手で支えながら歩く信助。この日の休日、マミは買い出しに出ており、信助もその手伝いをしていた。

 

「一緒にご飯を食べる人数も増えてきたから、余分に買っておかなきゃならないしね」

 

「すいません。僕達の為に…」

 

「いいのよ。お金はワンダバさんが支援してくれてるし。まあ、さっきの話を聞いたら、どこで稼いでるのか聞くのが怖いけどね……」

 

「ははは……」

 

苦笑する二人。アンドロイドがどうやって稼いでいたのか気になるが、世の中には知らない方が良いこともあったりするので二人は深く考えないようにした。

 

「まあ、それはそれとして……新しく来た霧野君はどんなDFなの?」

 

「霧野先輩ですか?そうですね……いつも冷静に状況を把握して、他のみんなが安心して攻撃できるよう立ち回ってチームを支える人ですね。神童先輩もチームメイトであり親友として深く信頼してます」

 

「そういえばさっきの神童君もそんな感じだったわね。私も佐倉さんとコンビを組んでいた時の事を思い出したわ」

 

「昔のマミさん達を?」

 

「ええ。佐倉さんも私をマミさんって呼んで、私も先輩として、相棒として彼女を信頼してたわ。一度は仲違いしてしまったけど、帰ってきた佐倉さんはやっぱり昔のままだった。目の前で困っている人をほっておけない。小さい子の面倒も見てくれる優しい子だったわ」

 

「ゆまちゃんの事ですか?」

 

「ええ。あんな幼い子が魔法少女になってしまったのは驚いたし、私だってほっとけないわ。でも、佐倉さんがゆまちゃんを気に掛けた一番の理由はきっと妹さんと重ねてしまったからでしょうね」

 

「ゆまちゃんと杏子さんの妹さんって似てるんですか?」

 

「私は会ったことがあるけど、外見は似てないわ。でも佐倉さんに甘える様子はよく似ていたわね」

 

「その子がいつか魔女になる運命を背負ってしまった……これからは僕達もゆまちゃんを支えていかなければなりませんね」

 

「ええ。魔法少女としても、人生の先輩としてもね」

 

話しながら気を引き締める二人。このままではいつか自分は魔女になる。そんな呪われた宿命をゆまはまだ知らない。そんな残酷な真実を幼き少女に告げるのは酷だと天馬達が判断したからだ。それ故に自分達がゆまを守らねばと全員が決意を固めていた。自分達より幼く弱い者が現れたことによって、自分達がしっかりしなければならないという責任感が芽生えていたのであった。

 

「新しい魔法少女といえば、佐倉さんの言っていた織莉子という人が気になるわ…」

 

「もしかしたら、これまで何度も時間をやり直したほむらさんなら何か知ってるかもしれませんね」

 

「そうね。その可能性はあるわ。早く帰って来な……」

 

 

 

「うわあぁぁぁぁっ!!!」

 

 

 

「ん?」

 

「何かしら?」

 

横を見るとそばの花壇の向こう側で黒いショートカットの髪の少女が慌てふためいていた。

 

「ない!ないよ!ないよぅ!うわあああああっ!!!」

 

どうやら失くし物をしたが見つからないようで、まるでこの世の終わりを迎えたかのような顔で喚き散らしていた。

 

「どうしよう!ないよ!ないっよー!もうダメだ、生きてられない!さよなら私!」

 

「だ、大丈夫かしら、彼女……」

 

「……ん?」

 

マミが心配する一方、信助は足元に何かが落ちていることに気がつく。拾ってみると、それはウサギのぬいぐるみが付いたストラップだった。

 

「マミさん。もしかしてこれ……」

 

「ええ、そうかもしれないわね。ちょっと訊いてみましょうか」

 

マミは信助からストラップを受け取り、少女に近づいてみる。

 

「あの……もしかして探し物はこれかしら?」

 

マミの呼びかけに少女はぐるんと振り返る。そして次の瞬間、目にも止まらぬ速さでマミからストラップをかっさらった。

 

「ウワあぁ!会いたかった!もう離さないよー!」

 

少女はストラップを大事そうに抱えながらへたり込んで泣きわめく。ストラップを失くしただけでここまで大袈裟に騒ぐ少女に二人は困惑するばかりだった。

 

「な、なんだかヘンな子ね……」

 

「とりあえず、見つかって良かったですね。それじゃ僕達はこれで……」

 

「待ってほしい」

 

少女は座り込んだまま、マミの服を掴んで呼び止めた。

 

「キミ達のおかげで愛は死なずに済んだよ。私は(くれ)キリカ。恩人達にお礼をしたい」

 

「え?あ、愛?」

 

「恩人って…」

 

これまた重すぎる表現についていけず、二人はますます混乱する。

 

「そんな、そこまでしてもらう程の事じゃありませんよ」

 

「そうはいかないよ、おチビの恩人!」

 

「お、おチビって……」

 

「ダメ!?恩人達はお礼を拒否するの?」

 

キリカは涙目で叫ぶと、すんすんと寂しそうな動物のようにぐずりだした。変わってはいるが、感情豊かで素直な少女にマミは「くすっ」と可笑しく笑った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「恩人達はほんとーにそれでいいの?」

 

「ええ。奢ってもらって本当によかったのかしら?」

 

「むしろ足りない!私の愛がこんな薄いお菓子と同じだと思われたくないよ」

 

マミと信助はキリカと共に移動し、クレープを奢ってもらった。キリカは不満そうに顔を膨らませるが、マミは満足しており、信助も美味しそうにクレープを頬張っていた。

 

「愛、ね。それ、誰かからのプレゼントなのかしら?」

 

マミはキリカの腰から下げているストラップを見ながら尋ねた。

 

「え?あ、うん。そうだよ」

 

「大事な人なのかしら?」

 

「うん。私にとって彼女はとっても大事なんだ。いや、大事なんて言葉じゃ足りなさすぎる。だから私は彼女に尽くすんだ」

 

「尽くす?」

 

「そう」

 

キリカは少し歩幅を広げて前に出るとピタッと立ち止まる。それに合わせてマミも立ち止まり、信助も最後の一口を食べ終えて足を止める。

 

「恩人達はわかるかい?愛するということは尽くすってことなんだよ。逆を言えば尽くせなくなったらそれは愛じゃなくなってしまうんだ」

 

「呉さん?」

 

背中を向けたまま語るキリカに不穏を感じるマミと信助。肩に力が入り、わずかに緊張感が漂っていた。

 

「だから私は彼女への愛の為に尽くし続ける。だって……」

 

ここでキリカはくるりと振り返り、空虚な目で告げた。

 

 

 

「愛は、無限に有限なんだよ」

 

 

 

直後、地面から真っ黒な泥のようなものが広がり、辺り一帯を包み込んだ。

 

 

 

 

~~魔女結界~~

 

 

 

黒く覆われた景色が明るくなると、無数の巨大な毛糸玉と、そこから伸びた糸があちこちに張り巡らされた空間に変わっていた。

 

「結界…!」

 

「へ?これって…」

 

「信助君、とりあえず彼女を!」

 

「はい!キリカさん、こっちです!」

 

「う、うん」

 

マミは二人を近くの毛糸玉の影まで下がらせる。すると上空から魔女がマミの前に降り立つ。それはネコの顔が二つ組み合わさったような頭部に、太い一本爪を生やした8本の腕を持つ魔女だった。

 

「うわぁ、これまた不気味な……マミさん、気をつけてください!」

 

「ええ、すぐ終わらせるわ!」

 

マミは変身するとマスケット銃で魔女を撃つ。魔女はすぐさま躱し、マミに接近しながら腕を振り下ろしてくる。

 

「この!」

 

マミも連続で突きを躱しつつ弾丸を撃ち込む。魔女も負けじと弾丸を躱しては攻撃を繰り返す

 

「はっ!やっ!」

 

「―――!」

 

そのまま互いにヒット&アウェイの戦法が続いた。すると魔女は痺れを切らしたのか、天井にまで飛び上がると毛糸玉の一つを蹴り落とす。

 

「こんなもの!」

 

マミは即座に撃ち砕く。しかし、それを目くらましにするように割れ目の影から魔女が飛び出した。

 

「くっ!」

 

マミはギリギリのところで銃を盾にして追撃を防ぐ。やはり今回の魔女も一筋縄ではいかないようだ。

 

「このままじゃ……周りに使い魔はいない……キリカさん、ちょっとだけ離れます!小さい怪物がいたらすぐに逃げてください!」

 

「うん」

 

キリカの相槌を確認すると信助はマミの元へ駆け出した。

 

「………」

 

直後、キリカがニヤリと微笑んだことに信助は気づかなかった。

 

 

 

 

 

 

「く、ううう!」

 

魔女は4本の右腕でマミに突き立てる。マミは銃で受け止めながら堪えるが徐々に押されていき、押し切られるのは時間の問題だった。そして魔女は更に追い打ちをかけようともう片方の腕を振り上げる。

 

「マジン・ザ・ハンド!」

 

そこへ横から信助が化身技を繰り出して魔女を突き飛ばす。空中に吹き飛ばされた魔女は身動きが取れなかった。

 

「今です、マミさん!」

 

「ええ!ティロ・フィナーレ!!!」

 

信助が作った隙を逃さず、マミは大砲を撃って魔女を飲み込む。そしてグリーフシードに変わるとマミはすかさずリボンを伸ばして回収する。

 

「助かったわ。ありがとう信助君」

 

「へへ、当然の事ですよ」

 

「呉さんは大丈夫なの?」

 

「あっ、そうでした!」

 

信助はすぐさま毛糸玉の裏を確認する。

 

「もう大丈夫ですよ、キリカさ……アレ?」

 

「どうしたの?」

 

「キリカさんがいません!さっきまでここにいたのに!」

 

「え!?まさか使い魔に…!」

 

「だったら、結界が消える前に見つけないと……アレ?」

 

キョロキョロと周りを見わたす信助。だが、その様子はキリカの安否ではなく周りを気にしているかのようだった。

 

「今度はどうしたの?」

 

「マミさん、おかしくありません?魔女を倒したのに結界が消えない」

 

「確かに……いつもならとっくに元の世界に戻ってるはずだけど……」

 

 

 

「さすが恩人達だね。見事なもんだよ」

 

 

 

見上げると、ヒラヒラの白地が付いた黒を基調とした服と眼帯を付けたキリカが上空の毛糸玉から見下ろしていた。

 

「呉さん!?その格好は…!」

 

「中々のコンビネーションだったね。少しばかり手こずっていたから割り込もうかと思ったよ。早くグリーフシードに変えて織莉子に届けたかったからね」

 

「織莉子だって!?」

 

「呉さん、あなた織莉子を知ってるの!?」

 

「ああ。彼女は私にとって尽くすべき、愛すべき人なんだ。そんな間女の残骸ひとつじゃ足りないくらいにね」

 

両手を広げて何のためらいもなく言い切るキリカ。織莉子に対する彼女の想いは本物のようだ。

 

「でも織莉子の為にグリーフシードは欠かせないんだよね。というわけでくれないかな、それ」

 

手のひらを出して催促するとマミは目を細めながら尋ねる。

 

「……その代わり、あなたは織莉子の情報をくれるのかしら?」

 

「まさか!そんなことしたら、織莉子への裏切り以外の何物でもないじゃないか!」

 

「話にならないわね。でも私達もここであなたを逃がす訳にはいかない」

 

「じゃあ、どうする?」

 

「決まってるわ……信助君、下がってて」

 

「え?でも……」

 

「魔法少女同士の争いに巻き込みたくないの。大丈夫、無茶はしないわ」

 

「………」

 

少しばかり納得はしていなかったが、マミの気持ちを汲んだ信助は大人しく後ろに下がった。

 

「お互い、欲しいものは力尽くで手に入れるしかないようだね」

 

「ええ。もう二度と魔女以外に銃は向けたくなかったけど、こうなった以上はやむを得ないわ」

 

マミは何丁もの銃を地面に突き立て、臨戦態勢に入る。

 

「それじゃ、始めようか」

 

マミは銃を手に取り、キリカは服の両袖から鋭い3本の爪を出す。未だ残り続ける結界を緊張感が支配し、二人を見守る信助は一筋の汗を流す。それが地面に落ちると、二人は同時に駆け出した。

 

 

 

 

 

 

~~同時刻・美国邸~~

 

 

 

「お父様……」

 

書斎の壁を見上げる織莉子。そこには大きな家族写真が飾られており、自分と共に笑顔で並ぶ父の姿があった。

 

「まもなく世界は私とキリカで救われます……見ていて下さい、お父様の夢が叶う瞬間を……」

 

織莉子は目を閉じながら静かに呟くと、父と共に過ごした日々が甦る。今は思い出の中にしかいなくなった父に向けて想いを馳せていた。

 

「織莉子さーん。頼まれてたもの買ってきましたよ」

 

部屋の外から狩屋の声が聞こえる。織莉子はゆっくりと顔を下ろしながら目を開き、返事を返す。

 

「ありがとう、マサキ。すぐ行くからキッチンに持って行ってくれる?」

 

「はーい」

 

狩屋の足音が遠ざかっていくと、織莉子は再び憂いた目で父の写真を見上げる。

 

(マサキ、輝……私が救世を成し遂げた時、あなた達は私を許さないでしょうね……それでも、私は……)

 

 

 

 

 

 

 

 

~~美国邸・キッチン~~

 

 

 

「お買い物ご苦労様、マサキ」

 

「ま、居候の身ですからこれぐらいはね。でも織莉子さん、頼まれたものの中にケーキの材料ありましたけど、また作るんすか?」

 

「もちろんよ。キリカが帰って来た時の為にね。今度こそホットケーキ以外のお菓子もうまく作ってみせるわ!」

 

「どうせまた失敗するんじゃ…」

 

「ん?」

 

「あ、いえ」

 

ジト目で睨まれ、顔を逸らして黙る狩屋。余計な一言を言ってしまう癖は織莉子の元でも相変わらずだった。一方で織莉子は亡き母から教わっていたため、大体の料理は作れるが、お菓子作りだけは教わっていなかったようで苦手であった。今朝のホットケーキも最近になってようやく出来るようになったばかりだった。

 

「確かに二人が来てから4回は失敗はしたけど、コツは掴んできたはずよ。絶対上手く焼いてみせるんだから!」

 

両手を握って張り切る織莉子。するとそこへ輝がやって来る。

 

「織莉子さん。外の掃除(・・・・)終わりました」

 

「ご苦労様、輝。ごめんなさいね、あんなもの(・・・・・)の掃除をやらせてしまって……」

 

「いいんですよ。僕が自分でやるって言ったんですから。それに織莉子さんは何も悪くないじゃないですか」

 

「そうそう。ここへ来てまだ短いですけど、織莉子さんは悪い人じゃないって傍にいればわかるんすよね。この前キリカさんが持ってきた初めてのTVゲームも楽しんでましたし」

 

「二人共…」

 

「まあ、興奮しすぎてコントローラーのコード引き抜いたことも気づかずに負けそうになって(パニクッ)たのは笑えましたけど」

 

「マサキ!!!」

 

顔を真っ赤にした織莉子に怒鳴られた狩屋は「ヤベッ」と、スタコラサッサと逃げ出した。輝はそんな二人のやり取りを見て苦笑いをするばかりだった。

 

 

 

 

 

 

「ふう。こりゃしばらく戻らない方がいいかな。織莉子さんも怒ると水鳥さんみたいだな」

 

慌てて廊下に逃げた狩屋はため息をつく。ほとぼりが冷めるまで織莉子には近づかない方が良いと判断したようだ。

 

「にしても、怒ると言ったら昨日のキリカさん、一体どうしちゃったんだろ」

 

 

 

 

 

 

~~前日~~

 

 

 

「ふう、スッキリした」

 

ガチャ

 

「ん?」

 

用を済ませた狩屋が廊下に出ると、別の方向からドアを開ける音が聞こえた。見ると、キリカが書斎から出てきていた。

 

「キリカさん?確か、あの部屋は入っちゃダメって……キリカさ……ッ!?」

 

咎めようとした狩屋は動きを止める。キリカの目がまるで縄張りを荒らされた獣のように怒りと敵意に満ちていたからだった。とても話しかけられる雰囲気ではなく、咄嗟に物陰に隠れた狩屋はそのまま外に出ていくまで黙って見ていた。

 

 

 

~~~~

 

 

 

(どうしてあんなに怖い顔を……キリカさん、書斎で何見たんだ?)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~~魔女結界~~

 

 

 

 

「フッ!」

 

「くっ!」

 

ジャンプから繰り出された斬撃を避けるマミ。直後、キリカは空振りして地面に突き立てられた爪を軸にカポエラーのように蹴りを繰り出す。

 

「ぐっ!」

 

マミは腕を交差させて防御し、後ずさりしながらもなんとか踏みとどまる。キリカの攻撃はとても素早く、こうした鉤爪と蹴りによる怒涛の攻めに押されがちだった。

 

「速い…!」

 

「マミさん!」

 

「大丈夫よ、これぐらい…」

 

「やるね。これだけの攻撃を防ぐなんて。恩人は中々のベテランのようだ」

 

「それはどうも。これぐらい出来なきゃ後輩達に示しがつかないもの」

 

マミはふてぶてしく笑いながら腕を組み、先ほどの連続攻撃をなんてことないように余裕を見せつける。

 

(……まずいわね)

 

しかし、内心は焦っていた。マミの攻撃は火力と手数はあるが、敵を狙い、撃つという手順がある。どんなに速く動いても僅かなタイムラグの間にキリカは持ち前のスピードで射程圏内を離れ、接近戦に持ち込まれてしまう。動きを封じようにも、リボンによる拘束魔法では鉤爪で切り裂かれてしまうのは明白。ハッキリ言って戦い方の相性が悪すぎるのである。

 

(どうすれば……)

 

何か策は無いのかと頭を張り巡らせる。すると後ろにいた信助が心配そうに声を掛ける。

 

「マミさん、どこかケガでもしてるんですか?動きがいつもより鈍いですけど…」

 

「確かに少しは受けたけど、これぐらい……」

 

「違います!あの人と戦い始めた時からですよ!さっきの魔女にやられたんですか?」

 

「え?」

 

マミはおかしいと思った。先ほどの魔女との戦いでケガなどしていない。今の戦いでも自分はいつもと同じ動きのつもりだった。

 

(どういうこと?私の動きが信助君には遅く見えていた?これって……!)

 

マミは周りの結界を見渡す。そして即座にこの矛盾の答えを見い出すことが出来た。

 

「(そういうことね…!)ありがとう、信助君」

 

「え?」

 

「これがあなたの魔法なんでしょ?呉さん」

 

「どういうことかな?」

 

「私はあなたの事をとても素早い魔法少女だと思っていた。でも実際はその逆……私の方が遅くさせられていた」

 

「遅く?」

 

「そう。私はいつも通りの動きだったのに、信助君からは遅く見えていた。あなたは自分以外を遅くする魔法の使い手。違う?」

 

「………」

 

「この結界が未だに消えないのもあなたの仕業ね。魔女が倒されてもしばらくは消えないように陣を張った。さしずめ、信助君が私を助けるために離れた時かしら?」

 

「………」

 

マミの推理に無言を続けるキリカ。しかし、やがて「フッ」と、笑った。

 

「見事だよ。まさかこの短時間でそこまで推理できるなんてね。恩人は頭が良いよ」

 

キリカの魔法を完全に把握し、舌を巻かせたマミの心に若干の余裕が生まれる。マミほどの熟練の魔法少女ならば、敵の特性を知るだけでも体制を立て直すことが出来る。そのきっかけを作ってくれた信助という仲間の存在に心から感謝していた。

 

「でも…」

 

「「…!」」

 

一人言葉を続けるキリカに二人は警戒を強める。これ以上の何かがあるのかと。

 

「飽きた」

 

「「………へ?」」

 

あまりにも予想外すぎる言葉に二人は思わず呆けた声を出す。

 

「こう何度も避けられたら飽きてしまうよ。私にはどうせ勝てないんだからさ。待たせてる織莉子の為にもそろそろグリーフシードくれないかな」

 

再び手招きするキリカ。ただ飽きっぽいのか自信の現れなのか、見ていた信助も戸惑っていた。一方マミは余裕が生まれたせいか呆れかえるようにため息をついた。

 

「おかしなことを言うわね?決着も着いてないのに途中で飽きて駄々をこねるなんて、まるで子供ね。信助君の方がよっぽど大人だわ」

 

「子供…?」

 

マミの言葉にピクッと反応するキリカ。すると動きを止め、糸が切れた人形のように腕をダランと垂らす。急に大人しくなったキリカにマミ達は不審に思う。

 

 

 

「誰が…」

 

「ん?」

 

「誰が…!」

 

「え?」

 

 

 

「だだっ、だっ、誰がっ!こ、ここっ、子供だアァァァァッ!!!」

 

 

 

「「!!!」」

 

キリカはまるで噴火した火山のように憤慨すると、両手の爪を大きく振り上げながら飛びかかる。マミはすぐさま身体を反らして躱す。

 

「―――鈍いよッ!!!」

 

キリカは返す刃で開くように切りつけ、ついにマミの身体に傷が付く。

 

「あぐっ…!」

 

腕と肩に赤い線が走り、痛みに耐えながらも銃を構える。

 

「遅いよ!」

 

「!」

 

キリカは後ろに回り込み交差切りを放つ。マミは間一髪銃で防ぐが、キリカは絶え間なく斬撃を繰り出す。

 

「どうしたんだい恩人!さっきまでの余裕が無くなってるよ!」

 

「ぐ……ううう!」

 

雪崩のような猛攻にマミは銃を構えるどころか盾にするので精一杯だった。そして斬撃も銃では範囲が狭すぎるため完全には防ぎきれず、徐々に体に傷が増えていった。

 

「しぶといね!それならこれでどうだ!」

 

「ぐっ!?」

 

キリカは力を込めた斬撃でマミを押し出すと右腕を大きく引く。そして腕の爪の先に幾つもの爪が連なるように出現する。

 

「ヴァンパイアファング!」

 

腕を突き出すと、連結された爪はまるで鞭のように伸びていく。

 

「キャアアアッ!」

 

マミはキリカが腕を引いた瞬間に身体を反らしていたおかげで直撃は避けられたものの、銃は破壊され、肩を切り裂かれる。

 

「ぐ、うううっ…!」

 

マミは地面に倒れ、血があふれ出る肩を抑えながら治癒魔法をかける。

 

「終わりだよっ!」

 

キリカはその隙を逃さず一気にトドメを刺そうと駆け出す。当初はグリーフシードを奪うだけのはずだったが、怒りのあまり一線すら超えようとしていた。

 

「!」

 

するとキリカの背後からボールが猛スピードで飛んでくる。感づいたキリカは振り向きながら爪の形状を戻し、その甲で弾き返す。弾いた方向を見るとボールをキャッチした信助が睨みつけていた。

 

「信助君!」

 

「もう見てられません!これ以上マミさんを傷つけさせません!」

 

「中々勇ましいね、おチビの恩人!でも邪魔するなら……」

 

ヒュン

 

「「!」」

 

「君から刻んであげるよ」

 

キリカは一瞬で信助の背後に周り、鉤爪を振り上げる。

 

「なっ…!」

 

「信助君っ!!!」

 

非情なる鉤爪が振り下ろされると、土煙と大きな金属音が広がり、辺りを包み込む。

 

「……ふぅん。恩人は助けも逃げ足も速いね」

 

土煙が晴れると爪の先には二人共いなくなっていた。土煙に紛れてその場を離れたようだ。

 

「だけど……そう遠くへは逃げられない」

 

そう言いながら細めで地面を見つめるキリカ。そこにはマミの血が残されていた。

 

 

 




というわけで相変わらず拙い文章でした。

勢いと文章の閃きがある時は即書くべきだと思いました。

ご感想お待ちしております。




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