魔球闘士イナズ☆マギカ~魔法少女と革命(カゼ)の少年達~ 作:サニーブライト
「後編を書くのにずいぶんかかったね」
いやぁ。魔女退治してたもんで。
葵
「どんな魔女を倒してたんですか?」
黒蝕龍の魔女とか天廻龍の魔女とか。
さやか
「それただモンハン4やりまくってただけじゃん!」
いやぁ強化された蛇王龍や団長からの挑戦には苦労したなぁ。
杏子
「クエスト完遂じゃねーか!」
いいじゃん。ここのマミにだってピカ〇ュウに似たオトモアイルーがいるじゃん。
信介
「僕は猫じゃありませんよ!」
あと映画見に行ったけど薄々予想はしていたラストだったね。あそこまで予想してなかったけど。
でもほむらのあの衣装はかわいそうな胸がより強調されて……
ほむら
「ネタバレ厳禁」パンッ
バタッ
一同
「………」
ほむら
「どうしたの皆。ネタバレしようとしたケチャワチャを討伐したというのに」
さやか
「アンタ、今撃ったの絶対それだけじゃないでしょ…」
こんなんですが読んでくれる皆様感謝です。
「剣城…!?」
雷門のエースストライカー、剣城京介の登場に一同は困惑する。
「天馬くん、もしかしてあの人も天馬くんたちの…?」
まどかは天馬たちと同じジャージを着ていたのでもしやと思い、天馬に尋ねる。
「はい、剣城京介。俺たち雷門のエースストライカーなんです」
「天馬…」
ふいに呼ばれ天馬は剣城の方を向く。
「すまなかったな。杏子さんがいきなり……」
剣城は申し訳なさそうに謝る。
「ううん。お前が謝る事じゃないよ。それより無事で良かったよ……でも、どうして…」
「どうして天馬たちのエースストライカーがそんな奴と一緒にいるのよ!」
さやかが天馬の言葉に続くように叫ぶ。
「……やっぱ止めに入りやがったな」
天馬たちをよそに杏子がうざそうに呟く。そして振り向きざまに剣城に向けて槍を向ける。
「あと少しで仕留められたところを邪魔されるのがうざいんだよなあ」
「―――じゃあ、あなたがやったことは何なのかしら」
「「「「!?」」」」
いつの間にか杏子の背後からほむらが話しかけていた。
「ほ、ほむらちゃん!?」
「なっ…!?」
ほむらの突然の登場に一同は戸惑い、杏子はすぐさま後ろに振り向き彼女に槍を向ける。
「あまり事を荒立てない方がいいわよ、佐倉杏子」
しかしその時には既に杏子の後頭部に向けて拳銃を突きつけていた。
「い、いつの間に………!?」
天馬たちはほむらが一瞬で杏子の背後に回ったことに仰天する。
(何だ…今のは…!?…魔法少女といえど、今のは瞬間移動といえる速さじゃなかった…!もっと違う、何かの力が…)
剣城は驚きつつもほむらの動きがただの瞬間移動でないと分析する。
「お前一体……というかなんであたしの名前を……あんたどっかで会ったか?」
「さあ、どうかしらね」
ほむらはとぼけるように答えた。
「天馬!」
するとここで天馬たちの後ろから神童たちが走ってきていた。
「神童先輩!みんなも!」
「みんな無事か!?……って剣城!?無事だったのか!」
「神童先輩たちこそ……」
「みんな、大丈……」
マミが天馬たちに駆け寄ろうとしたその時、
「「!」」
杏子と目が合った。二人はまるで知り合いにでも会ったかのように一瞬目を見開き、そのままお互いを見つめ合う。
「「………」」
しかし、その表情はけっして穏やかなものではなかった。
「どうしてみんながここに?」
「マミさんが天馬たちの方から複数の魔力を感じたの」
天馬の質問に葵が答えた。
「で、マミがこっちの方で魔力がぶつかってるって言うから駆けつけたんだが、こいつはどういう状況なんだ?」
水鳥が杏子の方を向きながら聞く。
「ハッ、うざい奴にはうざい奴らがつくもんだね」
「コイツが邪魔してきたせいで、使い魔を逃がしちゃったのよ!」
さやかは杏子を指さしながら叫ぶ。
「なにぃ!?お前、魔法少女だろ!そんなことすりゃどうなるかわかってんのか!?」
「二度も同じことを言うのはめんどくさいんだけどさ、あたしたち魔法少女のことに首を突っ込まないんで欲しいんだよねぇ。そこの甘ちゃんと一緒にすっこんでろっての」
杏子はうざそうに言う。
「…ッ!!お前……ッ!?」
さやかが杏子に抗議しようと立ち上がった直後、横からマミの手が阻むように現れる。マミはいつの間にかさやか達の後方から杏子の方へ歩いており、歩きながらさやかを手で制すとそのまま杏子に近づいていく。
「………」
そして杏子の正面にたどり着くとその場で立ち止まり、二人は向かい合う形となった。
「「………」」
二人は険しい表情のままお互いを無言で見つめ合う。一同はそんな二人を疑問視しながら注目する。
「……?」
天馬たちが目をぱちくりさせる中、沈黙をマミが破る。
「……久しぶりね……佐倉さん…」
「「「えっ…?」」」
「ハッ、相変わらず正義の味方の真似をしてるみたいだな」
マミの挨拶を鼻で笑いながら返す杏子。
「え?え?」
「マミさん!この人と知り合いなんですか!?」
まどかたちが困惑する中、信助の質問にマミは杏子を見つめながら静かに答えた。
「ええ……彼女は佐倉杏子さん……かつて私の弟子だった魔法少女よ」
「「「ええっ!?」」」
マミ、杏子、ほむら、QB以外の全員が驚く。剣城以外は声を上げて驚き、剣城も声を上げなかったものの、口をぽかんと開けて驚いていた。
「それじゃ、前にマミさんが話してた、昔コンビを組んでいた魔法少女って……」
「コイツの事!?」
天馬はお菓子の魔女と戦った後に自分たちに話した過去を思い出し、さやかは彼の言葉に続くように杏子に指をさす。
「あたしのいないうちにずいぶん賑やかになったじゃねぇか。マミ」
「佐倉さん……一体何しに来たの?」
「風見野には魔女が少なくてねぇ。お前からなわばりを奪っちまおうと考えたんだけど、その前に人の為だなんだ言ってる生意気な新入りをお仕置きしようと思ってね」
「……それで美樹さんを襲ったの?」
「お前の影響だろ、マミ。普段は年上ぶってるけど結局は一人ぼっちの単なるさびしがり屋。だから同じ魔法少女に馬鹿な教えを仕込もうとする。まあ魔法少女じゃねぇ奴らをこんなに引き込むとは思わなかったが、そういうところは変わってねぇんだな」
「…あなたは私と組んでいたころとはずいぶん変わってしまった。でもあなただってかつては私と同じ思いだった。あんなことさえなければ―――」
「余計なこと言うんじゃねぇよ、マミ」
杏子は目を細めて鋭く睨みながらマミの言葉を遮る。天馬たちは彼女たちの様子を黙って見ていたが今のマミが言いかけたことに気になりだす。
「それであなたはこれからどうするのかしら?」
それまで銃口を杏子に突きつけていたほむらが口を開き、杏子は横目でほむらを見る。
「………」
杏子はしばらくほむらを見つめながら考えていたが、やがて溜息をついて呟く。
「……やめた。こんなに人数が多いんじゃさすがのあたしも多勢に無勢だ。マミもいるしな」
そう言うと杏子は魔法少女姿から私服に戻り、戦意を失くしたと確信したほむらも銃を降ろす。そして踵を返して立ち去ろうとする杏子。
「あんた、まだ話は…」
「いいの、美樹さん」
杏子を止めようとするさやかを制すマミ。そして杏子は一同に背を向けたまま剣城の隣で立ち止まる。
「良かったな、仲間と再会できて。何であんたがあたしについてきたか知らないけど、今度あたしのやり方にケチをつけて来たら、あんたでもただじゃおかないからな」
杏子は剣城に目も合わせず言うと魔法少女の跳躍力で一気に飛び立ちその場を後にした。
「佐倉さん…」
「あの子…まるで誰にも心を開いてないみたい」
飛び去って行った杏子の後ろ姿を哀しげな眼で見送るマミと杏子の様子を感覚的に察する茜。
「皆、ごめんなさいね。彼女、本当はとてもやさしい子なの。あまり悪い子だとは思わないであげて」
マミは申し訳なさそうに頭を下げる。
「いやいや、マミさんが悪いわけじゃないですよ。にしても何よあいつ!使い魔を逃がすなんてとんでもないやつだよ!」
さやかは杏子の態度に改めて憤慨する。
「でも、彼女はある意味魔法少女としては正しい思考の持ち主よ」
ほむらの言葉に一同は驚きながら注目する。
「どういうことです?」
天馬が怪訝な表情で聞く。
「魔法少女は魔法を使うだけでなく日常生活の中でもソウルジェムを濁らせる。だからグリーフシードは欠かせない。だからグリーフシードを産まない使い魔を倒さない。そんな思考に至る魔法少女がいても不思議ではないわ」
「そんな魔法少女が……」
「ええ。全ての魔法少女が巴マミのようなわけじゃない。彼女にとっては正義だ人の為だというのは綺麗事なんでしょうね」
「ほむらちゃん…」
「………」
淡々と魔法少女の負の部分を語るほむらに一同は哀しげな顔をする。物悲しい空気の中、マミはその空気を変えようと剣城に顔をむける。
「ところで、あなたも雷門の人よね。佐倉さんと知り合いのような口ぶりだったけど…」
「そうだよ剣城。どうしてお前が…」
天馬も剣城に聞くと剣城は少し目線をそらしながら話始めた。
「……あれは昨日のことだった……」
~~昨夜・廃教会~~
パアアァ
真っ暗な夜の中、一つの光が廃れた協会に現る。光が晴れるとそこには剣城京介がうつぶせで倒れていた。
「う……」
剣城はゆっくりと目を開ける。まだ意識がはっきりしないうちに首だけを動かし周りを見渡す。
「ここは……どこだ…?…俺は一体…」
剣城は意識が徐々にはっきりすると同時に立ちあがり、改めて周囲を確認する。そこはあちこちボロボロの建物の中らしく、よく見ると壁や床に焼け跡があった。天井を見ると一部が崩れ落ちており、そこから星空が見えた。
「ここは……だいぶ廃れているが…教会か?」
剣城は天井近くに設置されたステンドグラスの割れ目から漏れる月光を浴びているボロボロの教壇を目にして呟く。
「火事でもあったのか?…ん?」
ここで足元にマギカボールが落ちている事に気が付く。
「こんなところにボールが……なんだこの模様は…」
剣城はこんな廃墟に落ちていることに疑問を抱きつつもボールを両手で拾い上げる。
「動くな」
「!」
ボールを拾い上げた直後、自分の背中には果物ナイフが突きつけられていた。
(いつの間に…!)
「こんなところで何してるか知らないけど、勝手にここに踏み込んで荒らすのは気に入らないね」
横目で後ろを見るとまだ自分とそう変わらない年頃と思われる赤いポニーテールの少女、佐倉杏子がいた。彼女はどうやらここの関係者らしくここに入った自分を侵入者と思っているようで警戒する剣城。
「とりあえず金目のものでも貰おうか。そうだな、そのサッカーボールでも置いてきな」
「………」
剣城はただ黙ってボールを高く上げていき、杏子は「それでいい」というように八重歯をとがらせながら笑う。そして剣城はボールを自分の首の高さまで上げる。
ここで剣城は両手を放し、ボールをその場に落とす。
「?」
杏子は不審に思いながら落下するボールを目で追いかける。それが剣城の足元の高さまで到達すると、
「ふっ!」
剣城はボールを蹴り飛ばす。蹴り飛ばされたボールは前の教壇に当たり、教壇を倒しながら剣城の顔めがけて跳ね返ってくる。剣城は跳ね返ってきたボールが自分の顔面に当たる直前で体をサッと横にそらす。
「なっ!?」
当然跳ね返ってきたボールは杏子の眼前に迫る。
「くっ!」
杏子も体を横に反らして躱す。ボールは教会の入り口にある外れかけの扉に当たり、扉を倒しながら高く跳ね返る。そして剣城は杏子の注意が自分から逸れたその瞬間を逃さなかった。
バシッ!
「あっ!」
剣城は右足を軸に半回転し、左足で杏子の手元を蹴り上げナイフを弾き飛ばす。そして高く飛び上がりながらバク転でボールをトラップし、杏子から少し離れた位置に着地して距離を取る。ナイフはヒュンヒュンと回転しながら弧を描きつつ壁際の床に突き刺さる。
「くぅぅ…!てめえ…」
「これで形勢逆転だな」
杏子は蹴られた手をもう片方の手で抑えながら無表情の剣城を睨む。そして教会を見渡し、倒された教壇と入り口の扉を見て顔を歪ます。
「てめぇ……よくもこの教会を傷つけやがったな…!」
杏子は更に睨みを利かせ、剣城は彼女からただならぬ殺気を感じ取る。
「もう許さねえ!」
そして杏子は怒りながらソウルジェムの指輪が付いた手をかざし、魔法少女に変身して槍を取り出す。
「なっ!あんた…」
剣城は杏子の姿が変わったことに驚く。
ズズズ……
「「!」」
するとここで教会が謎の空間に包まれていく。間違いなく魔女結界だった。
「な…今度は何だ!?」
「ちっ!またここでかよ…!」
杏子がこの教会で魔女結界が発生したことに忌々しく思っているうちに二人は結界に捕らえられた。
~~魔女結界~~
結界にとらわれた二人は結界を見渡すとそこにはあちこちに家具が置いてある空間だった。
「ここは一体……?」
「!」
剣城が驚いていると杏子の前からいくつものタンスのような姿をした使い魔が現れた。
「ちっ!使い魔の結界かよ……悪い事はよく重なると言うがなっ!」
杏子は槍を構えながら一気に飛び出し、使い魔に接近する。
「おらぁ!!」
そして槍を薙刀の様に横に振るい使い魔たちを切り裂く。
「一体何が………はっ!」
杏子と使い魔に気を取られていた剣城は後ろから気配を感じ、振り向くと自分にも複数の使い魔が迫っていた。
「くそっ!こっちもか!」
剣城は一歩下がって体制を立て直す。
「こうなったら化身を……何!?」
剣城は体に力を溜め、化身を出そうとするがやはり最初の頃の天馬たち同様出なかった。
「くっ!どうすれば……ッ!?」
剣城が対抗策を考えていると足元のマギカボールが輝き出し、剣城の格好を背番号10番の雷門のユニフォームに変える。
「な!?姿が変わった!?」
自分の周りにいた使い魔を倒し終えた杏子は剣城の変身を見て驚く。そして剣城は足元のボールを見つめながら呟く。
「俺に戦えと言ってるのか……?」
そうこうしているうちに使い魔は剣城のすぐ近くまで迫っていた。
「やるしかないようだな…」
戦うしかないと判断した剣城は使い魔たちをキッと睨むとボールを片足で器用に持ち上げる。持ち上げた足とボールが平行になる高さまであげると素早く足を戻す。そして急に足から離され空中に放り出されたボールに素早く蹴りを入れるとボールは黒いオーラを纏う。そしてボールの前で手刀を剣のように縦に振るう。
「『デスソード』!」
するとボールは長剣のように伸びていき使い魔を蹴散らしていく。
「な…!」
杏子は普通の人間だと思っていた剣城がサッカーボールで使い魔を蹴散らす様をみて驚く。そして剣城は戻ってきたボールをトラップし、別の方向にいる使い魔たちに狙いを定めると剣城はボールに回転を加え、自身も空中で縦一回転しながら後ろ蹴りでボールを高く上げるとボールは再び黒いオーラを纏う。そして自身もボールの高さまで飛び上がる。
「『デスドロップ(G3)』!」
そのままオーバーヘッドで撃ち落とすとボールは地面に叩きつかれ、命中した使い魔はもちろん周りにいた使い魔も衝撃波で吹き飛び、消滅する。
「………」
杏子はしばらく唖然としていたがやがてハッと思い出す。
(こいつまさか、キュゥべえが言ってた……)
杏子は数刻前に聞いていたキュゥべえの話を思い出しながら剣城を見つめる。
その時、杏子の背後から巨大な影が迫っていた。
「はっ!うわあっ!」
「!」
杏子の声を聞いた剣城が振り向くと巨大な影が掃除機の管のようなものを伸ばして杏子を締め上げていた。
「く、くそっ…!あたしとしたことが……使い魔じゃなくて魔女の結界だったのかよ…」
杏子が体を締め上げられ苦痛の表情を浮かべているとそのまま高く持ち上げられ、影の中から魔女の本体が現れる。
―――家政婦の魔女。その性質は隠蔽。
それは埃が集まったような体に掃除機の管のような腕を持つ魔女だった。右手の先に取って付きの扉を持ち、左手には何も持たず長い腕で締め上げた杏子を持ち上げていた。
「クソッ!離せ…!」
杏子は振り払おうと必死にもがくが、魔女の握力は強く外すことが出来なかった。そして魔女は埃の塊でできた体の上部から口を出現させ、大きく開けて牙をむき出しにして杏子を口の中に運び込もうとしていた。
(くそ……こんなところで死ぬのかよ…!あたしの人生、やっぱりこんな呆気なかったって事かよ……!)
杏子は悔しげな表情を浮かべる。そして魔女は今にも杏子を喰らおうとしていた。
(このままでは彼女が……!なんとか助け出さねば!)
使い魔を片付けた剣城が杏子を助けたいと強く願った直後、再びマギカボールが光り出す。
「!」
そしてが金色のオーラが剣城の体を包みこみ、オーラが晴れると剣城は体中から力がみなぎってきていた。
「この感じは……いける!はあああぁっ!!!」
剣城は力を溜めると剣城の体から化身のオーラが現れる。そしてそれは形を成すと剣と盾を携え、真紅もマントを翻す甲冑の騎士となった。
「―――『
『―――!?』
「な、なんだありゃあ!?」
突然出現した化身に杏子は驚きの声を上げ、魔女も動きを止める。
「フッ!」
魔女の動きが止まった瞬間を逃さず、剣城は左手を掲げる。するとランスロットはマントを翻しながら剣を魔女に向けて構え、ボールは金色の膜を持つ黒いオーラを纏いながら上昇し、剣城は左足を軸に横一回転しながらジャンピングボレーシュートを放つ。
「―――『ロストエンジェル』!!!」
放たれたボールと共にランスロットも剣を伸ばしながら突撃し、その切っ先がボールと一体化しながら魔女に向かって伸びていく。
「いけ!ランスロット!!!」
剣城の叫びと同時にランスロットの甲冑の目の部分が赤く光り、そのスピードを増す。そしてランスロットが魔女を通り過ぎ魔女に縦一閃が入る。
『――――!?!?!?』
バシュウ!
「うわあっ!」
直後魔女はその形を崩し、アイスの様に溶けて消滅する。それと同時に解放された杏子は魔女が変化したグリーフシードと共に地面に落下し、景色は元の教会に戻っていった。
~~廃教会~~
「あんた……なんであたしを助けた?」
静けさを取り戻した教会で杏子は剣城に問いただす。
「さあな…あのまま放っておいたら寝覚めが悪くなると思ったからかもな…」
剣城はズボンの両ポケットに手を突っ込み、瞳を閉じたままそう答えた。
「ところであんたにさっきまでの事を色々聞きたいんだが…」
「なるほど、君も彼らと同じ化身使いなのか」
「「!?」」
自分たちしかいないと思っていた二人の耳に別の声が聞こえる。声が聞こえた方向を見ると、信者用の机の上にキュゥべえが乗っていた。
「な、なんだコイツは…」
「何!?お前キュゥべえが……!?」
「フム。やはり君にも僕の姿が見えるみたいだね」
「…どういうことだ。お前は一体…」
「君の知りたいことなら僕が話してあげるよ」
そしてキュゥべえは剣城に語った。この世界は剣城のいた次元の世界とは別の世界であること、魔法少女と魔女の事、そしてこの世界に天馬たちも来ていることを。
「理解できたかい?」
「まだ全部とは言い難いが大体な……」
剣城はまだ混乱していたが、この世界に来るまで時を超えるなど十分ありえない経験を重ねていたためとりあえず納得した。
「とにかく天馬たちもこの世界に来ているんだな」
「うん。ここからそう遠くないところに何人か集まっているよ」
「そうか……」
その話を聞いた剣城はひとまず安心して胸をなでおろす。
「お仲間が見つかってよかったな。助けてくれた礼に見逃してやるからさっさと帰りな」
いつのまにか私服に戻っていた杏子は懐からチョコ菓子を取り出し口にくわえると二人に背を向けて教会の奥の方に移動する。
「!」
その時、剣城は彼女の雰囲気から何かを感じ取った。
「………」
そして少し考え込むと杏子に向かって言った。
「…いや、今はあんたと行動を共にする」
「!?」
杏子は振り向く。
「何…?」
「………」
杏子は剣城の真意がわからず彼を睨むが剣城はただこちらを見つめているだけだった。
(こいつはさっき、化身とかいう力で魔女を一撃で倒しやがった……確かにこいつの力は使える。こいつがいれば魔力をあまり消費せず楽にグリーフシードを集められそうだ)
剣城の力を利用しグリーフシード集めをしようと企む杏子。チョコ菓子をくわえたままニカッと笑うと言った。
「…いいだろう。ただし魔女退治には必ず一緒に来てもらうがな」
「ああ。構わない」
剣城は淡と答えた。
「あたしは佐倉杏子。あんたは?」
「……剣城京介」
その後、剣城は杏子が自分より年上だとわかると敬語に改めたという。
~~現在~~
「…というわけだ」
「剣城…」
「天馬、すまないが俺はもう少し杏子さんの側にいる」
「えっ!?」
剣城の発言に一同は驚く。
「あんた、あんな奴と一緒にいるなんて正気!?」
さやかは印象が悪かった杏子を批判するように問う。
「剣城、お前どうして…」
神童の問いに剣城は顔を少し背けながら答えた。
「彼女の事が何故かほっとけないんです……彼女からはどこか俺に似た感じがしたんです…」
剣城は昨夜感じた杏子の雰囲気を思い出し憂い募らせていた。
「………」
神童は剣城見つめながら考えていたがやがて剣城の考えを理解したように、
「…わかった」
静かにそう言った。
「ただし、何かあったらすぐに俺たちに知らせるんだ」
「ええ。わかっています」
そう言って剣城は踵を返し杏子の後を追おうとする。
「剣城くん!」
ここでマミに呼び止められる。
「これを持って行って。」
マミが差し出したのは小さながま口財布だった。
「これは…」
「これにいくらか入ってるわ。とりあえずの額しか入ってないけど彼女、根無し草でしょう?生きる為にやってはいけない事をやってるんじゃないかしら?」
「ええ。今朝も万引きを働こうとして俺が支払いました」
「やっぱり……剣城くん、彼女はとりあえずあなたを敵として見ていないようだから…今は彼女の事をお願いね…」
マミは心配そうに、そして託すように言った。
「ええ…任せてください。財布、ありがとうございます」
剣城は一礼すると改めて杏子の後を追った。一同はただ黙って剣城の背中を見つめていた。
「剣城…」
天馬たち雷門は剣城を心配する。
「天馬、剣城にも考えがある。今はあいつを信じよう」
「神童先輩……そうですね」
天馬が剣城が去って行った方向を見つめる一方、まどかはマミに近づいて聞く。
「マミさん……さっきのって…」
「今はあんな子でも…私の弟子だったから……」
今は違えていてもやはり弟子であった杏子を心配するマミであった。
「佐倉さん……」
――ED『瞳の中に君がいる』(歌:空野葵)――
次回予告
天馬
「波乱を呼んだ佐倉杏子。そしてそんな彼女が再びさやかさんに襲いかかろうとしていた。その時、絶望の真実が開かされる!
次回!
『魔球闘士イナズ☆マギカ ~魔法少女と
第7話『衝撃!ソウルジェムの真実』!」
というわけでかなり遅れてしまい申し訳ありませんでした。
ちょくちょく書いておく癖をつけないと…。
ちなみ今回の魔女は適当に思いついたオリ魔女です。
家政婦は見た!そんな感じです。
こんな駄文ですがこれからも読んでもらえると喜ばしいです。
次回はいよいよ二回目の絶望の始まりです…