とうとう雷帝が降臨します!
皆様のご期待に添えているかわかりませんが、よろしくお願いします。
口調がおかしかったりしたらご指摘お願いします。
ではどうぞ!
突然現れた悪魔のような男。
俺はその男を見た瞬間、その男が普通でないことをすぐに理解した。それと同時にその男が何かに怯え、その恐怖を取り除くために強迫観念のようなものに突き動かされていることにも気が付く。
だが、気が付いたところで俺に何かできるようなことはない。俺にできる事と言えば、電気ウナギの様に雷をビリビリと放電させることぐらいだ。いや、さっきの一撃は偶々できたと考えたら今の俺は唯賢しいだけでの子供だ。
それにさっきから俺の頭の中ではうるさいほどの継承が鳴り響いている。それはヴァーリと向かい合った時の比にならない程の警鐘が俺の頭の中に鳴り続けている。
今すぐここから逃げろ!
あれは人間じゃない!
今ならまだ逃げられる!
そう言った言葉が頭にいくつも浮かび上がるが、俺はその場から動くことはできなかった。俺の頭の中にわずかだが、こういった言葉も浮かんでいるからだ。
ヴァーリを見捨てて逃げるのか?
自分さえ良ければいいのか?
今逃げたらヴァーリは死ぬかもよ?
こういった言葉が俺の頭の中にわずかだが流れていた。俺の非情になりきれない部分が、こうして俺の動きを邪魔していた。
そうしている間にも目の前の狂気に染まった男はヴァーリに向かって歩き始める。
「クソガキが!お前さえ、お前さえ生まれてこなければ!」
そう言うと男は無造作にヴァーリを蹴り始める。
ヴァーリはそれに対し、身を縮め込め身体を守る様に震えるだけだ。
そんな光景を俺は見ているしかできない。
そんな光景を目にして俺の頭の中で声が聞こえる。
【助けないんですか?】
俺はその言葉に返事を返すことができない。だが、頭の中に響く声は俺に問いかけることをやめない。
【目の前にいる少年はこのままだと死にますよ、それでもいいんですか?】
良いわけがない!
その声に対して俺は心の中で怒鳴り返す。だが、声は止まらない。
【ならなぜ動かないんですか?】
その言葉に対して俺は答えを返すことができない。
【そうですよね、貴方は死にたくない。だから少年を助けない、自分も殺されるかもしれないのだから】
違う!
【いいえ違いません。何故なら貴方は心の底から死ぬことを恐怖しているから】
それは!?
【だと言うのに貴方は自分が恐怖していることをあの少年にも味合わせるんですか?】
俺だって……俺だって助けてやりたいさ!でも、どうしようもないだろう!?俺みたいなやつに一体何ができるって言うんだよ!?
俺の嘆きに声の主はふっと笑う。
【なら感情のままに動きなさい。後は強く思いなさい。それだけで少年は救われます】
声の主はその言葉を最後に頭の中からすっと消えていく。
俺は声の主が言った言葉を考え悩む。頭の中では様々な葛藤が繰り広げられる。
助けたいでも死にたくない死なせたくないでも怖い見捨てたくない速く逃げたい一緒に逃げたいでも身体が動かない裏切りたくない立ち去りたい見殺しにしたくない解放されたいでも怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
次第に俺の視界は涙で何も見えなくなっていく。俺の頭の中は様々な感情がぶつかってぐちゃぐちゃに頭の中をかき回す。
「あああアアァァァァァァァァァァァ‼‼」
俺の中で大きくナニカが躍動する。
それと同時に俺の身体に落雷が落ちた。
………
……
…
―――――――――――――
落雷が落ちた瞬間、ヴァーリの父は突然出来事に反射的にその場から飛び退く。それは生物として正しい選択だ。そして。それは正しく、その行動が彼を救った。
突如何もないところからヴァーリの父がいたであろう場所に巨大なプラズマが通り過ぎる。
「なっ―――――」
ヴァーリの父はプラズマの威力に呆気にとられる。プラズマの威力は想像を絶するものだ。プラズマは周囲に生い茂っていた木々、雑草まで消滅させ、まるでそこには初めから何もなかったかのように、痕跡を欠片たりとも残さず消し去ったのだ。
ヴァーリの父は正気に戻り、ヴァーリの姿を探す。あれほどの威力だ、ヴァーリも木々と一緒に消滅したのではないかと言う考えたからだ。しかし、その思惑は大きく外れていた。
「な、何故だ……」
ヴァーリの父は絶句する。何故ならあれだけのプラズマを浴びたにも関わらずヴァーリは怪我一つ負っていないのだから。
絶句するヴァーリの父は周囲の異変に気が付く。
少し離れた場所でバチバチと何かが放電するような音が聞こえるのだ。プラズマによって周囲を舞った土煙が消え始め、その姿をあらわにする。
そこに居たのは全身を青白い雷で纏い、放電し続ける小さな少年だった。しかし、ヴァーリの父はその少年に対して恐怖を感じずにはいられなかった。ヴァーリの父の記憶が正しければ、あの少年は偶然にもヴァーリの近くにいた唯の人間だったはずだ。ヴァーリの父はヴァーリが逃げる可能性も考え、少年は放置していたのだが、その考えは間違いだったことをすぐに悟る。
何だ
ヴァーリの父は目の前の光景に思わず目を疑う。
少年は強大過ぎる、それこそ無限と言っても過言でほ無いほどの膨大のエネルギーをその身に渦巻かせ、身体中から青白い稲妻をバチバチと火花の様に音を鳴らせている。
ヴァーリの父はその光景を信じられないと言うような表情をしながら両手を前にかざす。狙いはあの
「こ、こんなことがあるはずがない……あり得るはずがないんだ……人間がこれほどの力を持つなんてあり得るはずがない!」
彼の眼には既にヴァーリは写っておらず、その眼には【雷帝】しか写っておらず、彼は目の前の現実を否定するかの如く魔力を練り上げ周囲に百の魔弾を展開し、雷帝に狙いを定める。
「消えろォォォ!」
ヴァーリの父の声と共に百の魔弾が雷帝に殺到する。それに対し雷帝は身動ぎ一つすることもなく、その攻撃を受ける。ヴァーリの父は攻撃がすべて当たったことに歓喜の声を上げる。
「は、ははははは!驚かせやがって!人間の癖に俺に楯突くからだ!」
ヴァーリの父ははははははと笑い続け、笑い終えると再びヴァーリに視線をやる。その視線にビクンと身体を震わせるヴァーリ。そして、不気味な笑いを浮かべながらヴァーリに近づいて行く。しかし、あの雷帝がこんな簡単にやられる者だろうか?その答えは否だ。
魔弾によって生じた土煙の中から青白い稲妻がバチバチと音を立てる。
ヴァーリの父は血の気の引いた青い顔で音が鳴る方向を向く。
そこには、とても百の魔弾を受けたとは思えない泰然と佇んでいる無傷な雷帝がヴァーリの父を睨め付けていた。
それには流石の彼も肝を潰しこの場から逸早く逃げ去ろうとその10枚の翼を駆使し、上空に羽ばたく。いくらあんな怪物でも空まで飛べないだろうと考えたのだ。しかし、その考えは雷帝の前では全て灰燼と化す。
雷帝はおもむろに上空に右手を翳す。雷帝の行動に呼応するように青白い稲妻はさらに勢いを増していく。上空に小さなプラズマが幾つも浮かび上がり総て右手に収束されていく。
「キエロ」
雷帝の無慈悲な言葉が引き金となり膨大と言う言葉すら生ぬるいエネルギーを持つ稲妻が天を翔る。雷帝から解き放たれた稲妻は天を駆け登り、寸分違わずヴァーリの父を飲み込み天へと消えていった。
………
……
…
――――――――――
「まずいことになったぞぉ!」
アザゼルは人間界に降り、銀次と別れ私事で知人の元に訪れ話をしている最中にそれは起きた。アザゼルは今でも思い出すと震えだしてしまいそうなほどの恐怖を押し殺し、膨大な力を感じる場所に向かう。
俺はズキンズキンと痛む左目を抑えながら銀次の元に急ぐ。
「あれはまずい。あれはこの世界の根幹を揺るがす!」
街は全て停電しており住民たちも混乱している。信号機も仕事を休めている状態だ。所々で事故の様子が見られる。これも全て雷帝が降臨したが故の副産物だ。
「あれは!?」
俺は山の中から膨大と言う言葉すら生ぬるい青白い稲妻が、空に昇っていくのを唖然とした表情を見る。どうやら思っていたよりも事態は深刻らしい。最悪、街の一つや二つ消滅することを考えねぇとな。
俺は急いで銀次がいるであろう山に向かう。
「これは……!?」
そこで俺が目にしたのは青白い稲妻を纏った銀次とダークカラーの銀髪の少年が唖然とした表情で銀次を見ている光景だった。
「ぎ、銀次………?」
俺は恐る恐る銀次に話しかける。すると銀次は俺の声に反応したのか、ゆっくりと俺の方向を見る。
「あざ……ぜる、さん」
銀次は俺の姿を見た瞬間、今までの膨大なエネルギーを纏っていたのが嘘かの様に力を霧散させ、その場に倒れる。
銀次が倒れたと同時に今まで緊迫していた空気が弛緩し、その場に静寂を齎す。
俺は頭ガシガシとかきながら倒れた銀次を抱き上げる。見た所外傷とかはなさそうだ。銀次が無事なことを確認し、俺は銀髪の少年に声をかける。
「急で悪いが、お前さんには幾つか聞きたいことがある。悪いが俺に着いて来てもらってもいいな?」
俺の問いかけに銀髪の少年もコクリと頷く。
俺はその場から逃げるように
その後、銀次に異常が無いか精密検査し、ヴァーリと言う子供に事情を聴いたところ俺は更に頭を抱えたくなった。まさか、目の前の少年が
その後、1週間という長い眠りから覚めた銀次。無事に目が覚めた事に安堵する俺がいる中に、このまま目を覚まさなければよかったのにと思う自分がいたことに我ながら内心嫌悪する。
銀次とヴァーリの仲は良好らしく、一緒に行動しているところをよく見かける。俺は二人の仲が良い事に感謝しながら、今回の出来事を情報規制することに奔走し続けた。銀次の事は特に隠す必要がある、ヴァーリ以上にだ。人間が、それもたった7歳の子供が最上級悪魔、それもルシファーの血縁者を一方的に叩きのめしたなんて噂にさせる事などできるはずもない。俺はレイナーレに今回の出来事の一部を伝え、本格的に銀次のケアを頼んだ。
はぁ~、何でこうも俺のところに問題が集まってくるんだろうな
これにて雷帝と白龍皇は終了です。
次はどれだけの時を飛ばそうか考え中の作者!
もうそろそろマジで原作に入っておきたい。だけど、それまでに色々イベントをいれておきたい!
果たしてアザゼルさんは過労死は免れることができるのだろうか!?