雷帝【偽】の物語   作:うたまる♪

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暫く更新できずにすみません。

此方も色々仕事が立て込んでおりまして、更新が難しくなっています。


できる限り書いて行きたいと思いますので、よろしくお願いします!


誤字の報告ありがとうございます!
今後も、よろしければ訂正お願いします!


雷帝と英雄①

「俺と共に人間の限界を挑んでみないか?」

「結構です」

 

 

この言葉が天野銀次と英雄曹孟徳とが交わした初めての言葉だった。

 

 

 

 

………

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

あの事件以来、銀次はヴァーリと共に人間界で暮らすようになった。当然、子供二人だけでの生活などもってのほかだが、アザゼル自身総督と言う立場もあり、多忙な日常を送っており、とてもじゃないが人間界で暮らすことなどできるはずがなかった。そこで白羽の矢が立ったのがレイナーレだった。

レイナーレも仮とはいえ銀次の育ての親だ。人間界で暮らすことになった銀次の事が気にならないと言えば嘘になる。だからこそ、アザゼルは銀次が気を許しているレイナーレに、二人の保護者になるように頼んだのだ。

 

 

人間界で暮らすことが初めてなヴァーリは色々不慣れなことが多かったが、そこはレイナーレと銀次がフォローしつつ、平穏な日々を送っていた。アザゼルは銀次とヴァーリ、二人の身元が割れる事を恐れ、二人を学校に通わせることができないことを謝罪していたが、二人にとってそんなことは栓無き事。毎日平和に暮らすことができる事こそが二人の、何よりヴァーリにとっては幸せなことだった。

 

 

そんな二人は前回の事件の事もあり、ヴァーリからの強い要望もあり身体を鍛えることにした。

銀次とヴァーリは互いに組手や模擬戦などを行い、体術はみるみると上達していった。更に銀次は前回の事件で発覚した雷の力を制御することを念頭に置き、訓練に取り組んだ。銀次は5年の歳月をかけて雷の力を扱う事ができるように成長した。

 

 

銀次とヴァーリの模擬戦は体術のみならヴァーリに軍杯が上がるが、銀次は雷あり、ヴァーリは神器(セイクリッド・ギア)ありでなら銀次に軍杯が上がる。だが、ヴァーリが禁手(バランス・ブレイカー)を使った場合はヴァーリが銀次を完封させる。

 

 

このように実力で言うならヴァーリの方が高い。

だが、それは銀次が平常時の時に限っての話だ。銀次が一度雷帝化するとヴァーリは手も足も出なくなってしまう。一度だけ偶然にも模擬戦で雷帝化した銀次とヴァーリが戦う事があったのだが、その結果は凄惨なものだった。

 

 

ヴァーリは禁手(バランス・ブレイカー)を超える力覇龍(ジャガーノートドライブ)を短時間だが、使用したにも拘らず、手も足も出ずに殺されかけた。

その時は、偶然その場に居合わせたアザゼルとレイナーレが決死の覚悟で銀次を止め、ヴァーリは九死に一生を得た。それ以来、ヴァーリは雷帝化した銀次がトラウマになってしまった事は余談だ。

 

 

この出来事があった銀次とヴァーリがちょうど12歳の時

 

 

この出来事が引き金となって新たな事件が起きることを彼らは知らない。

 

 

 

………

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

「この街で間違いないんだな?」

「ああ、随分と隠蔽工作が施されていたようだが間違いないだろう。つい最近発せられた力はこの街から感じた」

 

 

漢服を羽織った青年の言葉に制服にロープを羽織った青年が答える。

 

 

「この街に人外ではない、俺達のような超常な存在がいるのか」

「さあ、あれほどの力を持つ輩が、あれだけの力を発しておきながら今も尚この街に潜んでいるのかはわからないが、調べたら何かしら出てくるだろう」

 

 

彼らもヴァーリと同じように特別な力を持ったが故に、世界に受け入れられなかった者達だ。だからこそ、二人は自分たちと同じ力を持つ者の力を感じたこの街にやってきた。

 

 

「そいつと俺達は必ず会うことができるさ」

「それは神の御告げか?」

「いいや」

 

 

漢服を着た青年の右目に浮かぶ十字架が怪しく光る。

 

 

「運命は常に収束する……たとえそこにどんな過程があったとしてもね」

「……よくわからないが、曹操、お前がそう言うならそうなんだろうな」

「ゲオルク、君も英雄なら理解できる時が来るさ」

 

 

二人の青年は街の中に溶け込んでいった。

 

 

天野銀次とヴァーリ・ルシファーが住む街へ

 

 

そこが地獄への入り口だという事を知らずに

 

 

 

 

………

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

「ん?」

「どうしたんだ銀次?」

「いや……何か嫌な感じがしたから」

「敵か?アルビオン」

『いや、それらしき気配はしない。気のせいではないか?』

「それならいいんだけど……」

 

 

銀次の言葉にアルビオンが答える。

アルビオンはヴァーリに宿る神器(セイクリッド・ギア)白龍皇の光翼(ディバイン・ディバイディング)に宿っている龍だ。ヴァーリとアルビオンが会話できるようになったのはヴァーリが銀次と出会い、精神面が落ち着いたときだ。それ以来、ヴァーリを通して銀次とアルビオンは良好な関係を築いている。

 

 

「それより今日はレイナーレさんが神の子を見張る者(グリゴリ)に帰ってるし、昼はどうする?」

「ラーメンでいいんじゃないか?」

「またラーメンか」

 

 

 

銀次の何ともない呟きにヴァーリが反応する。

その時、銀次はしまったと言った表情をする。銀次は既にヴァーリに言ってはいけない言葉(タブー)を言ってしまったのだから。

 

 

「ん、ラーメンはいいぞ。それに店によって異なるスープ、麺の硬さや柔らかさ、それを引き立てる具材、調味料の割合、どれをとってもラーメンには欠かせないパズルのピースだ。それらがすべて合わさった時、ラーメンは完成するんだ。そもそもラーメンにも歴史と言うものがあるんだが、それがまた―――――――――」

「と、とにかく!今日の昼はラーメンでいいから、その話はまた今度聞かせてよ!」

「……それもそうか、ならまた今度話の続きをしてやる」

 

 

ヴァーリにとって話を続けることも大事だったようだが、実際に食す方に天秤が傾いたようだ。銀次はヴァーリが話をやめてくれたことに内心ホッとする。ヴァーリはラーメンに目が無く、語りだすと下手なことでは止まらなくなる。それこそ、先程の様にラーメンの歴史まで語りだそうとする始末だ。アザゼルと銀次は一度被害を受けており、その時は一時間近くヴァーリからラーメンについて熱く語られた。

 

 

「と、ここだ。ここの裏路地にある店がそうだ」

「へぇー、中々古風な感じのお店だね」

 

 

銀次とヴァーリは店のドアを開けた。

 

 

「やあ、待っていたよ」

「「!?」」

 

 

瞬間、銀次とヴァーリは臨戦態勢に入った。

 

 

「ここは……」

 

 

銀次は直感的にこの場が何処なのか悟る。

この場は既に先程まで居た場所とは異なる事に。その原因は、目の前の青年二人にあることも。

 

 

「アルビオン!」

『これは絶霧(ディメンション・ロスト)!それだけではない、あの小僧の持っている物は黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)だと!?』

「あれがアザゼルの言っていた聖槍か、凄まじいな」

 

 

ヴァーリは軽口をたたいているが、内心聖槍の圧倒的なオーラに気圧されかけている。忘れているかもしれないが、ヴァーリは悪魔だ。悪魔にとって聖なるものは危険極まりない。それこそ聖水など触れようものなら火傷では済まないだろう。その最上位に位置する聖槍に触れるとどうなるかは想像に難くない。

 

 

「えっと……ヴァーリのお友達?」

「生憎だが、俺の友達はあんな物騒な物をもってないよ!」

『状況を考えて口を開けカミナリ小僧!』

 

 

銀次のあて外れな言葉にヴァーリとアルビオンから罵声が飛び出る。

 

 

「ふむ、随分幼いんだな。一人は悪魔とのハーフでもう一人は神器(セイクリッド・ギア)の気配すら感じない唯の人間か」

「本当に彼らが例の力の持ち主なのか曹操?」

「ああ、俺の目に間違いはないよ。彼こそがあの力の持ち主だ。神器(セイクリッド・ギア)もなしに一体どういった絡繰りを使ったのか非常に気になるが、それはのちのち知ればいい事だ」

 

 

ゲオルクの言葉に曹操は若干興奮した様子で返事を返す。

ゲオルクはヴァーリはともかく、銀次はどう見ても唯の人間にしか見えなかった。とてもじゃないが、曹操の目にかなうとは思えない。

 

 

「俺達に何の用だ、聖槍使いに霧使い」

 

 

ヴァーリは二人を殺気を込めながら睨みつけるが、二人は気に留めずに返事を返す。

 

 

「そうだね、まず自己紹介をしよう。俺の名前は曹操、彼の三国志の英雄曹孟徳の子孫さ。こっちは」

「ゲオルク・ファウストの末裔、ゲオルク。彼の覇道を支える魔術師だ」

 

 

二人の言葉に唖然とする銀次とヴァーリ。

 

 

『英雄の末裔で神滅具(ロンギヌス)所持者、随分と数奇な運命を持つ輩だな』

「それは褒め言葉として受け取らせてもらうよ、白き龍(バニシング・ドラゴン)

 

 

ヒリヒリと焼けつくような緊迫した空間

 

 

互いに軽口をたたき合っているが、どちらかが動き出した瞬間に戦いが始まる。

そんな緊迫した空気の中、曹操は口を開いた。

 

 

「で、君たちの名は教えてくれないのか?俺達にだけ名乗らせるのは不公平だと思うが」

「俺の名はヴァーリ、こっちのアホ面は銀次だ。特によろしくと言うつもりはない」

「ちょ、アホ面って何さヴァーリ!」

 

 

怒る銀次を放置し、現状を冷静に分析するヴァーリ。できるなら名を名乗ることは避けたかったが、あのまま自ら名乗り出なかった場合、銀次が代わりに名乗っていただろう。ヴァーリのファミリーネームまでご丁寧に話したうえでだが。そう言った最悪の事態を避けるためにヴァーリは自ら名乗ることにしたのだ。

 

 

「銀次とヴァーリ、か……中々良い名だ」

「そんなことはどうでもいい。さっさと元の場所に戻してくれないか?生憎昼ご飯がまだなんだ」

「そうか、それは悪い事をしたな」

 

 

曹操は口では謝罪を述べているが、元の場所に戻そうとする気配が感じられない。いや、曹操は何かを推し量っている。

 

 

「銀次君だったな………どうだ、俺と共に人間の限界に挑んでみないか?」

「結構です」

 

 

銀次の即答に周りの空気が固まる。

 

 

曹操もまさか即答されるとは考えてなく、ゲオルクも一瞬で返答を、それも拒否をするとは考えてもいなかったのが半ば唖然としている。

 

 

ヴァーリは、むしろ何故断られないと思っていたんだと言うような表情をし、銀次は二人がフリーズしていることから何か間違ったことを言ったのか首をかしげている。

 

 

ここで冒頭に戻る

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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