雷帝【偽】の物語   作:うたまる♪

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書いてて何書いてるんだろって、なってる作者です。

誤字の報告、感想、評価、本当にありがとうございます!

今後も更新頑張っていくので、よろしくお願いします。

他の作品も追々再開していきたいとも思うので、よろしくお願いします!


雷帝と英雄②

何とも言えない空気が辺りを包み込む中、曹操は口を開く。

 

 

「……理由を聞いていいか?」

「いや、そんなことに興味ないし。(第一そんな死にそうなことは御免だ)…」

 

 

曹操は銀次の後半の呟きは聞こえなかったが、その返答に納得する。それと同時に銀次が唯の馬鹿ではないことも理解し、銀次の認識を改める。更に曹操は銀次とヴァーリの関係性を冷静に分析する。

銀次とヴァーリは一見すると対等な関係見えるが、実はそうではない。実際、ヴァーリは銀次に対して絶大な信頼をしている。対して銀次は、ヴァーリの過去を知っていることから過保護と言ってもいい程、気を使っている。以上のことからどちらか一方をだ王することができれば、もう一人も崩れると曹操は考えた。

 

 

「ふむ、ゲオルク」

「何だ?」

 

 

曹操の脳内ではすでに次の行動パターンが幾つか浮かび上がっている。

 

 

 

 

根気よく説得を続ける

 

 

取り押さえ、洗脳する

 

 

自身の障害になる前に排除する

 

 

 

 

できるのなら一つ目が理想だろう。だが、銀次とヴァーリの曹操たちの認識は得体のしれない者だろう。そんな輩の説得を聞き入れてくれるとは思えない。

なら取り押さえ、洗脳することが良いかもしれないが、未だ相手の実力は知れない。だが、白龍皇が悪魔という事を考慮するなら聖槍を使う此方はかなり有利に戦闘を進めることができるだろう。しかし、此処で一番の不安要素は銀次の実力が全くもって読めないという事だ。中途半端な先入観は戦闘では命取りになる。

なら残る選択肢は一つだけだ。

 

 

「彼らには悪いが、舞台から退場してもらおう」

「戦闘か、お前の指示に従おう」

 

 

曹操とゲオルクは戦闘態勢に入る。

曹操は聖槍から神々しいオーラを放ち、ゲオルクは辺りに霧を散布する。

 

 

銀次とヴァーリも曹操たちが戦闘態勢に入ると同時に、臨戦態勢から完全な戦闘態勢に入る。特にヴァーリは聖槍が相手だ。ちょっとした掠り傷が命取りになる。

 

 

「アルビオン!」

『承知した!』

『Vanishing Dragon Balance Breaker‼』

 

ヴァーリは早くも禁手化(バランス・ブレイク)し、アルビオンの力を具現化させ全身鎧(フルプレート)をその身に纏う。銀次も両手に鉄鋼が付属しているグローブを填め意識を変える。

 

 

「見た目に反して中々の強さを持っているようだ。だが、それは想定内だ」

 

 

曹操は聖槍を中段之構えをし、ヴァーリに向かい肉迫する。一歩目の蹴り足で間合いの半分を潰す。ヴァーリは簡単に間合いを詰めさせまいと牽制も兼ねた魔弾を放つが

 

 

魔法の矢(マジックアロー)

 

 

後方からゲオルクによる援護射撃により、ヴァーリの魔弾は全て相殺される。

ヴァーリの持つ魔力は生半可なものではない。だからこそ、人間であるゲオルクに牽制とはいえ、魔弾をいとも簡単に防がれたことにわずかながら動揺が走る。

その動揺は曹操が残りの間合いを潰すには十分な時間だった。

 

 

「やはり年に比例し、自信過剰なところがあるようだな」

 

 

曹操は聖槍を伸ばす。狙いはがら空きな懐。間合い、拍子ともに曹操に味方している。ヴァーリは急いで身体を捻り致命傷を防ごうと回避を行うが間に合わない。だが忘れてはいけない。この場にヴァーリの味方がいることを。

あと一歩で聖槍がヴァーリの腹を貫く、そんな際どい状態で曹操の動きが止まる。いや、止められる。曹操の腕には鋼鉄で出来たベルトが巻きついており、曹操の動きを阻害する。

 

 

「へへ、油断は駄目だよヴァーリ」

「うるさい、少し手を抜いていただけだ」

 

 

ヴァーリはすぐさま飛翔し、曹操の間合いから逃れる。その際に魔弾をいくつか放つが、全て霧に阻まれ曹操には届かない。

 

 

「こんなもので俺を拘束できると思わないことだ」

 

 

曹操は腕に巻きつくベルトを聖槍で切り離そうとするが

 

 

「っ!これは唯のベルトじゃないな!」

 

 

聖槍でベルトを斬りつけるがベルトは斬れず、尚も曹操を拘束し続けている。

 

 

「アザゼルさん特注のベルトだ!ついでに喰らっとけ、二十万ボルト!」

 

 

銀次はベルトに電流を流し込む。曹操もまさか、人間が身体から電気を発生させることができるとは想定している訳もなく、その身に二十万ボルトの電流を浴びる。

 

 

「ぐっ、やるじゃないか!君の身体にそんな絡繰りがあったなんてね!」

 

 

曹操は先程の電撃でベルトが離れたことを確認すると、ゲオルクの居る後方まで後退する。ヴァーリも上空から地上に降り、銀次の隣に並ぶ。

 

 

「ゲオルク、先程の彼の一撃に魔術的要素は確認できたか?」

「いや、確認できなかった。驚くことにあれは掛け値なしの自然現象だ。おそらく奴の身体に何かしらの秘密があるのだろう」

「そうか、ますます興味深いよ銀次君。やはり君は俺達と共に来るべきだ。今からでも考え直さないか?」

「断る!あんたを見てると何か嫌な感じがする。それに今ここで俺らを殺そうとしている奴の事なんか信用できないね!」

「そうか、なら力づくでいかせてもらおう!」

 

 

銀次と曹操がぶつかり再び目まぐるしい攻防が始まる。

曹操が聖槍で突けば、銀次はそれを躱し懐に潜り込もうと試みる。だが曹操自身も不得手の間合いに銀次を侵入させるわけもなく、薙ぎ払い銀次を後退させる。

 

 

聖槍の刺突は唯の突きではない。その一撃は神をも殺しうる万夫不当の一撃、邪を払い、全てを圧砕するかの一撃。そんな一撃を銀次は持ち前の戦闘感によって避け続ける。銀次自身も電撃を放ち牽制を行っているが、それも焼け石に水だ。銀次の雷撃は聖槍に引き裂かれ曹操には届きえない。全力の一撃を放てば話は別かもしれないが、銀次が発電できる電力には限りがある。万が一電池が切れることがあれば、それが銀次の最後になるだろう。だからこそ、二人の攻防は一進一退の膠着状態に陥っているのだから。

 

 

ヴァーリとゲオルクの戦いは静かながら互いに高度な知能戦を行っている。そんな中でゲオルクは密かにあせりを覚えていた。

様々な魔術を使いヴァーリを攪乱し隙を作りだそうとするが、ゲオルクにそのようなチャンスは全くやってこない。禁手(バランス・ブレイク)によって向上したヴァーリの機動力にゲオルクの攻撃速度がわずかに遅れているのだ。

加えて、ゲオルクは魔術師であり、近接戦闘は得意としていない。ヴァーリは執拗に近接戦闘に持ち込もうとゲオルクに肉迫するが、その度に魔術や神器(セイクリッド・ギア)を使いヴァーリの動きを阻害している。ヴァーリが近づこうとするが、ゲオルクが動きを阻害し後退させる。先程からその繰り返しだ。

だが、消耗しているのは互いに同じだったとしても先に根を上げるのはどちらか明白だった。英雄の子孫とはいえ人間の魔術師であるゲオルク、対して悪魔であり、その魔力量は魔王にも匹敵するほどの要領を持つヴァーリ。どちらが先に倒れるかは明白だ。

加えて、絶霧(ディメンションロスト)の所持者であるゲオルクが創りだした空間はゲオルクが常に維持している。このまま消耗し、空間を維持することもできない程消耗すればこの空間は崩れ去る。それはすなわち曹操とゲオルクの敗北につながる。

 

 

ゲオルクは曹操と銀次の戦闘を確認する。彼らの戦闘もゲオルクたちと似通っている。ならどちらか一方のバランスを崩すことができれば、勝ちを得られるのはないかとゲオルクは考える。どのみち先に動かなければ曹操とゲオルクは敗北する。ゲオルクは曹操に念話を行う。

 

 

このゲオルクの行動によってこの場は大きく動き出した。

 

 

 

 

………

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

「いやはや、恐れ入るよ。英雄でもなんでもない唯の人間が聖槍に対抗しうるとは、やはり俺の目に狂いはなかったようだ」

「そっちの都合を押し付けてもらっても困るんだよ!さっさとご飯食べたいのに!」

 

 

正直な話、銀次の電池は結構ギリギリなところだったりもする。昼ご飯を食べる前だったこともあり充電は不十分な状態、さらに格上との戦闘で手を抜く余裕は一切ない。

 

 

あと二十万ボルト十回、五十万ボルト五回、百万ボルト一回ってとこかな。どう考えても決定打を与えるなら百万ボルトは欲しいし、だからって出し惜しみしてたら殺される。やばっ、結構詰んでだけどこの状況。

 

 

銀次は冷静に残り電池残量を考えると曹操に勝てる気がしなかった。万全の状態で闘えばどうにかなるかもしれないが、今はたらればを言っている状況でもない。だが、一つだけ状況を打破する術がある。

 

 

あの暴走状態になればどうにかなるかもしれないけど、あの時は俺の意識はないし、無差別に破壊するから 近くにヴァーリがいる状況では使えない。しかもあの状態がいつ解けるのかも俺にはわからないし。

 

 

確かに最上級悪魔ですら容易く葬ったあの状態なら目の前の敵を簡単に打倒することができるだろう。しかし、その状態の時は銀次に一切意識はない。さらに言うならば、どうすればあの状態になるのかも銀次自身解っていなかったりする。

そんな状況で曹操は大きく後ろに後退する。突然の行動に銀次も追い打ちをかけられず、そのまま容易に距離が開く。

 

 

「銀次君、君は素晴らしい。人間でありながら武器や道具に頼らず、その身一つで聖槍と闘うその姿、まさしく英雄に相応しい。今なら君を手荒に扱わずに済む。俺と共に覇道を歩もう」

「生憎だけど、俺は覇道とかそう言うのに興味はないんだ」

「………そうか、なら説得は諦めよう。英雄たる君には俺が全力を出すに相応しい。だからこそ、ここからは敬意をもって()らせてもらいに行くよ」

 

 

曹操は聖槍を地面に刺し、右手を右目に持っていきコンタクトのようなものを外す。

 

 

「光栄に思うと言い。俺がこの目を見せるのは君で二人目だ」

 

 

曹操の右目の瞳は黄色くなり、黒い十字架が浮かぶ。

 

 

「さあ、第二幕の開始だ」

 

 

 

 

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