雷帝【偽】の物語   作:うたまる♪

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急いで書いたので誤字が多いと思います。


本当にすまない……


雷帝と英雄③

曹操の目が露わになった途端

 

 

曹操の纏う空気が一変する。

 

 

「「ッ!?」」

 

 

この刹那、曹操と向かい合う銀次、ゲオルクを相手するヴァーリの身体を形成する全細胞が最警戒状態に入る。

銀次は曹操からすぐさま間合いを開き、ヴァーリは銀次の援護にと牽制を行いつつ、銀次の元まで駆けつける。

 

 

「……ヴァーリ」

「わかっている!」

 

 

銀次は額から流れる嫌な汗を流しながらも目の前にいる曹操から目を離さない。いや、離せないでいた。

銀次は直感的に悟っていた。

 

 

奴から一瞬でも目を逸らしたら最後、あの聖槍が自身を貫くという事を

 

 

対してヴァーリは、今までよりも怪しく輝く聖槍の光に言い表せない不愉快な感覚、それでいてヴァーリの中の悪魔としての本能が自身に語り掛けている。

 

 

あの聖槍に掠りでもしたら消滅すると

 

 

銀次とヴァーリの警戒態勢に苦笑を零す曹操。

ゲオルクは曹操と並び大きく息を吐く。

 

 

「随分と消耗しているようだが大丈夫か?」

「問題ないと言えば嘘になるがまだ大丈夫だ。この空間を維持するには支障はない」

「そうか、ならここからは俺が二人の相手をしよう。ゲオルクと彼らの相性は余り良くない」

 

 

それもそうだ。ヴァーリのような規格外の魔力を持つ者は例外だが、銀次の雷とゲオルクの霧とでは単純に相性が悪い。

現在は消耗しきっている銀次だが、万全の状態でなら最大10億ボルトまでの発電することが可能だ。当然乱発できるような代物では無い。今の消耗しきっている銀次が相手だとしても、ゲオルクは不利な戦いを強いられることになるだろう。だからこそ、曹操はゲオルクと言う不安要素を消し、自らの全戦力をもって二人を排除することにしたのだ。

 

 

「最終通告だ。君達を殺すことは本当に忍びない。今ならこちらも矛を収めよう。俺と共に覇道を歩んでくれないか?さあ、俺が5つ数える間に決めてくれ。ここで死ぬか、それとも俺と共に覇道を歩むか………1」

 

 

2とカウントを始める曹操。

銀次とヴァーリは視線を交わし決まりきった返答を返す。

 

 

「3……」

「悪いけど『4……』俺達はお前らとは『……5ッ!』」

 

 

銀次の返答が途中だという事すら気にも留めず、曹操は数十mもあったであろう間合いを瞬時に潰し銀次とヴァーリの背後に回る。

突然の出来事に銀次とヴァーリの眼には目の前から曹操が消えたように錯覚したことだろう。二人は反射的に気配のする後ろを振り向く。

 

 

「な⁉後ろ⁉」

「迅ッ……」

 

 

曹操は聖槍を横薙ぎし二人を纏めて両断しようとするが、ヴァーリの卓越した反射神経により二人が真っ二つになることは避けられた。

ヴァーリは咄嗟の出来事に反応しきれていない銀次の頭を踏みつけ強引に身体を伏せさせ、自身は銀次の頭を踏み台に上空へ避ける。

 

 

「クスッ」

 

 

曹操は不意を突いた初撃を避けられたにも拘らず笑みを浮かべる。まるで最初の一撃で終わらなかったことを喜ぶかのように。そしてこれから始まる死闘を喜ぶかのように。

 

 

「銀次!」

 

 

ヴァーリが怒声を張り上げると同時に両手を広げ準備を始める。

 

 

「オッケー、頼んだよ!」

 

 

ヴァーリの意図を理解した銀次はすぐさま曹操に突貫する。

対して曹操は直線的かつ無防備にこちらへ向かってくる銀次に嘆息しながら聖槍を上段に構え狙いを定める。その眼はそのような反撃しかできないのかと言う失望した色が混ざっている。

 

 

だが、その考えはすぐに間違いだという事に気づかされる。

 

 

『Half Dimension‼』

 

 

機械的な音声が鳴り響くと同時に曹操の周囲の空間が捻じ曲げられる。

 

 

「ハハハッ!この拘束される様な感覚は白龍皇の力か!」

「隙あり!」

 

 

ヴァーリの能力により聖槍を放つ拍子をずらされた曹操は簡単に間合いの侵入を許してしまう。雷を込めた銀次の右ストレートが曹操の顔面に直撃する。だが、唯で殴られる曹操ではない。曹操は銀次の拳が自身に当たる瞬間に首を捻り威力を殺しダメージを軽減させる。更にそのまま身体を回転させ足払いに繋げ銀次を反転させる。そこから喉元に向けて石突を繰り出す。銀次は両手を地面につけ首を傾けることによってその一撃を避け、身体から雷を放電することにより曹操を牽制する。雷により曹操の身体が硬直したその隙に銀次はその場から離れる。

 

 

「ふん」

 

 

離れたのも束の間、曹操は銀次と距離が空いたことを確認するや否、銀次に向けて聖槍を無造作に投擲する。銀次は聖槍に込められた聖なるオーラの余波を受けながらもその場から飛び退き聖槍の一撃を避ける。標的を失った聖槍は地面に着弾すると同時に聖なるオーラが爆ぜ爆発する。

 

 

「嘘ぉ⁉」

 

 

銀次は余りの威力に愕然とした表情をする。半径5m程のクレーターが聖槍の威力がどれほどなのかを物語っている。唯の人間じゃなくてもあの一撃を受けて無事に済むものはいないだろう。

 

 

「銀次‼」

 

 

ヴァーリの怒声が聞こえると同時に銀次の目に写ったのは、聖槍を腰に溜め銀次を貫かんとしている曹操の姿だった。

 

 

「え……」

 

 

銀次の間抜けな声が漏れる同時に曹操は腰に溜めた力を解放し、銀次の心臓めがけて聖槍を突き放つ。

 

 

「銀次ィ‼」

 

 

ヴァーリの声も空しく、その矛先は銀次を貫いた。

 

 

 

………

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――

 

 

「えっ……」

 

 

普段の俺なら発することのない間抜けな声が俺から零れ出る。

 

 

「案外呆気ないものだ」

 

 

そんな俺の気持ちを露知らず、曹操は感慨にふけることもなく、淡々とした言葉を零す。

 

 

曹操が銀次を貫くまでに行った動作はいたって単純だ。投擲した聖槍を回収するために目にも留まらぬ速さで走り聖槍を回収し突きの動作を行い銀次を刺し穿つ、ただそれだけの事だ。強いて言うならば聖槍の破壊力に目を奪われてさえなければ銀次にももう少しやりようはあったかもしれないが、それは後の始末だ。

 

 

俺は曹操の何気なく零した一言によって頭の中のナニカがプツンと切れるような感覚を味わう。

 

 

「うぅあああぁぁぁぁぁぁぁ⁉」

 

 

俺の悲しみと怒りが混ざり合った怒声が空間に響き渡る。俺は我を忘れ上空から奴に向けて突貫する。

 

 

「今までとは比べ物にならない程の魔力⁉魔力の暴走か⁉」

 

 

奴は何か言っているようだがそんなものどうでもいい。聖槍に貫かれた銀次は力無くその場に倒れ辺りに赤い水たまりを作っている。パッと見ただけでもわかる、重傷だ。今は一刻も早く銀次に応急処置を施さなければならない。

 

 

「だが、そんな直線的な動きでは!」

 

 

曹操は聖槍を伸ばしヴァーリを貫こうとする。対するヴァーリは避ける時間すらも惜しいと言わんばかりに籠手の部分に障壁を展開し、聖槍の一撃を防ごうとするが

 

 

『落ち着けヴァーリ!その一撃は悪魔であるお前に受け止めきれるものではないぞ!』

「くっ!禁手(バランス・ブレイク)での状態でも聖槍は受け止めきれない!」

 

 

俺は受け止めきれないと悟るや否、すぐさまその聖槍の一撃を防ぐのではなく矛先を逸らすことに切り替える。奴はまさか受け流されるとは思ってもいなかったのか続く連撃がわずかに甘くなっている。俺は奴の繰り出す連撃を最小限の動きで逸らし躱し続け銀次の元へ向かう。だが、銀次の元へは行かせないと言っているのか奴は俺の前に立ちふさがる。今は貴様の相手をしている暇はないんだ!だから

 

 

「邪魔をするなぁぁぁ!」

 

 

俺は脚鎧に魔力を集中させ回し蹴りを放つ。曹操は躱せないと悟ると聖槍で防ごうとする。普段の俺なら聖槍に触れることを恐れ攻撃をやめていただろうが今は違う。すぐに銀次の手当てをしなければいけないんだ!

 

 

「あ”あ”あ”あ”!」

 

 

俺は奇声を上げながら脚を振りぬく。曹操は俺の一撃を受け止めきれないと悟ると自ら横に跳び威力を殺す。威力は殺されたが問題はない。曹操との距離は取れた。今のうちに応急処置を!

 

 

「銀次!」

 

 

俺はうつ伏せに倒れる銀次を仰向けにし、呼吸の確認をする。問題ない、呼吸は浅いが息はある。それに盛大に貫かれ腹に風穴が空いているが致命傷の場所ではない。おそらくこいつは聖槍に貫かれる瞬間、咄嗟にグローブで矛先をずらしたんだ。だからこそ、聖槍に貫かれても尚、こうして息をしている。致命傷でないとしてもこの出血量は流石にまずいが。俺は傷口に手を翳し治癒を行う。残念ながら俺は治癒はあまり得意ではない。俺ができるのはせいぜい応急処置ぐらいなものだ。だが、その場凌ぎにはなる。

 

 

「やれやれ、随分とお怒りのようだな」

 

 

曹操は俺の蹴りをものともしていないと言わんばかりにピンピンとした姿でこちらに向かって歩いてくる。その飄々とした姿が、銀次を殺そうとしたこいつが、憎くて仕方がない。だが、今はこいつに構っている時間はない。施したのはあくまで応急処置のみだ。時間が経てば再び傷口が開くだろう。

 

 

「今すぐこの空間から出せ」

 

 

俺は抑えきれない怒気をまき散らしながら曹操を睨め付け言う。だが、当の本人はそれを涼しい顔で受け流し返事を返す。

 

 

「それは無理な相談だ。君たちは俺が覇道を進むには些か許容しがたい障害になりうる存在だ。残念だが仲間になってもらえないなら殺すしかない。それだけ君達を評価していると考えてくれ」

 

 

此奴……!何が何でも俺達を逃がすつもりはないと言うことか。どうする、今の魔力で行けるか?いや、やるしかない!出来る出来ないかじゃない!どうにかするしかない!何より、銀次を死なせるわけにはいかない!

 

 

「我、目覚めるは 

 

 覇の理に全てを奪われし二天龍なり

 

 無限を―――――――」

 

 

詠唱の最中に曹操の手元から聖槍が伸びる。だが、その矛先は俺に向かっていない。焦って外したか?いや違う!奴の狙いは

 

 

「覇龍の詠唱何てものを悠長に待つ義理はない。さあ、選べ」

 

 

友か自分か―――――――――――

 

 

 

「貴様ぁぁぁぁぁぁぁ‼」

 

 

俺は銀次に向かう凶刃を受けあっさりとこの身を地面に落とした。

 

 

 

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