「さて、どうする?条件はそっちが決めていいぜ?」
「真剣勝負よ!手加減しないでかかってきなさい!」
「ほう?真剣勝負の意味、わかって言ってるんだろうな?」
「な、何が言いたい!」
「殺す覚悟と殺される覚悟はあるのかって言ってんだよ」
「そんなもの必要ない!殺さずにお前を屈服させるまでよ!」
「はぁ……こんな脳みそお花畑ちゃんが剣術指南役とは、あのお嬢ちゃんも災難だな」
「言わせておけb」
「タイムスリップ!」
「……」
「真剣勝負とはいえ殺すわけにもいかんし、ここは親指を貰っておくかな……」
「ぁっ!?ぁっがあぁぁ!!?」
「この通り、お前さんの親指は貰ったぜ?」
「な、にをぉぉ……何をしたぁぁぁ!!!」
「さてな?お前さんが真剣勝負って言ったんだ。命がかかってるのに手の内をばらす馬鹿がいるかよ」
「ぐっ!符の壱「二重の苦輪」!!」
「その人魂みたいなのは分身の種だったのか。なかなか面白えじゃねえか」
「親指がなければ剣を持てないとでも思ったか!」
「両手で挟めば持てるってか?握らず挟んだだけの剣で何が斬れるってんだ」
「妖怪が鍛えたこの楼観剣に斬れぬものなど、殆ど無い!」
「どんな名剣でも使い手次第だろう」
「そう思うなら斬られてみなさい!」
「やなこった。タイムスリップ!」
「……」
「おっと、分身は独立して動くのか」
「……」
「だんまりか。まあ分身が喋るわけねえわな。……かえるの歌!!」
「……」
「一発で効いたな。妹紅は例外として、ここの連中は状態異常に弱いのか?」
「ゲロ!?ゲロゲーロ!」
「丁度良く動き出したな。お前が何言ってるかわかんねえが、今から分身とまともに斬り合ってやるからそこでよく見てな!」
「ゲロ!ゲーロ!ゲロゲーロ!」
◇◇◇◇◇◇ ◇◇◇◇◇ ◇◇◇ ◇◇ ◇◇◇◇ ◇
「あらら、妖夢ったら思った以上にコテンパンにやられてるわねぇ」
「停止技持ち相手に真剣勝負など挑めば当然でしょう」
「そうねぇ。でも彼の停止技はメイドちゃんとは違うのねぇ」
「そのようですね。世界を止めて自分だけ動くのではなく、対象のみを止めているということは味方との連携が容易であるということですし、戦闘時の利便性は高いでしょうね」
「反面、メイドちゃんのと違って日常生活に役立てるのは難しい、と」
「そうですね。しかし、あれで手札の一割も見せていないというのは恐ろしい話です」
「あら、時間を止めたり妖夢を蛙に変えちゃったのと同じような手札がまだあるの?」
「実際にこの身で体験したものは少ないですが……」
「そう……武器の扱いも相当よね。今見てるだけでも剣と薙刀と苦無を使い分けてるじゃない」
「薙刀を捨てて剣を抜くならともかく、薙刀を保持したまま十全に剣を使っているあたりが特に恐ろしいですね」
「分身ちゃんが喋れない分スペルが奇襲気味になってるのに危なげなく対処してるものねぇ」
「被弾しても無視できるものと被弾しては拙いものの選択と、剣による無駄のない打ち消し……これで手加減しているというのがまた」
「あれで手加減してるの?」
「ええ、今は自己強化を一切していないので、本気の半分かもっと低い対処能力であれですよ」
「直接戦闘能力でそれなのに隠し玉も沢山あるなんて反則じゃない?」
「弾幕ごっこならともかく、真剣勝負だと私でも後れを取るかもしれません」
「あら~、そこまで凄いとは思わなかったわ~」
「本当、ただの人間だというのが悪い冗談にしか思えませんよ」
「に、人間?」
「普通の人間です」
「てっきり歳を重ねた人型の妖怪だと……」
「そう思いますよね……」
停止系能力者相手に真剣勝負は無理があるよね