「ありゃ?昨日とは違う場所だな」
「あの掘っ立て小屋が妹紅の家だよ」
「えらくボロっちい家だな」
「喧嘩売ってるんだったら言い値で買うわよ?」
「おっと悪い」
「買い出しの帰りか?」
「見てのとおりよ。そっちは塩持ってきてくれたのよね」
「ああ。これだけあれば十分だろう?」
「あら、結構くれるのね。紫にしては珍しいじゃない」
「紫様もあの酒盗が気に入ったのだろう」
「誰かさんが横からとってたけどね」
「おいおい、悪者扱いはなしだぜ」
「人の家をボロっちいなんて言ったお返しよ」
「悪かったよ。しかし何でこんなところにポツンと建ててあるんだ?」
「昼間はそこの竹林の案内をやってるのよ」
「案内?」
「そこの竹林は迷いの竹林といってな、普通の人間が入り込むと迷ってしまって進むことも戻ることもできなくなるんだ」
「慣れない森に入ったらそりゃ迷うだろ」
「そういうことじゃないんだ」
「あの竹林には道がないの」
「獣道もか?」
「そうだ。なにせ、毎日新しい竹が生え、倒れていくからな」
「仮に一日で完璧に地理を把握したとしても、次の日には役に立たなくなってるのよ」
「そりゃとんでもないな。でも、だったら入らなきゃいいんじゃないか?」
「昔は筍掘るくらいしか用がなかったからそれでもよかったんだけどね」
「今は幻想郷一腕のいい医者が居を構えていることがわかっていてな」
「今はってことは昔から居たけど知られてなかったってことか?」
「何百年も隠れ住んでいたのだ」
「私と同じ不老不死の二人だけなら今でも隠れてたかもしれないけどね」
「妹紅みたいなのが他にもいるのか……」
「どっちかっていうと私がおまけだけどね」
「ふーん。でも不老不死じゃないやつもいるんだな」
「ああ、隠れているところに偶然転がり込んだ豪運の持ち主が一人と、もともとこの土地に住んでいたものが一人だな」
「その転がり込んだやつの消耗品を確保するために表に出てきたのか」
「それは少し違うな」
「そいつの分の消耗品はあたしが提供してたからね」
「ある日突然屋台を始めるから都合をつけてくれと言われたときは何があったのかと思ったものだ」
「屋台を隠れ蓑にして塩やらなにやらを横流ししてたのか」
「人聞きの悪いこと言わないでちょうだい。実際に屋台始めたんだからいいじゃないの」
「人聞きが悪いとはいうが、新しいことを始めるからという理由で必要以上の資金や物品を用意させ、余った分を横流しするのは汚い役人の常套手段だろう」
「妹紅がそんなやつだったとはな。カラッとした気持ちのいい奴だと思ってたのに……残念だぜ」
「ちょっと!笑いこらえてるのがまるわかりよ!」
「まあまあ、軽口が叩けるというのはいいことだぞ?」
「だ、そうだぜ?」
「~~ッ!カードを構えなさい!本気で叩きのめしてあげるわ!」
「おいおい、ちょっとからかっただけじゃないか」
「ま、弾幕ごっこはもともとやる予定だったんだ。ちょうどいいぜ」
「今日のリザレクションは手加減なしよ!せいぜい頑張りなさい!」
「そいつは楽しみだ。自己強化はかけていいのか?」
「後で負け惜しみを言われたくないし、使えるものは全部使っていいわよ。ふふふ」
永夜抄の長丁場にアマノジャクのリザレクション……残機バイバイにも程があるだろ