「ミスティアはたいして強い妖怪ではない。しかし今のお前には堪えただろう?」
「ああ全くだ。今まで盲目はすぐ治療してきたし、それでなくても慣れない空中戦だってのが痛かったな」
「完全な目潰しではなくとも弾幕への対処は難しくなる。お前の完全な目潰しを禁止するのは当然だ」
「そうだな。弾幕には殺気の類がのってねえ分察知しにくいし、普通の戦闘と違って受けながら反撃するわけにもいかねえからな。思った以上にキツイぜ」
「うむ。納得がいったなら今回の成果は十分だ」
「私が強い妖怪じゃないのは確かだけど、私の店でそういう話するってどうなのよ」
「お前は強い妖怪ではないが、妖怪としての役割は十分に果たしているじゃないか。役割を果たせていない連中よりよほど立派だよ」
「お?藍が高く評価するとは珍しいな。ミスティアの役割って重要なのか?」
「私は夕方以降に見かけた人間を鳥目にしてるだけよ?」
「人間にとって『見えない』ということは根源的な恐怖を感じることだからな」
「あー、夕方でまだ周りが見えてるはずなのに急に周りが見えなくなるってさっきのアレは確かに怖いかもな」
「そうだ。それが大事なのだ。ここ幻想郷の妖怪は人を殺すことを禁じられている。しかし、一方ではその生い立ちから人に恐怖を与えないといけないという枷を背負っている」
「はー、妖怪って面倒なんだな」
「あら、みんながみんな恐怖を与えないと生きていけないってわけじゃないわよ?例えば人を驚かせるという枷の子があっちこっちふらふらしてたはず」
「まあ、ああいうのは稀な例だ。何よりあいつは人を驚かせるのが下手で役割を果たせていない」
「役割を果たせないとどうなるんだ?」
「基本的には空腹が満たされない」
「いくら食べてもひもじいなんて大変よねー」
「それはかなり真剣にヤバくないか?」
「妖怪だから空腹で死ぬことはないぞ」
「いや、死ななきゃ大丈夫ってわけでもないだろ」
「ねー。私だったら制約なんて忘れて人食べてるわ」
「それはそれでどうなんだ……」
「そんなことをすれば紫様他幻想郷の維持に関わっている方々によって抹殺されることになる」
「じゃあそいつに限らず役割を果たせてない妖怪ってのは……」
「空腹に苦しみながら役割を果たす方法を考えるか、短絡的な行動を起こして消されるかだ」
「うへぇ、それも俺が変化を促す対象じゃないだろうな?」
「まあ、結果的にそうなればいいとは思っているが、積極的にどうこうしろとは言わん」
「あんた、変な役目背負わされてんの?」
「幻想郷の住民の意識を変化させろってよ」
「へぇー、あんたも大変なのねー」
「ま、宿も飯も面倒見てもらってるからな」
「あらら、そりゃ逆らえないわね」
「逆らう理由もないけどな」
「あらあら、もしかして二人はそういう仲だったりするのかしら?」
「お、そう思うか?」
「おい、誤解を招くような反応をするな」
「あらら、フラれちゃったわね」
「けんもほろろとはこのことだな」
「お前たち、揶揄う相手は選んだ方が身のためだぞ?」
「お?やるか?」
「そうだな、お前がどれだけ弾幕ごっこに適応したのか確認してやるのもいいか」
「私のお店の近くでドンパチやるのはやめてよね」
「この暗闇ではギルガメッシュに不利だろう。言い訳の余地が残らないように明日にするさ」
何かまた変な話になってる……