「貴方は実戦で役立つ魔法が好みなのよね」
「まあそうだな。生活に役立つ類の魔法は俺の世界では見なかったからな」
「なら貴方の師匠の生活には驚いたんじゃない?」
「ああ、正直かなり驚いたぜ」
「人形型の魔物を使役してると思われてたのよねー。ほんと、失礼しちゃうわ」
「あら、自立人形は一般人からすれば魔物じゃなくて?」
「そ、それはそうかもだけど今は違うじゃない!」
「そ。今はどうでもいいわ。そんなことより、貴方に教えるのは毒水の魔法からにするわ」
「そんなこっ」
「まあ落ち着けよ。そこで流せないから揶揄われるんだぞ?で、毒水の魔法ってのは?」
「ぐぬぬ……」
「金&水符「マーキュリポイズン」、金属毒を含んだ水球を自身の周囲に散らす魔法よ」
「金属毒ってのは馴染みがねぇな。どんな毒なんだ?」
「身体機能の低下が発生するわ」
「ってことは直接的なダメージじゃなくて戦闘能力の低下が期待できるってことか」
「そうなるわね。含む金属の種類によるけど、筋力の低下や骨の軟化は直接戦闘力が下がるでしょうし、頭痛や耳鳴りなんかは集中が乱れることが期待できるわね」
「なるほどな。戦闘中に意識が削がれるのはキツイ。かなり実戦向けだな」
「ねえ、その魔法って普段から使ってたわよね?」
「大丈夫よ。弾幕ごっこでは金属球と水球に分けて撃ってるもの」
「因みに、解毒はどうすりゃいいんだ?」
「解毒はできないわ」
「何?どういうことだ?」
「金属毒は体を壊す毒よ。体が壊れたからその分だけ機能が低下していくの」
「生物毒でも同じじゃないのか?」
「言い方が悪かったわね。金属毒が壊すのは修復が難しい部分なのよ。一部の生物毒にも言えることだけれど、毒を取り除いて体の修復を促したとしても、機能回復はほとんど望めないわ」
「肉や骨を直接壊してるわけじゃないのか?」
「どちらかというと肉や骨を再生する機能を壊す方がメインかしら」
「ねぇ、さっきからとんでもない内容を聞かされてる気がするんだけど?」
「貴女も魔女なら毒の研究くらいしたことあるでしょう?」
「回復不能な毒なんて研究しないわよ!」
「知らないということは対策ができないということよ。自分の身を守るためにも凶悪な毒の研究はしておくべきだわ」
「道理だな。俺もその意見に賛同するぜ。エスナが効けばいいんだがな」
「それはどんな魔法なのかしら?」
「体の異常を消し去る魔法だな。魔法的な状態変化を消すならディスペルだが、毒による身体異常ならエスナだろう」
「異常を消し去る?どういうこと?」
「健康な肉体に変換するんじゃないか?俺も使ってるやつを見たことはないからなぁ」
「肉体を変換って……」
「つくづく発想が違うわね」
「それより、そろそろ使い方を教えてくれよ」
「それもそうね」
「じゃあ、私はちょっと離れてるわね」
金属&水で毒っていうと公害病のイメージ
生物毒は血清があるものも多いけど、金属毒にはそういう話を聞かないよね