一度で終わらせようと思ったけど、長くなりそうだから二つにしました。
では、どうぞ。
遂に始まったクラス代表決定バトルロイヤル。まず始めにぶつかったのは、スピード重視の一夏とハルキだ。他者を置いていく速度で、二人は白式とヴァリマールの刀をぶつけ合わせる。
『始めにぶつかったのは織斑君とシュバルツァー君!!互いの武器らしく真剣勝負だあッ!!』
『資料によりますと、二人の機体は高機動型。そして武器も太刀一つと似通った性能です。となると、後は特殊武装か本人達の技量が勝敗を分けますね。』
「まさか、お前も刀を使うとはなッ!!」
「父さんから教えてもらったものさッ!!」
「私も混ぜさせて!!」
つばぜり合う二人に向かい、レンが空中を跳ねながら飛び込んで来てバスターソードモードのフルボトルバスターを全力で振るい、一夏達は迎え打とうと互いの距離を離して構える。
「いい的ですわッ!!」
そこをオルコットが三人を狙うも、それに気づくとすぐさま離れ、レーザーは三人の間を通り抜けていく。
「わっととッ!?」
「あっぶね!?」
「ユウナッ!!」
「任せて!!」
ハルキの指示にユウナはガンブレイカーを
「このッ!?」
「へへっ…も~らい♪」
「キャアッ!?」
それに意識が向いた瞬間、背中に攻撃を喰らって吹き飛ぶオルコット。ユウナが視線を向けると、地上からフカことビルド・タンクタンクフォームがフルボトルバスターをバスターキャノンモードにして構えていた。
「アタシ達を忘れてもらっちゃ…困るぜ?」
「隙が丸出しだぞッ!!」
「うわっちゃあッ!?」
そんな決め台詞を言っている間に、近づいてきた箒が刀を振り下ろす。フカはそれに気づくと慌てて下がって回避したが、バランスを崩して後ろに倒れゴロゴロと少し転がった。
「あっぶないな~!!当たったらどうすんだよ!!」
「いや、そんな事言われても…」
起き上がりながら文句を言うフカに呆れる箒…そんな隙をユウナは見逃さない。
「ARCUS駆動。」
静かに呟くユウナ……そんな彼女の周りを水色の幾何学的模様の輪が現れる。
『おや?クロフォードさんの周りに何か浮かんでますね?』
『資料によりますと、あれは【
『おーばるあーつ?何ですかそれは?』
『簡単にいえば…』
「【ニードルショット】!!」
それが弾けると、彼女の前に石が集まって大きな塊となり、フカ目掛けて高速で飛んでいった。
「ほえ?……ふんぎゃッ!?」
まさかの攻撃に行動が遅れたフカはその直撃を喰らい、吹き飛ばされた。
『はいッ!?』
『擬似的な魔法です。』
「「「「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!?」」」」
虚の説明に会場が驚く。空想の中ででしかなかった魔法が今、目の前で使われているのだから。
「いっつつ……何今のッ!?スッゲー!!」
だが、喰らった本人はまるで子供(身長的にも余計にそう見える)のようにはしゃいでいた。
「フッフーン!!これがオーバルアーツよ。」
「魔法……まさか、この目で見る日が来るとは…」
「私を無視しないでくださいますッ!?」
そんな三人にレーザーが放たれるが、フカとユウナはアッサリと避け箒は偶然だったが、少し動いたお陰でシールドに当たってダメージを抑えられた。
「全く、魔法だの何だのと古くさいものを…!!」
「これ、エレボニアの最新技術なんだけど…」
「アッチの女は頭が古くさいんじゃない?」
「おい篠原、あまり本当の事を言ってやるものじゃないぞ?」
「ふざけないでッ!!」
箒の言葉で完全にキレたオルコットは、腰にあるビットを展開して様々な方位からレーザーを放っていく。ユウナとフカは軽々避けるが、箒は動きに翻弄され放たれたレーザーの一つが持っていた剣の持ち手に当たり、壊れてしまう。
「しまッ!?」
「もらいま「【ジェミニブラスト】!!」くッ!?」
動きを止めた箒に狙いを定めてライフルを放とうとするオルコットだったが、ユウナの弾幕にそれを中断、後退して回避するが、その内の一発がビットの1つに当たり爆発する。
「やった!!ラッキー♪」
「よくも私のティアーズを…!!」
ラッキーヒットを喜ぶユウナだったが、それがさらにオルコットの怒りを買い、残り三つのビットに狙い撃ちされる。
「うわわわわわわわわッ!?」
「ん~…?もしかして!!おーい、箒~!!」
「ん?何だ?」
「実は頼みたい事が…」
そこでオルコットを見て何かに気づいたフカは箒を呼び、それを話すと箒もニヤリと笑う。
「分かった、その話に乗ろう。」
「うっしゃ!!後は…」
箒の協力を得られたフカはフルボトルバスターの中に飛行機が描かれたボトルとガトリングガンが描かれたボトルを装填する。
『ジェット!!ガトリング!!ジャストマッチで~す!!』
「よっこらしょっと…!!発射!!」
『ジャストマッチブレイク!!』
狙いをオルコットに定めて引き金を引くと、銃弾の代わりに青い戦闘機が飛んでいき、両翼の下に付いているガトリングガンでビットを攻撃、避けきれなかった二機が破壊される。
「これはッ!?」
「フカちゃん、ナイスアシスト!!」
「イェーイ!!」
「だったら私も…!!セット!!ストライカー!!」
フカの援護にユウナは
「【ブレイブスマッシュ】!!」
高速でオルコットへと突撃していった。
「なッ!?」
オルコットはそれに驚き、すぐさま射線から逃れるが、同じく射線に残っていたビットが直撃を喰らい破壊された。
「これでビットはもう使えないだろ?」
「甘いですわねッ!!ビットはまだ…」
フカの挑発的な言葉に叫ぶオルコットだったが、そこに弾丸を喰らい腰にあった丸い筒状の【ミサイルビット】が破壊された。
「そんなッ!!」
「悪いけど…そっちの機体情報はもう手に入ってるから。」
「おおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッ!!!!」
それを行ったユウナに視線が向いた瞬間、箒が一直線にオルコットへと向かっていった。
「くッ!?インターセ「遅いッ!!」ッ!!」
それに気づいたオルコットは近接武器を出したが、すぐに箒が持つ剣…フカから貸されたボトルが4つ入ったフルボトルバスターによって弾き飛ばされてしまった。
「篠ノ之流、一閃…」
「この……素人風情がッ!!」
「二断ッ!!」
『アルティメットマッチブレイク!!』
「ガッ!?」
そして上段からの振り下ろしに反応しきれなかったオルコットは、直撃を貰って地面に叩き落とされた。しかし、ギリギリでシールドエネルギーは残った。
「ま…まだです…!!まだ私は…!!」
「ざ~んねん、アンタはもう終わりだよ。」
「ッ!?」
『ガタガタゴットン!!ズッタンズタン!!ガタガタゴットン!!ズッタンズタン!!』
まだ諦めないと起き上がろうとするオルコットだが、目の前にいたフカは仮面の下で悪者的な笑みを浮かべながらベルトのレバーを回していく。
『Ready Go!!』
「ま、待って…!!」
「やーだね♪」
『Hazard Finish!! Tank Tank Finish!!』
ゆっくりと右足を上げ、足裏のキャタピラを回す光景にオルコットは恐怖するが、最後にはその足で背中を思いっきり踏みつけられ、エネルギーが0になった。
『ブルー・ティアーズのエネルギーが0ォォォォォッ!!この時点でイギリス代表候補生セシリア・オルコット選手の敗けが決まったァァァァァァァァァッ!!何という番狂わせでしょうか!!』
『これは誰が勝つか解らなくなってきましたね。』
「んじゃ、次はアタシらの決着つけようぜ?」
「望むところだよ!!」
「すまないが私はこれで棄権する。得物が無くては全力で戦えないからな。」
「そっか~…なら、やろうぜユウナ!!」
「OK!!」
『篠ノ之選手はここで棄権するようですね。しかし、経験が浅いのに代表候補生に健闘してみせたのは凄いことでしょう。会場の皆さん、彼女に惜しみない拍手を。』
念のため倒れているオルコットを回収し、ピットに戻る箒に観客達から大きな拍手が送られ、彼女は顔を赤くしながら急いで戻った。
その頃、一夏とハルキとレンはというと…
「「「ハアァァァァァァァァァァァァッ!!」」」
高速で動き回りながら、剣をぶつけ合っていた。しかし、レンは二人と比べてダメージが多かった。
「このッ!!」
「ふッ!!」
ハルキへと剣を振るうが、まるで知っていたかの如く回避され脇腹に蹴りを喰らう。
「ぐ…!!」
「貰ったッ!!」
体勢を崩したレンに一夏が迫り、剣を振るって来るのをフルボトルバスターで何とか防ぐが大きく後ろに飛ばされ壁に激突する直前に足下の空気を蹴って跳躍し、激突を免れた。
「二人とも…強いね?」
「父さんや母さん、その仲間の人達に小さい頃からシゴかれたからね。」
「鬼町さん達が一週間鍛えてくれたけど……スパルタ過ぎだろ…」
一夏は一週間鍛えただけで素人顔負けに戦えるとなると、IS操縦の才能があるのかもしれない。しかし、レンが気にしていたのはハルキの強さだった。
彼の剣技はまさに実戦を意識したものであり、彼自身の動きも幾度かの実戦を掻い潜ってきた猛者のものだった。つまり、彼は…いや、
「それに小比類巻さんはまだ、本気じゃないだろう?」
「……バレちゃってたか。」
「ああ、君の今の姿は空中戦には向いていない。でも、君の動きは空中戦を知っている者の動きだ。なら、空中での戦いに向いている姿もあるんじゃないのかい?」
そして、まだ出していない手札についてまで、ハルキには既に気づかれていた。
(さすがにこのままじゃマズイし……アレを使う時かな?)
「うわっちゃあッ!?」
そう思っていたレンの隣にフカが吹き飛んできた。後を追うようにユウナもやってくる。
「それじゃあ、厄介そうな二人を先に倒しますか!!」
「ああ、そうした方がいいだろうな。」
「二人には悪いけど、俺もハルキ達に賛成だな。」
ユウナとハルキ、一夏に囲まれレンとフカは背中合わせになる。
『束チーム囲まれてしまった!!さあ、ここからどう巻き返すのか!?』
「フカ……アレを使おうと思うんだけど?」
「だったら、付き合ってやるさ…!!」
フカの同意も得られ、ベルトのボトルを抜き元に戻してから再び振り始めた。
『おや?細長い筒をもう一度フリフリしだしたぞ?』
「「「?」」」
「「さあ、もう1つの実験を始めようか。」」
ボトルを振る事数回、すると振る音がレンのは燃え盛る焔の様な、フカのは戦闘機のエンジン音みたいな音に変化した。
「音が変わった?」
首を傾げるユウナ。そしてキャップを最初とは反対方向に回し、レンは焔の鳥が描かれた面にして、フカは戦闘機が描かれた面に変えた。
『PHENIX!!』
『JET!!』
再びボトルを引き伸ばし、折り畳むとリスクトリガーの上部スイッチを二度押ししてから、ベルトに装填する。
『『MAX HAZARD ON!!』』
『PHENIX & PHENIX!!』
『JET & JET!!』
そしてレバーを回していく。
『『ガタガタゴットン!!ズッタンズタン!!ガタガタゴットン!!ズッタンズタン!!』』
『ARE YOU READY?』
するとベルトが再度問う…準備はいいか?…と。
「「レッツ・ビルドアップ!!」」
『『OVER FLOW!!』』
二人はそれに大きな声で答え、同時に纏っていた鎧がキャストオフされる。
「「ッ!!」」
「いだッ!?うおッ!?ぐはッ!?」
ハルキとユウナはその場をすぐに離れ鎧を回避するが、一夏は間に合わず何個か鎧が直撃してシールドエネルギーを減らしてしまった。
「何が起きて『ピュイィィィィィッ!!』ぶほらッ!?」
頭を押さえながら体勢を立て直そうとする一夏に、今度は後ろから何かの鳴き声と同時に、後頭部に何が激突した。
『織斑君、変則な攻撃に対応できずに次々と当たってしまう!!まるでコントのようだ!!』
『実際起きたらドン引きですけどね。』
「さっきから何なんだよ…」
後頭部を撫でつつ、激突してきたのは何かと思い視線を巡らせると、レンの上にオレンジ色の不死鳥みたいなロボットが、フカの上には四機の小型戦闘機と一機の大型戦闘機が滞空していた。
「アレは…新しい鎧か?」
「えっと…火の鳥に戦闘機?」
不死鳥型のロボットは翼をはためかせて焔を飛ばし、それが先ほどのラビットラビットアーマー同様の手足の鎧へと変わり、自身も変形して胸部用の装甲へと変化した。戦闘機の方も翼を畳み、手足の部分に配置され大型戦闘機もその中央で形を変え、鎧となった。
それらをレン達は先程と同じ様に纏っていく。
『灼熱のクリムゾンフェザー!!フェニックスフェニックス!!ヤベーイ!!モヤセーイ!!』
『蒼天のスカイハーイ!!ジェットジェット!!ヤベーイ!!タケーイ!!』
装着を終えたレンこと【ビルド・フェニックスフェニックスフォーム】と、フカこと【ビルド・ジェットジェットフォーム】は翼とジェットエンジンで空へと舞い上がる。
『おおーっと!?鎧を変えた二人は何と!!空を飛べる様になったぁッ!!』
『資料によりますと、あの二つは空中戦に特化した姿だそうです。』
『……………………………………先輩、そんな機密にも近い情報…どうやって手に入れたんですか?』
『禁則事項です。』
『真顔で言った!?』
「さて、続きといこうか、フカ!!」
「おうよ!!今のアタシは…負ける気がしねぇぜ!!」
「「「「「「「「パクったッ!?」」」」」」」」
「ユウナ、戦闘準備!!これより、あの二人を撃破する!!」
「了解ッ!!」
「俺も行くぜッ!!」
観客がフカの台詞にツッコミを入れる中、戦いはまた始まる。一体勝者は誰になるのだろうか?
いかがでしたか?
一「今回は俺、織斑一夏が予告を担当するぜ。つっても、箒はリタイアしちまったから二対二対一なんだよな…やべ、勝てる気がしねぇ…それでも、簡単に諦めてたまるか!!俺は最後の最後まで足掻いてやるぜ!!」
次回【代表決定】
一「でも、なんか嫌な予感がするんだけど……気のせいか?」