問題児たちが異世界から来るそうですよ?-愚者も一緒に来るそうです-   作:歌穏

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YES!ウサギが呼びました!
プロローグ


ごうっ、と音を立てて、室内のはずのその場所に、風が吹いた

室内を明るく照らしていた灯りは消え失せ、暗闇が広がる

程なくして唐突に中央で灯りが点った

『ようこそ、The Foolの世界へ』

灯りを灯すは、一人の青年

手のひらに炎を浮かべた彼は、そういった

 

手品、マジック・・・そう呼ばれるものをThe Fool―愚者、と呼ぶこの世界

The Foolと言えば、と問えば必ず出てくる人物の一人が彼だった

ある意味でも、彼は有名であった

メーティエン家の三男にして、約束された将来を蹴った男

下層階級の文化である大道芸を、上層階級の者が行うという異質さ

最高のエンターテイナーは確かに上層階級に座興として呼ばれるが、彼らはあくまで呼び、報酬を与える身分であり、呼ばれる身分でもその身分が目指すべきものでもなかった

それは、エンターテイメント等を極めるなど、くだらないという風潮があったからだ

しかしながらそれは、彼―ロイル・メーティエンのThe Foolとしての名と共に静かに少しづつ、だが確実に覆されようとしていた

 

 

(Side Roil)

ドサリと音を立ててソファに沈む

今より幼い頃から、上流階級へと連れて行かれ、様々な人々と会ってきたが、それでもなお、The Foolとして向けられる視線には慣れないものだ

軽蔑、賞賛、そして得体の知れない業への恐怖、すべてが入り混じって混沌とした視線、それがThe Foolへ向けられるもの

「お疲れ様でございました、チップはこちらでございます」

「あぁ、ありがとうございます」

束とつまれた紙切れはすべて報酬だが、自分自身には使い道がない

結局行き着く先は、貧民への施しという名の偽善だ

いかにThe Foolにメーティエン家の三男が居ると広まっても、The Foolを含めたすべてのエンターテイメントが世間から認められるのには、まだまだ時間がかかる

気の遠くなるような時間だ、もしかしたら自分が死んだあとかも知れない

ため息を一つ、執事にバレないようについてから、詰まれたチップを無造作にカバンに入れて、屋敷を後にした

 

「・・・私が目指した“The Fool(マジシャン)”とはなんだったのか」

ポツリと寒空の下でつぶやく

幼いころに馬車の窓から一瞬見えたThe Foolの姿

人々には笑顔が浮かんで、きらきらとしていた

民が笑顔であること、幼心にあこがれたのはそれだったはずだ

だというのに、今やっていることといえば、至福を凝らした貴族たちからむけられるさまざまな感情が入り乱れた視線を受けて、ただ報酬をもらうだけの日々

幼いころにあこがれた、民が笑っている、民を笑わせることのできるThe Foolとは程遠い場所にいる

 

ひらり、と白いものが目の前を過ぎた

音もなく地面に落ちたそれは、雪が積もった道の上に落ちても、その姿を主張している

“ロイル・メーティエン殿”と中央に宛名だけ書かれた不思議な手紙を拾い上げひっくり返す

差出人すら無い、ありえない配達のされ方をした手紙であるが、不思議と開けないという選択肢は浮かばなかった

 

『悩み多し異才を持つ少年少女に告げる。

 その才能を試すことを望むのならば、

 己の家族を、友人を、財産を、全てを捨て、

 我らの“箱庭”に来られたし』

 

それだけ書かれた手紙を読み終わった瞬間、私は空に投げ出されていた




Web小説投稿サイトさんを使うのは初めてで、分からないこともたくさんありますので、至らないこともありますがよろしくお願いいたします。
不定期かつのろっと亀更新、更には勢いで書いているので途中で自然消滅…とかなりそうですが、気長に読んでやるか、位の気持ちでいていただけたらと思います。
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