ガンダムビルドファイターズ ザ☆チェイサー   作:大井忠道

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エタってましたが久しぶりに更新することにしました。
2,3年ぶりの更新とか旅に出てたのかって感じですね。
本当だったら戦うところまで行きたかったのですが今回は
バトル部との出会いまでになります。


第4話 見る魔進

ラルさんの後に続いてチェイスも部室に入る。中では、3人の生徒がガンプラをいじっていた。

 

1人はポニーテールの少女、もう1人は青い髪の眼鏡をかけた少年、そしてもう1人は見知った顔。

 

「セカイ。」

 

「あっ!チェイスさん!チェイスさんじゃないですか!」

 

セカイがチェイスの元へと駆け寄る。

 

「どうしたんですか?家へ帰ったんじゃあ…。」

 

「ああ、実は…。」

 

「家賃滞納で追い出されてしまってな。」

 

ラルさんが発言をかぶせてくる。チェイスは驚いたが、言葉を続けた。

 

「聞けばこの青年、海外へ流浪の旅に出たのはいいが、旅に夢中になって家賃滞納、帰ったら追い出されたとのことだ。うかつだな。」

 

「そんなことが…。ちなみに海外はどんな所行ったんですか?」

 

嘘はよくないが、真実を言っても3人が混乱する可能性が高い。嘘も方便、ということでチェイスもその嘘に乗ることにした。

 

「…パタゴニア、ダカール、北極圏だ。」

 

旅行先のチョイスが渋かった。

 

「おおっ!チェイスさんも世界を旅していたんですね!」

 

同じく世界を回っていたセカイが目を輝かせる。

 

「セカイもか。」

 

「はい!あぁでも、師匠と旅してまして…。」

 

盛り上がる2人を尻目に、ユウマがラルさんに尋ねる。

 

「あの2人、何の関係があるんですか…?」

 

「うむ、チェイスというらしいのだが、あの青年は。公園で倒れていたところをセカイ君が助けたとのことだ。」

 

そんなことが・・・と、ユウマは会話がそれなりに弾んでいる二人をみやる。活発なセカイとおとなしい性格であろうチェイスだが、会話に支障は無いようだ。

そんな二人に、ポニーテールの少女が近づく。

 

「こんにちは!チェイスさん・・・で、いいですか?」

 

チェイスはそちらの方に向き直る。この部屋に唯一いた少女だ。

 

「ああ、大丈夫だ。」

 

「私、このガンプラバトル部で部長をしています、ホシノ・フミナといいます!よろしくお願いします!」

 

よろしく、とチェイスが返す。ただしまだ「ガンプラバトル」という言葉には慣れない。

そこへセカイが偶然にも助け舟を出した。

 

「フミナ先輩、チェイスさんもガンプラバトルについてあまり知らないらしくて・・・。」

 

「そうなんですか?」

 

「ラルさんに少しは教えてもらったが・・・。」

 

「そのものは見たことないですか?」

 

こくり、と頷くチェイス。

 

(セカイくんといい、世界中旅してる人はガンプラバトルを知らないのかな)

という少し失礼なことを心の片隅に留めたフミナが言葉を紡ぐ。

 

「では!一回バトルを見ていきませんか!?百聞は一見に如かず!すごいですよ!」

 

かなりグイグイくる少女だ。もしかしたら霧子以上のバイタリティがあるかもしれない。

それはともかく、特に断る理由もないチェイスはあっさりと了承した。

確かに一度見ておいたほうがこの世界を知る上で大きなアソバンテージにもなるからだ。

 

答えを聞いたフミナが嬉々としてバトルをするための場所へ移動する準備をし始める。

どうやらこことは違う所にあるらしい。

組み立てていたプラモデルを片付け、学生カバンを持つとついてくるよう指示された。

 

ガンプラバトルをする場所へ向かう途中、セカイがチェイスに話しかけた。

自分たちの部活は本当は違う場所だが、そこが今工事中であり、現在は

仮の場所を借りているため、バトルができないとのことだ。

 

そうこうしていると連れてこられたのは模型部であった。

すると今度はユウマが躍り出る。元模型部員の彼が許可を取りに行ったのだ。

許可は滞りなく下り、みんなで一斉に部室に入る。

 

部室内では、模型部員が黙々とプラモデルを作っている最中であった。

部員は通りすがるラルさんに次々と挨拶をしていく。結構な有名人のようだ。

 

部室の隅にそれはあった。六角形をした、かなりの大きさの機械だ。

その機械は4つ並んでおり、その長さだけでも部室の幅に迫るほどである。

 

「これがガンプラバトルをするための機械です!もともと私たちの部室に

あったものなんですけど、今はここに置かせてもらってるんですけどね。」

 

チェイスはそれをしげしげと眺めた。確かに自分が元いた世界では見たことのない

機械だ。これでガンプラと呼ばれるプラモデルを動かせるというのか。

 

その間にフミナがカバンから何やら取り出す。白と黄色に彩られたガンプラだ。

ラルさんの部屋にあったものとは違い、直線的なラインで、顔もバイザーが

付いている、という差がある。

 

「これは私のガンプラ、パワードジムカーディガンです!」

 

「あれ先輩、いつものウイニングはどうしたんですか?」

 

「昨日からちょっとお手入れしてて。予備として持ってきてたんだけど、

久々だなぁ、これも。」

 

そう言いつつフミナはパワードジムをバトルマシンに置く。一方のユウマが

マシンをセットすると、英語でアナウンスが流れた。

 

そして機械から光が溢れ出す。そこそこに輝いており、部員の邪魔をしないよう、

ラルさんが仕切りのカーテンを閉めた。

 

フミナが立つところに光球が2つ、ぼうっと現れる。それに1つずつ、手が置かれると同時に

光のコンソールが次々と点灯しだした。

さらに、その前には無機質なバトル台から砂と岩が混在する、砂漠のような風景が

あっという間に出来上がった。

 

その光景にただチェイスは目を見張ることしかできない。そうこうしているうちに、

パワードジムのバイザーに光が灯る。

 

「さぁて、久々に行くわよ!」

 

フミナが光球を前に倒すと、パワードジムが射出され、砂の大地へと降り立つ。

大きな地響きを立ててガンプラが大地を闊歩しているのだ。

 

そのすぐあとに、ホバーによる走行へと移行する。

その眼前には、ラルさんの部屋でも見たガンプラがパワードジムへと向かっていた。

その数、実に30近く。再び英語によるアナウンスが流れる。

目の前のガンプラを全て撃破すればいいとのことだ。ラルさんとユウマが感嘆の声を上げる。

 

「ほほう、これは・・・ガンダムUCで見られたトリントン基地防衛戦だな。」

 

「そうですね。スペックなども、アニメどおりのものをできる限り忠実に再現されてるようで、

プレイヤーからはいい腕試しになる、という評判ですよ。このステージは。」

 

「ううむ・・・。」

 

「どうしました?」

 

「本来は無双するためのものではないが・・・。まあ、バトルもまた自由ではある。」

 

アハハ・・・、とユウマが苦笑いを浮かべていると、パワードジムが早速仕掛ける。

目の前の1機を手持ちのマシンガンであっさり撃破すると、そのまま背中の

ライフルを展開し、続けざまに4機を撃墜する。

 

相手からの集中攻撃は背中からのアームで繋がれたシールドでいなし、

その隙をついて1機、また1機とその数を減らしていく。

チェイスはその戦いぶりに舌を巻いていた。いわゆるゲームとは言え、

フィールド内で行われているのは本格的ともいえる戦闘だ。

 

ガンプラをもう一つの自分自身として使い、撃つ。

地上の敵も、空から来る敵も関係なく易々と撃破していく。

戦いぶりに関しては、仮面ライダーと同じといっても過言ではない。

 

「これで最後っ!」

 

肩から展開したレーザービームを持ち、向かってきた最後の1機の胴へ一閃。

真っ二つになった敵機が大爆発すると同時にバトルが終了する。

 

「こんな感じですね。これは一人だけで遊ぶミッションモードですけど、

対人戦もありますよ。まぁ、対人戦がメインかもしれませんけど。」

 

冗談めかしてフミナは言う。チェイスはフミナが立っていたところに自分も立った。

すでにフィールドは無機質なものに戻っている。とても派手なバトルが繰り広げられていた

場所とは思えない。

 

「チェイスさんもやってみますか?」

 

フミナがそう提案してくるので、当然乗った。今ガンプラを作るのは時間が

かかりすぎるので、模型部から借りることにした。

 

部長の許可をもらい、模型部員の作品を見る。作品といっても、塗装がふんだんに

施されたものではなく、スミ入れとトップコートを吹いた基礎的な仕上がりを行った

ものだ。

 

ずらりと並べられたガンプラ達。チェイスは素早く、そして慎重に吟味を行う。

そして、ある一つのガンプラに目をつけた。

 

「これだ。」

 

指が差されたガンプラは漆黒のガンダムであった。

 

「ガンダムMk-Ⅱですか・・・。」

 

ユウマが慎重に取り出しつつ簡単に説明し出す。

 

「確かに、ガンプラバトル初心者の中では扱いやすいですね。そもそもの機体自体も

癖が無いですし。いいところに目をつけましたね!」

 

「黒?紫?のガンダムですか!チェイスさんにぴったりですね!」

 

セカイも言った通り、カラーリングに関してはチェイスとぴったりマッチしていた。

早速マシンへ持っていき、バトルの準備を始める。

ユウマもマシンの設定を始めたが、設定し始めて少し経った頃だ。

 

「あっ。」

という、本人にしては少々マヌケな声が出た。

 

「どうしたんだユウマ?」

 

「何かあったの?」

 

セカイとフミナが心配そうに覗き込む。少し青ざめた顔のユウマが振り向いた。

 

「・・・うっかりミッションの難易度を難しいのにしてしまいました。」




ということで次回でいよいよチェイスがガンプラバトルをします。
難しいのにしたのなら、簡単なのにすればいいじゃないか、という意見が
聞こえてきそうですが。そこはそれ、チェイスですから。

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