ソードアート・オンライン エンドレス・モーメント 作:古明地麗華
ただの自己満足文ですが、これからも読んでいただけると励みになります。
SAOがデスゲームとなってから1ヶ月が過ぎたが、未だに第1層を攻略した者はいなかった。そしてその日、トールバーナで、1層のボス攻略会議が開かれることになっていた。が、人々はまだ、既に1人、1層のボス部屋前にいることを知らなかった。いや、知るはずがなかった。
《第一層ボス部屋前》
「さて……1人じゃ攻略できないらしいボスに挑みますかねぇ……」
そういいながら、青年は一人、周りには誰もいないのにも関わらず、ボス部屋の扉を開くのだった。
《ボス戦》
ボス名:イルファング・ザ・コボルトロード
取り巻きとして、ルインコボルト・センチネルがいる。
青年が部屋に入ると、その奥で赤い双眸が光り、部屋全体が明るくなった。その瞬間、コボルトロードが飛び上がり、着地の直後に咆哮をあげた。
「……案の定、ルインコボルトが邪魔くさいな。先にご退場願おう」
そういった瞬間、彼は得物である刀を手にしながら前傾姿勢で、取り巻きの方へと走り始めた。
その姿勢ゆえに勢いが乗ったままの抜刀切りで、コボルトにダメージを与えた。1体を斬った後もその足を止める事はなく、周りのコボルトを走りながらに斬っていく。
「チッ……こいつら、倒しても湧き続けてきやがる……限りがない」
彼は、倒しても倒しても湧き続けるコボルトに悪態をついて、集中力を切らしてしまった。
その瞬間、まるでそれを見逃さなかったかのように、コボルトロードは彼に攻撃を仕掛けてきた。
「グオォォォッ!!」
「しまっ……!」
ボスを意識しながらも、集中力を切らしていた彼は、瞬時に避けることが出来なかった。
「がっ……!」
高い防御力を誇る防具を、1層攻略時に持っているはずもなく、彼の体力は半分近く削られた。
「……身体的には痛くはないんだけどな……体力を半分も持っていかれたのはなかなかに精神的に痛いね……」
周りに誰もいないゆえに、誰かに話しかけているわけでもないが、話しかけるような言葉で1人呟いた。
「……さて、じゃ改めて……ん?」
彼が何かを呟きかけた時、部屋の外から何かが聞こえた。それは、足音と少しの話し声だった。
「……間の悪い。どうして今来るんだ……」
コボルトロードの攻撃を避けながら、彼はそんな事をぼやいた。
外から聞こえる声は大きくなっていた。部屋の近くにいるのだ。
「あぁクソっ、気が散る……はぁっ!」
彼は、ソードスキルを使い、今まで無視していたコボルトロードに一撃を与えた。ボス級とはいえど、1層のボス。体力はそこまで多いわけでは無いらしく、今の1撃で、1ゲージの1/5を削った。
「なっ、君、何をしているんだ……!?」
もう一撃を、とSSのモーションをとった時、部屋中に声が響いた。
「あらら……来ちゃったか……」
その声をあげたのは、トールバーナで行われていたボス攻略会議の主催者だった。
「君は一旦下がれ! 各班、作戦通りに頼む!」
この攻略パーティのリーダーと思しき人は、青年が下がったのを見てから、小隊に指示を飛ばし、軽く周辺の対処をしてから、青年のもとへと走ってきた。
「話は後でゆっくりと聞こう。ただ、一つだけ答えてくれ。君はなぜ、ボスとソロでた―――」
「―――危ないっ!」
リーダーが、質問を投げかけようとしたその時、咆哮が響き、コボルトロードは小隊の攻撃を受けながらも、リーダーの方へと飛びかかってきた。
それを見た黒髪の少年が、そう叫んでSSを溜めながら走り出してきて、ボスにヒットさせた。
「……はぁ、はぁ……大丈夫ですか?」
「あ、あぁ……助かったよ。ありがとう」
しかし、安心できたのもつかの間。ボスはすぐさま起き上がり、攻撃を仕掛けていた小隊を蹴散らしながら、リーダーの方へと走ってきた。
「……あんた、リーダー、でいいのか?」
青年は、話している時間はないと判断し、リーダーにそう訊いた。
「あ、あぁ……」
「……聞きたいことは全部終わったら話す。それでいいな」
それだけ言うと、青年は返答を聞かずにボスへと走り出した。そして抜刀SSを与え、怯んだボスが彼の姿を捉えようとした時には、彼はもうそこにはいなかった。
「は、速い……」
リーダー含め、ルインコボルトと戦っていない者は、彼の動きに見入っていた。
「グ、ガァァ!」
青年の怒涛の連撃を受けながらも武器を振り回すボスの体力は既に、3ゲージ目の半分を切っていた。
「……動けるものは皆、彼に続けぇ!」
ここで、我に返ったリーダーが声をあげた。しかし、それは青年の声で制された。
「駄目だ、全員離れろ!」
その声とほぼ同時に、ボスの様子が変わった。体力はラストゲージを切っていた。ボスは、持っていた武器を放り投げ、腰に装備していた武器に持ち替えた。
その瞬間、リーダーが前線に出た。
「俺が行く!」
しかし、その時ボスが持っていた武器は、事前情報にあった曲刀カテゴリのタルワールではなく、刀のノダチに変更されていた。
「はぁっ!」
それに気づいていないのか、リーダーは突撃を止めなかった。
「思い切り後ろに飛べ!」
黒髪の少年が声を上げたが、時すでに遅し。ボスは飛び上がり、リーダーを斬り、彼は吹っ飛ばされた。
「ぐあぁっ!」
「ディアベルさん!!」
少年がリーダーのところへ走り寄り、ポーションを使おうとするが、それを彼は止めた。そして、彼は少年に何かを言い残し、消えた。
その直後、ボスが、リーダーが死にうなだれる少年に狙いを定め、突っ込んできた。
「……うなだれるのはあとにしろよ」
しかし、青年がボスを背中から斬ってダウンを取り、さらにヘイトを集中させ、少年に余裕を与えた。
その後、少年は少女と一緒に、ボスへ向かって武器を構えて走り出した。
青年がヘイトを集中させてからも多少ボスの体力を削っていたため、残りは1/4を切っていた。
「「はぁぁぁぁっ!!」」
少年と少女は、体力が残り少ないボスに、ラッシュ攻撃を浴びせ、ついにボスの体力は尽きた。
ボスの体は弾け、部屋の中央には「CONGRATULATION」と表示されていた。つまり、ボス戦に勝利したのだ。
「はぁ……はぁ……」
ラストアタックは少年だった。
「……お疲れ」
青年は、少年と少女にそれだけ言って、次の階層へと進もうとしたその時、ボス部屋に声が響いた。
「なんでや!」
それは、ボス攻略パーティにいたらしい特徴的な頭をした男だった。
「なんでディアベルはんを見殺しにしたんや!」
その言葉とともに、ボス攻略の歓喜に包まれていた部屋は、重苦しい空気に包まれた。
「……見殺しねぇ。お前、なんも見てないんだな。いや、見れないか。戦闘に忙しかったもんな?」
次の階層へ続く階段に足をかけていた青年は、振り返って、彼から見て奥にいる、声を上げた男を見据えた。
「な、なに……?」
「あの男は、救援に入った少年がポーションを使おうとしたのを自分の手で止めたんだ」
「!?」
この言葉には、声を上げた男と、その場にいた全員もが驚いていた。
「故に見殺しにした訳では無い。それと、最後にボスが持ち替えた武器、あれはベータテストの時とは違っていた」
この言葉には少女以外が驚いていた。尤も、少年だけは別の理由で、だが。
「……こんなんチートや!チーターや!アンタはボスの武器が違っていても、対処できとったやないか!」
「……笑わせるな。あんなものはチートじゃない。ベータテストの時、俺は嫌というほど刀を持った敵と戦ったから、立ち回り方を知っていたんだ。当たり前だが、何もかもが所見のお前らとは違うんだ。ああ、それと……」
青年は、わぞとそこで言葉を切り、間を置いて少年を一瞥してから、こう言った。
「殆どのベータテスターは、第1層の攻略はおろか、レベリングの方法すら知らないような雑魚ばかりだ」
「なっ……」
この言葉には、少年以外の誰もが息を飲んだ。
「じゃあな。俺のことは呼びたいように呼べばいい。それで気が済むのならな」
その青年はわざと、今回の攻略において起こった問題の反感等が自分に向くように悪役を演じて、階段を上り、次の階層へと姿を消した。それに続くような形で、ボスに最後に攻撃を浴びせた少年と少女が、階段を上り次の階層へと姿を消した。
そういえば前回書き忘れてましたが、小説中に出てくるキャラクターの名前は、文の構成上、話の中で名前が明かされるまで、地文には書かないつもりです。ですが、なにか意見があれば、いつでも受け付けます。そして、考察した結果は次話の前書きにて報告させていただきます。