提督と異様な艦娘達   作:ポン酢放置禁止区域

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 誤字報告ありがとうございます。
 なにぶん勢いで書いておりまして、また、見返しもあまりせず、お恥ずかしい限りですがありがたいです。
 また、感想にて、ここの鎮守府の艦娘は反骨精神にあふれているのにそれを管理していた前任提督はどんな化け物なんだ、との言葉をいただきまして、これに関しては私は前任は艦娘の弱みを握って脅していた程度の考えで書いていたため、おかしくなってしまっていました。すいません。
 あ、でも感想ありがとうございます。嬉しみがあふれかえって震えていました。
 それでは今回もおかしい所ばかりですが、ご容赦ください。
 また、期間が開いてしまいすいません。


第七話 最後の選択

 若葉の鮮やかな戦いで興奮冷めやらぬ中、戦いは続く。

 

「なんじゃ若葉のやつ目立ちおってからに、我輩がかすんでしまうではないか」

「若葉の戦い方に比べたら姉さんは地味ですからしょうがないですよ」

「ううむ、我輩も何か目を引くモノがほしいな」

 

 若葉の活躍を眺めて利根がため息を一つ吐き、視線を敵に戻す。

 そこには利根と筑摩に砲口を向ける衣笠と睦月がいる。

 しかし、利根が悠々とよそ見をしていたのに砲撃をせずに、構えたまま震えるのみだった。

 

「のう、お主らも何か考えてくれぬか? 目立つ方法を」

 

 利根が声をかけるが二人はその場から動く事なく、口からは声にならない、あ、う、という声が漏れるのみ。

 否、動かないのではなく、動けないのだ。

 利根と相対し砲口を向けた時から、二人の体が言う事を効かなくなってしまった。

 答えない二人に利根はまたため息を一つつき、戦っているとは思えないのんきな様子で腕を組んでううむ、とうなる。その一歩後ろで筑摩はほおに手を当てて苦笑いを浮かべた。

 

「ごめんなさい、姉さん一度こうなると聞かないから」

 

 筑摩はそう言いながら自分に飛んできそうな流れ弾を自分の砲撃で撃ち落とした。

 一見わからないがその命中精度と片手でそれを行う技術は相当な実力を感じさせる。

 それをちらりと見て、利根は組んだ腕を解いて開いた左手に右手を握ってぽんっと軽く乗せる。

 

「そうじゃ! 思いついたぞ筑摩!」

 

 光明が見えたようで表情を明るくした利根ははしゃいだ様子で固まっている二人を見る。

 

「どうするんですか姉さん」

「まあ見ておれ、おい! そこの二人! 我輩に向かって撃て!」

「えっ?」

 

 利根に命令された二人の体は意思に反して命令通りに砲弾を撃ちだした。

 轟音、利根の突然の行動に筑摩は止める暇なく、射線は利根を捉える。

 先程利根の方に飛んできた砲弾はあらぬ方向にそれたが今回はまっすぐ、曲がる事は無い。

 利根はおもむろに両手を前に出した。

 

「てりゃあ!」

 

 利根の気合の叫び、そして、砲弾は利根の両手に収まった、二人一発ずつなので右に一つ左に一つ、その砲弾を利根は宙に放った。

 

「筑摩!」

「撃ちます!」

 

 突然、利根に呼ばれた筑摩は、しかし、わずかな間で利根の意図を読み取り、砲口を上に向けた。

 高く舞う砲弾を筑摩が撃ち、爆発を起こす。

 盛大な花火に艦娘達の目は惹きつけられる。

 

「さあ、どんどん撃て! 存分に撃て! 我輩を討って見せよ!」

 

 大げさなジャスチャーと共に利根が笑う。

 凄惨な笑顔に睦月も衣笠も逃げ出したくなったが、体は利根に操られているかのように砲撃を続ける。

 

 砲撃、届かず、宙に舞う、爆発。

 砲撃、効かず、宙に舞う、爆発。

 砲撃、討てず、宙に舞う、爆発。

 

 繰り返される度に利根に相対した二人の絶望は深まる。

 何故、自分達はこんな強大な艦娘に挑もうと思ったのか、まったく愚か、反逆の気持ちはすでに消えていた。

 やがて、弾が切れる。

 

「なんじゃもう撃ち止めか、だらしがない、まあ良い、十分やったし満足という事にしといてやるかの」

 

 それと共に睦月と衣笠は体に自由が戻り、床に腰が落ちた、その体は震えている。

 

「さて、しまいじゃ、筑摩」

「はい、姉さん」

 

 そこに容赦なく筑摩が砲口を向ける。

 非情な砲口を覗き、二人は死をかいま見た。

 

「撃て」

「撃ちます!」

 

 その一言を最後に、二人の意識は闇に飲まれた。

 倒れ伏す二人、だが、砲弾は撃ち込まれなかった。

 

「さっき撃ちすぎました、弾切れです、姉さん」

「うーむ、閉まらんのお」

 

 利根は不満そうに顔をしかめた。

 

 

 

 

 

『多人数対一人の戦いって室内で戦う場合は部屋の角を背負って戦えばいいって聞いたことあるけど、この状況じゃあ背負える角はどこにもないし、球磨みたいなひ弱で貧弱で軟弱で脆弱な乙女が同時に二人の艦娘を相手取るなんてまったく龍驤ちゃんの采配には恐れ入っちゃうクマ、まあ他のみんなが圧倒している分のボーナスみたいな、ちょっとしたコメディを球磨が担当するって感じならそれもまんざらでもないような、あっと! ごめんごめん、長々と喋ったクマ、別に喋ってる間にガンガン撃ってくれてもよかったのに撃たないだなんて本当は戦う気持ちなんてないんじゃないかって心配になるクマ、戦わないで球磨の見せ場を消そうっていう盤外戦術で挑もうっていうなら脱帽ものだけど、球磨がこうして喋ってる時点で消える見せ場がこうして現れているからその作戦はすでに失敗してるクマ』

 

 長月と曙に前後から砲を突きつけられて両手を挙げながら球磨は饒舌に喋る。

 何故こんな状況になっているかと言えば、相対して数秒で球磨が何もない所で転んでその間に囲まれたという簡単で何とも間抜けな事が起こったからだ。

 それでもまだ撃たれていないのは、若葉と利根の戦い方に、敵である長月と曙が見入ってしまっていたからだ。

 反乱したとはいえ長月と曙は駆逐艦に分類される幼い艦娘、派手ですさまじい光景に目を引かれるのはしょうがない事だ。

 しばらくその光景に呆けていた二人はしかし、球磨のセリフによって我に返って砲口を突きつけた標的に視線を戻した。

 

「あ、あんた、この状況が怖くないの? 撃つわよ!」

「そうだ、わたし達はお前を今簡単に殺せる」

『ははっ! それはすごいや、それならとっとと撃てばいいのに、やらないキミ達はとっても優しいクマ、口よりも手を動かして球磨を倒し、今やられたあの娘とかあの娘を援護しに行けば無駄に傷つかずにすんだかもしれないのに』

「「っっ!!」」

 

 絶体絶命、その言葉がふさわしい状況だというのに球磨はへらへらと笑いながら二人を挑発する。

 図星を突かれたこともあり、二人の顔は険しくなる。

 

『でもそれはしょうがない事だよ、キミ達はまだまだ幼いクマ、大丈夫大丈夫、今から球磨を無残にずたずたに、むごたらしく撃ち殺してから存分に未来に向かって踏み出すクマ』

 

 そんな二人の砲をつかんで球磨は自分の頭に砲口を突きつける。

 自殺ともとれる行動に二人の背にぞくりとおぞ気が走った。

 

「なっあ、あんた何なのよ!?」

『あれ? 言ってなかったクマ? 球磨型軽巡洋艦の一番艦、球磨だクマ、覚えなくてもいいクマ』

「そういう意味じゃない!!」

『怒鳴らないでようるさいな、意味も意義も今はどうでもいいだろ? キミ達は球磨を殺すんだから』

 

 球磨の言動に惑わされ、乱されて幼い艦娘二人は困惑の表情を浮かべた。

 彼女達はこの口だけはよく回る球磨を撃つ必要があるのだろうか、と考えた。

 天龍に誘われ人間を追い出すと意気込んでいたが、いざとなると同族を撃ち殺すのにためらいを覚えてしまう。

 戦場で抱いてはいけない感情だが、純粋な少女でもある艦娘には仕方がない事。

 そこに付け込まれているとも知らずに。

 

『お~い龍驤ちゃ~ん! 後は任せたクマ!! 球磨はもうここまでのようクマ』

「あん!? おうあほんだらああ!! 何やっとんねん!!」

「「え?」」

 

 球磨の声で軽空母の艦娘の祥鳳に攻撃していた龍驤が鬼の形相で振り向き、手に持った巻物を投げつけた。

 その巻物は勢いよく回転しながら飛んできて、気が緩んでいた二人は全く対応ができない。

 当然、直撃、龍驤の巻物は仲間のはずの球磨も巻き込んで三人を倒す。

 

「サボりにはヤキ入れたるわ、おらあ!」

 

 駄目押しとばかりに龍驤はのしたばかりの祥鳳をぶん投げた。

 すでに体を動かせないほどに痛めつけられた祥鳳は放物線を描き、三人にダイビングプレスを食らわせ、みんなまとめて気を失った。

 

 

 

 

 天龍は立ち尽くした。

 完璧に殺せる作戦だったはずなのに、なぜか死んでいない青悟、気が付けば逆に殺されかけているこの状況、人数では上回っているはずなのに全く歯が立たない現状、受け入れがたい現実に脳が追い付かずに呆然とするしかなかった。

 爆破された時に、青悟は特に驚く事は無く、しかも巻き込まれた大淀まで守って見せた、という事は最初からこの作戦は読まれていたという事。

 青後の様子をうかがうと、何を思っているのわからないが、厳しい表情で戦う艦娘達を眺めながら、たまに足元の大淀と言葉を交わしている。

 今この瞬間を襲えばどうにかなるか? 天龍の頭にそんな考えがよぎるが、あの夜中に襲った時に簡単にあしらわれた事を思い出し、却下した。

 青悟は本当に人間なのか、本当は人の皮をかぶった何か別の化け物ではないか、考えれば考えるほどに天龍は青悟に対する恐怖を深めていく。

 

「天龍ちゃんっ! 危ない!」

 

 龍田に呼ばれて天龍は我に帰り、慌てて状況把握しようとするが、首筋にひやりとした何かを押しつけられてすべてを悟り、動きを止めた。

 天龍の横に降り立った川内の刀が首筋に添えられたのだ。

 少しでも動けばその首はたちまち落とされるだろう。

 

「これでおしまい?」

 

 川内の刀が少し押し込まれ、首筋が浅く切れる。

 天龍は観念して目を閉じた。

 

「そこまででいいだろう」

 

 だが、マイクを通した青悟の言葉が響き、それを聞いて艦娘達は戦いをやめた。

 鎮まる食堂内、それを確認して青悟はゆっくりと歩き出す。

 反逆した艦娘達はほとんどが行動不能になっており、青悟に攻撃することはなかった。

 艦娘達の間を抜け、青悟は天龍の目の前にやってくる。

 

「さて、これで終わりという事でいいんだな?」

 

 青悟は冷たい声で天龍に問いかける。

 その目は完全に敵に、深海棲艦に向ける目、艦娘であろうと敵ならば青悟は容赦なく殺すであろうことが天龍には容易に読み取ることが出来た。

 

「見りゃわかんだろ? 終わりだよ、殺せよ……」

 

 圧倒的な差を見せつけられ、天龍は自分の命をあきらめた。

 実際、この状況はすでに天龍の命、他の艦娘達の命は青悟に握られているといっても過言ではない。

 青悟は天龍の言葉を聞き、一つ息を吐き、首を横に振った。

 

「殺してもいい、という事は私が貴様の命を好きにしても何も構わないな?」

「は?」

 

 天龍は青悟の言葉の意味が分からず、思考をする。

 首を横に振った、という事は自分達は殺されないという事だろうか。

 ならどうなるか、天龍は前任の提督の所業からそれを想像する。

 生きて、辱められる、という事か。

 想像し、天龍は青悟をにらんだ。

 

「結局てめえも前のヤツと同じってことか」

「何を勘違いしているのか知らんが私は前任とは違うぞ」

「同じだろうが! どうせオレ達を監禁して、モノのように乱暴に扱うんだろ!」

「敵、だったらな」

「は? さっきから何言ってるかわかんねえよ!」

 

 いきり立ち、首に川内の刀が当てられているというのに暴れ出しそうな天龍。

 その目を青悟はまっすぐに見つめ返す。

 

「言っただろう? 貴様等は未熟だ、後からの選択の変更も聞いてやる、と、私達の敵になる、という選択にもそれは有効だ」

「えっ? という事は、オレ達を殺さず、しかも何も罰はない、って事か?」

「今回の戦いで今のままでは敵わないとわかっただろう? それに私は反乱を受け入れると言ったはずだ、気にする事は無い、まあ、さすがに壊れた食堂の修理はやってもらうが」

 

 平然とそう言い放つ青悟に天龍は衝撃を受けた。

 最初の着任式で言った言葉は口からのでまかせだと思っていたが、今、砲を向けて、明確に敵意を向けて陥れたのに顔色を変えずに受け入れる、前任のクズとは全く違う。

 人に対しての信頼が地に落ちている天龍でも青悟の言葉には信じられるモノがあった。

 

「それで、どうする? 貴様の選択は」

「オレは……」

 

 青悟は天龍に聞く、これが最後だと暗に告げる。

 ここで再度敵になるならば、容赦はしない、と。

 天龍は人に対して憎しみを抱いている、しかし、この時、青悟は少しは信頼できる人間だと判断した。

 ならば選択は決まっている。

 天龍は青悟の目を強く見返す、そして選択を口にした。

 

 

 




次回予告

 ここまで勢いで書いてきてしまいましたが、皆さんの評価が意外にも高かったので、少し考えて、書き溜めてみようと思います。
 つきましては次回は未定という事でお願いします、すいません。
 また、今回は何としてでも投稿はしようと思ってあげたので、自分としては雑になってしまった感があるので、期待していた方、すみません。
 謝ってばかりですが、次回もお楽しみいただけると幸いです。
 適当に勢いで書いた短編は上げるかもなのでそちらは別に見て見ぬふりしてくださって構いません。
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