これから不定期で「俺達と神達と空想神話物語」を書いていきます、赤色の魔法陳です。
タイトルにもあるように「空想」なので、実際の神話と少し違うオリジナルストーリーや、オリジナルキャラクターのオンパレードなんですが、楽しんでいただけると幸いです。
始まりの少し前
物語など、後悔を原動に存在しない時間を書き連ねたものである。あの場所でもしも、あの瞬間でもしも、そのもしももしもが重なって、そこに想像が加われば既に立派な物語。
自分の心の中に神話を組み立て、後悔の果てを突き破る。悠久の時間で出来る遊び、必要なものは己の想像力一つのみ。目を瞑り、世界を夢見て、願いを掲げる。
目を開けて夢見た現実を思い浮かべながらも、入ってくるのは暗い部屋。砂と足枷、たまに虫。ここに夢見た世界など存在しない。
両手では数え切れない程太陽が昇っては落ちたのだろう。部屋に入る微かな光が辛うじて太陽の存在を思い出させてくれる。
そんな環境でも自分を失わない理由、極稀に現れる彼女の存在。後何度会えるかはわからない、だからこそ会う度に伝えたい。この手の中の神話を。
「俺の、いや俺達の望んだ世界の物語だ」
空に消える独り言の後で、人気がなかった筈の部屋の中からこちらへ向かって背後から足音がした。どうやら彼女が来たらしい。手にした物を見られないようにそそくさと背後に隠しながら振り返った。
※ ※ ※ ※ ※
踊り場の埃がかった窓から差し込む光が階段を照らす。薄汚れた灰色の床を白く染める光はまるでスポットライトのようで、空気中の塵に反射してキラキラと輝いていた。そんなステージへの道を前に物悲しげな一人の女性が佇んでいた。
一段、階段を上る。
照らし出される彼女の表情にはどこか影がある。
一段、階段を上る。
長いまつ毛には宝石の如く輝く小粒が実っている。
一段、階段を上る。
宝石が落ちてしまわないように顎を上げれば、景色はまるで水の中。
見つめる先はコンクリートの壁、ただの無機質な白い壁も彼女の目を通ればプロジェクターの背景になる。一般的な階段も彼女にとってはプラネタリウムに早変わりする。
心の中で映し出される想い出と後悔が走馬灯のように彼女の身体をすり抜けていく。
これまで色々な事があって。
苦しくて、辛くて、悲しくて、消えてしまいそうになって。
苦しい想い出の中に映し出される一人の存在。その笑顔が彼女の眼を更に潤ませる。
それでも楽しくて、嬉しくて、そしてその先で…幸せを夢見る事が出来て。
映る人物は真っ直ぐ彼女を見ていた。話す時も、ぶつかりあった時も、愛し合った時も。
「ダメだ、こんな気持ちじゃ」
実った宝石を袖で雑に拭き落としながら、一段、また一段と階段を上っていく。
彼女の記憶とは裏腹に中々終わりはやってこない。階段を上がるのに反比例して時間がゆっくりと感じていた。まるで背中に付いた何かにこれ以上進むのを防がれるように。その油断を突いて別の想い出が走馬灯のように蘇る。
次に映し出されるのは今まで出会ってきた人達に関わる事。彼女の仲間、友達、お世話になった人達、神様達、はたまた敵に至るまで。
ここまで思い浮かべられるという事は走馬灯が死の間際に流れるというのも納得出来る。脳の処理速度が限界を超えているのだと。死なない為にどうすれば良いか、自身の記憶の中から探しているのだとか。
つまり走馬灯が流れるこの現状こそが自分が死へと近づいている証拠、自分に備わっている第六感が潜在意識で脳に命令しているのだろうか。
涙とは裏腹に妙に冷静的な思考の彼女はそう考察していた。そして自身が導き出した結論を、これから成すことによる結果だと位置づける。
彼女が今から行うことは過去を変える事なのだから。
このまま過去を変えてしまったら、この人達の内何人と会えるかわからない。もしかしたら私だけその人達の事を知っていて、その人達は私の事を知らず、私だけがこの世界に取り残された気持ちになってしまうかもしれない。
一段、階段を上る。
心の中に不安を感じながらも彼女の足は最初よりも早くなっていた。後ろ髪を引かれるような感覚はもうない。
それでもいいと思えた。そう思う事で強がってるのかもしれない。それでもあの幸せを取り戻せるなら…
一段、階段を上る。
最初に映った人物との幸せの日々を心の奥にしまい込んだ彼女の眼には涙ではなく、決意が宿っていた。
私は過去を変えてでも君を助け出すよ。
一段、階段を上る。
照らされた表情には最早影は無かった。
もう、戻れない。
階段は――ない。
そこが終点、たどり着いたのは屋上の扉の目の前。そこに手を掛けてゆっくりと扉を開ける。
そこに広がっていたのは、こんな日にふさわしくない青空と、ある男の子の後ろ姿。
長い髪を整えて、精一杯の作り笑いで声を掛けた。
「****!」
いやー、1000文字キツイっすね(笑)
書いていてまだ500文字、あと少しで1000文字!ってなっていて気づいたら1000文字いってました(笑)
自分では少しネタバレし過ぎたかなーと思っています。
この人は誰なのか?
楽しみにしてくださったら幸いです。
追記
上記はだいぶ前の私の戯言なので気にしないでください。記念に取っています。