俺達と神達と空想神話物語   作:赤色の魔法陳

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 こんにちは。
赤色の魔法陣です。
 今回はたくさんキャラクターが出ます。
どうぞお楽しみください。


秘密基地

 『神聖解錠(ディバインアンロック)』その言葉を言った瞬間床が円状に光り出しそこから俺達の周りを囲むように風が吹き始めた。その白い光はどこか暖かく、力がみなぎってくるようだった。

 

……これは一体...

 

「この光は何ですか!?」

 

「んー、魔法陣の光って感じかな。ま、じっとしててね」

 

 驚く俺とは対象的に慣れているのか彼女は慌てもせず、じっと構えたままだった。徐々に光が強くなりもはや目を開けることもできない。俺は顔を腕で覆い光を遮った。

 

「クッ...ん?」

 

 段々と光が弱くなっていき俺は腕をどけて目を開いた。

 

……暗いな、どこだここ?さっきの部屋じゃないよな、移動した?

 

 目が慣れるとここは先程の占い舘とは違うどこかの部屋ということがわかった。カーペットだった地面は冷たいコンクリートに代わりそれが壁、そして天井へと繋がっている。目の前にドアが一つあるだけの空っぽの部屋だった。

 

「ここは?」

 

「んー、秘密基地の入り口って感じかな。あの言葉言わないと入れないんだよ」

 

「マジっすかッ‼凄ぇー」

 

……いや、こういう近未来的な秘密基地とか憧れてたけど本当にあったりとかしたんだ‼

 

「大袈裟に言うとね。まぁ正直神聖解錠だけでも開くんだけど。後はただカッコつけただけ。ここはまぁ一種の研究室(ラボ)みたいなものかな」

 

 そう言うとウィッチさんは暑そうに先程から仰いでいたマントを脱いだ。

 

「もうこのマント通気性悪すぎて暑いんだよね、夏はマジ地獄」

 

 驚いたことにその下に理科の教師が着ているような白衣を纏っていた。しかし、それよりも俺の目を惹いたのは、

 

……お、大きいな...

 

 ゆったりとして身体のラインがわからないようなマントで全く意識していなかったが白衣の上からでもとある場所がまるで主張するかのように発達していた。

 

……凄いものをお持ちで...

 

「クーラーないとやっていけ...ん、どこ見てるの?」

 

 少し見つめ過ぎたのか不思議な顔で彼女が尋ねる。すぐに目を反らすように無機質な壁へ目を向けた。気づかれてないよな、そういう風に見てたの。

 

「い、いえッ。何も」

 

……同級生にもいないだろ。こんな大きい子

 

 そもそも同級生の女子すらそういう風に見たことないのに初対面でそういう所ばっか見るのは失礼極まりないだろ。男として恥ずかしい行為だともっと自覚を...持たなければ。断じて豊かな...ゴホン、煩悩退散、心頭滅却。

 

「ふ~ん、もしかしてまだ緊張してる?私もね、男の子と話すの久し振りだからなぁ」

 

 一人罪悪感を感じている事など知らない彼女はそう呟くとこっち、と言ってドアの前に行った。そして勿体振るようにノブに手を掛けると

 

「ようこそ‼私の研究室(ラボ)へ!」

 

 そう言って思いっきりドアを開いた。

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※

 

 

「『主人(ボス)』、お知らせします」

 

 自分の部屋にある男が入ってきた。『(ベル)』というコードネームのついたがたいのいい男だ。彼は三年程前に俺が拾って来た男だった。何でも悪質な宗教勧誘に引っ掛かったらしく、大金を搾り取られた上、家族を失い天涯孤独となって路地裏で暮らしていた。

 

「何だ?」

 

 鈴が自分の近くに来て言った。

 

「実は...#$☆&※」

 

「なるほど...そんな事がってわかるか!誰が#$☆の意味なんてわかるんだよ!」

 

……つーか、今お前どうやってその言葉喋ったんだよ

 

 この通り案外お調子者である。いつも家族に対してこのような振る舞いをしていたであろう男が、引っ掛けられた家庭を壊されるとはなんとも皮肉な事だ。

 

 どうやら俺らに対する接し方も段々昔のように戻っているみたいでたまにそのおふざけに付き合ってやってるのだが、彼の場合近付く死に怯えて心が壊れてしまったかのように錯覚する事がある。

 

「ザザ、ゲゲルゾ、ザジゼルゾ」

 

「いや、そういうどこかの古代戦闘民族の言語じゃなくて、ってか始めるな」

 

「ナヅェワカラナインデェス⁉」

 

「しつけぇよ!どこで調べてきたそんな言葉!」

 

「ハイハイ、ネットの言葉を使ってふざけるのも大概にしなさい。主人もいちいち取り乱さないで」

 

 ある女の声でその場は普通に戻る。その声の主も部屋に入ってきた。『(ラビット)』というコードネームがついたその女はスラッとしたモデルのような体型の美人で妖しげな雰囲気をかもし出している。

 

 鈴とは違いこちらは生を感じさせるような喋り方だった。自らが死ぬ筈が無いという傲慢とも取れる絶対的な自信がその佇まいからも見て取れる。

 

「あぁ悪い」

 

「ところでナ二ヲハナシデェルンデェス?」

 

「お前もか⁉」

 

……何で決めてやりましたみたいなドヤ顔してんだよ...

 

「ハイハイ、冗談です。で」

 

 いや、何が冗談なんだか。キメ顔までしてたくせに。こいつら打ち合わせでもしてたのか、と思うほどタイミング良く入って来たな。まぁ兎があいつ以外に懐く事は無いからただの偶然だろうが。そう思っていると彼女は深刻な顔になりこう言った。

 

「さっきの件でわかった事の報告です」

 

 その場にいる全員が黙り込む。それはつい先刻前に起きた信じられないような出来事であった。

 

「あぁ、あの侵入者の事か」

 

 先刻、組織しか知らないはずのこの場所に人一人を抱えたまま単身で乗り込んで来た者がいた。持ち合わせていたのかこのアジトにある物を盗ったのかは知らないが漆黒のマントに身を包んでいたらしい。

 

 最初に侵入に気付いた下っ端達が対処に向かったがまるで歯が立たず次々に蹴散らされていった。次に知らせを受けて幹部級のメンバーが相手をしようと向かうが指一本すら触れられずに倒されたらしい。

 

 騒ぎが起きている場所を俺が特定し向かった時には既にそこに侵入者の姿はなく、メンバーではない誰かが横たわっていた。

 

 侵入者は俺の存在を知っているらしく、俺が来る前に横たわっている人物を置いて姿を消したという。

 

「鈴の能力で足取りを追おうとしましたがアジト付近には軍隊はおろか人の気配はありませんでした。どのように入って来たのか、どうやって逃げたのかは今の所調査中です」

 

 俺の対応が遅れたのも兎がアジトに戻って来るというので席を外していたのだ。というのもここは俺の能力で出入りが出来る場所である。兎の指揮によって迅速に対応したにも関わらず侵入者を捕まえられない辺り相手も相当な能力者の可能性がある。

 

「我々の居場所が管理局にバレたという事でしょうか?」

 

「だったら一人でしかも手負いを背負って来ないだろ」

 

「その手負いは?」

 

「記憶が無いらしく今は下っ端どもの訓練に参加させてる」

 

「とりあえず例の機械の準備は出来ました。後は…」

 

「『先生(ティーチャー)』だけか」

 

「はい」

 

 そう言えばいつも律儀で召集を掛ければ時間前には来ているのに今日はやけに来るのが遅いな。奴の職業上何か不都合でも起きたのかもしれないな。

 

「じゃ、後は俺が連絡しておく。鈴、お前は最終チェックでもしてろ。お前わかってると思うが今回失敗したら...」

 

「ラジャー、わかってますよ」

 

 そう言い部屋を出て行った。もしかしたらこうやって背中を見届けるのもこれで見納めかもしれない。そう思うと何だか鈴の後ろ姿は物悲しげに見えた。

 

「ふん。まったく呑気なやつだ。ところで兎、お前のとこの隊長はどうした?」

 

「昨日どこかへ出掛けましたよ、花束を持って。毎年どこかに行ってますけど誰かの墓参りですかね?」

 

「そうか」

 

……墓と言えばあの日からもう五年立つのか

 

 

 ※ ※ ※ ※ ※

 

 

「もう六年だな。母様」

 

 誰もいない平原、城の跡地と思わしき場所に花束を持った少年がいた。金髪のショートカットをした中性的な見た目の少年は持っていた花を風化した壁に寄り掛からせる。

 

「ほら、これ。母様が好きだった椿の花。じゃあ、用があるからまたね」

 

 虚空に向かいそう話すと手を合わせた。

 

「母様の仇は絶対取る。あと、一人だから」

 

 そう言うと少年は立ち去る。あとは椿の花がただ風に吹かれ揺れているだけ。

 

 風が強くなり、暗雲が空を覆う。誰かが置き忘れた時計の針が午後五時を指していた____

 




 色々出ましたね。一体この人達は誰何でしょう?
 ちなみに最後の5年と6年は別に間違ってはいませんので。
 さて次回予告。
ついに零矢君、ウィッチさんの能力がわかります。
お楽しみに。
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