赤色の魔法陣です。
今回からは主にバトルシーンとなります。それと今回視点がよく変わります。気をつけてください。
ではどうぞ。
そいつは軽い身のこなしで屋根まで上ると、俺の顔面に拳を入れた。。
俺は無様にも落下し、立ち上がってそいつに
「遠慮なく殴れる」
と言って、追撃してきた。
そいつの見た目は他の名前も覚えていない神と同じ服を着て、みずらの髪型をしていた。首には見たこともない宝石のような物を掛け、その表情は怒りに包まれていた。
しかし、そのそいつの目はまるで長年の敵を目の前にしたように睨んでいた。こいつと戦った事はないむしろ会ったこともないはず、だったら何で攻撃をしてくるのか。
俺は突き出して来た拳を躱しつつ、そいつの腕を掴んだ。
「お前誰だか知らないが、俺の名前を知っているなら俺の姉が誰だか知っているんだろうな?」
身分をわからせようという脅しにそいつは屈する事なく挑発するように言った。
「困ったら姉貴頼みか?あんたの姉は太陽神だからってその弟が何でもして良いわけないだろ!」
……こいつ黙って置けばッ‼
俺は掴んだ腕を振り回し、反対方向へ投げた。そいつは近くの木に身体を打ち付け衝撃を吸収仕切れなかった木は音を立てて折れ、地面に倒れたそいつは口から血を吐いた。
……死んだか?
「くッ、やっぱ強ぇ...人間相手とは格が違うか...」
そいつは血を吐きながらも軽口を叩いて立ち上がる。足腰は鍛えてあるのか先程のダメージでも立っているのには全く害は無さそうだった。
……ほぉー、生きてるとはこいつただの人間じゃないのか
「俺に楯突いたことを後悔させてやるよ」
「そうかよ、だったら後悔する前に最初に言わせてくれ」
そいつは口に溜まった血を吐き捨てるとさっきよりも挑戦的な笑みを浮かべ自らを鼓舞するかのように俺を指差すとこう言った。
「俺はかーなーり、強い‼覚悟しろ」
その言葉に俺も笑みを浮かべた。
……最近はめっきり戦っていなくて身体がなまっていたが少しは楽しめそうだ
※ ※ ※ ※ ※
「俺はかーなーり強い‼覚悟しろ」
そうは言って、俺は抱えた不安を抱えた心に活をいれる。背中が腫れているように痛む。先程ぶつかったダメージは意外に大きい。鍛えていたから血を吐くだけですんだが普通なら骨折していてもおかしくなかった。
……ヤバいな、予想以上の強さだろ、これはッ
恐らくこれでも本気じゃない、八岐大蛇を退治した伝説がある神のフィジカルならこんな攻撃は序の口だろう。本気を出されたら即死は免れない。
「大丈夫かッ⁉零矢」
“神”がGod-tellの中から心配そうに話しかける。
「大丈夫なわけねぇだろ、ちょっと黙ってろ」
「何一人で呟いてやがる!!」
須佐之男命が大股歩きで突っ込んでくる。その脚は地面を踏む度、地鳴りのような音を響かせていた。俺は構え直したが、すぐに近くの木の幹に手を掛け後ろに回る。
「隠れてんじゃねぇ‼」
須佐之男命はその幹に拳を入れると、正拳突きだけで木の幹は爆発したかのようにまるごと粉砕した。
……はっ!?どんな馬鹿力だよ⁉
俺は須佐之男命から目を反らさないように更に後退するように木の陰へと移動する。
「待て、コラッ‼‼」
しかし須佐之男命は再び地鳴りの音を響かせながら幹を粉砕し木を薙ぎ倒しながら迫ってくる。
……どうすれば良い⁉
※ ※ ※ ※ ※
「ウィッチー、いる?」
「何?っていうか後輩クンの
……まさか放っておいたとか、そんなわけないか
「いやさ、あの何と言うか」
“神”は長い銀髪の先をいじりながらモジモジと身体をくねらせる。
……口調直して、こうしてれば可愛いのに
時々私はそう思う時もある。そもそもこいつが何歳なのかは知らないが性別は女という事だけはわかっているので少しばかり可愛さという物はあった。ほんの少しだが。
「新人が須佐之男命と戦ってるんだよね、今」
だが、思いもよらない発言に“神”の可愛さなどどうでもよくなってしまう。
「え?...いや、嘘でしょ?私をからかって...」
“神”は首を横に振る。
「何で⁉生身の身体でしょ‼何で止めなかったの⁉」
「だってあいついきなり...」
「とにかく戻って‼私も
頭の中が真っ白になってしまい、取り乱してしまった。私の悪いところである。しかしこのままでは彼が危険だ。
「ゴメン、いきなり怒って...っていないし‼」
謝る対象がいなくなった私は研究スペースからパソコンのような物を持って来て、自分の
……お願い、生きてて
※ ※ ※ ※ ※
逃げてる途中、懐に入れておいた
「はい、もしもし?」
「後輩クン?よかった~」
聞こえてきた声に俺は安心感を覚えたと同時に疑問が浮かんだ。
「ウィッチさん?どうやって掛けたんですか?」
「このケータイは、違う次元にもつながるの」
……いや凄いな
「とりあえず、ヤバそうだから簡潔に言うね。
言われた通り、隠れながら一度電話を切ってボタンに押した。するとそこに『イヤホンマイク』というアイテムがあったので押した。すると、『
「あー!よくわからないけどこれ?」
俺はそのボタンを押した。すると、
「聞こえてる?」
「はい」
「よかった。ならそっちの地形をこっちでインストールしたから言う通りの方向へ全速力で行って。今はとりあえず真っ直ぐ」
俺は言われた通り、真っ直ぐ逃げる。後ろで地響きがしているのでまだ須佐之男命が追いかけて来ているのがわかる。
「怖い?」
全速力で移動しながら息が上がった俺の核心を付くような質問を彼女は投げ掛けた。それは俺が感じないように遠ざけていた感情だった。神と戦う事がここまで危険なだと理解していなかった。簡単に“神”の言葉に答えてしまった自分が恨めしい。
「本当に怖かったらそのペンダントを壊しても良いよ、そうすれば現実に帰って来れる。代わりに私が行って何とかすれば良いからね。君はどうしたい?」
歳上の威厳を感じさせながら彼女がそう囁いた。確かにこんな四肢を引き裂かれそうな恐怖に怯える事なく彼女に全て任せて俺は生き返るだけの方がどれだけ楽だろうか。今回に限らずこれが何回も続くならばその選択を取るのが一番かもしれない。
だけどその場合、俺が感じた恐怖を全て彼女に投げ出す事になる。今にも殺して来るような神に追われる恐怖、それを彼女に味会わせたいなどという気持ちは微塵も無かった。
彼女は言わば俺の生き返りたいというわがままに付き合ってもらっているだけである。そんな彼女に死闘を要求し俺は何もしないなど出来るはずがない。俺が生き返りたいと望むのだから俺が責任を持ってその恐怖に立ち向かわなければいけない。
「俺は...戦います。例え怖くてもそれが俺のすべき事だから」
走りながら彼女に自分の意思を告げると
「強いね、君は」
と笑うように彼女は言った。俺はその言葉が称賛の他に何か別の感情もこもっているように感じた。
しばらくすると、集落から離れた人のいない野原のような場所に着いた。辺りには松明の光が輝き影が幾重にも重なっていた。
「ここからは助言はするけど戦うのは君、だから一番は和解に持っていくこと。神を人間と同じって考えないで、体力も耐久力も攻撃力も全て向こうが上回る」
周りには身を隠すような岩も木も無い。それでも戦うしかない。戦わなければ生き返れない。それだけだ。
「やっと逃げるのを止めたか。死ぬ覚悟は出来たのか?」
追いつかれた俺は覚悟を決め深く深呼吸をすると拳を握り締める。勝てる可能性は少ないかもしれない。だがああいうタイプは一度倒してこちらの言い分を聞き入れてもらわないと和解に持っていくのは厳しいだろう。俺は須佐之男命の方を向いた。
「あぁ、出来たさ」
俺は息を深く吸うとボクサーのように拳を構え、言った。恐怖心を静めるように軽口を叩くと須佐之男命へ向かって走り出す
「あんたと戦う覚悟がなぁ!!」
その言葉を聞いて須佐之男命は鼻で笑いながら走り出した。
「面白い、来いよ!!」
辺りを松明の光が照らす中、俺と須佐之男命の影は激突した。
(1)ということはまだまだ続きます。あと、これからもしかしたら文章量が多くなるかもしれません。そこはご了承ください。
では次回予告。
まだまだ零矢と須佐之男命の戦いは続きます。
お楽しみに。