捻くれぼっちプレイヤー   作:異教徒

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 シリアスが長くなるといったなあれは嘘だ。


 というわけでギャグ回です。

 各章を各話に変更してサブタイトル付けました。
 内容は察してください

 ではでは、どうぞ。





第15話:カフェ ラフコフ奇譚;くまのPoHさん

  

「なあ、キリト。結局、お前はあいつを信用するのか?」

「...わからない。少なくとも嘘は言ってない様子だった。」

「まあ、話が理解できる奴らからしたら相当にショッキングな話だったしなあ...」

 今は会議が終わってしばらく後。皆がケーキ片手に談笑している。

 そんな中、俺とキリトは神妙な顔をして向き合っていた。

「まさか、あんな話を聞かされるなんて思いもよらなかった...」

「ああ。本当にな...」

 そしてキリトがひときわ大きなため息をつく。

 ことの発端は数時間前の遡る...

 

 

 

「なんだって!?PoHが指示をしていたのか!?」

「はい。皆さんはあまり信じられないでしょうが、あの人は人を殺すことに躊躇しないのと同じくらいに人助けにも躊躇しませんから。」

 そう言って少女はPoHの、SAOでの話を始めた。

「私が彼と会ったのは第三階層でした。当時、ひたすらレベリングに明け暮れていた私はふとした失敗でモンスターの群れに囲まれてしまっていました。そこを助けてくれたのがPoHさんです。」

「彼は、めんどくさそうにモンスターを倒し終えた後、私にこう言いました。

『自殺志願なら殺してやるけど、どうする?一回100000コルな。』と。

その当時の私は簡単に挑発に乗ってしまいました。それで彼と決闘をすることのなったのですが...」

「結果は惨敗でした。普通の襲撃戦であれば私はなすすべもなく死んでいたでしょう。それでも、私はあきらめきれずに、とんでもないことを口走ってしまいました。

『いつかおまえを倒してやる。だからしばらく弟子入りさせろ』って。

当然断られました。けれど、あきらめきれなかった私は、無理を言ってフレンド登録をしていつも彼の跡を付け回していました。彼が折れてくれたのはそれから1か月後でした。」

「彼は、本当に珍しく困り切ったような、あきれたような表情をしていました。

曰く、『お前が付け回しているせいで仕事ができない』とのことでした。それで私はここぞとばかりに自分をアピールしました。何としても弟子にしてもらうことに必死だったんです。それで結局、彼は折れてくれました。

ただし、一つだけ条件が付いていました。」

「『俺はやりたいことがある。お前を弟子にしてやるから、お前もそれに協力しろ』。それが条件でした。

それから、彼は実際にその様子を私に見せました。

...それは、とても直視に耐えるようなものではありませんでした。」

「たまたま通りがかったプレイヤーを彼は殺しました。ただ何でもないように。まるで息をするかのように自然な動作で___彼はそのプレイヤーを殺しました。

そのプレイヤーは最後まで何が起きたかわからない様子でした。そして現状を理解して叫びだそうとした瞬間に、消滅しました。」

「彼は思わず吐きそうになった私を見てにやりと笑いました。『どうだ、これでもついてこれるか?』と。」

「私の答えは『はい』でした。それを聞いた彼は笑い声をあげて笑い出しました。決死の覚悟を笑われたようで思わず抜刀しかけたとこ悪露で、からは笑いをこらえながら言いました。

『もともとお前にに人殺しなんてできると思ってない。お前にしてほしいのは裏方の仕事だ。いわば雑用だな』

それから、彼は私に一つの構想を話しました。それが、《笑う棺桶》の原案ともいえる構想でした。そして彼は、私にその事務仕事と調整を押し付けてきました。」

「正直言って、そんなマネージャーのようなことは向いていないと思ったのですが、ここまで来て放り出してくれるなんて思えませんでしたから、私は了承しました。これが、私と彼のなれそめです。」

 

 

 一気に話されて、情報が追い付かなくなった俺たちはしばらく黙っていた。

 俺はまるで異国後で怪物の話を聞いたかのような気分だった。

 何を言っているのかはわからないが、とにかく恐怖だけはわかる。そんな感じだ。

 しかし、少女の話はまだまだ続く。

 

 

「それからしばらくの話は割愛します。あまりに長すぎますから。

飛んで半年後の話です。そのころはすでにラフコフも出来上がっていて、だいぶん仕事も落ち着いてきていました。もっとも、書類仕事はものすごい量でしたが。

ところがある日、一つ事件が起こりました。」

「PoHさんが帰ってこなかったんです。それが一日二日ならよかったです。ふらっといなくなることはよくありましたから。それでも、一週間はさすがに長すぎました。彼はどうやら多くの階層を行ったり来たりしながら、何かを探していた様子でした。

まさか彼が死ぬわけないと思ってはいましたが、不安になった私がいよいよ探しに出かけようかとしていた時、彼は突然帰ってきました。」

「今まで何をしていたのかと問い詰めた私に、彼は自慢げにアイテムを見せびらかしてきました。

そこには多くの食材アイテムがびっしりと埋まっていました。何事かと聞いた私に、彼はこう言いました。

『ちょっとお菓子作りをしてみようと思う』って。」

 

 

「「「「いやいや、ちょっと待て!」」」

 さすがに突っ込まなきゃまずいところが出てきた。お菓子作り!?どうしてそうなった。

「さすがのそれは嘘だろう...なあ?」

「う、うん。さすがにそれはちょっと...」

 信じきれない様子のキリトとアスナに少女はある店の名前を告げる。

「《ギフトボックス》ってお店を知っていますか?」

「ああ。あのめちゃくちゃケーキがうまい店だろ?あそこのはもう一回食べたいよなあ。」

「うんうん。あそこのスイーツは鉾とは比べ物にならないぐらいおいしかったよね。私も自分で作ろうとしたけどうまくいかなかったんだよね。。」

「そうですか、それならよかったです。それを聞いたらきっと彼も喜びますよ。」

...ああ。なるほどそういうことか。

「えっ!?もしかして、あのお店って、PoHが作ったお店!?」

「ええ。ちなみに私や他のラフコフメンバー、それに一般の人たちも一緒になって切り盛りしていましたよ?」

「まじかよお...」

 キリトがやばいぐらいに憔悴している。軽く鬱っぽい。アスナやシリカ、クラインたちも同じように憔悴...何人かお茶吹いてる奴いるな...。そこまでツボるのか。

「さて、話を戻します。彼はお菓子作りをするといってから、俄然料理スキルにこだわり始めました。ええ、それはもう彼の本来の目的が数か月は滞る程度に。彼が何を創ろうとしていたのかは、一か月後に分かりました。

 ある日、満面の笑みで私の部屋に彼が入ってきました。なんでも作りたかったものがついに作れたそうです。

その完成品を見せてもらって私は絶句しました。」

「机の上には多種多様のケーキがホール単位で並んでいたんです。その中でも一番目を引いたのはアイスケーキでした。まさかSAOでアイスなんてものがあるとは知りませんでしたし、よもやアイスケーキなんてありえませんでした。けれど、彼はそれを創っていました。」

「そして、彼はそれを私の前に差し出しました。突然のことに私が戸惑っていると、彼はいたずらを成功させたかのような笑いを浮かべました。『今日はお前の誕生日だろう?』私は彼の言葉にいささか動揺しすぎてしまって、何が何だかわからないでひとまずラフコフのメンツを全員呼んでケーキの処理にあたりました。その中で出た冗談がきっかけでカフェを開くきっかけになりました。」

「そのあとは、夏になったら浜辺でアイスの移動販売をしたり...そうそう、キリトさんのリクエストしたドクターペッパー味のアイス、なぜか意外と評判で彼も喜んでいましたよ?あの味の再現にはほとほと苦労したそうですが。」

 

 

と、そこまで明るかった少女の表情が曇る。

「しかし、楽しいのはそこまででした。」

「ある日、ラフコフと討伐隊との戦闘が勃発しました。その日、私は彼にお使いを頼まれていて下の階層に出かけていました。帰ってきたときにはすべてが終わっていました。見知った仲間はほとんどが死んだか捕まったかで連絡がつかない状態でした。」

「今だから言いますが、私はあの時に討伐隊の人たちを恨みました。それはもう、不意打ちで何人かPKをしようとしたぐらいには。 けれど、キリトさんや前線組たちを相手に勝てる確率なんて1パーセントもなかったです。私は、いつか皆さんに復讐をしようと機会を窺っていました。」

「それなのに、彼は、私に止めるようにいってきました。おまけに、今後一切キリトさんには関わるなとも言っていました。それに反発した私はその場でフレンドを解除して一方的に去っていきました。その後は連絡を取ってなかったので彼のその後は知りません。なぜ彼が私のリアルの連絡先を知っていたのかは知りませんが、最後に喧嘩別れしたことの、せめてもの罪滅ぼしとして引き受けることにしました。」

「なので、私があなたたちを恨んでいるように、あなたたちが私を恨んでも構いません。同じ様に同じ、私があなた達を信用しないように私を信用しなくても構いません。私は私で勝手に動くだけです。」

「私が話せることは大体すべてお話しました。あとの判断は皆さんにお任せします。」

「では、私はこれで失礼します。」

 そういって彼女は俺たちに一礼して去っていった。皆に大きすぎる影響を残して。

 

 

 

 キリトは再び頭を抱えてテーブルに倒れ伏す。

「はあーーーーっ。全く、訳が分からん。なんでPoHがこのことを知っているのかがわからない以上迂闊に信用はできないし...」

「いや、それなら初めから信用しなけりゃいいんじゃないか?彼女もそういってただろ。」

「どういうことだ?」

「材...義輝と同じことをするんだよ。陽動のための偽情報を流して動かせる。あいつは俺たちを信用してないならこっちもそれに乗っかればいい。」

 嘘吐きの言うことは皆信用しない。それはそいつの言うことが嘘だと信用しているからだ。

 なら、そこを利用すればいい。幸いこっちには雪ノ下雪乃プラスその姉雪ノ下陽乃がいる。この二人がいれば大抵の人間は騙せる。むしろゲームマスターまで丸め込めるまである。」

「けど、そこまでしてこれ以上関係を悪化させたら本気で襲われかねないと思うんだが。」

「ああ。その点に関しては考えがある。」

「考え?」

 

 俺はひとり笑みを浮かべる。『これはゲームであっても遊びではない』これは確かSAOの作者の言葉だったか。

確かに、今回の事件はゲーム内での事件だ。しかし、それはいづれ現実にも影響を及ぼす。だからこうして集まっている。そして皆が動けないのはこのゲームを好きだからだ。だからここで下手に問題を起こしたくない。

 それなら、ここに一人適任がいるじゃないか。ぼっちで初心者かつフレンドが少なく認知度が低い。このゲームに対してそこまでやりこんでいない。そんなプレイヤーが、ここにいる。

 

「ああ。キリト達には迷惑はかけない。だから安心しろ。」

 

 

 訝しむキリトを丸め込めると、俺は早速計画を立てる。

 その中で俺はなんとなく、PoHってやつとは仲良くなれそうだと思った。

 だって、あいつと俺って趣味が似てるしな。

 

 

 こうして、会議は終了した。明日からの予定を立てながら、俺は珍しく笑っていた。

 

 

                 ああ、明日が楽しみだ。

 

 

 

 




 
 PoHをそれなりに良い人っぽくしようとしたらネタキャラ化した件


 どうしてこうなった...

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