東條家が新しく土宮家に加入しなければきっと、衰退もせず今まで通りの事をして末永く祠を守っていけただろう。
だが今は違う。
東條家が圧倒的優位な立ち位置であり、力もある。
衰退した土宮家から皆が離れるのも時間の問題だった。
「ねぇ、やっぱりあなたともう1回話がしたいの」
そう言って絵里先輩は戻ってきた。
やはり納得ができる回答ではなかったのだ。
俺は、場所を変えましょう、と提案し教室よりは少し落ち着いて話が出来る天文部の部室に来た。
風夜は今日は帰ったらしく当然だが誰もいない。
無言で席に座る2人を夕日が窓から照らしていた。
「やっぱりさっきの事なんだけど、希とあなたの関係性が気になるのよ。正直に話してくれないかしら?」
「先輩はどうしてそこまで知りたがるんですか?」
「最近の希の様子を見ていたらね。もしかして何かあったんじゃないかと思ったの。そして、辿っていったらあなたに辿り着いた。だから、なにか理由を知ってるんじゃないかも思って聞いてるのよ」
「そうですか」
沈黙が流れる。
短い間でも長く感じるその空気に耐えきれなくなったのは絵里先輩の方だった。
カバンから1枚のお札を取り出し差し出してきた。
「希はこれを見ると毎回暗い顔をするのよ」
「これは.....」
「何か知ってるの?」
知ってるも何もそのお札は物心ついた時から見ていた
「祠の封印....」
「祠?.....」
「今希先輩が引き継いでいる仕事です」
「巫女さんじゃなくて?」
「それとは別の、家の仕事です」
絵里先輩はそれを聞くとふーん、と興味深そうに言い俺と東條家の関係性をやはりまた聞いてきたのだった。
気になるところまで言ってしまったのだから仕方の無いことだが、こちらとしてもただ話すだけじゃつまらない。
絵里先輩に質問でもして、何でそんなに知りたがっているのかを聞いてみるか。
「先輩は、希先輩から辿っていったら俺に辿り着いたって言ってましたけど、何を聞いて辿り着いたんですか?」
「.......そうね。希からあなたの話を聞いた、とだけ言っておきましょうか」
「俺だけ話すのは筋が通ってないと思いますが?」
「......。ふふっ、君は本当に粘り強いわね。でもそれも事実だし、いいわ!教えてあげる」
希先輩は、絵里先輩に土宮家と東條家の会議の内容を話し、先程俺に見せたお札を渡したらしい。
会議の内容も俺が欠席していた時のものらしく、話は実に陰険な雰囲気で覆われていたらしい。
その空気の中、希先輩が他の家の者から歓迎されたが土宮家には歓迎どころか拒否をされたとの事だった。
絵里先輩はこれが原因で俺に少し強く当たってきてたのか。
「先輩には失礼ですが、これは先輩の踏み込んでいい内容じゃないですよ。もう少し自分の立場を考えて欲しいです」
「そういうわけにもいかないのよ」
「友情やら何やらでこの問題に頭を突っ込むならやめて下さい。その行為一つで希先輩を苦しめることにもなるんですよ」
「あなたは何もわかっていない!!」
絵里先輩が沸騰したお湯の如く怒った。
勢いよく立ち、両手で机をバン!となるくらい叩くように置き俺の事を鋭い目つきで見つめながら話し始める。
「私は今まで希に助けられてばかりだった!私は希に色々話すけど希は自分の事を後回しにしていつも....いつも自分ひとりで抱え込むのよ?それを知ってるのにその話を聞いて何もしないわけないでしょう?!」
俺は酷い一言を言い放った。
「先輩がもう少しちゃんとしていれば、希先輩も悩みを言えたとおもいますが?」
次の瞬間、バシンッ!という音と共に水のようなものが俺の顔に当たった。
そう、絵里先輩に俺は平手打ちをされた。
先輩を見てみると、先輩は泣いていた。
次回もこんな展開が続くと思います。
更新遅れてすみません!