先輩の掌を見ると小刻みに震えていた。
そして、同時に夕陽に照らされた滴が床に滴り落ちた。
泣いていた。
そう、先輩は泣いていた。
声を出すのでもなく、ただただ静かに泣いていた。
「あなたには、分からないわよ....」
このたった一言にどれだけの意味が込められているのだろうか?と思考を変えているうちに先輩は部室から出ていった。
まるで少女漫画によくある展開の様で現実味がないと言ったら嘘になるが、やはり俺には感じられなかった。
「俺の事も、分からないでしょ...」
誰に言うのでもなく1人部室で呟く。
俺もそろそろ帰ろうかと部室を出た時そこに彼女は立っていた。
彼女と言っても不特定多数いるから分かりにくいだろう。
「絵里先輩.....」
出てくるのを待ち構えていましたと言わんばかりに仁王立ちで腕を組み立っていた。
先ほどとは違って泣いてはいない。
逆に蹴りをつけに来た様子だった。
ここで待ち構えてたならさっきの独り言も聞かれたか。
「さっきは冷静になれなかったからもう1回だけ、話をしましょう」
「俺は別に構いません」
「私はね、希に負担をかけたくなかったの」
そしてまた話し合いというのが果たしてふさわしいのかはわからないが絵里先輩は話し始めた。
「負担をかけたくないことに私は集中しすぎて、希に結局は負担をかけてしまってた。だから、今回希に違和感を覚えたからまた私の事で負担をかけたんじゃないかって少し不安になって話を聞いたのよ」
「そしたら原因は俺にあるみたいだったのでこうして話に来た、って事ですか?」
「大体はね。あなたの事を聞き出して少しでも希の力になりたかったのよ。でも、強引に話を聞くのはいい事じゃなかったわね」
そう言って先輩は、俺から話してくれるまで待ってると言って帰ってしまった。今度こそ本当に帰ってしまった。
「話す日が来ればいいけど」
また誰に言うのでもなく独り言を寂しい廊下に吐き捨て、言葉を浮遊させたまま俺も帰宅した。
家に着くと誰もおらず、俺1人で夜まで過ごすことになった。
家の中にいて自分以外の物音がしないってのも不思議だな。
物思いにふけっているうちに、ベッドで寝てしまった。
まるで寝るのを我慢していたかのように、走れメロスの様に死んだ様に眠っていた。
気付いた頃には、夜の11時だった。
「寝すぎた.....」
ボーッとする頭をゆっくりと起こし、ふと机に目を向ける。
そこには刀袋があった。中に刀が入っているのかちゃんと形がありずっしりとした圧倒的存在感で机の横に立てかけられていた。
「こんなもの、あったっけ?」
そう思いながら俺は刀袋に手を伸ばした。
更新遅くなりすみません!!
刀袋は絵里先輩と平行線から交差線に変えるのに重要なものになります。
詳しく言うと刀袋が、今の所のキーです