「........」
じっと見えない者を見つめ続ける西木野真姫。
恐らく見つめ続けているのではなく、動けないのだ。
少しずつ、彼女に近付いてくる異界の姿をじっくりと見てみる。
昨日は一瞬しか見ていなかったので、顔が骸骨という事実を今ここで発見した。
このままだと西木野さんが危ない。
恐らくあれは悪霊の類か何かだ。早く手を打たないと西木野さんや周りの人まで危険な目に遭ってしまうかもしれない。
俺が鞄から札を取り出そうとした時、悪霊は西木野さんを襲った。
「っ!?」
恐怖で声のない悲鳴を小さくあげる西木野真姫。
だが、ギリギリの所で彼女は助かっていた。
俺の札で助けたのではない。
そう、彼女を助けたのは
「ギリギリセーフやね。真姫ちゃんもう大丈夫やで」
「の、希....」
希と呼ばれる彼女は、俺の横を通り過ぎ教室に入っていき西木野さんの席まで行くと
「せやからこれは持ってて損は無いって言ったやろ?」ニコッ
そう言って西木野さんの鞄に入っていた御守りを取り出した。ボロボロになっていた御守りを大事そうに紙に包み
「ほな、これはウチの神さんの所で処分するね」
と、言い残し教室から出ていった。
「希先輩は相変わらず凄いな〜」
感心したように風夜が言う。
俺は希先輩という人物の事を聞き出そうとすると
「先輩はほら、生徒会副会長の人で皆にすっげー優しいんだ!神田明神って神社でお手伝いしてる人でさ。見えるらしいんだよ、幽霊とかそういうの」
すげーよな〜と言いながら風夜は続けて言った。
「でも、驚いたよ。まさか、夏目も見えるなんて」
いつもと違う目つきでその言葉を言った風夜に俺は少し嫌な予感がしたが、昼になる頃には忘れていた。
昼休み。
風夜と2人で昼ご飯を食べながら朝の出来事を話していた。
「風夜にも、見えるの?幽霊とかそういう類のもの」
「ん?見えるぜ。霊感が普通の人より強いみたいでさ」ハハッ
「へー、霊感あんのか。何か意外」
「それよく周りに言われるw」
そんな会話をしながら、一瞬だけ風夜の目つきが変わったのを思い出したので本人に聞いてみようとしたが、タイミングよく予鈴のチャイムが鳴ったので、やむを得ず諦めた。
放課後、昨日約束した通り風夜と一緒に帰宅し部屋の整理を手伝ってもらった。母さんは、友達もう出来たの?良かった〜。と言いながら嬉しそうに風夜を歓迎した。
父さんは前とは違う内容の仕事に追われているようでまだ帰宅していなかった。
「へー、これが夏目の部屋か!広いな!」
まぁ、代々祠を護る家系の為自分専用の御守りや式その他の物を入れておくスペースが必要なので部屋は広い。
整理をしながらこんな会話をする。
「そういえば希先輩さ、夏目の事知ってるっぽいんだよな」
「俺は今日初めてその希先輩見たけど?」
「だよな~?希先輩も夏目の事は今日初めて見たけど、名前は知ってる。みたいな事言っててさ」
もしかしたら、家系に関係のある人物なのかもしれない。
希先輩、苗字は東條。
このヒントを頼りに思い出せるだろうか。
数ヶ月前の会議での話を。
次回は、数ヶ月前の話がメインになります。
海未ちゃんも除霊の力とかありそう。。。