この話では呼び方で距離感がなくなったりできたりする
というのを中心に書いてます
翌日。
遅れてやってきた梅雨。
いつもと違って教室にいる人も多い。
ふと、小泉さんを見てみると星空さんと仲良く話していた。
西木野さんは相変わらず音楽室でピアノを弾いているらしく2人はその邪魔をしないように教室で過ごしていた。
「はぁ~...やっぱり可愛いよな~」
「朝からそのにやけ面はやめろ」
「だって、こんな梅雨の時期に見れるだけで幸せになれるなんて....名前の通り本当に太陽のようで花のように柔らかい笑顔で....」
「.....もういい、自分の世界に浸っててくれ」
風夜も相変わらず小泉に夢中になっていた。
そこまで人を好きになった事が一度もないので少し羨ましいと思いつつ、提案をしてみることに。
「え?!?!お、おお、俺が?!」
「その方が距離も縮まるだろ。今よりは」
こんなに風夜が驚いた内容は至ってシンプルなもので、小泉さん呼びから花陽さん呼びに変えてみる、というものだ。
実際苗字で呼ばれると相手との距離を多少感じてしまう。
そのままではいつまでも進展しそうにないので、昨日のお礼も兼ねて俺は提案してみたのだが。
「.............」
はぁ、思考停止したか。
いまの世の中こんなに純粋な奴も珍しいな。
俺は風夜の肩を軽く叩き現実に引き戻す。
はっとした様に我に返った風夜は、さっそく今日の昼休みあたりにでも実践してみると言い残し、どこかに走っていった。
「昼休み以外でも時間あんだろ......」
そう呟いて俺は小泉さんの所へ向かう。
「あ!夏目君、おはよーにゃ!」
「お、おはようございます!!」
「2人ともおはよ。あの、急で悪いけど聞きたいことあるんだけど。いいかな?」
「凛は全然構わないよー?」
「私も、答えられる範囲までなら教えられる、かな?」
「あのさ、俺2人のことなんて呼べばいい?苗字で呼ばれるの嫌いな人とかいるからさ。もし嫌だったら他の呼び方にしようかなって」
「凛はなんでもいいけど.....やっぱり下の名前で呼ばれる方が嬉しいにゃ!!」
「私も好きな呼び方でいいけど、やっぱり下の名前だと凛ちゃんと同じで嬉しいし、距離感がなくなる感じがするかな」
「じゃあ、これから2人のこと下の名前で呼ぶね」
「って、待ったあああああああ」
全速力でこちらに向かってくる風夜。
どうやら話を聞いていたらしい。
タイミングがいいな、と思いつつ風夜に話を振ってみる。
「風夜、お前も小泉さ....花陽の事、下の名前で呼んだら?」
「え?!俺が?!!いいの?!」
「わ、私は全然構いません!」
「てか、何で夏目が先に呼び捨てなんだよおおおお」
感情豊かな奴で良かったよほんと。
タイミングよく聞いてくれてたおかげでこの話をわざわざしなくて済むし、昼休みの時間にはこの会話しだいで一緒に弁当食えるかもな。
と、自分の仕事の早さと完璧さに浸っていると
「でも、夏目君は皆の呼び方バラバラだけどどの呼び方でも距離感を感じるにゃー」
「.......」
予想外の言葉を投げかけられ言葉を失う。
今までの生活のせいもあって距離感を感じさせる話し方をしていたが今は高校生であり、違う土地ということもあってなるべく話し方には気をつけていたつもりだった。
「別に、そんな事ないけど?」
「ほら!少しトゲトゲするにゃ~。何か真姫ちゃんみたい」
「私がどうしたって?」
「ま、真姫ちゃん!!今のは聞かなかったことにしてにゃ!」
「聞かなかったことにしても何も、私の名前以外話は聞こえてこなかったわよ?」
「それならよかったにゃ…」
距離感を感じさせる話し方が西木野さんに似てる、か。
意外と凛は観察力鋭いんだな。
気を付けないと、今後に支障が出そうだ。
気を紛らわそうと風夜と花陽を見てみる。
和気あいあいとお互い恥ずかしがりながら話してるのを見て安心したが、凛の隣にいる西木野さんは俺を疑いの眼差しで見ていた。
次回は真姫ちゃんが夏目に告白をします。
果たしてそれは恋の告白か
それとも違う告白なのか