気づいて頂けたらいいです。
呆然と突っ立っていると後ろから風夜が突撃してきた。
「っ!?何するん...って、風夜か。何だよ急にぶつかってきて」
「いや〜、西木野さんと面白そうな話してたから俺も混ぜてほしいな~って思ったんだけどさ。タイミング逃しちゃったな」
「.......盗み聞き?」
少し鋭い口調で俺はそう言う。
もし、先ほどの話を聞かれていたらこちらとしても都合が悪い。
仮に風夜が祠に関係する人物だとしたら。
希先輩と関わりが深い人物だとしたら。
そう考えると言葉に鋭さが出てしまった。
風夜は、片手で頭を抑えながら申し訳なさそうな笑顔をしてた。
「盗み聞きだなんて人聞きの悪いこと言うなよ~。ただ、少し気になっただけだから。イミゴ様に」
「へー....」
「そんな睨みつけるなよー。俺もさ?聞いたことあるんだよな。その〜イミゴ様?っていう名前。確か親父に聞いた気がする」
風夜はそう言って唸り声をあげながら思い出そうとする。
だが、その唸り声が少々大きかったらしく先生に怒られた。
昼休みにこの話の続きをしよう、という流れになりその場は一時解散した。
そして昼休み。
人気の全くない空き教室らしき所に連れていかれる。
「なぁ、空き教室って確か鍵かかってるんじゃなかったっけ?」
「ん?あぁ、ここは空き教室じゃなくて部室!天文部の部室だよ」
「へー、天文部なんてあったんだ」
「今じゃ部員は俺だけしかいないけどな」
そんな雑談をしながら天文部の部室の中に入る。
ちゃんと常日頃から掃除がされているのか綺麗に整頓もされており埃っぽさも全くと言っていいほどなかった。
天体観測をまとめたファイルに望遠鏡など様々な天文グッズが置かれていた。
部室の中央にある丸い机でご飯を食べる。
椅子も丸い形だったが地球の絵が描かれた椅子だった。
「それで、親父さんが言ってた話思い出したのか?」
「ちゃんと思い出したぜ!」
ドヤ顔でそう答える。
2人しかいない部室に声が反響し異様な雰囲気に包まれた。
「まず、俺の家のことから話すよ。俺の家の裏に神社があって代々神主をしててさ。昔はよく結界が外れた祠とかにも出向いて封印をしなおしていたらしいんだ」
その時俺はまだ気づいていなかった。
両親がよく話してくれたイミゴ様の話に出てくる重要な人物が目の前にいることに。
「それである日、近くの村の祠の結界が壊れたって話が伝えられたみたいでさ。そこに先祖は向かったんだって。そしたらそこにいた奴がすごくやばかったみたいで」
少し笑いながら話を和やかにしようとする風夜を俺はじっと見て話の続きに耳を傾ける。
「人も妖も関係なしに倒してたらしいんだよそいつ」
「.........それって、まさか」
「そう、そのまさか!その犯人がイミゴ様だったらしいぜ。先祖は急いで村人を避難させて何とか祠に封印したらしいんだけどさ」
風夜の家系が祠にもう1度封印しなおした僧の家系だった。
その話を聞いた俺は、もしかしたら風夜も人には見えない者が見えるのではないかと思い聞いてみる。
「え?俺に霊感があるかって?そりゃ見えるよ。ちゃーんと見えてる。夏目の隠しきれてない妖気もちゃんと、な」
その言葉を聞いて俺は頭が真っ白になった。
もし、西木野さんが話していた事と風夜の話していた事に何らかの接点があるのだとすれば。
あの日行われた会議の話に接点があるのだとすれば、俺は認めなければいけないのかもしれない。
イミゴ様の生まれ変わりだということに。
次回は、2年生が登場する予定です。