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俺の名前は、"ブラック=ウインド"。
………って
今はってのは、記憶喪失で自分の名前も思い出せない"名無しの権兵衛"ってのが、今俺の状況なんだな!これが!!
いや~、フィンガースやダフネの嬢ちゃん、村の皆とこの2年間自分の事を色々調べてみたんだが…
「
って、自分で言ってて何じゃそれ!?俺、本当に人間!?飲まず食わずって、普通の生物止めてね!?…ま、まさか某宇宙帝国が開発した戦闘アンドロイドとか!?
「あ~、やめやめ。今まで散々色んな人と考えて分からなかったんだ。今更そんな事考えても、埒が明かねぇぜ。」
散々考えても分からなかったから、俺は旅に出た。そして今、
「唯一残っていた記憶の中から、
一人の男が海上を滑るように走っていた。
「し、しまった!!キセルを持ってきてない!!
彼にとって大事な記憶に関する事を見つける為の旅だが、当の本人は気楽にそんな事を言っている。
「くっそ~!今度街を見つけたらキセルを購入せねば!!って俺、お金なかったんだ!!む、村での自給自足がこんな所で裏目に出るとは…」
彼、ブラックは悩む。キセルをどうやって手に入れるかを。……海上を走りながら。
「ま、人に会ったら何とかなるさ!!」
そう口に出しあっけらかんとしながら彼は、何処か町が無いか海上を走りながら探すのであった。
■□■□
海岸沿いにある少し廃れた建物から、女性たちの声が漏れている。
「クソッ!
「アラーニャ…」
此処は女性だけで結成されたギルド、
「あんな奴ら蹴散らして「アラーニャ!!」ご、ごめんリズリー…」
言い争っているのはドレッドヘアの女性のアラーニャ・ウェブと、パーマの掛かった髪のぽっちゃりした女性リズリー・ロー。
「あいつ等のやり方が気に入らないのは私も同じさ。でも、私らは5人しかいない少数ギルド。あいつ等を相手取るにはいささか人数が足りないよ。」
「で、でも!これ以上街の皆がひどい事されるのを黙って見てられないよ!!」
海辺に近いこの街に
が、
「よう嬢ちゃん。羽振りが良さそうだな?俺達にも分けてくれないか?…無論、断れば分かっているだろうな?」
「ひぃぃぃ!!」
街で見かけた少女を脅し、金を巻き上げ、
「おいジジイ!誰が此処で商売していいと言った!!するなら俺達へ10万ジュエルの許可金と毎月2万ジュエル上納しやがれ!!」
「なんじゃと!?」
勝手に地主に成り代わり商売だけじゃなく、街全体を数の利を生かし管理しだした。
以前のギルド…根城にしていたところは、恐らく奴らの蛮行を目の当たりにした正義の味方が追い出したのだろうと街の人々は考えた。だが、転がり込んで来られた街の人々にとっては、いい迷惑だ。彼らもただ黙って見ているわけではなかったが、数が多いうえに魔法を使える彼らを追い出すには街の人々と彼女達では無理な話だった。評議院にも何度か視察に来てもらった。が、視察日は非公開なのだが、どう云うわけかその日は必ず彼らは大人しくしていた。恐らく評議院の中に彼らと通じている者がいるのだろう。
「2年間あちき達は耐えた!でも、もう!これ以上耐えられない!!」
「ベス…」
三つ編みの髪にそばかすが特徴のベス・バンダーウッドが、今まで抑えていた感情をさらけ出した。
「分かったわ。二人がそこまで言うなら、今まで行って来た評議院への報告は今日で中止し別ギルド…
「なら、直ぐにでも連絡が必要ね。私かベスが連絡役。リズリーとリサが…「た、大変だ!!」ど、どうしたの魚屋のおじさん!?」
ギルドで
「さ、さっき大通りでルーちゃんが
店主の話も
「……で、何か変わった拳法を使う兄ちゃんに助けられたんだけどよ…って、リズリーちゃん!?話は最後まで聞いてくれー!!」
店主は彼女達を追ってまた大通りへと駆けていく。
「ハァ!ハァ!!もう年かな?」
息切れしだした自身の年齢を考えながら。
■□■□
「助けてくれてありがとう!!ルーは〝ルー・ルピス〟って言うんだよ!!」
「ルー・ルピスか良い名前だな!!(……何だ?以前聞いたことのあるような名前だ。)」
海上を走っていたブラックは、丁度近くに見えたこの街に寄っていた。無論、キセルをどうにかして購入する為だ。
「おっと、俺の名は〝ブラック・ウインド〟ってんだ。ここいらに〝キセル〟って…えぇっと、煙を出す短い木みたなもんって売ってないか?」
「…う~ん、ルーは知らない。」
「分かった。教えてくれてありがとよ、ルー。変な奴には気を付けろよ!じゃあな!!」
ブラックは、次の人にキセルがこの街で売っているか聞く為その場を後にしようとして、
「これ以上、ルーに手を出すんじゃない!ぽっちゃりナメちゃいけないよ!!」
ぽっちゃり…していないパーマの掛かった髪の女性に頬を殴られ、
「私の糸魔法で拘束してやる!!」
蜘蛛の様な糸に拘束され、
「いっけー!あちきのニンジンミサイル!!」
ニンジン型のミサイルの雨に遭い、
「私の魔力を水の魔法に変えて…お願い!ルーを守って!!」
水に呑まれて行った。
「「「「申し訳、ありませんでした!!」」」」
「ごめんなさい。ブラックサマ。」
4人の女性とルーが水浸しになったブラックへ頭を下げた。
「いや~、怪我も無いし誤解も解けたから構わねぇよ!!」
当の本人はそんなに気にしていない様子。
「それでも、貴方にルーが襲われていると間違えて殴ってしまったわ。…傷は、あら?無傷?(…おかしい、私は本気で殴ったハズよ。無傷なんて!?)」
「ま、服が破れて、ビショビショになっただけだ。気にしなさんな!じゃ、俺はキセルを探しに「居たぞ!アイツだ!!」…はぁ、行けそうにないな。」
ブラックが動き出そうとした時、先程蹴散らした男が仲間を10人程連れ仕返しに戻って来た。
「俺の弟分を痛めつけてくれたらしいな!!」
「俺達に舐めた真似しやがって!唯で済むと思うなよ!!」
彼らはブラックへ詰め寄ろうと近づいて来た。
「…兄さん、私達があいつ等を相手するから、そのうちに逃げ「おいでなすったか…!
ブラックはリズリー達の前に一瞬で出て来たと思ったら、男を含めた全員を目にも止まらぬストレートで倒していった。
「あ、アンタ何者…」
「な~に、只の通りすがりのモンだ。あいつ等あっちから来たな。ゴミ掃除と洒落込みますか!!」
「ま、まっ…行っちゃった。」
リズリーの静止も届かず、ブラックは一人で
「……。」
「あ、あの人一人で行っちゃったよ!リズリー!何呆けてんの!?強そうだったけど一人で100人を超えるギルドに殴り込みに行くなんて自殺行為よ!!」
「あ、あちき達も行こうよ!!ルーの恩人を見殺しなんてあちき出来ない!!」
「ルーもブラックサマを助けたい!!」
「最悪、倒れた彼を連れて逃げるのも視野に入れておきましょう。私も戦う覚悟をしましたから…行きますよリズリー。」
アラーニャ、ベス、ルー、
「…分かったわ。私達
彼女達は走る。
男の声が聞こえた。
『我は無敵なり、』
力強く、その声の前では誰も反論出来ない。
『我が〝拳〟にかなうものなし、』
その声に
『我が一撃は無敵なり!!』
そして、街全体を揺るがすような衝撃が起きた。
『
彼女達が到着したころには全てが終わっていた。
「嘘、でしょ…。」
「ま、まさか…。」
「あわわわわ。」
「すごーい!ブラックサマ!!」
「
ガレキの上に立つ一人の青年。その周りには100人を超えるごろつきが倒れていた。
「ありゃ?アンだけ啖呵を切ってたのに、こいつ等口だけかよ!!」
いや、確かに
「おお、嬢ちゃん達。
この日
「これがキセルです。それと、ルーを…ひいてはこの街を助けて頂きましたので、それは差し上げます。」
「いや~、なんか
「じゃ、じゃあ、ルー達に拳法教えて!ルー、もっともっと強くなってリサ達を守るんだ!!」
「ちょっとルー!!」
「良いぜ!じゃ、今日から少しの間俺の技術を伝授するぜ!!俺の名はブラック・ウインドよろしく!!」
ブラックはこのルーのお願いを快く承諾。
「はぁ、私はリズリー・ロー。リズリーって呼んでよ。」
「私はアラーニャ・ウェブ。アラーニャって呼んで色男さん。」
「あちきはベス・バンダーウッド。ベスって呼んでね!それと、野菜は好き?」
「私の名前はリサ・パツィフィース。リサって呼んでください。」
「…じゃ、今日からよろしく!それと、野菜は好きだぜ!!(…リサ、リサ?どっかで聞いた事ある名前だな。…ダメだ。思い出せん。)」
こうしてブラックは
「
「じゃんじゃん攻めてこい!!」
ルー・ルピスの得意とするのは、変身魔法の
「ウォーターアロー!!」
「連発して制度が落ちてるぜ!
リサ・パツィフィースが良く使用するのは水魔法。変幻自在で様々な使い方が出来るからだそうだ。
そして、あっと云う間に3カ月が過ぎ、今日ブラックに鍛えられた
ルーとリサは本人ではなく、似ているだけです。所謂パラレルワールドの人物です。