お前にふさわしいソイルは決まった!!   作:小此木

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漸く始めに思いついていたこの話まで来れました。
皆様に楽しんでもらえたら幸いです。


第25話

 

 

 

未来のローグが竜の手に乗る少し前まで遡る。

 

「風、殿…」

「風!!」

「風お義兄様!!」

『漸く目が覚めたみたいだね、風。』

 

先程まで〝混沌〟の事しか言葉を発さなかった風が急に止まり、

 

「…フェニックス、よくやった。もう、消えていいぞ。」

(悪い、フェニックスさん。あの娘ら俺の知り合いなんだ。でも、守ってくれてありがとう。)

 

フェニックスに消える様に指示を出した。

 

「…済まなかった。」

(スマン皆!混乱していたとは言え、召喚獣に攻撃させちまった!!)

 

そして、風は謝罪の為4人へ向け頭を下げた。

 

「いえ、風殿が正気に戻られて良かったです。私はこれからエルザ義姉さん達の助太刀に向かいます。…さようなら風様。(小声)」

「…待て、カグラ。」

(ちょ、ちょっと待とうかカグラちゃん!!)

 

そして、謝罪を受けたカグラは目的―風を元に戻す事―を終えた為、その場を立ち去ろうとした。カグラは、以前の出来事で風に嫌われたと思っていたからだが、立ち去る前に風に呼び止められてしまった。

 

「…ッ!!な、何でしょう風どn「…大きく、強くなったな、カグラ。」か、風様ぁ!?」

 

風は、振り向いたカグラの腰を掴み、大人が子供へよくする〝高い高い〟をした後、頭を撫でねぎらった。そのカグラの目には、今にも零れそうな涙が溢れていた。

 

「…何故悲しそうにしているかは俺には分からん。だが、お前は以前の様な元気のある方が好ましい。」

(何でそんなに悲しそうなのかな、カグラちゃん?あの元気で無鉄砲だったカグラちゃんの方が、今の悲しそうな顔のカグラちゃ…いや、カグラ()()より100倍いいぜ!!)

 

「カ、カグラ!なんて羨まけしからん事を!!ずるいんだゾ!!」

「か、風お義兄様大胆です!!」

 

傍から見ていたソラノは悔しがり、ユキノは無意識に風に対してそう叫んでいた。

 

「か、風殿!?…は、放してください!我慢して嫌いな私を慰めなくてもいいですから!!」

「…俺が、カグラを、嫌う?」

(は?俺がカグラちゃんを嫌う?無い無い無い無い!!そんな事無いって!!)

 

風は、ジタバタ腕の中で暴れるカグラをお互いの顔が見える様に降ろし、両肩を掴み顔を逸らせないように話し掛けた。

 

「…何を言っている?俺はカグラを嫌った事などない。」

(何でそんな事言っているのかは分からないけど、俺がカグラちゃんを嫌うことは無いぜ!嫌われる事はあるかもしれないけどな!!ハハハ…)

「ふぇ…ほ、本当に!?」

「…本当だ。」

「良かった、良かったー!!」

 

歓喜極まったカグラは涙を流しながら風へ飛びついた。

 

「…カグラは元気が一番だな(小声)。…それはそうと、エンジェ…ソラノ。」

(フッハッハ、この風様body(ボディー)なら大きくなったカグラちゃんでも余裕で受け止められますよ!!元気になってよかった!泣いてるけど、笑顔が眩しいぜ!!…娘が成長したって感じで、何か、こう、くるものがあるな。っと、エンジェルの嬢ちゃ…じゃない。ソラノさ~ん。ちょっとイイデスカ!!)

「は、はひぃ!!」

 

カグラが右腕に抱き着いたまま、風はソラノへ鋭い目を向けた。こんな状況で皆忘れていたが、ソラノは風へ自身が未来の伴侶だと嘘を付いている。それに関して何か言われるであろうと思い、ソラノは緊張し変な声が出てしまった。

 

「…嘘は駄目だ。」

(俺は嬉しかったけど、流石にあの嘘は駄目だぜソラノ嬢ちゃん。)

「う、ぁ…」

 

身構えてはいたが、その言葉が風から放たれた瞬間、ソラノの顔は絶望に変わり膝から崩れて行った。

 

「わ、私が悪いんだゾ。私が悪いんだゾ。私が悪いんだゾ。私が悪いんだゾ。私が悪いんだゾ。私が悪いんだゾ。私が悪いんだゾ。私が悪いんだゾ…」

「ソ、ソラノ姉さん!?」

「…だが、俺が記憶を無くしている間、魔銃を守った。それで、許す。」

(でも、俺が記憶無くしている間に魔銃を守ってくれていたんだ。これでチャラってどう?ってか、何でソラノ嬢ちゃん、何で影技(シャドウスキル)使えるの!?そっちも驚きだぜ!!)

 

絶望の淵に立たされていたソラノへ掛けられた希望の言葉、何かのゲームで使用される復活の呪文、何処かの勇者王の勝利への鍵。それが、ソラノには風の口から〝許す〟の一言だった。

 

「…式、式は何処で挙げるんだゾ!?家族構成は、唯一無二の奥さんが私!義妹がユキノ!!…風がそこまで言うんなら、仕方ないから養子枠でカグラだゾ。実子が出来たら待遇はちょっと変わるけど、カグラはこの偉大な義母へ泣いて感謝するんだゾ!!」

「ね、姉さん…(でも良かった。元気になって。)」

「何が義母だ!それに、私がそうはさせんぞエンジェル!!」

 

何時もの調子を取り戻したカグラとソラノ。二人が言い争っているのを止めたのは、やはりあの男。

 

「…止めろ。そんな事をしている暇はない。これから皆を助けに行く。」

(な、何故、式や家族構成の話に!?って、止め止め!!こんな事をしてる暇はねぇっての!!風の話で何かヤバイ事になってるらしいから、皆を助けに行かなきゃな!!)

「分かったんだゾ!とっととこの騒動を終わらせて結婚式を挙げるんだゾ!!」

「だから、そんな事はこのカグラが許さん!!」

「え、えっと…頑張ります!!」

『賑やかで楽しい仲間だね風。』

 

そして、四人のヒロイン(?)ズを連れ城の外へ出た風が見たのは、

 

「…何だここれは。」

(なんじゃこりゃ!?ドラゴン達が空を飛んでるし、そのドラゴン達に街が破壊されてるし、そのドラゴン達をギルドの垣根を超えて魔導士達が抑えているし、そのドラゴン達が出て来たであろう門を必死に閉めようとルーシィの嬢ちゃんズが頑張ってるし、それを攻撃しようとするドラゴン達を妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士が食い止めてるし…って〝ドラゴン達〟つう言葉がゲシュタルト崩壊しそうだぜ!!考えろ、考えろ!この状況を打破する名案を…そ、そうだ!!)

 

扉から出て来たドラゴン達によって無残に破壊された街と、必死にその被害を抑えようとする魔導士達の攻防だった。

 

『これは、凄い事になったね。』

「ゆ、悠長に言っている場合ではないぞ雲殿!!早く助太刀せねば!!」

「…これは夢だゾ。うん、夢から覚めたら風と子作りしている寝室に戻るんだゾ。」

「ソラノ姉さん戻ってきてください!!」

 

雲はこれより酷い光景を何度も見た事がある為あまり脅威に思っていないが、カグラは直ちに仲間たちの下へ行こうとし、ソラノはこれは夢だと現実逃避。ユキノはそんな姉をこっちに戻そうと必死だ。

 

「…俺に考えがある。俺に皆の力を貸してくれ。」

(私に良い考えがある!ってこれじゃ、死亡フラグだ!!ちょっと皆の力を貸してくれ!!この蜥蜴共を一網打尽にする良い考えが浮かんだんだ!!)

「夫の意見を聞くのは当たり前なんだゾ。」

「何が夫だ!チチデカ女!!…このカグラに風殿の作戦聞かせて下さい!!一刻も早く皆を助けたいのです!!」

『久しぶりの風との共闘…あぁ、素敵だね。』

「わ、私も微力ながら協力させて下さい!!あの門だけなら何とかできます!!」

 

 

 

 

 

 

 

「「「え!?」」」

 

 

 

 

 

 

 

■□■□

 

 

 

風の考えた作戦が決行された。まずは、

 

「クソッ!防戦一方とは歯がゆい!!」

「エルザ義姉さん!!」

「ム、カグラか!済まないが手を貸してくれ!!私一人で二頭は少し荷が重い!!」

「…大規模作戦を決行します(小声)。悔しいですが、一旦ここから撤退しましょう!!」

「お、おいカグラ!?」

 

バラバラに散らばっていた魔導士を一か所に集める事。

 

「カグラさっき言ってt「義姉さん!ドラゴン達に聞かれてしまいます(小声)。お気持ちは分かりますが、体制を立て直す為撤退を!!」…分かった!!」

 

最前線で戦っていたエルザはカグラと共に同じく最前線で戦っていた魔導士達を引き連れ城まで駆け足で撤退していく。

 

『脆弱なる人間共め、我らに敵わないと漸く理解したか。』

 

どのドラゴンがそう言ったかは分からないが、魔導士達が撤退していく様子を見たドラゴン達の想いを代弁していた。

 

「何をしておる!!妾達が引いては被害が拡大してしまうではないか!!」

 

そして、それを見ていたミネルバは激昂したが、

 

「ご無事ですか!お嬢!!良かった。何かの作戦かもしれません。此処は彼らと撤退しましょう!!」

「え、お前は、なぜ、生きて、夢…」

 

死んだと思っていたフィンガースが駆けつけた為、思考が追い付かなくなり呆然と立ちすくんでしまった。

 

「お、お嬢!?…仕方ない。失礼します!!」

 

そして、急に動かなくなったミネルバをフィンガースは両手で持ち上げその場を離脱した。…所謂お姫様だっこで。

 

「ほ、本当にお前か?」

「はい。本当でしたらもう少し俺の心の準備をして再開したかったですが…知り合いが出場していた為、観戦と今いる店の足しになるかと稼ぎに王都まで来ました。そしたらコレです。」

「そ、そうか。…言いたい事、話したい事山ほどあるが、今はこの危機を共に乗り越えようぞ!!」

「はい!!」

 

魔導士達を一か所に集めた後、作戦の第二段階へと移行する。

 

「皆、状況が著しく変わり把握していない者が多いようだが、これより〝大規模殲滅作戦〟が決行される。皆には此処で防御魔法を最大出力で張ってほしい!!なに、心配するな。私達の仲間〝白い雲〟が殲滅攻撃とドラゴン共から皆を守る。だが、雲も全てを守れる訳ではない。各々(おのおの)全ての魔力を使い防御に当たってくれ!!」

 

そう指示を出したのは二代目妖精女王(ティターニア)と呼ばれているカグラ。

 

「初代、最悪此処まで被害が来るようなら妖精の尻尾(フェアリーテイル)の魔導士を魔法防壁の傍へ配置し妖精の球(フェアリースフィア)を発動して欲しい(小声)。」

『わ、分かりました。ですが、その様な規模の魔法、一度も見た事も聞いたことも無いですよ?』

「その魔法…いや、その召喚獣は風殿と雲殿の話によると、此処一帯を簡単に更地にしてしまう威力だそうです。幸い国王様が大魔闘演武(だいまとうえんぶ)を開催される際にこの王都を魔導士だけにしてくれていたので、一般人に被害が及ぶ事はありません。」

 

長くこの世界を観て来たメイビスでさえ知らない魔法。

 

『フム、私の知らない召喚魔法ですか。では、この作戦が終わったら貴女を通して風さんと雲さんとお話しさせて下さいね!!』

「分かりました。」

 

最終段階は、ユキノが扉を閉めたら即風の召喚獣で殲滅。その攻撃から雲が魔導士達を守ると云うのが風(に憑依しているオッサン)が考えた作戦である。

 

さて、ソラノ嬢ちゃんにマシンガンとソイルを装備しているベルトを返してもらったし、何故か俺が羽織れるサイズのマントも手に入れたし…いよいよやるかな。てか、何故俺が羽織れるマントを持っていたんだ?用意周到すぎでしょ!?

 

『風、いよいよだね。』

「…ああ。それと礼を言う。」

(白い雲様本当にありがとうございます!!だって、この作戦貴方が手伝ってくれないと、俺と貴方以外全員殲滅されちゃいますからね!!)

『風が、この僕にお礼を…』

 

風からの意外なお礼に雲が少し放心してしまった時、

 

「「黄道十二門の星霊たちよ、悪しきものを封じる力を貸して!開け十二門の扉、ゾディアック!!」」

 

ユキノから聞いていた扉を閉める呪文が唱えられた。

 

「…合図だ。行くぞ雲!!」

『こっちは任せてくれ!!』

 

そして、ドラゴン達はアクノロギアが可愛く思える様な恐怖を味わう。

 

『ミストが(かなで)光の協奏曲(あやかしの歌に抱かれて)、眠るがいい!』

 

雲が瓶を四つ空中に投げ、それを自身の剣で一刀した。

 

『白亜の四重奏(カルテット)!!』

 

一か所に集まっていた魔導士達を守る為、四体の一刀獣がとぐろを巻いている。そして、間髪入れずに風が動き出す。

 

『お前()にふさわしいソイルは決まった!!』

 

風はドラゴン達へ指を向け静かに叫ぶ。

 

『天空滅ぶ轟き、ホライゾンゴールド!』

 

ベルトに刺していたソイル入りの弾丸を顔の前に持って来て、指ではじき一本目を魔銃へ装填する。

 

『降り注ぐ怒り、エアロブラック!』

 

一本目と同じように二本目を装填。

 

『そして、永遠に(くさび)うつ光、フォートシルバー!』

 

最後はベルトを叩き、弾丸を勢いよく飛ばしシリンダーに装填した。魔銃にある風の心臓の鼓動が早くなりドリルが唸りを上げる。

 

『滅ぼせ!召喚獣!メテオマスター!!』

 




2017.10.23少し修正しました。
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