お前にふさわしいソイルは決まった!!   作:小此木

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ちょっとシリアスです。


第30話

 

 

 

私は、こんな…こんな絶望しかない()()なんて、要らない!!

 

 

 

今まで(くじ)けそうな事をいっぱい、いっぱい私は経験した。『楽園』なんて(うた)った兵器に登ったり、歩行する『古代兵器』を破壊したり、『エドラス』って別の世界に行ったり、『アクノロギア』って元人間の黒龍に襲われたり、その所為で7年間も凍結してたけどね…ホント、私って何だかんだ危険な事に逢ってるわ。

 

それで、私達が7年間いなくて妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドはボロボロ。一発逆転を賭けて、大魔闘演武(だいまとうえんぶ)って大会に出場したわ。皆ボロボロになっちゃったけど、見事優勝!!…そして、()()から剣咬の虎(セイバートゥース)のローグと…()が来た。

 

未来から来たローグが言っていた『一万を超えるドラゴンの襲来』…本当は過去の世界からエクスプリスによってこの世界に招かれたドラゴン達の襲来って事だったけど、私とユキノの黄道十二門の鍵で扉を閉め7()()に留める事が出来たわ。

 

けど…だけど、今回は今までとは全く違った。たった7()()のドラゴンによって此処に居た魔導士達は蹂躙された。

 

あれ程強かったナツやグレイ、ラクサス、エルザ…ジェラールもドラゴン達によって殺されちゃった。それだけじゃない。青い天馬(ブルーペガサス)蛇姫の鱗(ラミアスケイル)の皆も!エルザの知り合いのミリアーナがいた人魚の踵(マーメイドヒール)の皆も!!私達と決勝を争った剣咬の虎(セイバートゥース)も!!皆!皆!!

 

「…ルー…シィ…様。」

「も゛う゛喋らないで!!今、助けを呼ぶから゛!!…そうだ!ウェンディを呼べば!!」

 

でも、目の前で怪我をしてるユキノは助ける!絶対、助けるんだ!!

 

「…も…う…いい、です。それより…」

「ウェンディ!何処ウェンディィィィィ!!」

 

早く、早く助けないと!!

 

「…ルー…シィ…様、私の…残り、の全…魔力と、黄道、十二門…の鍵を…お渡し、します。」

「な、何を言ってるの!?私が貴女を絶対助けるから!!」

 

何処にいるのよウェンディ!!

 

「…も、う…分かって、いる、でしょう。わ、私は…助から、ない…って。」

「そんな事ない!私が!私が!!」

 

早く来て。ねえ、早く来てよ!!

 

「わ、私の…下半身、は…先程の、爆は…つによって、失われ…ました。」

「でも!でもぉ゛!!」

 

誰でもいい!早く!ユキノを治して!!私じゃ無理なの!!誰かぁ!!

 

「…お、優しい…ですね。…こんな、私を…心配して、下さる…なんて。」

「…うっえっぐ!!」

 

皆早く来て!ユキノが!ユキノが!!

 

「…こんな、未来…貴女の、手で…変えて、く、だ、さ…」

「ダメッ!ユキノ!ユキノォォォォ!!」

 

 

 

 

 

 

 

私は、こんな()()なんて要らない。

 

『黄道十二門の星霊たちよ、』

 

私は、こんな()()より!

 

『皆が…皆が笑顔になる()()の為に力を貸して!』

 

私は、皆が笑顔で過ごせる(i)(f)が良い!!

 

『開け十二門の扉、ゾ「させんぞルーシィ・ハートフィリア!!」…クッ!!』

 

もうローグに見つかっちゃった!?

 

(はく)(えい)竜の(あしぎぬ)!!』

 

<ザシュ!!>

 

「キャァ!?」

 

み、右腕が!!でも!!

 

「…皆が、ユキノが残してくれたこのチャンス!無駄にするもんかぁぁぁぁぁぁぁ!!『ゾディアック!!』」

 

過去の皆!今、行くね!!

 

「クソッ!逃げられたか!!だが、目的は達した!!待っていろアクノロギア!!」

 

 

 

■□■□

 

 

 

「早く妖精の尻尾(フェアリーテイル)の皆に会わないと!!」

 

私は、これから起こる未来の出来事を皆に教えようと思っている。でも、こんな事誰に言えばいいの…ナツやグレイじゃ突っ走って問題を起こすだけだし。エルザもギルドの仲間の事になると同じだし。う~ん。

 

「止まれ。」

 

へ!?

 

「オレも正体を明かす。お前も正体を明かせ。」

 

こ、この声って!?で、でも…えぇい!女は度胸!明かすわよ!!

 

「……!!!そんな……!?」

 

って、驚きたいのは、私の方よ!!でも、貴方に逢えてよかったわ。

 

「良かった、()()()()()に逢えて。」

「ど、どうしてルーシィから()()()の魔力が!?それに、お前はさっき皆と一緒に「お願い!私の話を聞いて!!」…分かった。何か事情があるんだろう。言ってくれ。」

 

それから私は、これから起こる事をジェラールへ全て話したわ。

 

「…そ、そんな事が未来で起こったのか!?」

「…ええ。」

 

…私にはついさっき起こった事だもの。でも、こんな突拍子もない事信じてくれるかな。

 

「…よく、頑張った。大丈夫だ。後は、俺達魔女の罪(クリムソルシエール)で対応する!!だが、今此処に潜んでいるのは俺とウルティア、メルディだけ。現在のお前やユキノを守る事しか出来ない。「信じてくれるの!?」…当たり前だ!今は仮だが、私はお前達の…妖精の尻尾(フェアリーテイル)()()だ!信じない事などあるものか!!」

 

()()、か。

 

「ありがとう。ジェラール。」

 

でも、ジェラール達の頑張りも虚しく現在の私は捕らえられ、ナツ達が私を助け出す『妖精の星作戦』は決行されちゃった。そして、

 

「…危ない!!」

 

現在の私を殺そうと未来から来たローグが闇魔法を放った。咄嗟に私は飛び出したんだけど、

 

「…悪いな。俺も〝闇魔法〟を少しは使えるんだ。」

「…え、何で貴方が生きて…」

 

死んだ筈のシモンが私を庇ってくれた。あれ?私、夢でも見てるの!?

 

「囲まれてるから助太刀しようと思ったけど、一応大丈夫だったミャ。」

「…風殿に嫌われた。…はぁ。あっ、皆無事?」

「って、まだ落ち込んでいたんだミャ!?」

 

ミ、ミリアーナと何故か意気消沈した…人魚の踵(マーメイドヒール)のカグラ!?そして、

 

「フフン、これでエンジェルちゃんの完全勝利で決着だゾ!!それと、ルーシィ達が捕まってるって聞いて手助けしに来たけど、これはどう言う状況だゾ?」

 

投獄中の魔導士、六魔将軍(オラシオンセイス)のエンジェルが私の前に現れた!?

 

「う、嘘!?何で死んだはずのシモンが此処に!?私、もう死んだ!?…それに、カグラってミリアーナと一緒に人魚の踵(マーメイドヒール)の主力じゃなかったの!?そ、それに何で捕まっている筈の六魔将軍(オラシオンセイス)のエンジェルが此処にいるのよ!!」

 

もう、訳が分からなかった。そして、此処に来て最大の衝撃が私を襲った。

 

『ソイル!我が力!!』

 

全く知らないマントの男。何故かエンジェルの右手に付いていた黄金の塊が粒子になって、男の右手に銃として現れて…

 

『燃えよ、召喚獣!フェニックス!!』

 

一体の魔獣を召喚した。その火の鳥の存在感に圧倒された私は、

 

「あ、あれ此処…」

 

エクスプリスの前まで連れて来られていた。そこでは、目を覆いたくなる光景が広がっていた。

 

「う、嘘…こ、こんな事って!?」

 

100頭を超える竜がエクスプリスの門から現れ、魔導士達がそれを相手にしていた。私が知っている未来より酷い事に…私がこの時代に来たから!?何で、何でこんな事に!?

 

「何で、何でなのよ!!」

「…どうしたんだゾ?」

 

エ、エンジェル!?…で、でも、何でそんなに冷静なの!?

 

「どうしてそんなに冷静なの!?ドラゴンが、ドラゴンがこんなにいっぱい!!私は()()を止める為に頑張ったの!!」

「…じゃあ、もうひと踏ん張りなんだゾ。」

「…え?」

 

エンジェルは何を言っているの?

 

「フッフフ、()が素晴らしい作戦を練ったんだゾ!だから、もう少し踏ん張ったら、反撃開始なんだゾ!!」

「は、反撃!?」

 

そこから起こった事は一生忘れないだろうと私は思う。マントの人が流星を降らせ、パンチやキックでドラゴンを屠って、エンジェルとカグラがそれに突撃して行った。私が望んだ皆が笑っていられる世界。そんな世界が私の目の前に広がっていた。

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

『瞳に満ちる光、ティアレインボー!!』

 

一人の男がベルトに刺していたソイル入りの弾丸を、顔の前に持って来て指ではじき一本目を魔銃へ装填した。

 

『究極の魂、ソウルガンメタル!!』

 

一本目と同じように二本目を装填。

 

『そして、お前にふさわしいソイルは決まった!!』

 

男は左手の人差し指で()()を指し静かに叫ぶ。

 

『我が命の螺旋(らせん)、エンドレスホワイト!!』

 

最後は()()()を叩き、弾丸を勢いよく飛ばしシリンダーに装填した。右腕に持っている銃…魔銃にある()の心臓の鼓動が早くなり中のドリルが唸りを上げる。

 

『出でよ、召喚獣!砲撃獣(バハムート)!!』

 

()()と対峙する召喚された三つの銃口の形の頭を持った龍。

 

『ほぅ。ボロボロになりながら、この()()()()に挑むとは。異星の戦士よ、名を聞こう。』

「…()()()

 

その男…黒き風は目の前に佇む星を喰らうバケモノを倒す為、その力を振るう。

 

『何故、全く関係のないお前が私に挑む?』

「…以前お前の様な存在に、俺の世界()は破壊された。これ以上俺のような者を生み出させはしない。(…リサ、アイ、ユウ。あの時の約束は守っているぞ。)」

 

一人の異星人によってその世界()は守られた。

 

『こ、このジェノバが消滅する!?』

「…言っただろう。以前似た存在と戦った事があると。」

 

一人の孤独な(アンリミテッド)によって。

 

 

 

 

 

 

『ハァ、ハァ。間一髪だった。この細胞を緊急脱出させていなかったら、文字通り()と云う存在そのものが消滅させられていた。あの戦士は…去ったか。』

 

驚く事に、間一髪脱出した細胞が待機させていた人間に取り付き、ジェノバは消滅の危機を脱していた。

 

『今度あの存在と接触すれば、私の命運は尽きる。…対策を練らねば。…そうだ。さっきの戦闘で奴の細胞が何処かに落ちていた筈…』

 

激しい戦いがあった場所を探すジェノバ。

 

『あった!!この細胞を取り込み、擬態…「混沌は全て消滅させる!!」…んな!?』

 

ジェノバが取り込み擬態した途端、自分自身を消滅させようと()()が動き出した。

 

「ソイル!我が力!!」

『クソォ!まともに制御できん!!こうなったら!!…右腕に全て封じ込めてやる!!』

 

三日三晩その一帯に呻き声が響いた。

 

『ハァ、フゥ。(ようや)く封じられた。あの男の記憶と魔銃はこのまま右手に封じておこう。一万年ほど経ったらもう一度制御に挑戦してみるか。』

 

そして、ジェノバ…黒き風となったバケモノは歩き出した。

 

『ホウ、異星へ通じる扉、か。』

 

暫くしてバケモノは一つの扉を見つけた。

 

『この世界()に居ればまた黒き風やクラウド、ティファの小娘に追いかけられる。未練もない。行くか。』

 

そのバケモノはその門を潜った。

 

<…けて…>

 

その声は聞かずに。

 

 

 

 

 

一人の男が死んだ。

 

彼は何の変哲の無い男だった。

 

だが、その男は信念を貫いて逝った。

 

『死んじまったな。でも、ま、助けた嬢ちゃんが生きててくれたんだから、悔いはねぇ。』

 

変な三人組に襲われていた女子高生を守る為、一人で対峙し守りきった男。

 

『あっ、連載中の小説や漫画、やりかけのゲームもあったな…ま、それはそれだ。』

 

あっけらかんとした性格だったが、一度思った事はやり遂げる筋の通った男だった。

 

『さて、来世があるなら子や孫の顔でも見て往生したいもんだ。』

<…けて…>

 

そんな事を思っていた男の魂に声が聞こえた。

 

<…すけて…>

『ん?あっちの方から聞こえるぞ。』

 

声が聞こえた方に漂いながら移動した男の魂は、大きな門を見つけた。

 

<…お願い!誰でも良いから、私達を助けて!!>

『間違いねぇ!この門からだ!!もう死んじまったけど、何か出来る筈だ!待ってろ!今行く!!』

 

その男の魂は躊躇なく声が聞こえた門へ飛び込んでいった。

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

『この空間は…』

『待ってろ!今行く!!』

 

果たして二つの存在はその門の中で出会った。

 

『貴様…丁度いい。お前を喰らって疲弊した精神の糧としよう。』

『あん?何だテメェ!こっちは助けを待ってる奴の所に早く向かわねぇといけねぇんだ!!そんな事に付きあってられるか!!』

 

一つはバケモノ。もう一つは只の人間の魂。

 

『何を訳の分からん事を。問答無用だ!!』

『何!?』

 

<ガブ!!>

 

『ホウ、このような強い精神の持ち主は初めて喰らった。』

 

男の魂はバケモノに簡単に喰われてしまった。

 

『さて、次の世界()は早々に支配し、あの者への対策を練らば『喰らっただけで勝ったつもりかぁ!!』…何だと!?』

 

だが、その男の魂は喰われても諦めない。

 

『俺を、俺を舐めるなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!』

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

「…此処は、何処だ?」

 




最後オリ主の過去が明らかになりました。
次回もお楽しみに!!
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