お前にふさわしいソイルは決まった!!   作:小此木

31 / 34
更新が遅くなり申し訳ありませんでした。


第31話

 

 

 

未来から来たルーシィの話は、壮絶だった。

 

たった7頭のドラゴンに大魔闘演武(だいまとうえんぶ)に出場していた魔導士は全滅。それに、未来から来たと云うローグにギルドの紋章が刻まれた右手を奪われ…ユキノに黄道十二門の鍵と全魔力を譲渡され、この過去の世界へやって来た。

 

ユキノの死と、あれ程強かった妖精の尻尾(フェアリーテイル)や魔導士達の死。どちらも衝撃的な内容だった。そして、ルーシィを襲った未来のローグはあの黒い蜥蜴(アクノロギア)を倒す為行った行動なのだと言ったらしい。この世界に来た未来のローグも同じことを言っていたそうだから、まず間違いないだろう。

 

「…そ、そんな。私が死んでしまうなんて。」

「未来のユキノの仇!今からでも未来から来たローグには、八つ裂きになってもらうんだゾ!!」

「エ、エルザ義姉さんがトカゲ共に負けるだと!?」

 

三者三様の反応だな。白い雲はどんな反応を…

 

『…それは、残念だったね。』

 

雲はそれ以外に何も言わなかった。いや、言えないのだろう。彼女より壮絶な経験を彼はしている。仲間の死、故郷の焼失、そして彼の世界の滅亡。様々な経験から出て来た一言だと俺は思う。それを知っているのは〝黒き風〟か〝ファーブラ様〟だけ。…申し訳程度にテレビや作品集を読んで一部しか知らない俺には、そう思うしかない。

 

「…ルーシィ、先程まで済まなかった。朝食当番の決定などと悪ふざけが過ぎたな。…本当は思い出した記憶で混乱し、整理していた。貴重な一日を使ってしまい申し訳なかった。」

 

ごめん、ルーシィちゃん。さっきまでの朝食当番選手権なんてふざけた事をしちまって。先日思い出した記憶で混乱しちまって、整理してたんだ。早く説明したかったのに俺の所為で一日使っちまった!本当にごめん!!

 

俺そう言うと頭を下げ彼女に謝罪をした。直ぐに許してくれるなんて思わないが、彼女の話を今まで聞かなかったんだ。謝るのは当然だ。

 

「そ、そうだったの!?わ、私こそごめんなさい!そうとは知らずに…「ルーシィ、もっと誠心誠意謝るんだゾ!!」って貴女には言われたくないわ!!」

 

素晴らしいツッコミだ。彼女は吉○で食っていける。俺が育てた(キリッ

…って思考が脱線しすぎだ。

 

「…話を戻す。ルーシィがこの世界に来た理由、経緯は分かった。そして、俺が世界に来た経緯を話そう。ルーシィ、君に呼ばれたからだ。」

 

ルーシィちゃんがこの世界に来た理由や経緯は分かった。それと、この世界に来た時の事を思い出したから言うぜ。ルーシィちゃん、君に呼ばれたからだよ。

 

「へぇー私に…え、私ィ!?」

「そ、それはどう言う事なんだゾ!?」

「風様…風殿が何故ルーシィに!?」

「風お兄様!詳しくお聞かせください!!」

『実に興味深いね。』

 

うぉい!?4人共、急に迫って来るな!ビビるだろうが!!ま、風様(face)がビクともしないのが救いだったな。

 

「…まず俺は皆に言わなければならない。俺は()()()()()()()。」

 

まずは、俺の事を話さないとルーシィちゃんに呼ばれた事への説明が出来ないからな。正直に洗いざらい話し、そこで拒否されたらこの世界を一人で旅をするか。

 

 

 

■□■□

 

 

 

「は?」

 

4人の中の誰が発したのかは分からなかったが、その場にいた全員が発するであろう言葉。『風が風ではない』一体どのような謎々、又はとんちの類か。

 

「か、風殿?何を言っておられるのですか?カグラにはさっぱり分かりません。」

「…事実を言ったまでだ。俺は()()()()()()()。」

「な、何を言っているんだゾ!?エンジェルちゃん訳が分かんないんだゾ!!」

「…話を聞いてくれ。」

「わ、分かったんだゾ。」

 

カグラとソラノの言葉にそう返した彼は、驚くべき言葉を発した。

 

「…俺は死人。別の世界で一度死に、〝黒き風〟の体に入りこの世界に来た。」

『「「「は?」」」』

 

〝自分は既に死に、目の前の肉体に入り込んだ〟と言うのだ。

 

「…俺は此処とは別の世界で死んだ。そして、魂の存在になり漂っていた時、ルーシィとユキノが閉めた扉と同じ様な物を見つけた。」

「エクスプリスの扉が何んで!?」

 

ルーシィの疑問は最もだ。何故自分が通って来た扉が別の世界に出現したのか、全く想像できない。

 

「…俺はそこから、お前…ルーシィの声を聞き、その中へ入った。」

「わ、私の声!?」

「…ああ。『誰でも良いから、私達を助けてくれ』と。」

「あっ!!」

 

その言葉を聞きルーシィは思い出した。自分一人過去へ行っても何も変わらないかもしれない。もっと悪い状況を作り出してしまうかもしれない。そんな不安から扉へ飛び込んだ後、一気に不安が爆発し何度も叫んでいたのだ。

 

「ルーシィ様…」

「ルーシィ、もう大丈夫だ。お前の話で私はそっちの世界では別ギルドだったらしいが、こっちでは同じギルドの仲間。それに、私は小さい頃から妖精の尻尾(フェアリーテイル)に入っているからな。ちょっと目つきの鋭いお姉さんとでも思ってくれ。無論、こっちのルーシィにも言ったがな。」

 

ユキノは名前だけを口にし、カグラはルーシィへそう話した。

 

「うぅ゛!!」

 

感極まって涙するルーシィ。

 

「じゃ、じゃあ、ルーシィが風を呼んだんだゾ!?」

「…そういう事になる。」

「ゴメンなんだゾ!ルーシィ!!」

 

そんな彼女を無視し話を進めたソラノだったが、ルーシィが風をこの世界に間接的だが呼んだ事を聞き、身をひるがえしルーシィへ駆け寄った。

 

「よく、よく頑張ったんだゾ!ルーシィ本当にありがとう何だぞ!!」

「えぇ!?」

「見事な掌返し。そこに憧れないし、痺れない。何やってんだデカチチ女。」

「ね、姉さん!?」

 

そんな彼女を見たカグラは冷え切った目で見ており、その傍でユキノは姉の変わりように困惑していた。

 

「…そして、その扉の中で正体不明のバケモノに襲われ、気付いたらこの世界の森の中で一人立っていた。…恐らくこの体の元の持ち主、『黒き風』がバケモノを倒した。そして、疲弊し彼はこの右手の〝魔銃〟に自身を移し、()に体を明け渡し眠っていたんだろう。」

『成程、少しソイルの色が違って見えたのはそう云う事だったんだね。』

「…雲。分かっているだろうが『大丈夫だよ。事情は分かった。気にしなくていいよ。』そうか。」

 

そして、彼は大きな爆弾を投下した。

 

「…俺は此処を去る。詫びになるかわ分からんが、お前達に嘘を付いていた。金輪際妖精の尻尾(フェアリーテイル)には近づかん。騙して悪かっt「「何を言っているんです(か)(ゾ)!?」」

 

その爆弾は落ちる前に彼女達に回収された。

 

『やっぱり、変な責任感やケジメなんて事を思ってたんだね。(小声)』

「何を言っておられるのですか風様!私は()()に助けられたのですよ!その右腕の魔道具に眠っていた〝黒き風〟ではなく!()()に!!」

「…だ、だが。」

「リサさん達に聞きましたよ!風お兄様、貴方は記憶を無くされていた時、人魚の踵(マーメイドヒール)の皆さんや私を助けてくれたではありませんか!!そんな方が、私達に何の理由もなく嘘を付く訳ないです!!」

「…何故分かるんだ?(何でそんに鋭く分かっちゃうの!?)」

「ほら、やっぱり!!」

 

彼の意見に異議を立てるカグラとユキノ、

 

「私は知っているんだゾ!風の素がもっと親しみやすく優しいって!!初めて会った時、敵だった私にも気を使って、牢獄の中でも私の話を聞いてくれた!嘘なんて私の方が一杯、いっぱい風に言ったんだゾ!!」

「…それは、(それは、そうかもしれないけど)」

「アンタ、馬鹿!?私の声を聞いてこの世界に来て、私が望んだ事を軽くやっちゃたのに…たったそれだけの理由で此処から居なくなるって言うの!!決めた!アンタは何としてでも妖精の尻尾(フェアリーテイル)のギルドに連れて行く!!そこで、感謝されて、飲んで、食べて、もみくちゃにさちゃえ!!それを私が笑って見ててあげる!!」

「…何故。(何でルーシィちゃんまで!?結果的に嘘ついて騙していたんだぜ。)」

 

風と出会い原作(あったはずの歴史)から変化したソラノ、そして未来から来たルーシィも続いた。

 

『黒き風…いや、名も知らぬ〝戦士〟よ。僕も彼女らと同意見だ。一度彼らのギルドへ行った方が良い。君を拒否する者はだれ一人居ないと僕は思うよ。』

「…雲。(白い雲。貴方もか。)」

 

白い雲も彼女らと同意見だ。

 

「…だ、だが。」

『(…相棒。お前は何を勘違いしてるんだ。此処にいる者達を救い、導いたのは()()だ。黒き風ではない、()()なんだ。)』

「…(…風。)」

 

最後に魔銃の中に居る黒き風にもそう言われた彼は、

 

「…分かった。さっきの話は無しだ!皆独りよがりの意見を押し付けて悪かった!!未来のルーシィちゃんが落ち着いたら皆で妖精の尻尾(フェアリーテイル)へ行こう!あいつ等にも世話になってたからな。礼を言っとかねぇと、此処へ引っ越すのも気が引ける。あるかどうか分からんが、俺の部屋に置いてあった私物を持ってこないといけないしな!!」

 

変な責任を取る事を止めた。

 

「風さ、ま?」

「風お兄様が、記憶喪失時の口調に!?」

「こっちの風もカッコイイんだゾ!!」

「何か隊長って言いたくなったわ。」

『それが君の素かい?それもいいんじゃないかな。』

『(…相棒、ちょっとしたサービスだ。数秒だけならお前の口調で会話ができる様になったぞ。)』

 

口調が変わった彼に驚く彼女達。

 

「(それは、ありがてぇ!!)俺の名前は――――だ。皆、改めてよろしくな!!」

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。