お前にふさわしいソイルは決まった!!   作:小此木

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今回は番外編です。


第31.5話 番外編

 

 

 

大魔闘演武(だいまとうえんぶ)一日目()()()()

 

『さぁ、いよいよ一日目最終試合となります…妖精の尻尾(フェアリーテイル)B、ミストガン!!VS!蛇姫の鱗(ラミアスケイル)、ジュラ・ネェキス!!』

 

クソッ!もっと後半で出場したかったぜ!!

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)内でも、その素顔を知る者は少ないという謎の魔導士ミストガン!対するは今大会最強候補筆頭、(せい)(てん)の称号を持つジュラ・ネェキス!!』

 

うわぁ、そんな大それた称号が付いてる奴と戦いたくねぇよ!せっかく奴と入れ替わったて出たのに。

 

「こいつァ、ついてねぇな。」

「あのジュラとぶつかっちゃうなんて…」

「そんなに(つえ)ェのか?あのボウズ?」

「私とエルザの二人掛かりでも勝てるかどうか。」

「…(マジかよ!?)」

 

エルザって奴と、この姉ちゃん―たしか、ミラ・ジェーンつったか?―の実力は知らんが、ギルド内で一目置かれている奴らが言ってんだ、やっぱあのスキンヘッド(つえ)んだろうな。

だが約三カ月前、見ず知らずの(かは分からんが)俺を助けてくれた奴等への義理を返す為、無理を言って出させてもらってんだ。負けられねぇ!!

 

「オレ…私に任せておけ。」

 

()()記憶が無ぇが、以前オレの相棒(パートナー)だったヤツが、今アナウンスで呼ばれた男らしい。そいつが駆使して来た動きや、技をこいつ等に聞きながら魔法が使えないながら()()()()で模倣しまくったんだ。ま、意外とすんなり動き自体は模倣出来たからな。やれるところまでやってやる!!

 

 

 

■□■□

 

 

 

<<オオオオオオォォォォォォ!!>>

 

会場内に響く大歓声。これから開始される試合に、皆期待し興奮している。

 

蛇姫の鱗(ラミアスケイル)、ジュラ・ネェキス VS 妖精の尻尾(フェアリーテイル)B、ミストガン!!本日の最終試合開始!!』

 

<ドッ!!>

 

最初に動き出したのは…

 

ミストガン!背負った杖をジュラ目掛け一斉に投げつk…ま、魔法で浮かせ殺到させる。

 

<バッ!!>

「…ッ!!」

 

ジュラは右手の人差し指と中指だけを立て、動かすだけで地面から岩石を発生させミストガンを翻弄する。

上下左右全ての方向から襲い掛かる岩の所為でミストガンは中々ジュラへ近付けない…が、回避している途中、器用に先程殺到させた杖を回収している。

 

(…妙だな。()()()()()なら、既にあの中を潜り抜け杖を投擲し魔法を発動している筈………ま、まさか!?)

 

それを見ていた妖精の尻尾(フェアリーテイル)チームAのエルザは、彼が()()か気付いてしまった。

 

(ば、馬鹿な!まさか、()()()使()()()()()がミストガンの代わりに出場しているのか!?)

 

「(杖を壊さないようにっと。)手加減空牙(クーガ)(小声)」

<シュバッ!!>

「ぬ!?」

 

ミストガンは先程回収した杖をジュラの周りに投擲し、彼の動きを妨害。

 

五重魔法陣御神楽(空牙)!!』

<ドギャッ!!>

 

そこへすかさず攻撃を放った。

 

「おい、どういう事だ?動きはほとんど()()()()()をコピーしていたが…あいつ、()()()()()じゃねぇぞ!?ジェラールの魔力が感じられねぇ!(それも、さっきから攻撃してんのに、奴から魔力を一切感じねぇってのは…まさか!?)」

「えぇ!?だったら彼は何者!?」

 

そして、観戦していた妖精の尻尾(フェアリーテイル)チームBのラクサスとミラにも、彼がジェラールではない事が知られてしまった。

 

「やりおる。ぬん!!」

「チィ、『三重魔法陣鏡水(死重流)』!!」

<ガン!!>

『『すげぇ!!跳ね返したー!?』』

 

ミストガンが放った技を自身の魔法で耐えきったジュラが、岩石で出来た腕をミストガン目掛け放ち、それをミストガンが蹴り…魔法で跳ね返した。

 

「フン!!」

<ぐりん!!>

『『そ、それを更に曲げて…どうなってんだー!!?』

「ぐぁ!!」

 

帰って来た岩石の腕によりミストガンは吹き飛ばされ、不敵にジュラは笑っていた。

 

『強い!!やはり聖十の称号は伊達じゃなーい!!』

 

 

 

■□■□

 

 

 

ヤベェ。思ってたより3割増しで(つえ)ェじゃねぇか!!

どうすっかな、チームメンバーにあんな啖呵切っておめおめ帰る訳にも行かねぇし…

 

「なるようにならあね!」

 

無様に負けるのだけは、駄目だな!!

 

「ム、仕掛けてくるか?(こやつ、先程とは雰囲気が全く違う。何をする気だ?)」

「…しゃ、こっからは、()()で行くぜぇ!『神移(カムイ)』!!」

 

目にも止まらぬ速さ、とは彼の事を言うのだろう。

 

「何処へ消え「この切っ先…ってブレード付いてねぇわ。」いつの間に!?」

 

一瞬にして消えたかと思えば、ジュラの真下に両腕を構え戦闘態勢になっていた。

 

「前から、後ろからバッサリだ!『滅刺(メイス)刃拳(ハーケン)!!』」

「(間に合え!!)厳山(がんざん)!!」

 

ミストガンの両腕が振るわれる直前、ジュラが出現させた岩石が自らを盾にジュラを守った。

 

「ちっ、喋らなければ直撃だったのに…ミスったな。」

「それが、お主の本気か。(冗談ではない。あんなモノまともに喰らえば、只ではすまんぞ。)」

 

しかし、出現させた岩は無残に四散し中心部が辛うじて残っているのみだった。

 

「邪魔なマスクとフードは此処でサヨナラだ。」

「ム?お主、顔を知られないよう隠していたのでは…な!?(ジェラール()()()()だと!?)」

 

おーおー、驚いてる、驚いてる。何か犯罪を犯したって言うジェラールを、大陸中に放送しているこの大会に出させる訳にはいかねぇからな。出る直前に、恩を返すって無理言って入れ替わって正解だったぜ。

 

「じゃ、改めて。俺はミストg『風sむぐむぐむぐ!?』『ミ、ミストガン!頑張ってくれー!!』カグラちゃんもうちょっと静かに応援してくれねぇかな。」

 

後でエルザちゃんには礼を言っとかねぇとな。カグラちゃんの口をふさいでくれてありがとよって。

 

「さて、気を取り直して!しっかりと防御を固めろよオッサン!狙いはバッチリなんだな、これが!」

「(来るか!)全力厳山(がんざん)!!これを打ち砕けるか!!」

「上等ぉ!!」

 

素顔をさらしたミストガンは両の(こぶし)を構える。

 

「この一撃で極めてやる!『渺阯(ハルバート)!!』」

 

ミストガンがそう言った途端増えた。

 

「何!?」

<ドゴォォォォォォォォォン!!>

 

否、誰も彼の速さに目が追い付けず、残像だけ見えたのだ。ミストガンが放った技はクルダ流交殺法表門死殺技。残像を残すほどの速度で突進しつつ、拳による乱打を叩き込む高速連続攻撃だ。

 

「グゥ!?」

「極めるっ!!でぃぃぃやっ!!」

 

そして、岩を吹き飛ばした後、ジュラへ肉薄し

 

「ぬぅ!?」

 

威力を少し殺した肘鉄を鳩尾へ放った。

 

『…ハッ、申し訳ありません!実況しなければならない私も見入ってしまいました!!まさか、こんなことが!?素顔を見せた途端強さが跳ね上がったミストガン選手!圧倒的な力を見せつけジュラ選手ダウン!よって、勝者ミスt―』

 

さて、まずは一勝だな。

 

『え~。大変申し上げにくいのですが、規定により勝者ジュラ選手!!』

 

はぁ!?ど、どう言うこどだ!?

 

大魔闘演武(だいまとうえんぶ)では、〝魔〟を競い合う事を主としています。競技パートではそれだけではないのですが、このバトルパートでは、魔法を使()()()戦って頂いています。……ですが今回驚くべき事に、あれ程大きな威力にも関わらず、ミストガン選手から大きな魔力反応が全くありませんでした。その為、魔法を使()()()にジュラ選手と戦った事になります。その為ミストガン選手は規定上失格。勝者はジュラ選手になります!!』

 

「「「「「はぁー!?」」」」

 

やべ、負けちまった…どうしよ。

 

 




はい、今回はif√でした。以前ミストガン(風)VSジュラが見てみたいと感想を頂き書いてみました。

この本編同様人魚の踵(マーメイドヒール)を助けた後、偶然魔女の罪(クリムソルシエール)と遭遇。
エンジェル、カグラ達に直ぐ合流し彼女達が大魔闘演武(だいまとうえんぶ)へ参加すると聞き、記憶を取り戻す為彼女達と再会させてくれたお礼の為サプライズ参加。

ユキノは人魚の踵(マーメイドヒール)のリサに水魔法で負けてしまい、原作通り剣咬の虎(セイバートゥース)をクビに…

最後はこの小説と同じようにエンジェル(ソラノ)と出会い同じような展開になります。

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