お前にふさわしいソイルは決まった!!   作:小此木

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第9話

 

 

 

<ギィン!!>

 

ギルドの一角で凄まじい音と共に次々交差する剣撃。

 

「てい!!」

「甘い!!」

 

その音の正体は、

 

「ハァ、ハァ…風殿見てくれましたか?カグラは此処まで強くなりました!!」

「こら、まだ修練の途中だぞ!!気を抜くなカグラ!!」

 

エルザがカグラに剣の稽古をしている音だった。

 

「…そうだな。」

 

って、イヤイヤ、強くなり過ぎじゃね!?この風様 eye(アイ)だから余裕をもって避けれそうだけど、普通は避けきれねぇぞ!!

んで、こっちじゃ、

 

「そうだ!もっと腰を入れて振るんだ!!」

「こ、こうなんだゾ?」

「そうだ。中々見込みがある。」

 

ファーブラ様から受け取った〝白い雲〟の剣をメイン武器にしようとエンジェルの嬢ちゃんが、元エドラス王国軍のパンサー・リリーって(ひょう)に指南してもらっている。

 

<ポン!!>

 

「ふぅ、元の体でいられる時間は短いな。」

「おい、〝疾風〟よぉ。あの女はお前が連れて来たんだろう。わざわざリリーに指導させずに、お前が剣を教えてやれよ!!」

 

小さい体に戻ったリリーの傍でガジルが風にそう愚痴を言う。

 

「俺の右手は()()だからな。それに、剣技は使えん。」

 

俺の右手は魔銃だし、剣なんて持った事ねぇから無理!!それに、

 

「リリーは教えるのが上手い。俺には出来ん事だ。」

 

すっげー教え方上手いし、エンジェルの嬢ちゃんも覚えるの早いしな!!

 

「王子が隣にいる事を認めていた男にそう言われると、少し照れるな。」

「なに!?相棒!?あいつに鞍替(くらが)えするつもりか!!」

 

こいつらもいいコンビになりそうだ。ミストガン、今度会った時話したい事が色々あるぞ!!

 

「な、何!?か、風殿は体術…特に強力な足技の使い手だと!?」

「そう言えば、ルーシィやナツも言っていたな。」

「ほぅ、そんな足技ならぜひ見てみたいものだな。」

 

ん?何故急に俺のなんちゃってクルダ流交殺法の話題になってんだ!?

 

「…何故。」

「ギヒヒ…」

 

なっ!?ガジルてめぇ!!

 

「…蹴り砕くにはちょうどいい鉄があるな。」

「ギヒヒ、そんな軟な鉄、何処にもねぇよ!!いいから、掛かってきな!!」

 

…ハハハ、これは少しキツめのお仕置きが必要だな。(悪い顔

 

蛇乱(チャクラム)。」

「な<ガキン!!>ウッ…」

 

風の足が円を描くように動き、ガジルを蹴り上げた。

 

「「「ガジル!?」」」

「あ~、死んじゃったんだゾ?」

 

硬ってー!!でも、

 

「…気絶しただけだ。加減はしてる。」

 

手加減はしたぜ(キリ!!

…本気でやったら、俺のなんちゃってでも死ぬかもしれない程危険だからな。…陰流。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ハッ!?疾風!!…あん?」

「もう出て行った。大丈夫かガジル。」

「…負けたのか?」

「完膚なきまでにな。(強い。あの滅竜魔導士(ドラゴンスレイヤー)が手も足も出ず、一瞬で負ける程とは思わなかった。)」

 

ガジルに簡単な応急処置を施したエルザ、カグラは一緒にクエストへ。エンジェルは風を追って出て行った。そして、ガジルが起きるまでリリーが傍にいたのだった。

 

「…ぜってぇ俺はアイツを超えてやる!!」

「俺も共に強くなろう。」

 

ガジルとリリーが共に強くなることを決心している頃、風は森の中。

 

舞乱(ブーメラン)。」

 

獣の首へ蹴りが入り、爪刀で首はいとも簡単に切断された。

 

砕竜(スクリュウ)。」

 

獣へ向け地面スレスレを回転、そこから跳ね上がった蹴りが相手を容赦なく(ほふ)る。

 

聖爆(セイバー)。」

 

その蹴りを放つ瞬間、真空刃が生じ数体の獣は呻き声あげながら、胴を真っ二つに切断され絶命した。

 

刀砲(トマホーク)。」

 

揃えた両足から爪刀が生じ、無慈悲に獣達を地獄へと叩き落す。

 

「…最近、此処での殺戮が多いんだゾ。これじゃ、生態系が壊れてしまうんだゾ。」

 

エンジェルがそう言った先には、複数のバルカンの屍が点在しており、返り血さえ付いていない無傷の風が佇んでいた。

 

「…分かっている。」

 

(分かってる。分かっているよ!!でも、そ、そんな事言われても俺は〝殺さない程度の力加減〟を覚えようとしてんだよ!!でも、)

 

「…今日で終わりだ。」

 

(きょ、今日で終わりにしてやらぁ!!これ以上は本当にヤバイ!…本当はカグラちゃんに何か教えれないかなって考えたんだ。で、銃は勘で撃ってるだけだし、魔銃は俺にしか使えないし!!だったら、影技(シャドウスキル)なら教えれるかなって。その辺にいたサルを蹴ったら…足が簡単に貫通してビビった。んで、手加減を覚えるいい機会だったし、技の確認も兼ねて凶悪って言われているデカいサル共を最近蹴って練習してたんだけど…見るも無残。手加減はさっきガジルにやった程度まで。…それも、只の鉄なら蹴り砕く威力。)

 

「何を警戒して修練を積んでいるかは分からないけど、そんなに気を張らなくてもいいんだゾ。エンジェルちゃんもちょっとはこの剣で戦えるようになったし、いざとなったら風とエンジェルちゃんの召喚獣であっという間なんだゾ!!」

 

(警戒とか、そんなんじゃねぇんだけどな。あ~、でも、エンジェルの嬢ちゃんにいらん心配させちまったな。)

 

「…そうだな。」

「早く帰るんだゾ。こんな所で評議院に見つかったら、妖精の尻尾(フェアリーテイル)に隠れている意味がないんだゾ。」

「…分かった。」

 

(それは分かっている。が、やっぱり…)

 

「やはり俺は別の「ダ、ダメなんだゾ!!エンジェルちゃんが寝ている間、強力な魔導士に襲われたら誰が守ってくれるんだゾ!?」知ら「風が守るんだゾ!!」…」

 

(何でだよ!!)

 

「一緒に脱獄した仲なんだゾ。それにカグラを斬ろうとしたから、妖精の尻尾(フェアリーテイル)の一部から酷く睨まれてるんだゾ!!」

 

(あ~、シモンの兄ちゃん達ね。って、自業自得じゃん!!俺、全く関係ねぇ!!)

 

「関係な「風に傷モノにされたって、泣きながら言いふらしちゃ」分かった。お前と一緒の()()でいい。」

 

(クッソー!!健全な女の子と同じ()()ってどう言う事ですかマカロフさん!!俺の精神がゴリゴリ削られて行くんですけど!?)

 

 

 

 

妖精の尻尾(フェアリーテイル)女子寮~

 

 

 

 

「風殿~!!」

「カグラか。」

 

やぁ、カグラちゃんこんばんわ。この寮に叩き込まれて唯一癒しと感じる時間が来た。無論、幼女を襲う気は全くないぜ。

 

「今日はクエストで―」

 

ほうほう、今日はエルザ姉さんとクエスト行ったのか。上手く行って良かったな。この寮に叩き込まれて((かくま)われて)唯一良かったのが毎日、一日の出来事を報告にくるカグラちゃんの笑顔が見える事だ。最初は手を斬られそうになったエンジェルの嬢ちゃんを警戒してたが今では、

 

「ムッ、デカちち女!!風殿は渡さない!!」

「フン、チビッ子が!!このエンジェルちゃんに勝てるわけ無いんだゾ!!」

 

喧嘩するほど仲が良いと言えば良いのか、よくエンジェルの嬢ちゃんに突っかかって行っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

~数日前~

 

 

 

 

 

 

 

「マスターマカロフ。風とエンジェルを女子寮で(かくま)ってみてはどうですか?」

「エンジェルは分かるが、何故風を女子寮に入れるのじゃ?(なんて羨ましい!!)」

「う~ん、理由を聞いてみないと何とも私からは言えないわね。エルザ、何故二人を女子寮へ?」

 

ギルドの一角でエルザとミラ、そしてマスターのマカロフが風達を何処に(かくま)うかの議論をしていた。

 

「まずは、エンジェルは信用できんからだ。冗談とは言え、カグラの手を斬りおとそうとしたのだ。正直、一人にするのは危険すぎる。」

「成程。」

「そして、風はあの()()()()()が顔を見せる程信頼していた人物。そして、体術も強いらしい。これ以上彼女を監視し抑制できる適任者は居ないだろう。」

 

そして、風の知らない所で彼の評価は鰻登(うなぎのぼ)りし、

 

「明日から、貴様は女子寮だ。」

「……(ハァ!?)」

 

エンジェル監視の任を勝手に押し付けられたのだった。

 




2017.10.15 加筆修正しました。
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