【ラブライブ μ's物語 Vol.4】オレとつばさと、ときどきμ's ~Winning wings 外伝~   作:スターダイヤモンド

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意外と時間はありません

 

 

 

 

「…ということで…何を歌うか、候補曲を決めたいと思います」

 

 

 

松の内が明けて、穂乃果の部屋には、海外にいる花陽を除き8人全員が集まった。

 

加えて今日は、スーパーバイザーとして雪穂もいる。

 

その彼女が『ファンが希望する曲』の現在の順位を発表した。

 

 

 

1位:Snow halation

2位:Angelic Angel

3位:愛してるばんざーい!

4位:ユメノトビラ

5位:START:DASH

6位:KiRa-KiRa Sensetion!

7位:No brand girls

8位:Dancing stars on me!

9位:Wonder zone

10位:僕らは今のなかで

11位:僕らのLIVE 君とのLIFE

12位:SUNNY DAY SONG

13位:これからのSome day

14位:Love wing bell

 

 

 

「少し前回から順位が入れ替わってますねぇ」

 

「うぅ…凛がセンターの曲が最下位にゃ…やっぱり凛は人気ないなぁ…」

 

「そういうことじゃないと思うわ。多分『これからのSome day』と『Love wing bell』は9人全員で歌ってないからじゃない?」

 

「はい。真姫さんの言う通りです。だからこそ『9人で観てみたい』との声も寄せられていますが…」

と雪穂。

 

「そういう意見もあるのですね」

 

「おぉ!それはいいことを聴いた。穂乃果、あのウェディングドレス、着てみたかったんだよねぇ!」

 

「穂乃果が歌うつもりですか?」

 

「だってさ、元々、私が歌う曲だったんだし…」

 

「またぁ…お姉ちゃんはすぐ自分勝手なことを言い出すんだから」

 

「なんでよ…」

 

「ファン代表から言わせてもらうと、できればオリジナルに忠実であって欲しいな…って思うんだよね。変にアレンジを加えられると『聴きたかったのは、これじゃない…』感が強くなるというか…」

 

「わかるにゃ~!!」

 

「だから、誰もお姉ちゃんの歌う『Love wing bell』なんて聴きたくないと思うよ」

 

「今年も雪穂は、姉に手厳しいですね」

 

海未は自分以上に、穂乃果に辛辣な雪穂に苦笑した。

 

「一方で、ライブだからこそのアドリブとか…そういうのも嫌いじゃないんだけど」

と海未をスルーして、雪穂は言葉を続けた。

 

「む、難しいことを言うね…」

 

穂乃果が首を傾げる。

 

「えっと…何曲選ぶんやったっけ?」

 

「最高8曲、最低5曲です」

 

希の問いに、海未が答えた。

 

「どれも思い入れがある曲だし、私たちで選ぶの…って、結構無理があるわね」

 

「絵里、甘いわ」

 

「にこ?」

 

「こういうものは、まずライブの構成を考えれば、ある程度は絞込みができるのよ」

 

「構成?」

 

「やっぱり最初はオーディエンスの心をガシッて掴まなきゃいけないから、一番メジャーな曲」

 

「『つかみはOK!』ってヤツだね」

 

穂乃果が相槌を打つ。

 

「2、3曲目はアッパー系で盛り上げて、中盤は一旦、しっとりと聴かせる。メリハリが大事なのよ」

 

「そうですね。絵里の膝のことを考えれば、休む時間も必要ですものね」

 

「私の膝のことは気にしなくていいわよ…」

 

「そうはいきません!」

 

「そうやね。本番に倒れられても困るもんね」

 

一同が一斉に穂乃果を見ると

「たははは…」

と頭を掻いた。

 

「みんな、ありがとう。無理はしなようにするわ」

 

絵理が小さく頭を下げる。

 

「そして、最後はドカン!!と一気にボルテージを上げてクライマックスよ!」

 

「おぉ!カッコいい!」

 

「あと…アンコールの曲も用意しておくべきね」

 

「アンコール?」

 

「当然でしょ!!恐らくμ'sとして最後のステージよ!もうこれで見納めなんだから、アンコールが起こらないわけじゃない」

 

「でも、にこちゃん…これμ'sの単独ライブじゃないにゃ」

 

「そんなことはわかってるわよ!でも。そこまで用意しておいた方がいい…ってこと」

 

「まぁ『備えあれば憂い無し』とは言いますので…」

 

「雪穂は?他になにかある?」

 

「う~ん…基本的には、にこさんの考え方でいいと思います」

 

「基本的には?」

 

「曲の新旧のバランスも考えて欲しいなって」

 

「新旧のバランス?」

 

「えへへ…新しい曲ばっかりじゃなくて、最初の頃の曲も歌ってくれると嬉しいなって。ほら、μ'sを昔から応援していた者としては、ちょっとだけ新規ファンに対抗意識みたいなのがあるっていうか…」

 

「なるほど。たまには言いこと言うね」

 

「穂乃果より、よっぽど頼りになりますけどね」

 

「まぁまぁ」

 

ことりは「また始まった」という顔で、海未を宥(なだ)めた。

 

「そうやね…それなら、まずは一旦、人気ランキングの上位で構成してみたらいいんやない?」

 

「はい、そうですね」

 

「にこちゃんの案でいけば…『Angelic Angel』が1曲目だね」

 

「うん。μ'sの名前が全国的に広まった曲だからね」

とことり。

 

「真ん中に『愛してるばんざーい!!』やね。卒業式の時みたいに、真姫ちゃんがピアノ弾いてくれたら、カッコいいんやないかな…」

 

「希、それよ、それ!真姫、頼んだわよ」

 

「ちょ、ちょっと、勝手に決めないでよ」

 

「ラストは『No brand girls』でドッカーンと」

 

「穂乃果ちゃんちの前でやった餅つき大会のときも、メチャクチャ盛り上がったよね。凛のクラスメイトもすごっく楽しかったって言ってたよ」

 

「うん!手ぬぐい配って、ぐるぐる回してもらって!」

 

「そうね。あれは私も『テンション上がった』わ」

 

「うぅ…絵里ちゃん、それは凛の台詞にゃ…」

 

あははは…

 

いつもはメンバーの真似をする凛が、逆に十八番を取られて一同の笑いを誘った。

 

 

 

 

 

打ち合わせが終わり、帰宅の徒についた一同。

 

海未にスッと寄ってきたのは、真姫と希だった。

 

今のところ、海未と高野の関係を知っているのは、この2人だけとである。

 

 

 

「どう?それで上手くいってるの?」

 

「は、はい…それが…高野さん、インフルエンザに罹(かか)ってしまって」

 

「おやおや、それは大変やね…」

 

「お見舞いにいきたいのですが『感染したらいけないから』と…」

 

「それは仕方ないわね…。それが元で私たちに感染っても…だし…」

 

「はい。熱はすぐ下がったようなので、元気になったと仰ってましたが…『インフルエンザどころか風邪すら罹ったことがないのに』と嘆いておられました」

 

「長い間入院してたから、色々、抵抗力が落ちてるのかも」

 

「そうやね…」

 

 

 

「あの3人…怪しくない?」

 

海未を中心に、真姫と希が肩を寄り添い合いながら歩く姿に、にこが疑問をぶつけた。

 

「やっぱり、にこちゃんもそう思うにゃ?」

 

凛も同じことを考えていたらしい。

 

「え~そうかなぁ?」

 

「ことり、アンタの目は節穴?」

 

「?」

 

「μ'sの長い歴史に置いて、今だかつて、あのスリーショットを見たことある?」

 

「う~ん…そういえば…」

 

「別にな~んにも怪しいことなんか、あらへんよ」

 

「希!?…あ、相変わらず、地獄耳ね…」

 

 「ウチはただ、海未ちゃんと真姫ちゃんに『密かに新曲作ってたりしてないやろね?』って訊いただけやから」

 

「し、新曲?」

 

「安心しぃ…って言ったらいいんか、残念ながら…なんかわからんのやけど…それはないって…」

 

 

 

…さすが希です…

 

…こういう時の頭の回転の早さは天下一品です…

 

 

 

海未がそう思う一方で…

 

 

 

…新曲か…

 

…イチから覚えるのは面倒だけど…

 

…それを作り上げていく過程も、実は楽しかったりするのよねぇ…

 

 

 

そこにいた面々は、口にこそしなかったが、希の言う通り『残念な気持ち半分』…そんな表情をしていた。

 

 

 

 

 

~つづく~

 







あとがきでも何でもありませんが…

今日、家族で『生まれて初めて』神田明神に行ってきました(笑)
残念ながら『ラブライブのカステラまんじゅう』は売り切れでしたが『μ'sの絵馬』と『希ちゃんの御守り』は買いました。
帰りはそのまま秋葉原に流れ、ウィンドゥショッピングしました。
娘は男坂を走ったり…ラブライブ、仮面ライダーのフィギュアや、山手線のスクフェスコラボ電車を見たりして、凄く楽しそうにしてたので良かったです。


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