【ラブライブ μ's物語 Vol.4】オレとつばさと、ときどきμ's ~Winning wings 外伝~   作:スターダイヤモンド

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最終話です。





そして最後のページには…

 

 

》それでは、スポーツコーナーです。まずはこの話題から。

 

》女子サッカー、夢野つばさ選手の所属するドイツ フランクフルトが、最終戦を待たずにリーグ優勝をしました。

 

》この試合、前半14分に先制すると、後半29分には夢野選手の左足が炸裂!相手のクリアボールを迷わずボレーシュートすると、ペナルティエリアの外から放たれた弾道は、一直線にゴールに向かい、キーパーは一歩も動けないまま、見事ネットを揺らしました。試合はそのまま2-0で逃げ切り、フランクフルトは残り2試合を残して、今シーズンの優勝を決めました。

 

》そして夢野選手はこのゴールが22点目で、2位に8ゴール差。残り試合を考えれば得点王は確実で、ドイツに渡って2シーズン目、大きな花を咲かせました…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

》女優でタレントの島崎涼子…本名、島崎圭容疑者が、覚醒剤所持と使用の疑いで逮捕されました。

 

》島崎容疑者の逮捕はこれで、4度目となり…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

》ここで訃報が飛び込んできました…えっ?…あ、すみません、失礼致しました…男子サッカー日本代表のMF 高野梨里選手が、今朝未明、神奈川県内の病院で亡くなりました。28歳でした。

 

》高野選手はJリーグの最終戦でハイボールを競った時に、相手選手と接触して落下。頭を強く打ち、意識不明の状態で入院中でした。

 

》高野選手は、18歳で横浜F・マリノスに入団。20歳の時にはオリンピック予選で4ゴール5アシストを記録し、日本を本大会出場に導きましたが、本番直前に自動車事故に巻き込まれてしまい、頚椎を損傷するというアクシデントに見舞われ『悲運のエース』と呼ばれました。

 

》しかし2年以上のリハビリ、トレーニングを経て5年前に湘南ベルマーレに入団してピッチに復帰すると、その後はチームの中核を担い、今シーズンはベルマーレのリーグ優勝に大きく貢献。そしてこれまでの活躍が認められ、来シーズンからはスペインリーグへの移籍も決まっていたのですが…残念でなりません。心からご冥福をお祈りいたします…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、ママぁ」

 

「なぁに?『ひな』ちゃん」

 

「どうして、『みぃ』ちゃんのパパはしんじゃったの?」

 

「みぃちゃんのパパはね…サッカーしてるときに大きな怪我をしちゃったの」

 

「おおきなけが?ほうたいまいてもならなかったの?」

 

「うん…」

 

「おくすりつけても?」

 

「うん…お医者さんもいっぱいいっぱい頑張ったんだけど…」

 

「まきちぇんちぇーでも?」

 

「真姫先生は『ぽんぽん』のお医者さんだから、お怪我は治せないの…」

 

「ふ~ん…そうなんだ…。みぃちゃん、かわいそうだね」

 

「そうだね。だから、ひなちゃんは、いつまでも、いつまでもみぃちゃんと仲良くしてあげてね?」

 

「は~い!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

》サッカーJリーグのDFで、韓国代表でもあるパク=ヨンソン選手が遺体となって発見されました。

 

》今日、午前7時ごろ、都内のホテルに宿泊していたパク選手が、集合時間になってもロビーに現れないことをチーム関係者が不審に思い、ホテルの従業員と共に部屋を開けたところ、首を吊った状態で発見されたということです。救急搬送されましたが、すでに心肺停止の状態で、病院にて死亡が確認されました。遺書は見つかっておりませんが、現場の状況から自殺したものと見られております。

 

》パク選手はJリーグの最終戦で、先月他界した高野選手に悪質なファールをしたとして、10試合の出場停止と罰金100万円の処分が下っていましたが、国内では高野選手が亡くなったのは、このプレーが原因だと、パク選手の永久追放を求める声もあがっていました。

 

》これに対し韓国のサッカーファン、マスコミからは『高野選手の受身が下手だっただけ』とパク選手擁護論が相次ぎ、日本国中の反発を招きました。そして、お互いのファン、マスコミが非難合戦を繰り返す中、パク選手や高野選手の家族に殺害予告が出さるなど状況は次第にエスカレート。日韓両政府が事態の収束に向け、会合を開くことを検討していると発表した、その矢先のことでした…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

》それでは『今日の対談』です。早速ゲストご紹介致しましょう。教育評論家の『青山龍一』さんと、女性若手実業家『小原鞠莉』さんです。

 

》青山さんは未成年の頃、いわゆる非行少年だったとのことですが…その後は更生されて…先日「日本教育大改革論」という本を出版。こちらが今、大変話題になっております…

 

 

 

「萌絵…」

 

「鞠莉が出てるんだ」

 

「ううん、そっちじゃなくって…」

 

「青山龍一?…ソイツって…まさか…」

 

「更生した…だって…」

 

「…」

 

「私は認めたくない…昔、悪かったけど、今、頑張ってますみたいな人…」

 

「かのん…」

 

「人を殺しておいて、堂々とマスコミの前に出る神経が信じられない…。この人に限らず…『今、頑張ってる』…は構わないけど…過去に被害を受けた人の償いもなしに、そんなこと主張されても…」

 

「…うん…」

 

「あの事故がなければ、高野さんは…。海未さんだって…つばさだって…」

 

「…理不尽ね…」

 

「神様って、どうしてこんなに不公平なのかしら…」

 

「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

》はい!現場です!私は今、東京都の文京区にあります音ノ木坂学園の前に来ています。事件があったのは今朝8時過ぎのことです。昨年亡くなった元サッカー日本代表の高野梨里選手の妻で、高校教師の高野海未さんが、通勤途中、刃物で襲われました。

 

》幸い、命に別状はないとのことですが、海未さんが抵抗した際、手や腕に傷を負ったようで、地面にはまだ、出血の跡が生々しく残っています。

 

》犯人は、そのまま通行人らに取り押さえられ、通報を受け駆けつけた警察官に現行犯逮捕されました。

 

》早朝、それも高校の門前で行われた凶行とあって、現場は騒然としており、事件を目撃した生徒を中心に動揺が広がっています。学校は急遽、休校となっています。

 

》警察の発表によりますと、容疑者は自称韓国人のキム=ソッチュと名乗る男で『パク=ヨンソンの仇である』と口走っているとのことです。今日は高野選手を死亡させたとして、その後自殺したパク選手の命日で、韓国でも大規模な追悼集会が開かれていますが、この件と関連があるのか、動機を詳しく調べることとしております…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みぃちゃんと、みぃちゃんママ…こんにちは」

 

「はい『ひな』ちゃん、こんにちは。『みそら』、ひなちゃんが遊びに来てくれましたよ」

 

「あっ、ひなちゃん!…と、ひなちゃんママと…ほのかおばさん、こんにちは」

 

「こらぁ!おばさんじゃなくて『お姉さん』でしょ!?」

 

「…あ、まちがえた…」

 

「ふふふ…」

 

「海未ちゃん、そこは笑うところじゃないよ!」

 

「すみません。毎回、毎回同じやりとりなものですから…」

 

「それは海未ちゃんの教育が悪いんだよ…」

 

「子供は正直ですから」

 

「うぅ…。そ、それより…海未ちゃん、怪我の具合はどう?」

 

「何度も言いますが、もう大丈夫です。さすがに1年近く経ってますし…」

 

「無理しちゃって…辛い時は穂乃果を頼っていいんだよ」

 

「あなたほど頼りない人は…いえ、そうですね…ありがとうございます…」

 

「うん、うん。それでよろしい!海未ちゃんも成長したねぇ!」

 

「子供の前で怒鳴りたくないだけです」

 

「ぶぅ~…」

 

「うふっ」

 

「ことりちゃん!笑わない!」

 

「は~い…あ、そうそう…はい、みぃちゃん、4才のお誕生日おめでとう」

 

「ケーキ?わぁ、おっきい!!」

 

「ことり、ありがとうございます」

 

「いえいえ」

 

「…穂乃果お姉さんも一緒に買ったんだぞ?」

 

「えっと…ひなちゃんママと、ほのかおば…おねえさん、ありがとう」

 

「はい、よく間違えませんでした!」

 

「みんなで食べようね?」

 

「うん!」

 

 

 

「みぃちゃんのパパってサッカーのせんしゅだったんでしょ」

 

「うん!すごいせんしゅだったんだって」

 

「すごいってどれくらい?」

 

「ここから…ここくらい?」

 

「それってすごいの?」

 

「う~ん…えっと…にほんだいひょうだったんだって」

 

「にほんだいひょう?」

 

「すごいんだよ」

 

「へぇ」

 

「あ、そうだ!ひなちゃんは、ゆめのつばささんってしってる?」

 

「えっと…コマーシャルにでてる、きれいなひと?」

 

「うん!ひこうきのコマーシャルとか、くつとか」

 

「…ジュースもあるよね?…」

 

「うん!それでね…えっと…ゆめのつばささんのサッカーのせんせいが、みぃのおとうさまなんだよ!」

 

「え~…ゆめのつばささんってサッカーせんしゅなの?」

 

「そうだよ。ゆめのつばささんもサッカーのせんしゅで、にっぽんだいひょうなんだよ」

 

「そうなの?おんなのひとなのにサッカーするの?」

 

「おんなのひともサッカーするんだよ」

 

「ねぇ、ママ…みぃちゃんのパパって、ゆめのつばささんのサッカーのせんせいなんだって」

 

「うん」

 

「えっ?ママしってたの?へぇ…みぃちゃんのパパはサッカーのせんせいだったんだ…」

 

「うふっ…実は、今まで黙ってたけど、ママたち、つばささんと…お友達なんだよ」

 

「えっ?うそだぁ…」

 

「ね?海未ちゃん」

 

「そうですね。あ、ちょっと待っててくださいね…はい、ひなちゃん!」

 

「おとうさまとおかあさまのけっこんしきのしゃしんだよ」

 

「しゃしん?…あ、これが、みぃちゃんママ?」

 

「はい、私です」

 

「きれい…おひめさまみたい」

 

「ひなちゃん、それは花嫁さんというのです」

 

「はなよめさん?」

 

「そのドレスは、ママが作ったんだよ」

 

「ママすご~い!!」

 

「ひなちゃんもみぃちゃんも、お嫁に行くときは、ひなちゃんママが素敵なドレスを作ってあげますよ!」

 

「わぁい!!ひなちゃんママ、ありがとう!!」

 

「どういたしまして」

 

「ねぇねぇ、このひとは?」

 

「みぃのおとうさまです」

 

「かっこういいひとだね!」

 

「うん。かっこういいでしょ?」

 

「ひなのパパには、まけるけどね」

 

「え~、みぃのおとうさまのほうがかっこういいよ」

 

「ひなのパパだよ!」

 

「みぃのおとうさま!」

 

「はい、はい…ふたりともケンカしないの!どっちのパパもカッコいいよ」

 

「はい、ひなちゃんのお父様も、とても素敵なひとですよ」

 

「えへへ…」

 

「ほのかおば…おねえさんは、おとうさまはいないのですか?」

 

「へっ?私?私のお父さんはいるけど…」

 

「違うよ、穂乃果ちゃん。たぶん旦那さんのことを訊いてるんだと思うんだけど…」

 

「うっ!こ、ことりちゃん…知ってたけど…」

 

「みそら、穂乃果お姉さんも、そのうち素敵な人と結婚しますよ…」

 

「これがひなちゃんのママだよ!」

 

「わぁ!ママ、きれい!」

 

「…って聴いてないし…」

 

「この人は?」

 

「穂乃果お姉さんですよ」

 

「え~いまとぜんぜんちがう…やせてる…」

 

「そ、そうだね…その時は今より、少しスリムだったかな…」

 

「すこし?」

 

「うっ…」

 

「うふふ…」

 

「海未ちゃん、笑わない!」

 

「失礼…」

 

「まわりのおんなのひとたちも、ママのおともだち?」

 

「うん。ほら、ここにさくらお姉ちゃんがいるでしょ?あと、この人が『けいじくん』のママ…この人は真姫先生…『ぽんぽん』のお医者さん」

 

「あ、ほんとうだ、ほんとうだ!」

 

「絵里お姉ちゃんに…希お姉ちゃんでしょ…それから、かよちんお姉ちゃん…」

 

「あっ!このひと、テレビでみたことある!さやさんだ!」

 

「はい。小庭沙弥さんですね!」

 

「うわぁ…みんなきれいだねぇ」

 

「それで…ほら、ここに…ひなちゃんの好きな、A-LISEがいて…」

 

「え~!!ママ、アライズともおともだちなの?」

 

「最後、はるかちゃんと…めぐみちゃん…そして…ここにつばささん!」

 

「ほんとうだ!ひな、ぜんぜん、しらなっかった。なんでおしえてくれなかったの?」

 

「それは…ひなちゃんが、まだ小さかったから。でも、少しだけ大きくなったから、わかるようになったのかな…」

 

「ふ~ん」

 

 

 

「あのね、ひなちゃん!みぃはおおきくなったら、にほんだいひょうになるんだぁ」

 

「みぃちゃんもサッカーやるの?」

 

「うん!ひなちゃんはやらないの?」

 

「ひな、ボールあそび、すきじゃないもん」

 

「え~おもいしろいのに…。いっしょにやろうよ…ポールをねぇ、こうやって、ポーンってけるんだよ」

 

「ポーン!」

 

「みそら!おうちの中でボールは蹴らないでください!」

 

「ごめんなさい!…えへへ、おこられちゃった…」

 

「ふ~ん…みぃちゃんは大きくなったら、サッカーせんしゅになるんだ…」

 

「ひなちゃんは?」

 

「ひなはね…みぃちゃんのおともだちになるの」

 

「え~、いまだっておともだちだよ」

 

「ちがうよ、おおきくなっても、ずっとずっとおともだちでいるんだよ。だってママとやくそくしたんだもん。いつまでもみぃちゃんと、なかよくしてね…って」

 

 

 

「ことり…」

 

「えへへ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「優子監督!」

 

「…つばさ!…じゃなかった、綾乃…」

 

「現役を引退して、夢野つばさの看板を下ろしてから、もうすぐ1年経つんですけど…いまだに慣れてくれないんですね」

 

「ごめん、ごめん…」

 

「そういう私も、どっちで名乗ろうか迷う時があるんですけどね…」

 

「沙紀がまだ現役で頑張ってるのに、なんであなたは辞めちゃったかなぁ?」

 

「すみません。でも、もういっぱいいっぱいで。体力の限界ってヤツです」

 

「千代の富士か!?」

 

「はい?」

 

「ううん、なんでもないわ。でも…まぁ、そうね。ドイツに渡って10年だっけ」

 

「そうですね…10年弱?」

 

「その間、5度のリーグ優勝とMVP、得点王になること4回。女子のチャンピオンズリーグで優勝2回。日本代表じゃワールドカップに3回出場して優勝2回、準優勝1回。オリンピックも2回出場して優勝1回、3位が1回…確かに、もう、やり尽くしちゃったか」

 

「よく、そんなにスラスラ言えますね」

 

「当然でしょ。あなたと沙紀は、私の教え子で…誇りなんだから…」

 

「ありがとうございます…。それより話って?」

 

「あなたに見せたい娘がいるの」

 

「見せたい娘?サッカー選手?」

 

「大和シルフィードに現れた天才少女」

 

「天才少女…ですか…」

 

「監督になって5年…こんな逸材、初めて見たわ」

 

「それほど?」

 

「びっくりするわよ…えっと…あ、あそこ…今、あそこでリフティングしてる娘…」

 

「ブルーのジャージの?」

 

「そう」

 

「ちっちゃい…」

 

「ふふふ…それはね、まだ小学1年生だから」

 

「えっ?それであのボール捌き?…正直私より上手かも…」

 

 

 

「…ねぇ…あのリフティング…誰かを思い出さない?」

 

 

 

「誰か?って…あっ!!…まさか…」

 

 

 

「綾乃…」

 

「はい?」

 

「あなたと沙紀は、いずれ日本代表の監督かコーチになると思うんだけど」

 

 

 

「えっ?」

 

 

 

「その前に、ここでコーチをやってみない?」

 

 

 

「コーチ?私が?」

 

 

 

「そして、あの娘を育ててみない?」

 

 

 

「…」

 

 

 

「彼への恩返しだと思って…」

 

 

 

「彼への…恩返し…」

 

 

 

「うん」

 

 

 

「優子さん…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

》さぁ、日本代表なでしこジャパン!オリンピックの大事な初戦を迎えます。

 

》緑川沙紀、夢野つばさ、森嶋菜々らを擁した黄金世代が代表を引退してから、ここ10年…日本は国際大会での優勝がありません。オリンピックでは12年前の優勝を最後に、前々回が準優勝、前回大会ではベスト8止まりでした。ワールドカップも2連覇した後は、4位、予選リーグ敗退…。捲土重来、再びあの強すぎて、世界に羨まれた日本女子の力を見せ付けることが出来るのか?

 

》日本代表を率いるは和泉沙紀監督と松原綾乃ダイレクター(※コーチ)…いや、緑川沙紀と夢野つばさ…日本が世界に誇ったゴールデンコンビと言った方が、通りが良いでしょう。20代の前半から日本の女子サッカー界をリードし、黄金期を作り上げてきた2人が、今度は監督とコーチとして世界に挑みます!

 

 

 

》そして今日の対戦相手はブラジル。その2人が22年前にオリンピックで対戦したときは、2-5で敗れてしまいました。奇しくも、その時のエースで大会の得点王だったのが…相手ベンチで腕組をしているマリア監督です。

 

》和泉監督も松原ダイレクターも、マリア監督とはフランス、そしてドイツでチームメイトだったこともあり、公私とも非常に仲が良いとのことです。試合前のインタビューでは両監督とも『お互いの性格、手の内は充分にわかっているだけにやりにくい』と、同じようなことを語っていましたが…果たして…。

 

 

 

》日本はアジア予選を7戦全勝。圧倒的な力で勝ちあがってきました。敵はいません。

 

》しかしここからは違います。現在のFIFAランクは日本が3位、ブラジル5位。ですが、過去10年間の対戦成績は、2勝7敗5分と相性が悪い相手。とはいえ、この戦いにおいては、一切そんなことは関係ありません。必要なのは勝利のみ!

 

 

 

》そしてその勝敗の鍵を握るのが…『日本の若きエース』『サッカーの申し子』『天才』『フィールドのプリンセス』…どんな形容詞ですら陳腐に思えてしまうほどの才能の持ち主『高野みそら』!弱冠15歳。

 

》父はご存知『悲運のエース』と呼ばれた、故 高野梨里さんです。

 

》お父さんは、残念ながらオリンピックの本戦も、ワールドカップの舞台も、そしてスペインのピッチも…いずれも立つことなく、この世を去りました。みそら選手が3歳のときでした。しかし、その遺伝子と魂は、確実に彼女へと受け継がれていました。

 

》卓越したボールタッチのドリブル、そして独特のリズムから放たれるコントロールショットは、まさに梨里さんのプレーそのもの。さらに幼少期より、今ベンチにいる松原ダイレクターの指導の下、フィジカルコンタクトの技術も磨いてきました。

 

》松原コーチ…つまり夢野つばさコーチが『高野梨里さんにサッカーのイロハを教わった』という話は有名ですが、今度はその娘を、自分がエースに育ててきました。昔から『縁は異なもの味なもの』といいますが、これがまさに『運命』というものなのでしょうか…。

 

 

 

》そして、その高野みそらとコンビを組むのが…相手の守備網をズタズタに切り裂くスルーパスの持ち主…『ピッチの空間デザイナー』の異名を持つ『内田陽菜』。母は世界的なウェディングプランナー『南ことり』さん。

 

》名前は『ひな』ですが、切れ味鋭いパスは、高い位置から急降下し、一瞬で獲物を捕まえる鷹の様子に擬(なぞら)えて『ホークアイ』と呼ばれ、数々の得点シーンを演出してきました。

 

》高野みそらとは『生まれた時からの幼馴染』で、そのコンビプレー、阿吽の呼吸は、今、ベンチにいる監督とコーチの『ゴールデンコンビ』を凌ぐと言われています。

 

 

 

》今、画面では…スタンドの様子が映し出されていますが…こちらは2人の母親…高野海未さんと南ことりさんですね。あぁ…海未さんの手には、夫 梨里さんの遺影が見えます…。きっと、天国から娘のプレーを見守っていることでしょう。

 

 

 

》ピッチの上空を見上げれば、雲ひとつない快晴です。果たして…雛はこの美しく晴れ渡った空の中、夢のつばさを羽ばたかせ、自由に世界を飛び回ることができるのか!?

 

》さぁ、今、運命のキックオフです!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~第4部 完~

 

 

 

オレとつばさと、ときどきμ's ~Winning wings 外伝~

 

~終~

 





約1年間…前作から数えると約2年間…に渡り連載をして参りましたが、今話をもって終了とさせて頂きます。

まずは皆様、長い間ご愛読頂きありがとうございました。

 

「えっ?終り?」「ちょっと唐突すぎない?」などと思われた方も多いでしょう。
また今話の内容についても、色々なご意見があるかと思います。
昔から「終り良ければば全て良し」と言いますが、私も「こんなエンディングで良かったのかなぁ…」と自問自答しております。

なお最終話については、かなり読みづらかった(わかりづらかった)かと思いますが…実験的なというか…漫画を意識したというか…敢えてそんな感じにしてみました。
情景描写を廃して、台詞のみとしたのも意図的なものです。
『空白の行間』になにがあったのか…ここに出てこなかった人物は、どこでなにをしてるのか…皆さま、各々想像して楽しんでくだされば幸いです。

そういえば『梨里』の名前の由来を明かさずじまいでしたね…。

…ということも含めて、諸々、反省はあるのですが…ひとまず終了ということにさせて頂きます。



別途、裏話的なというか、裏設定といいますか、それ的なことを書かせて頂こうかなぁ…と思ってます。
需要があればですが。


では、また。

 

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